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ーコラムー
相続税の申告手続き
税理士監修記事

相続税の基礎控除とは?計算方法を税法上の法定相続人の考え方など具体的なケース例を交えて解説!

公開日:2020.5.18 更新日:2020.05.18

相続財産には3,600万円以上の「基礎控除」があり、法定相続人の数に応じて非課税枠が広がります。

基礎控除の算出方法そのものは易しく、遺産承継の知識に自信のない人でも手元ですぐ金額を割り出せるでしょう。それ以前に手間取ってしまうのは、相続権の範囲を正確に把握することです。

そもそも「法定相続人」の解釈は民法と税法で異なります。民法においては遺産を承継する権利があっても、相続税の基礎控除額の計算においては法定相続人として扱われない場合があるのです。

以下では、基礎控除が適用される範囲や計算方法に加え、最も重要な「税法上での法定相続人の範囲」について解説します。

【この記事で分かること】

  • 基礎控除の基本・・・控除額と課税評価額の計算方法
  • 税法上の法定相続人の範囲・・・民法のルールとの違い(具体例あり)
  • 課税額ゼロだったときの申告要否・・・「課税評価額が基礎控除内におさまった場合」「基礎控除を上回るが税制適用すれば課税額ゼロになる場合」の違い
目次

1.相続税の基礎控除とは
2.基礎控除額の計算方法
3.基礎控除の注意点(税法上の法定相続人の考え方)
4.基礎控除額の計算例
  ①遺言書で相続分が指定されている場合
  ②子の配偶者と養子縁組している場合
  ③再婚相手の子と養子縁組している場合
  ④相続放棄が発生した場合
5.【注意】遺産総額が基礎控除額を下回る場合
6.【注意】税制適用で課税額ゼロになるときは申告要
7.まとめ

相続税の基礎控除とは?

1.相続税の基礎控除とは

相続税の基礎控除とは、課税対象となる相続財産評価額に非課税枠を設け、枠内であれば納税と申告の両方を不要とする税法上のルールを指します。

基礎控除の制度趣旨は「遺族の生活費原資の確保」です。世帯ごとの生活費は全国で一様ではなく、家族構成員の数に応じて上昇することは言うまでもありません。
そこで基礎控除額の算出においては、土台部分である金額(=3,000万円)に法定相続人1人あたり600万円ずつ上乗せしてよいとされています

2.基礎控除額の計算方法

基礎控除の計算方法そのものに複雑な点はなく、前章で触れた概要を整理した式(下記)で個別事例の金額が求められます。

【相続税の基礎控除】
= 3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数

ここで言う法定相続人とは、法律上「被相続人との戸籍上の関係に基づき、相続人としての地位がある」とされる人物を指します。
必ずしも遺言書で相続人として指名された人物ではない点に注意しましょう。

では、個別事例において法定相続人はどのように決まるのでしょうか。

2-1.法定相続人の基礎知識

民法において相続権の範囲となり得るのは、被相続人から見た続柄が配偶者・子・直系尊属・兄弟姉妹のいずれかに該当する家族構成員です。このうち必ず法定相続人の地位を得るのは配偶者です。配偶者以外の構成員については、最も相続順位の高い続柄の人物が地位を獲得します。

【法定相続人の地位を得る人】

  • 配偶者:必ず地位を得る(民法第890条)
  • 相続順位第1位:子およびその代襲相続人(民法第887条)
  • 相続順位第2位:父母・祖父母などの直系尊属(民法第889条)
  • 相続順位第2位:父母・祖父母などの直系尊属(民法第889条)

家族構成員の出生・死亡の前後関係に応じて地位判断できるよう、法定相続の考え方はさらに細かく定められています。加えて、近年は家族関係が多様化しており、法定相続人の地位判断が複雑になりつつなることも否めません。

基礎控除額の算出で誤りが起こりやすく、このあと解説する税法上の扱いで重要となる、法定相続人の地位判断の3つのルールをさらに紹介します

2-2.法定相続人の地位は子に受け継がれる(代襲相続)

代襲相続とは、本来の法定相続人が死亡等の理由で相続権を失ったときに、その地位が子世代に承継されることを指します。具体的なケースとして、被相続人との続柄が孫・甥・姪にあたる人物への相続発生が挙げられます。

被代襲相続人が相続順位第1位だった場合、より以降の世代への地位承継も認められています(再代襲/民法第887条3項)。
基礎控除額の計算を行う際は、忘れず代襲相続人も確認しておきましょう。

