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ーコラムー
税負担の軽減

遺産相続にかかる税金と控除額はどれくらい?

2019.6.25

相続税の対象となる財産、相続税の基礎控除、節税になる特例、相続税の申告方法など、相続にまつわる基本的な事項をこの記事では解説します。急な相続の発生で慌てないように、また最善の生前対策を行うためにもぜひご参考ください。

目次

1.相続税の基礎控除額
2.相続税の配偶者控除について
3.小規模宅地等の特例について
4.相続税の課税対象となる財産
5.相続税申告が必要なケース
6.準確定申告について
7.相続税の計算方法
8.相続税申告の流れ
9.相続は生前対策が重要。遺産相続の相談は税理士へ

1.相続税の基礎控除額

遺産相続や遺言によって、相続人が取得した遺産の合計額には、相続税がかかります。
ただし、相続税の対象になるのは遺産の全額ではなく、各相続人が取得した遺産の総額から「基礎控除額」を差し引いた残りの額です。

つまり、遺産の総額が基礎控除額以下であれば、相続税を支払うことなく遺産を相続することができます。

相続税の基礎控除額は、【 3,000万円+法定相続人の数×600万円 】で計算されます。
たとえば夫の相続で、妻と子の計2人が法定相続人であれば、基礎控除額は4,200万円ですから、夫の遺産の相続税評価額が4,200万円以下であれば相続税はかかりません。


基礎控除額のほかにも、相続税の節税になる特例として代表的なものに下記があります。
・相続税の配偶者控除
・小規模宅地等の特例

2.相続税の配偶者控除について

正式には「配偶者の税額軽減」なのですが、他の税金と同様に「配偶者控除」の名称で親しまれています。この特例によって、配偶者は少なくとも1億6,000万円まで、財産を無税で相続できるということになります。

次の2つの例で、相続税の配偶者控除がいくらまで受けられるか確認しましょう。


【例1】
遺産総額:3億円
法定相続人:妻、長男、長女

配偶者の法定相続分は2分の1ですので、1億5,000万円です。
1億6,000万円の方が大きいため、この例での相続税の配偶者控除は、1億6,000万円が上限となります。


【例2】
遺産総額:3億円
法定相続人:妻、被相続人の両親

このケースでは、配偶者の法定相続分は3分の2ですので、2億円です。
1億6,000万円よりも法定相続分の方が大きいため、この例での相続税の配偶者控除は2億円が上限となります。

3.小規模宅地等の特例について

特例を適用できる土地については、被相続人の生前の用途に応じた名称があり、それぞれ

・居住用の土地・・・「特定居住用宅地等」
・事業用の土地・・・「特定事業用宅地等」
・同族会社の事業用の土地・・・「特定同族会社事業用宅地等」
・不動産貸付用の土地・・・「特定貸付事業用宅地等」

といいます。

各土地の減額割合と適用面積の上限は、次のとおりです。

用途 減額割合 面積上限
特定居住用宅地等 80% 330平方メートル
特定事業用宅地等
特定同族会社事業用宅地等
80% 400平方メートル
特定貸付事業用宅地等 50% 400平方メートル

たとえば、特定居住用宅地等に該当する5,000万円の土地(面積330平方メートル)は、80%を減額した1,000万円で相続することができます。

また、被相続人が賃貸アパートなど、貸家を建てている貸家建付地については、その自用地評価額から賃貸部分にあたる価額を減額して評価を行いますが、この貸家建付地が特例貸付事業用宅地等に該当すれば、さらに50%の評価減を受けることができます。

ただし、「特定居住用宅地等」、「特定事業用宅地等」、「特定同族会社事業用宅地等」、「特定貸付事業用宅地等」にそれぞれ該当するかどうかは、被相続人の生前の用途のほか、土地の相続人が誰であるかによって要件が異なるため、注意が必要です。

遺産相続にかかる税金と控除額はどれくらい?

