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ーコラムー
節税の生前対策
税理士監修記事

貸家建付地の相続税評価は?相続税対策を紹介!

公開日:2020.6.8 更新日:2020.06.08

賃貸物件の立つ土地は「賃家建付地」として扱われ、課税評価が下がることで相続税(または贈与税)の節税効果が得られます。小規模宅地等特例の適用でさらに評価額が50%減じ、賃貸経営していない土地に比べていっそう課税額がお得になります。

ただし、入居者が減って空室率が上がっているケースや、親族に入居させているケースでは、本節税効果が得られない可能性があります。

下記では、相続税対策で必見の「貸家建付地」の評価について分かりやすく解説した上で、減額対象になるか判断の分かれるポイントについて紹介します。

【この記事で分かること】

  • 貸家建付地として評価する際の計算式・・・自用地評価・借地権割合・賃貸割合の求め方
  • 「空室がある場合」の評価方法・・・“一時的な空室”として課税評価の減額が認められる要件
  • 「親族に貸している場合」の評価方法・・・賃料と貸家建付地としての評価可否との関係・小規模宅地等特例の適用対象外になるケース
目次

1.貸家建付地とは
2.貸家建付地の評価方法
  ①自用地としての評価方法(路線価方式・倍率方式)
  ②借地権割合の確認方法
  ③借家権割合の確認方法
  ④賃貸割合の計算方法
3.【注意】親族に賃貸すると「貸家建付地」扱いにならないことも
  3-1.無償で賃借していた場合
  3-2.有償で賃借していた場合
4.貸家建付地に「小規模宅地等の特例」を適用する際のポイント
  パターン1:親族に賃貸している場合
  パターン2:空室が生じている場合
4.まとめ

1.貸家建付地とは

そもそも「貸家建付地」とは、家屋を建設し、有償無償を問わず所有者以外に貸している土地を指します。

例えば、被相続人が自分の土地に賃貸アパートや店舗向け物件を建築し、個人あるいは事業主に貸し付けている場合には「貸家建付地」として評価できます。

こうした土地は、建物から賃料収入を得る代償として、所有者自身による利用方法に制限があります。賃料収入に着目しても、所得税が毎年度課税されているのは当然で、全額が所有者の利益になっているわけではありません。

相続あるいは贈与時の課税では、これらの2点が考慮されます。
使い道に制限があるぶん土地から得られる利益は低下し、かつ所得税に加えて通常の相続税(あるいは贈与税)を負担させるのは“二重課税”にあたるとの考え方から、それぞれの事情に応じた課税評価額※の減額が認められているのです。

※課税評価額とは…市場で取引されている売却価格ではなく、税法上の定めあるいは行政の判断に基づいて決定される課税ベースでの土地の価格です。

それでは具体的に、貸家建付地はどう評価するのでしょうか。

2.貸家建付地の評価方法

貸家建付地の課税評価額では、①所有者が自由に使える土地(自用地)と仮定した場合の通常の評価額がベースです。

その上で、実際には自由に土地を利用できない事情を、②有する権利が所有権ではなく「借地借家権」だった場合の評価額として減額に反映させます。合わせて、建っている家屋のうち賃貸できる部分に対する収益率、ひいては③入居率を示す「賃貸割合」に対応して減額を図り、所得税との二重課税を防ぎます。

①〜③の減額を計算方法として示したものが以下の式です。

【貸家建付地】評価額の計算方法

貸家建付地の価額 = ①自用地としての評価額 - ①自用地としての評価額 × ②-1借地権割合 ×  ②-2借家権割合 × ③賃貸割合

以下では、計算式中の評価額や割合をどのように判断するのか、個別のケースに当てはめられるよう解説します。

①自用地としての評価方法(路線価方式・倍率方式)

自用地としての評価は、原則として土地の隣接する道路ごとに決められた「路線価」を用います(路線価方式)。路線価は国税庁が毎年決定してWebサイト「財産評価基準書 路線価図・評価倍率図」で公表しており、対象の土地の地積1㎡あたりの評価額として用います。

【路線価方式の計算方法】
自用地としての評価額 = 路線価 × 評価対象の土地の地積(㎡)

ただし、市街地から遠い土地を中心に、路線価が決定されておらず「倍率地域」とされているものがあります。上記Webサイトで該当の表記があった場合は、同サイト内で掲載されている地域別の倍率を確認し、固定資産税評価額をベースに評価します(倍率方式)。

【倍率方式の計算方法】
自用地としての評価額 = 固定資産税評価額※ × 倍率

※固定資産税評価額は、被相続人が毎年受け取っている固定資産税の納税通知書に記載されています。左記通知書が保管されていない場合は、役場が交付する証明書で確認が可能です。

