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ーコラムー
贈与税の基本

贈与者の死亡により効力が生じる契約「死因贈与」のメリットとは?

公開日:2017.9.20 更新日:2019.07.16

人が亡くなると被相続人となり、財産や資産を法定相続人(家族)が相続することになります。また生前の被相続人の希望により、遺言書を作成して一定の人に財産を譲ることも可能です

では、被相続人の財産は法定相続人や遺言で指名された人以外は、譲り受けることはできないのでしょうか?

死因贈与(しいんぞうよ)」と呼ばれる契約は、遺言書に頼らず財産を一定の人に譲る制度です。生前に行う死因贈与契約について紹介します。

お互いの合意により効力が出る死因贈与(しいんぞうよ)

「死因贈与」とは、被相続人となる「贈与者」が生前に一定の財産を「受贈者」に贈与する契約を締結することです

「死因贈与」とは、被相続人となる「贈与者」が生前に一定の財産を「受贈者」に贈与する契約を締結することで、贈与者が死亡した際に効力が生じる贈与(相続)のことです。少しややこしいので簡単に例を上げて説明します。

死因贈与の例

Aさんの家族は妻と子供が2人います。 Aさんが死亡した際の法定相続人は妻、子供の合計3名です。

Aさんは会社を経営しており、会社の敷地はAさん個人の名義でした。 Aさんの子供は会社を継いでおらず、Aさんは自分が死んだ場合には、会社の敷地を一緒に仕事をしている甥に譲りたいと考えていました。

そこで弁護士と相談した結果、甥と死因贈与契約を結び、自分が死んだ場合には会社の敷地を譲ることにしました。


上の例で説明しますと、Aさんは何のせずに死亡した場合、会社の敷地を含めた全ての資産が法定相続人である3人の家族が相続することになります。

しかし、それでは会社を引き継ぐ甥に問題が出ることも考えられることから、あらかじめ甥と死因贈与契約を結んだのです。

このように死因贈与とは死亡した場合に、自分の財産を贈与する契約で、贈与者(Aさん)と受贈者(甥)の合意が必要です。

遺言で行う遺贈は一方的な贈与で、受贈者の合意は必要ありません。遺贈と違い死因贈与は、生前に双方で合意した契約によって財産を譲り渡す制度です。

死因贈与と遺言による遺贈(いぞう)の違い

一般的に遺産を被相続人の意思により譲るには、「遺言書」の作成が有効です。

遺言書は被相続人が自分の財産を、「誰に」「どのような分配で」「条件は?」などを記載することで、自分の意思で財産分配ができます。このように遺言書は相続において、被相続人の意思を尊重することができる制度ですが、あくまで一方的な贈与でありこれを「遺贈(いぞう)」と言います。

また、遺言書はあらかじめ公開する必要のない文章で、被相続人が死亡して初めて内容が明かにされることも少なくありません。 一方、死因贈与はあくまで双方の合意が必要であり、一方的な遺贈とは全く違う意味合いがあります。死因贈与と遺贈の違いを簡単に比べてみましょう。

死因贈与と遺贈の違い

死因贈与 遺贈
意思表示 お互いの合意が必要 一方的な遺言書の記載
効力の発生 被相続人の死亡 被相続人の死亡
相続の実行 死亡してからの拒否は原則不可 放棄が可能
文書の必要性 口頭契約でも効力がある 規定の遺言書が必要

死因贈与と遺贈の違いは確認できたでしょうか。それらを踏まえて、次は死因贈与のメリットを考えてみましょう。

なぜ死因贈与が必要?メリットを考えてみる

死因贈与のメリット

一般的な相続に使用されている遺贈に対して、死因贈与 が必要な理由はどこにあるのでしょうか?死因贈与のメリットを考えてみましょう。

メリット1.契約なので必ず財産を渡すことができる

遺言書における遺贈では、一方的な指名になることから「受取拒否」「放棄」などが起こる可能性があります。また被相続人が死亡して、初めて遺言書を見た家族にとって財産を他人へ譲るなど、辛い内容が書かれているかもしれません。

しかし死因贈与はあくまで契約行為なので、被相続人が死亡した後の受取拒否は原則としてできません。被相続人から見れば、確実に財産を引き渡すことができます。また家族も契約内容を知ることから、スムーズな財産移行手続きができるようになります。