2-3.養子も法定相続人に含まれる

相続順位第1位には実子だけでなく養子も含まれます。
養子縁組には「普通養子縁組」「特別養子縁組」の2種類があり、どちらで申請を行っていても法定相続人としての地位・権利に変化はありません。

ただし、基礎控除の算定においては申請種類と実子の有無により制限が生じるため、ここで押さえておく必要があります(詳細は後述)。


<【計2種類】養子縁組の申請方法による違い>

普通養子縁組:実親との戸籍上の血縁関係を保ったまま養子として迎える申請方法です。養子に迎えられた子は、実親と養親の両方と法定相続関係を持ちます。子どもの配偶者(義理の息子あるいは義理の娘)と被相続人とのあいだで交わす手続きが代表例として挙げられます。

特別養子縁組:実親との戸籍上の血縁関係を断った上で養子として迎える方法です。養子に迎えられた子は実親に対して相続権を持つことはなく、養親に対してのみ法定相続関係を持ちます。児童養護施設からの引き取りなど、実質的に実親との関係が薄い(あるいは断つ必要がある)子とのあいだで交わす手続きが代表例です。

2-3.「死亡時点でまだ出生していない子」も法定相続人に含まれる

妊娠中に相続手続きを開始しなければならないケースなど、死亡時点でまだ出生していない子にも法定相続人としての地位は生じます(民法第886条)。

ただし、万が一にも胎児が亡くなってしまった場合は除きます。胎児の相続権は「出生したときにさかのぼって生じる」と考えられているからです。(民法第886条1項・民法第886条2項)基礎控除の算定の際は注意しましょう。

3.基礎控除の注意点(税法上の法定相続人の考え方)

ここまで紹介した法定相続人の地位判断のルールは、あくまでも民法において遺産承継の権利人を判断するためのものです。法定相続の基本的な考え方は税法でも同様ではあるものの、養子あるいは相続人の地位を喪失した人については、基礎控除への算入に一部制限があります

3-1.養子の控除額算入は人数制限あり

養子は遺産承継の権利人として認められますが、基礎控除の計算式における「法定相続人の数」への算入には人数制限があります(以下参照)。
基礎控除へ算入できる養子の数を無制限に認めてしまうと、形式上の縁組による控除額の乱用が起きてしまうと懸念されるためです。

【基礎控除の注意点①】養子の算入人数の制限
●被相続人に実の子供がいる場合
→基礎控除に算入できる養子は1人のみ(2人目以降は含められない)

例:法定相続人が実子2人+養子2人の場合
…基礎控除額は4,800万円(3,000万円+600万円×3人)

●被相続人に実の子供がいない場合
→基礎控除に算入できる養子は2人まで(3人目以降は含められない)

例:法定相続人=養子3人の場合
…基礎控除額は4,200万円(3,000万円+600万円×2人)

3-2.【例外】人数無制限で養子の控除算入が認められるケース

ただし、養子と被相続人との関係が以下3ケースのいずれかに該当するのであれば、人数に制限なく基礎控除額に算入できます。

●特別養子縁組
例:実親を失くした時に特別養子縁組を結んでいた叔父が亡くなった。

●配偶者の連れ子(実子・再婚前の特別養子の両方を含む)
例:生前養子縁組していた継母が亡くなり、相続することになった。

●養子の代襲相続人
例:祖父母にとって養子である親が早逝し、戸籍上の孫として相続することになった。

3-3.法定相続人の地位を失った人の扱い

法定相続人としての地位は、①相続人自身による相続放棄の申述・②被相続人による廃除・②欠格事由への該当のいずれかの要件が発生したときに失われます。いずれの要件も遺産承継できなくなる点は共通していますが、税法上は扱いが区別されています。

結論として、①放棄した法定相続人のみ基礎控除額への算入が認められ、②欠格事由あるいは③廃除による地位喪失者は算入できません


【計3種類】法定相続人の地位を失う要件
相続放棄(民法第939条)
…被相続人の死亡後3カ月以内に家庭裁判所で手続き(=申述)することで、法定相続人としての地位を自発的に喪失します。
自らの意思で放棄した相続人を基礎控除額から排除してしまうと、権利放棄せず遺産承継をしようとする法定相続人の一方的な不利益に繋がります。そこで税法では、民法における法定相続人の範囲と区別し、放棄の有無に関わらず基礎控除額の計算に含めてよいとしています。

相続廃除(民法第892条)
非行・家庭内暴力・虐待などの事情があれば、被相続人の意思で法定相続人からその権利を剥奪することが認められています。
相続放棄した場合とは異なり、廃除された人物は基礎控除の計算に含められません。