②借地権割合の確認方法

借地権割合も路線価と同じく、国税庁が毎年決定しWebサイトで公表しています。路線価あるいは倍率を確認する際、併記されているアルファベットを借地権割合一覧と照合しましょう。

【例】国税庁Webサイト上で路線価が「400A」と表記されている場合
  ・数字部分→路線価(単位:千円)
  ・アルファベット→借地権割合(マップ上部に記載あり)

③借家権割合の確認方法

借家権割合も、国税庁が都道府県別に毎年決定してWebサイト上で公表しています。本割合は地域差がほとんどなく、令和元年分の決定ではほぼ全国統一で30%です。

④賃貸割合の計算方法

“入居率”にあたる賃貸割合は、土地家屋のうち入居者に貸し出せる「独立部分」の総面積に対する、課税時期(相続開始時点もしくは贈与時点)での賃貸中部分の面積の割合で表します。

【Point】独立部分とは
建物の構成部分である「隔壁」「ドア」「階層」「天井や床」などによって他の部分と完全に遮断されており、入居者ひとりひとりに1室として貸し出せる部分を指します。

賃貸割合のベースとなる独立部分は、賃貸物件の図面から面積を求めなければなりません。土地家屋調査士など、税理士と連携がとれる不動産の専門家のサポートが必要です。

【疑問】課税時期に一時的に空室が発生した場合はどうなる?
入居率は当然、時期により変動するものです。被相続人の死亡時期(あるいは贈与時期)に「転居シーズンと重なった」等の事情で空室が増えた場合、賃貸割合を低く見積もらざるを得ないのでしょうか。

結論として、ごく一時的に発生した空室なら、課税のタイミングで入居しているものとして扱い、賃貸割合に反映させられます。

空室が“一時的な”として認められる具体的要件は、国税庁が以下のように定めています。

【“一時的な空室”として賃貸割合に含められる要件】
※以下すべて満たすこと

  1. 各独立部分が課税時期までに継続的に賃貸されている
  2. 前入居者の退去後、速やかに新しい入居者が募集されている
  3. 空室期間中、賃貸以外の用途に使われていない
  4. 空室期間が「課税時期の前後の1か月程度」など一時的な期間である
  5. 課税時期後の賃貸が一時的なものではない

要件のなかには、上記4のように国税庁の見解があいまいなものもあります。過少申告を指摘されないよう、個別のケースについては税理士の判断を仰ぐのがベストです。

3.【注意】親族に賃貸すると「貸家建付地」扱いにならないことも

進学や事業の都合により、大家がその親類(子どもや兄弟姉妹など)に入居させる物件が少なからずあるでしょう。

このように被相続人が親族に賃貸していたケースでも、賃貸中の独立部分に対応する敷地は「貸家建付地」として課税評価額を減じられます。ただし、親族間貸借でよくある無償や破格での賃貸契約は例外です。

賃料設定ごとの貸家建付地評価の可否について、下記でさらに詳しく解説します。

3-1.無償で賃借していた場合

所有物を無償で貸す契約は、民法で「使用貸借」(第593条)として扱われます。ごく一般的に考えると、使用貸借とは「貸主の好意に基づく行為で、対象物を自由に扱う権利を十分利用できている」と解釈できるでしょう。

こうした観点から、国税庁は「使用貸借の対象家屋が建つ土地は貸家建付地として扱わない」としています。つまり、賃貸物件に親族を無償で入居させている場合、その独立部分に対応する敷地は自用地として評価しなければなりません

3-2.有償で賃借していた場合

先述の通り、賃料を払う約束で親族に入居させているケースは「支払われている金額がどの程度か」がポイントです。

貸家建付地として評価できるか、それとも自用地として減額せずに評価する必要があるかどうかは、固定資産税の課税額がひとつの目安となります。

<固定資産税以下の賃料を設定している場合>
民法上、使用貸借でも「借主は借用物の通常の必要費を負担する」とされています(第595条)。ここで言う“通常の必要費”には、賃貸物件だと固定資産税が該当します。

つまり、固定資産税と同額かそれを下回る賃料設定をした上で親族を入居させている場合、その土地は「使用貸借」として扱われます。したがって、無償で入居させていたケースと同様に、その独立部分に対応する敷地は自用地として評価しなければなりません。

<固定資産税を超える賃料を設定している場合>
貸家建付地として評価する上で、たんに「固定資産税よりも高い賃料で入居させていればよい」というわけではありません。使用貸借の借主負担とする“通常の必要費”には、賃貸物件の管理維持費用などにも含まれるからです。

