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ーコラムー
遺産相続の基本
税理士監修記事

遺産相続における財産の分配方法や割合・期限などを解説!

公開日:2023.10.30 更新日:2024.03.01

遺産相続における財産の分配方法は、相続人のその後の生活を大きく左右する可能性があります。

実は財産分配の方法にはいくつかの基本ルールが存在し、それに則って財産を分配していきます。

具体的には法定相続人の構成や遺産分割協議によって、相続割合が決定されていくのです。

ただ、財産の分配方法のルールを知らない方もいるでしょう。

そこで本記事では、遺産相続における財産分配の方法を解説。

また、相続割合や分配の期限などについても紹介します。

財産分配についてくわしく知りたい・何から始めたらいいかわからないという方はぜひご覧ください。

1. 遺産を分配する前に行う4つのこと

遺産相続が発生したら遺産を分配していくことになりますが、分配前には4つのことを行う必要があります。

<遺産分配前に行うこと>

  • 遺言書が遺されているか確認する
  • 財産目録を作成しすべての財産を把握する
  • 遺産の法定相続人を確定する
  • 生前贈与などによる「特別受益」がないか確認する

    この4つを行うことで、その後の遺産分配がスムーズに進み、手続きの後戻りも防止することが可能です。

    1-1. 遺言書が遺されているか確認する

    遺産相続が発生したら、最初に遺言書が遺されているか必ず確認しましょう。

    遺言書とは、財産分配における被相続人の最終意思が記された文書です。

    遺言書は形式が満たされている場合には法的な効力を有するので、遺産相続において最も優先されるものとなります。

    そのため遺言書がある場合には、相続人の意思は意味をなさず、遺言書の内容通りに財産分配が行われます。

    もし財産分配後に遺言書が発見されてしまうと、分配をやり直す必要があるため、必ず最初に遺言書の有無を確認しましょう。

    1-2. 財産目録を作成しすべての財産を把握する

    遺言書の有無を確認したら財産目録を作成し、被相続人の財産をすべて把握しましょう。

    財産目録とは、財産を一覧化したものです。

    財産に漏れがあると、後から発見された場合に分配方法を大きく変更せざるを得ない可能性があります。

    たとえば、親族の誰も知らない不動産があった場合などには、財産分配に大きな影響が発生します。

    相続手続きの後戻りを防止するためにも、すべての財産を把握することが大切です。

    1-3. 遺産の法定相続人を確定する

    財産目録を作成できたら、法定相続人を確定しましょう。

    法定相続人とは、被相続人の財産を相続する権利を持つ人を指します。

    民法によってその範囲が規定されており、被相続人の配偶者や血族関係者が該当します。

    法定相続人が確定しないことには、誰が遺産を相続する権利を持っているかわからないため、早急に確定する必要があります。

    法定相続人でなければ進められない手続きもあるため、戸籍謄本などを収集し、すべての法定相続人を確定しましょう。

    元配偶者との子どもや認知している非嫡出子など、見落とされやすい人もいるため注意が必要です。

    1-4. 生前贈与などによる「特別受益」がないか確認する

    法定相続人が確定したら、その相続人のなかで特別受益を受けている人がいないか確認しましょう。

    特別受益とは複数の相続人がいる場合に適用される考え方で、相続人の一部だけが被相続人から生前贈与などで受け取った利益を指します。

    複数の相続人がいる場合には、当然遺産を複数人で分配していくことになります。

    しかしその際に、生前贈与などによって遺産の分配とは関係ない利益を受け取っている人がいたら、不公平になってしまいます。

    なぜなら特別受益者は、贈与でも財産をもらいつつ、財産分配でも財産を相続できるからです。

    特別受益がある場合には平等な遺産分配を実現するために、特別受益を持ち戻して分配の計算を行う必要があります。

    特別受益は財産分配に影響を与える要因になるので、事前に確認を行いましょう。

    2. 遺産相続における財産分配の基本ルール

    財産分配にはいくつかの基本ルールが存在します。

    <財産分配のルール>

    • 分配割合は法定相続分で決まっている
    • 法定相続分は相続順位や相続人の構成で決まる
    • 遺産相続の分配期限

    ルールを理解したうえで財産分配を進めることで、適切な相続が実現できるでしょう。

    2-1. 分配割合は法定相続分で決まっている

    遺産の分配割合は、法定相続分という形で規定されています。

    法定相続分とは、相続人が複数人いる場合の各人の相続割合のことです。

    法定相続分で遺産分配を行う場合には、相続財産は法定相続分に従って自動的に分割されます。

    2-2. 法定相続分は相続順位や相続人の構成で決まる

    法定相続分は相続順位や相続人の構成によって、その割合が決定されます。

    法定相続人は、被相続人との関係に従って相続順位が設けられています。

    具体的には上記の表のように相続順位が決まっており、相続順位の高い人から法定相続人になる権利を有します。

    実は被相続人の配偶者・直系尊属・直系卑属・兄弟姉妹は法定相続人になる権利がありますが、全員が法定相続人になれるわけではありません。

    相続順位によって、ケースごとに法定相続人が決定されていきます。

    そして、以下の表のように決定された法定相続人の構成によって、各人の法定相続分が決定します。

    法定相続分の決定には、相続順位・相続人の構成が関係していることを知っておきましょう。

    2-3. 遺産相続の分配はいつまでに行う?