相続欠格(民法第891条)
…相続関係者に危害を加えた人物は、民法の規定により法定相続人の地位を剥奪されます。
殺人あるいは殺人未遂で有罪確定したケースや、詐欺や脅迫によって遺言書を書かせた(あるいは偽造・変造を行う)ケースが該当します。
被相続人の意思で法定相続人から外された場合と同様、欠格事由のある者は基礎控除額に含められません。

3-4.【ポイント】地位喪失者から代襲相続が発生した場合の扱い

相続廃除あるいは欠格による地位喪失は一代限りであり、地位喪失者の子は代襲相続可能です。また、代襲相続が発生した場合、被代襲相続人の地位有無に関わらず基礎控除額に算入できます。

ただし、相続放棄による地位喪失については、そもそも代襲相続できません。当然、放棄申述者の子以降の世代を基礎控除後に含めることも出来ません。

3-5.法定相続人の区分一覧表

遺産承継する権利人(=民法上の法定相続人)と基礎控除額に算入できる人物(=税法上の法定相続人)の区分は、税務署に指摘を受けないようにする上で重要です。

ここまで紹介した知識を整理するため、相続人の続柄ごとに法律上の扱いを表にまとめます。

【表】相続人の区分(〇=法定相続人に該当/×=法定相続人に該当しない)

相続人の続柄 遺産承継の権利(民法) 基礎控除への算入(税法)
相続権なし 相続放棄 ×
相続欠格or廃除 × ×
相続欠格or廃除があった人物の代襲相続人
相続権あり 配偶者
直系尊属
兄弟姉妹(代襲相続人含む)
子(胎児含む) 実子
特別養子縁組した養子配偶者の連れ子(実子または養子)
上記以外の養子 〇(1人or2人まで)
代襲相続人

4.基礎控除額の計算例

法律知識だけでは実践的なイメージが湧きにくいため、ここでは想定例を4つ挙げて基礎控除額の計算と解説を行います。

①遺言書で相続分が指定されている場合

最初に最も分かりやすい例を紹介し、法定相続の知識を整理します。

▼想定例1
両親ともに他界し、2番目に亡くなった父が「長男に全財産を遺す」と遺言している。父の相続財産に適用される基礎控除額を計算したい。

▼被相続人の家族構成
…配偶者(※死亡)・実子2人(兄と弟)・直系尊属(※死亡)・兄2人

▼遺産分割の割合
…長男100%

→基礎控除額は4,200万円(3,000万円+600万円×2人)

本事例では長男が全財産を受け継いでいますが、相続税の基礎控除額はあくまでも「法律上で相続人の地位があると定められる人の数」を計算根拠とします。
民法上では相続順位の高い実子2人が法定相続人に該当し、税法上でも同じ解釈を行って問題ありません。

②子の配偶者と養子縁組している場合

次に紹介するのは、民法と税法で法定相続人の解釈が分かれるケースです。

▼想定例2
亡くなった父は会社を経営しており、後継者である娘婿と養子縁組を行っていた。遺言書には遺産全額を娘婿に相続させる旨が書かれてあった。父の相続財産に適用される基礎控除額を計算したい。

▼被相続人の家族構成
…配偶者(※死亡)・実子2人(姉と弟)・普通養子(姉弟それぞれの配偶者)・直系尊属(※死亡)・兄2人

▼遺産分割の割合
…姉の配偶者が100%

→基礎控除額は4,800万円(3,000万円+600万円×3人)

本事例でも同じく、基礎控除額に算入するのは「法定相続人」であり、遺言書で指定された取り分ではありません。問題は、戸籍上の計4人の子どもを全て法定相続人として扱うかどうかです。
民法では4人の子はすべて法定相続人の地位を有し、遺産の取り分を主張する権利を有します。しかし税法においては、実子2人と養子1人までしか相続人として扱われず、基礎控除額の算入ができるのは計3人分です。

被相続人の養子縁組を行った意図が「子が増えるほど基礎控除額が上がる」というものであったなら、重大な誤解が生じていると言わざるを得ないでしょう。

③再婚相手の子と養子縁組している場合

▼想定例3
亡くなった両親はそれぞれ離婚歴がある。再婚時は母に2人の連れ子がおり、後年両親のあいだにさらに2人の子が生まれた。父の相続財産に適用される基礎控除額を計算したい。

▼被相続人の家族構成
…配偶者(※死亡)・実子2人・配偶者の連れ子2人(どちらも特別養子)・直系尊属(※死亡)・兄2人

▼遺産分割の割合
…法定相続分に従い、4人の子がそれぞれ25%ずつ取得

→基礎控除額は5,400万円(3,000万円+600万円×4人)