4.相続税の課税対象となる財産

相続税の課税対象となる財産には、
・本来の相続財産
・みなし相続財産
・相続時精算課税制度を適用した財産
・相続開始前3年以内に相続人が生前贈与を受けた財産
があります。

4‐1.本来の相続財産

被相続人が保有する、経済的な価値をもつ全ての財産のことです。

たとえば現金預金、不動産、借地権などの権利、事業用の財産、有価証券などの金融財産、家具や美術品、宝石、貸付金といった財産が該当します。これらの財産を相続や遺贈によって取得した場合、相続税の対象となります。

4‐2.みなし相続財産

本来の相続財産にはあたらないものの、相続税の計算を行う上で、相続財産とみなされる財産をいいます。

生命保険会社から遺族に支払われる一定の死亡保険金や、勤め先から遺族が受け取る死亡退職金などが該当します。

4‐3.相続時精算課税制度を適用した財産

相続時精算課税制度を適用した財産とは、被相続人からの生前贈与のうち、贈与を受けた人が相続時精算課税を選択して、贈与税の課税を相続時に繰り延べる手続きを行った財産をいいます。

相続時精算課税制度を適用できる財産額は、最大で2,500万円です。

4‐4.相続開始前3年以内に相続人が生前贈与を受けた財産(生前贈与加算)

相続や遺贈によって財産を取得した相続人が、被相続人が亡くなる前の3年間に生前贈与も受けていた場合、その額は、相続財産に加算されます。

贈与税の非課税特例や配偶者控除を適用した非課税部分については、相続財産に加算されませんが、暦年課税による基礎控除によって課税されなかった部分(年間110万円の部分)は加算の対象になります。

4‐5.相続税がかからない財産もある

相続税がかからない非課税の財産もあります。

相続税の非課税財産については、いくら相続しても相続税はかかりません。
たとえば、
・墓地、墓碑、仏壇、仏具など祭祀承継として取得したもの
・死亡保険金と死亡退職金のうち、非課税額限度額内の金額
・国等に贈与した相続財産
などが相続税の非課税財産に該当します。

5.相続税申告が必要なケース

相続税の申告が必要になるケースを大きく分けると、次の2つのケースになります。


ケース1:遺産総額が基礎控除額を超える場合

相続や遺贈による財産、みなし相続財産、相続時精算課税制度を適用した財産、生前贈与加算の対象となる財産の合計額が基礎控除額を超える場合は、相続税額が発生することから相続税の申告が必要になります。


ケース2:相続税の申告を要件とする特例を適用する場合

次の特例は、相続税の申告を期限内に行うことが適用要件の1つとなります。

したがって適用する場合は、たとえ相続税額が0円であっても申告期限内の申告が必要になるので注意が必要です。

一般的な相続でよく適用されるのは、「小規模宅地等の特例」と「相続税の配偶者控除」の2つです。

配偶者が相続人となる相続では、2つとも適用されるケースが少なくないので、申告漏れのないよう注意しましょう。

5‐1.相続税の申告方法

続税の申告は、被相続人の住所地を管轄する税務署に、相続人が被相続人の死亡したことを知った日の翌日から10か月以内に行います。

申告書は、相続人が共同で作成して提出しますが、各相続人で作成して提出することも認められています。


相続税の申告書には、被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本か法定相続情報一覧図の写し、遺言書や遺産分割協議書の写し、遺産分割協議書に使用した相続人の印鑑証明書、各種特例の適用条件を満たしていることが証明できる所定の書類などを添付する必要があります。

申告書の提出方法には、税務署に持参して窓口に提出する方法と、郵送する方法の2通りがあります。更正の請求であれば、e-Taxによる電子申告も可能ですが、通常の申告はできません。

5‐2.「申告期限後3年以内の分割見込書」とは

前述した「相続税の申告を要件とする特例」は、特例を適用したい財産の相続人が決まっていない状態(未分割の状態)であれば適用することができません。(国等に対して相続財産を贈与した場合の相続税の非課税を除く)

たとえば相続税の配偶者控除を、配偶者が相続するかどうか決まっていない未分割の財産に適用することはできませんし、小規模宅地等の特例については誰が相続人になるかで要件が変わるため、未分割の土地には適用できません。

