会社の業績が好調で、会社としての成長を実感する。会社経営者であれば、これほど嬉しいことはありません。 ただ事業継承時においては、自社株式が大きく上昇することは避けたい場面です。
また、法人所得が大きくなってくると、法人税、事業税及び住民税の負担も重くなります。
役員報酬の引き上げ
そのような時に、親族の役員報酬や給料を引き上げることによって、節税することができます。
親族が役員である場合、役員報酬を引き上げることで会社の利益圧縮による株価の引き下げが可能となります。報酬や給料を引き上げると、個人の所得税や住民税の負担は増します。 しかし、それ以上に法人の法人税や事業税、及び住民税の負担が減り、税負担が減ります。
注意点
役員報酬は、あまりにも高額な場合は高額部分が損金扱いにならないため適正な範囲にする必要があります。 また、役員報酬は株主総会で決議することになっており原則として年1回しか改定ができません。
事業年度の途中で改定すると増額部分は賞与とされ、損金に算入されなくなります。 平成18年度の税制改正で、役員報酬の額を変えられるのは事業年度開始の日から3ヶ月以内だけ、会計期間中の役員報酬は定期的に同額の支給した場合にしか経費に認めないということになりました。
そのため、役員報酬の支給額を変更できるのは期首3ヶ月以内だけになります。その期の利益を予想することが必要になります。利益が変わってしまえば、節税上最適な役員報酬額も変わってしまうからです。
形式基準と実質基準に照らしてみる
役員報酬が過大であるかどうかの基準は、下記の「形式基準」と「実質基準」の2つによって算出された報酬額とされています。
どちらにも当てはまる場合は、金額の多い方が過大役員報酬の額となり、超過している額は損金に算入されないことになります。
形式基準
会社定款や株主総会での決議、役員と監査役の支給限度額を超えている金額
実質基準
- 役員の職務内容(会長、社長、専務、常務、平取締役、監査役など)と比較する
- 会社の成長性や、収益状況と比較する
- 従業員に対する給与と比較する
- 同種の会社の役員報酬を比較する
会社に収益性があれば 1億円以上の報酬も可能でしょうし、会社の収益が上がっていれば通常役員報酬も高くなります。
しかし、現実的には他の役員や周りの目も気になったりして、高いといっても年間5000万円から1億円くらいまでが多いようです。 役員報酬1億円以上を支給できる会社といえば、業界の中でもトップクラスの収益性がある企業でしょうから、実質基準に照らし合わせても、同種の事業、事業規模が類似する同業他社と比較したとしても十分説明できると思われます。
そういった意味では、実務上、役員報酬の限度額を合理的に判断するのは、難しいと言えます。 むしろ実務的に問題になるのは、非常勤役員等で業務の関与度合いが少ないようなケースの場合において税務調査等で問題になることがありますので、注意する必要があります。
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