本事例でも子は4人(実子2人+養子2人)ですが、前例とは違い4人全員が基礎控除の算入対象です。
養子縁組した子が「配偶者の連れ子」という立場であったことで、税法において法定相続人として扱われる人数の制限が解除されたからです。

④相続放棄が発生した場合

最後に、相続放棄により遺産承継の権利人の人数が変動した例を想定します。

▼想定例4
父が亡くなり、遺された母は「老齢のため面倒な手続きを避けたい」との理由で相続放棄した。父の相続財産に適用される基礎控除額を計算したい。

▼被相続人の家族構成
…配偶者・実子2人・直系尊属(※死亡)・兄2人(※死亡)

▼遺産分割の割合
…実子のうち親と同居する第二子が全財産を相続

→基礎控除額は4,800万円(3,000万円+600万円×3人)

配偶者が地位喪失者となったことで、民法上の法定相続人は実子2人のみとなりました。しかし税法では相続放棄を一切考慮せず、配偶者も法定相続人であるものとしてカウントしています。

5.【注意】遺産総額が基礎控除額を下回る場合

最初の章で紹介した通り、計算できた課税評価額が基礎控除額の枠内に収まっている場合、相続税申告は不要です。

ただし、ここで言う「課税評価額」は遺産総額(死亡時点で遺されていた財産の評価額)と同じ意味ではない点に注意しましょう。正確に課税評価額を求めるには、遺産総額に生前贈与の評価額を算入しなければなりません。

【参考】課税評価額の計算方法(2ステップ)

①純資産価額を計算する
=遺産総額+相続時精算課税※を適用した贈与財産-葬儀費用や祭祀財産などの非課税財産

②課税評価額を計算する
=純資産価額(①)+相続開始の3年以内に贈与された財産

※相続時精算課税とは…被相続人と相続人とのあいだで行われた生前贈与について、通常の課税方式(暦年課税)の控除額・税率ともに優遇を行う税制です。

生前贈与を考慮せず「遺産総額が課税対象だ」と誤解していると、無申告あるいは過少申告として税務署に指摘される恐れがあります。十分注意を払いましょう。

6.【注意】税制適用で課税額ゼロになるときは申告要

勘違いしやすいのは、課税評価額が基礎控除額を超えていたものの、課税額が低減される税制を適用した結果として納税の必要性がなくなるケースです。例として、小規模宅地特例・配偶者控除の適用が挙げられます。

これらの各種税制は申請を前提として適用されるため、課税額ゼロである旨の相続税申告が必須です。

不動産や自社株などの高額資産の承継にあたっては、基礎控除以外にも使える手段は全て駆使して相続税対策するのが一般的です。肝心の税申告を不要だと勘違いしてしまい、あとから税務署に指摘されてしまっては、節税の努力が水泡に帰します。
遺産総額の算出から申告要否を含め、税理士に任せると安心です。

7.まとめ

相続税の基礎控除の計算方法「3,000万円+600万円×法定相続人の数」とごくシンプルです。これから計算を始めるにあたっての課題となるのは、税法上の法定相続人の解釈でしょう。

まずは民法上の法定相続人の範囲を特定し、そこから基礎控除へ算入できない相続人を除外した上で、最終的な人数を計算式に当てはめるのが良い方法です。

税法上の法定相続人を特定するには、戸籍謄本の収集・家系図の作成などの下準備が必要です。肝心の課税評価額は見極めが難しく、基礎控除額の計算よりもいっそう専門知識を要します。

申告時にいたるまでミスがないよう、弁護士・税理士などの相続に詳しい人物に委ねるのが安心です。

この記事を監修した税理士

日本クレアス税理士法人
執行役員 税理士 中川義敬

2007年 税理士登録(近畿税理士会)、2009年に日本クレアス税理士法人入社。東証一部上場企業から中小企業・医院の税務相談、税務申告対応、医院開業コンサルティング、組織再編コンサルティング、相続・事業承継コンサルティング、経理アウトソーシング決算早期化等に従事。事業承継・相続対策などのご相談に関しては、個々の状況に合わせた対応により「円滑な事業承継」、「争続にならない相続」のアドバイスを行う税理士として定評がある。(プロフィールページ

・執筆実績:「預貯金債券の仮払い制度」「贈与税の配偶者控除の改正」等
・セミナー実績:「クリニックの為の医院経営セミナー~クリニックの相続税・事業承継対策・承継で発生する税務のポイント」「事業承継対策セミナー~事業承継に必要な自己株式対策とは~」等多数

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日本クレアス税理士法人 相続サポート

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