メリット2.必ずしも契約書が必要ではない

死因贈与 では被相続人が死亡する前に、贈与に関する契約書を作成することが大切です。

この契約書には死亡後に贈与する財産や贈与者と受贈者の署名捺印が必要ですが、必ずしも文書による契約書が必要ではありません。例えば法定相続人の前で、口頭でお互いに了承したり、弁護士など第三者を交える場での話し合いであったりすれば、十分に口頭でも死因贈与契約は有効になります。

「俺が死んだらこの車あげるよ」「おぅありがたく貰うよ」このやり取りでも死因贈与契約は有効ですが、それを証明する人が必要です。

メリット3.負担を付けることができる

死因贈与は契約なので、契約書に「負担」条項を付帯することができます。 負担とは財産を譲る代わりに一定の行為を求めることで、「死亡後不動産を譲るので、最低10年間は売却せずに住んでほしい」などの条件を付けることです。これが「負担付死因贈与」です。

負担付死因贈与契約で注意すること

負担付死因贈与契約では贈与者の生前に、受贈者に対して負担を求めることができます。最近では介護の現場において負担付死因贈与契約が利用されることが多くなりました。

最近増加している負担付死因贈与契約

Bさんは独居老人です。 夫は亡くなって久しく、子供2人とは離れて暮らしており、同居することはできません。そこでBさんは近くに住んでいる、姪に「自分と同居して世話をしてくれたら、自分が死亡したらこの家を譲る」と提案しました。姪は承諾して「Bさんと同居して死亡するまで世話(介護)をする」ことを条件に、負担付死因贈与契約を結ぶことになりました。


このように生前に介護の負担を付けることで、死亡後に財産を贈与する負担付死因贈与契約が近年増加しています。

ここで注意したいのは「介護に疲れて1年で辞めた」「半年後に同居を解消した」など、負担条件を満たさない場合には、負担付死因贈与契約も無効です。また、契約通りに負担を履行しているにも関わらず「気が変わったから」と言って、贈与者から一方的に契約を破棄することもできません。


  さて、ここまで死因贈与や負担付死因贈与の概要、メリットや注意点を解説してきました。 ここからは、実際に死因贈与契約を成立させる際のポイントをまとめています。

口頭での死因贈与を成立させるために注意するポイント

口頭での死因贈与を成立させるために注意するポイント

死因贈与のメリットのひとつでもありますが、死因贈与は口頭による契約でも効力があります。本来契約行為は必ずしも文書が必要ではなく、お互いが了承することで成立する性質があります。口頭での死因贈与契約で注意したいポイントをまとめてみました。

証人を用意する

口頭での死因贈与契約では証人が必要です。「家族や親戚」「友人知人」「弁護士などの代理人」など、第三者を契約の証人として立ち会わせるようにしましょう。証人が用意できないとどんなに、契約の有効性を訴えても認められないことが多いようです。

法定相続人全員の承諾を貰う

死因贈与は贈与者と受贈者の契約なので、予め家族などの法定相続人の承諾を得る必要はありません。

しかし、特に口頭契約の場合には贈与者が死亡した際に、財産の引渡しを法定相続人が拒むこともあり、裁判などの手続きが必要になります。このような事態を防ぐには、予め法定相続人全員に説明を行い、全員の承諾を得ることが大切です。

死因贈与契約書を作成する場合の注意ポイント

口頭での死因贈与契約では確実に財産を、受贈者へ引き渡せない事態が起こる可能性があります。そこで確実に死因贈与を履行するには、文書による死因贈与契約書を作成することが大切です。 死因贈与契約書は遺言書と違い、厳格な規定はありません。契約書を作成するポイントを説明します。

  • 契約日、贈与者、受贈者を明確に記載し、受贈者が契約を受託した旨を記載する
  • 契約が贈与者の死亡によって効力が生じることを記載する
  • 死因贈与で贈与する財産を明確にする
  • 負担条項があれば記載する
  • 贈与者、受贈者双方の署名、捺印を行う
  • 立会人や死因贈与の執行者がいる場合には、その者の署名、捺印を行う

死因贈与は贈与ではなく相続

死因贈与は贈与者が死亡することで、効力が生じる贈与契約です。贈与には贈与税が必要になりますが、死因贈与ではその性格から贈与税ではなく「相続税」の対象になることを覚えておきましょう。

ただし、不動産の登記に関わる税金については、相続と見なされず特例が利用できません。

自分が死亡した時に財産をどのように分配するかは、その人の置かれている状況や事情によって異なりますが、遺言書以外にも方法があることを知ることは大切なことだと思います。死因贈与もその中の選択肢だと覚えておいて下さい。

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