    遺産相続の分配には、基本的に期限がありません。

    ただし、相続税の申告と納税には「相続開始を知った日の翌日から10ヶ月以内」という期限があります。

    この期限に間に合うように進める必要があるため、財産分配はできる限り早く行うことがおすすめです。

    しかし、ケースによっては期限に間に合わないという場合もあるでしょう。

    たとえば、遺産分割協議が難航してしまった場合などが考えられます。

    そのような場合には、一旦法定相続分で分配したと仮定して相続税の申告・納税を行います。

    そして、遺産分割協議がまとまったときに修正の申告を行うことになります。

    相続税の申告・納税期限が伸びることはないため、基本的には期限内に遺産分配を終了させることが望ましいです。

    3. 遺産相続における4つの財産分配方法

    遺産相続における財産の分配には4つの方法があり、優先順位も決められています。

    <4つの財産分配方法>

    1. 遺言書の内容通りに分配する
    2. 遺産分割協議によって分配を決定する
    3. 法定相続分で分配する
    4. 遺産分割調停・審判によって決定する

    財産分配がどのような流れで決まっていくのかみていきましょう。

    3-1. 遺言書の内容通りに分配する

    財産の分配方法のなかで最も優先されるのは遺言書です。

    被相続人が遺言書を遺していた場合には、遺言書の内容通りに分配を行いましょう。

    たとえば「相続人AにマンションBを相続させる」という指定があった場合には、法定相続分などは関係なく、相続人AがマンションBを相続することになります。

    では、遺言書がなかった場合には、どのように財産分配を進めていくのでしょうか。

    3-2. 遺産分割協議によって分配を決定する

    遺言書が残されていない場合には、遺産分割協議によって財産分配を決定していきます。

    遺産分割協議とは、法定相続人全員で遺産の分配方法を決定するための話し合いを指します。

    実は必ずしも法定相続分に従って財産分配をする必要はなく、相続人全員の同意が得られれば、遺産分割協議で財産分配を決定することが可能です。

    実際の相続でも、遺産分割協議によって分配方法を決定することは珍しくありません。

    具体的には民法によって、下記のように定められています。

    共同相続人は、次条第一項の規定により被相続人が遺言で禁じた場合又は同条第二項の規定により分割をしない旨の契約をした場合を除き、いつでも、その協議で、遺産の全部又は一部の分割をすることができる。
    引用元:民法907条