未分割の財産がある状態で相続税の申告期限を迎える場合は、未分割の財産を法定相続分に分けたと仮定して相続税を計算し、申告書を提出しますが、期限内に適用できなかったことで使えなくなる特例もあるので注意が必要です。


ただし、「小規模宅地等の特例」と「相続税の配偶者控除」を含む3つの特例については、申告時に「申告期限後3年以内の分割見込書」を提出することによって、申告書の提出期限から3年以内に分割すれば適用を受けることができます。

したがって、この3つの特例については、期限内に分割ができず適用できなかったとしても、

・期限内に相続税の申告書を提出する
・申告書と一緒に「申告期限後3年以内の分割見込書」を提出する

という手続きを、忘れないようにしましょう。

相続税の申告を要件とする特例を適用する場合

6.準確定申告について

準確定申告とは、故人(被相続人)の方の1月1日から亡くなった日までの所得について、相続人が代わりに申告・納税を行う手続きのことです。

すべての故人に必要となる手続きではなく、通常の確定申告が必要となる故人に限り行うものとなります。

準確定申告では、通常の確定申告と同様に、源泉徴収票や所得控除に関する書類などを提出しなければならないほか、事業所得、不動産所得、山林所得がある故人については、「青色申告決算書」あるいは「収支内訳書」も作成し、準確定申告書と一緒に提出する必要があります。

6‐1.準確定申告の申告方法

準確定申告は、故人の住所地を管轄する税務署に、相続人が被相続人の死亡したことを知った日の翌日から4か月以内に行う必要があります。

申告書は、相続人が共同で作成して提出しますが、各人で作成して提出することも認められています。

なお使用する様式は、通常の確定申告と同じですが、タイトルに「準」の字を書き足すことや、納税者の氏名に「被相続人」と付ける点において、通常の確定申告と異なります。

また「死亡した者の○年分の所得税及び復興特別所得税の確定申告書付表」という準確定申告専用の付表の添付も必要です。この表では、相続人となる人の法定相続分などの記載が必要となります。

申告書の提出方法は、前記の相続税と同様に、税務署に持参して窓口に提出する方法と、郵送する方法の2通りがあります。

e-Taxによる電子申告は、通常の確定申告と異なり使用できません。

7.相続税の計算方法

相続税の計算方法は、まず各相続人が取得した相続税の対象となる財産の合計額から基礎控除額を差し引き、法定相続分ごとに相続税を計算して、その合計額を実際の相続分に応じて各相続人に割り当てるという仕組みです。


小規模宅地等の特例は、基礎控除額を差し引く前の土地の価額に適用されるため、遺産の総額を減額する効果があります。


相続税の配偶者控除は、相続税の合計額を実際の相続分に応じて分けたあと、配偶者の負担分として割り当てられた税額を軽減します。

8.相続税申告の流れ

相続税の申告は、各相続人が相続した財産の評価を行い、各相続人の負担する相続税を計算してから行われるものとなります。

しかし、誰が何を相続するか決めてから相続税の計算を始めることには、2つのリスクがあります。

また相続税の対象になるものは、一般的にいう相続財産には該当しないもの(みなし相続財産、生前贈与加算、相続時精算課税の適用財産、遺贈など)も多いため、申告漏れも生じやすく、さらに財産評価や税計算の仕組みが複雑であることから、申告するための労力は非常に大きいものとなります。

9.相続は生前対策が重要。遺産相続の相談は税理士へ

相続に関して何も準備をしていなかった場合、10か月という相続税の申告期間の中で、相続財産の把握と評価、特例適用の検討、相続税の算出、納税資金の準備など、行わなければならないことが多数あります。

しかしこれらの中には生前に準備できることもあります。
生前から準備を行うことで、相続税の負担を軽くすることができる場合があります。

相続税の申告や納税で不利な状況にならないために、相続が発生する前に税額のシミュレーションと将来の相続に対する準備を行うことをお勧めします。