ここで過去の国税庁不服審判(国税庁に対する申告者の不服を裁決する手続き)を参考にすると、固定資産税の1.7倍程度の賃料設定なら貸家建付地として扱っても構わないと判断されたケース(※平成8年3月29日裁決)があります。しかし本ケースでの裁決は、すべての申告事例に当てはまるとは言えません。

具体的にどの程度の賃料なら貸家建付地として評価できるのかは、個別のケースで賃貸物件そのものや遺産全体の状況を税理士がチェックし、適宜判断する必要があります。

4.貸家建付地に「小規模宅地等の特例」を適用する際のポイント

賃貸物件の建つ敷地の課税評価額は、貸家建付地として扱った上でさらに「小規模宅地等の特例」も適用できます。本特例により、地積200㎡を限度に課税評価額の50%(※法人に貸し付けられていた場合は地積最大400㎡を限度に80%)もの減額が認められます。

下記2要件を満たせるなら適用しない手はありませんが、問題は相続時の状況により「事業継続要件」を満たせないケースがある点です。

【小規模宅地等の特例の適用要件】※貸付事業用の宅地の場合

  • 事業継続要件
    被相続人が亡くなる以前から相続税の申告期限(死亡日の翌日から10ヶ月)まで、対象の不動産で事業を継続して営む必要があります。
  • 保有継続要件
    相続税の申告期限まで、対象の不動産を売却も譲渡もせず保有し続けている必要があります。

事業継続要件を満たせない具体的ケースとしては、貸家建付地としての評価可否でも触れた「親族に賃貸している場合」「空室が生じている場合」の2パターンが挙げられます。

パターン1:親族に賃貸している場合

結論として、賃貸物件に入居する親族自身が次の“大家”になるケースは、特例の適用対象外です。

賃貸事業の承継をもって賃貸人=賃借人(大家=入居者)となることが、契約の消滅条件として定められている「混同」(民法第520条)にあたるからです。賃貸契約が消滅すれば、相続開始後も継続して事業を営んでいるとは言えません。


【例①】特例適用が認められるケース
父が購入した物件に叔父が入居。その後叔父に先立って父が事故で亡くなり、息子が土地建物を叔父に貸したまま相続することになった

→父の賃貸人としての地位は息子に承継され、事業継続要件を満たせます。


【例②】特例適用が認められないケース
父が相続税対策のつもりでマンションの一室を購入し、息子が妥当な賃料を払って入居。その後父が亡くなり、息子が自分の住んでいる部屋と定期借地権をそのまま相続することになった

→相続によって父子間で結ばれていた賃貸契約が消滅します。定期借地権の部分について、小規模宅地等の特例の事業継続要件を満たせません。


<後継者以外にも入居者がいるなら特例適用可>
大家業を承継しようとする人以外にも入居者が存在し、相続開始後も依然として賃貸経営が続けられていれば、小規模宅地等の特例の適用は可能です。後継者以外の入居者が結んでいる賃貸契約は、遺産とともに後継者に移転し存続するからです。

具体例として「親が一棟まるごと賃貸経営しており、うち一室を借りていた子がその棟の大家業を引き継ぐ」といったケースが挙げられます。

パターン2:空室が生じている場合

ほかにも相続時点で賃貸物件に空室が生じていると、空室に対応する敷地には小規模宅地等の特例が適用できない可能性があります。

ただし空室がごく一時的なものであれば、貸家建付地の評価と同じく「特例適用対象として構わない」とするのが国税庁の見解です。一方で、相続開始時点での空室を“一時的“と判断する基準については「いつでも入居可能な状態に空室を管理している※」と指定されるにとどまっているため、税理士による個別の判断が必要です。

※引用:国税庁Webサイト「共同住宅の一部が空き室となっていた場合」

4.まとめ

賃貸経営により相続税の原資を貯蓄し、相続時には「貸家建付地評価」と「小規模宅地等の 特例」で節税するテクニックは、生前対策として広く用いられています。

実践しようとする際は、本例で解説したように空室率と親族への貸借に注意しなければなりません。賃貸経営を続けるつもりなら空室率はさほど節税率に影響しないものの、親族への貸借は課税評価額の減額が認められない懸念があります。

問題なく貸家建付地として評価できる場合でも、独立部分の計算は不動産の専門家に任せるのが確実です。課税評価額の減額可否については、国税庁の示す基準にあいまいな点があり、税務のプロの個別の診断とアドバイスが必須です。

適切に節税テクニックを駆使する上では、相続税申告に長け、他業種との連携もとれる税理士に任せると安心できます。

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