    では、遺産分割協議を行わない場合は、どのように財産を分配するのでしょうか。

    3-3. 法定相続分で分配する

    遺言書もなく、遺産分割協議も行わない場合には法定相続分で財産分配を決定します。

    法定相続分は民法によってその割合が規定されているため、自動的に財産分配を決定することが可能です。

    遺産分割協議で財産分配を決定する場合には、内容を取りまとめた遺産分割協議書を作成する必要がありますが、法定相続分の場合には不要になります。

    そのため、相続手続きにかかる手間も省くことが可能です。

    では、遺言書や遺産分割協議・法定相続分でも分配方法が決定できなかった場合はどうなるのでしょうか。

    3-4. 遺産分割調停・審判によって決定する

    どの方法でも分配方法が決定できなかった場合には、遺産分割調停や審判を利用して財産分配を決定するしかありません。

    たとえば、遺産分割協議が難航し相続人同士では話し合いがまとまらない場合などに、調停や審判に発展するケースが多いです。

    流れとしては、先に遺産分割調停を行なっていきます。

    裁判所を利用し、第三者(調停委員)を交えて遺産分割についての話し合いが行われます。

    調停はあくまで話し合いによって解決を目指す方法のため、この段階でも難航するケースがあります。

    また、そもそも話し合いに応じてもらえないという場合もあるでしょう。

    そのような場合には、審判へと移行します。

    審判は訴訟に近い手続きで、両者の主張を裁判官が法律的な観点から判断します。

    審判の決定は強制力を持つため、どのような結果であっても従わなければなりません。

    なお、相手側が欠席していても審判を行うことが可能です。

    話し合いではまとまらないというケースにおいては、最終的に審判を利用することになるでしょう。

    4. 分配を遺産分割協議で決める必要がある3つのケース

    財産分配を遺産分割協議で決定するケースは、遺言書がない場合に限りません。

    遺言書がない場合を含めた3つのケースを紹介します。

    <遺産分割協議を行う3つのケース>

    • 遺言書がない
    • 遺言書で分配が指定されていない財産がある
    • 遺言書の内容に相続人全員が同意しなかった

    遺産分割協議が行われるケースを理解し、実際の相続の際にお役立てください。

    4-1. 遺言書がない

    前述のように遺言書がない場合には、遺産分割協議によって財産の分配方法を決定します。

    もちろん、遺産分割協議を行わず法定相続分で分配方法を決定しても問題はありません。

    相続人の判断は異なるので、ケースによって最適な方法で財産分配を決定しましょう。

    4-2. 遺言書で分配が指定されていない財産がある

    遺言書はあるけれど、分配が指定されていない財産がある場合には、遺産分割協議によって分配を決定します。

    たとえば、被相続人の財産である不動産Aについて、遺言書によって指定がなかった場合など。

    このような場合には、法定相続人全員で遺産分割協議を行い分配を決定しましょう。

    相続人同士の相続分に不公平が出ないように調整するなど、適切な財産分配が実現できる可能性が高いです。

    4-3. 遺言書の内容に相続人全員が同意しなかった

    実は遺言書が遺されている場合でも、内容に相続人全員が同意しなかった場合には、遺産分割協議で財産分配を決定することが可能です。

    稀なケースではありますが、全員が納得しない遺言内容だった場合には、遺産分割協議を選択するといいでしょう。

    なお、遺言書によって遺言執行者が指定されている場合には、相続人全員にくわえ遺言執行者の同意も必要になります。

    ただし、そもそも遺言書で遺産分割協議自体が禁止されている場合もあります。

    その場合には、遺産分割協議を行うことはできず、遺言書に従うしかありませんので注意しましょう。

    4-4. 土地や建物など不動産の分割は注意が必要!

    法定相続分で、土地や建物など不動産を分割する際には注意が必要です。

    ほかの財産とは性質が異なり、分割して相続するのは不動産では難しい現実があります。

    何も考えず共同で相続してしまうと所有権が分かれてしまうため、その後の運用方法などで揉めてしまう場合もあります。

    そんな不動産の分割方法には、下記4つの方法があります。

    <不動産の4つの分割方法>

    • 現物分割:そのままの形で相続する
    • 代償分割:代償金を払って分割する
    • 換価分割:現金化して分割する
    • 共有:そのまま共有する

      1つ目の方法は現物分割です。

      現物分割の場合には、相続手続きが簡単にできるメリットがありますが、相続人間で不公平になってしまう場合が多いです。

      不動産は価値が高い財産のため、1人が現物分割で相続してしまうと、ほかの人の相続分が減少してしまう可能性があります。

      なお、土地であれば「分筆」という方法で現物はそのままに、土地を区画で分けて相続することもできます。

      2つ目の方法は代償分割です。

      代償分割では不動産を相続した相続人が、ほかの相続人に対して代償金という形で相続分を補填します。

      代償分割を行うことで、相続人同士が不平等になることを避けられます。

      ただし、代償分割には適切な土地の評価と代償金の支払い能力が求められますので注意しましょう。

      3つ目の方法は換価分割です。

      換価分割は不動産を売却して現金化し、その現金を分割して相続するため公平な財産分割が実現できます。

      不動産は売却するため、自分たちで不動産を評価する必要がない点もメリットとなるでしょう。

      しかし、売却のタイミングによっては本来の価値よりも低く買い取られてしまう可能性もあります。

      もちろん売却にも手間がかかり、そもそも買い手が見つからないという可能性もあるでしょう。

      メリットはあるものの、デメリットも考慮しなければならない方法といえます。

      4つ目は共有です。

      共有では文字通り、不動産を共同所有という形で相続します。

      相続人間で公平な方法で、一見いい方法にもみえます。

      しかし、不動産の共有は相続後に問題に発展するケースが多いです。

      たとえば、共同相続人Aが売却したいという場合でも、ほかの相続人の同意を得られなければその不動産を売却することができません。

      また、リフォームして収益不動産にしたいといった場合にも同様のことが起こります。

      そうなると、ただ不動産を所有しているだけの状態になり、固定資産税だけがかかり続けてしまいます。

      共同所有という聞こえはいいですが、後々問題に発展する可能性があるため、不動産を相続する場合には共有はおすすめできません。

      ケースに応じて、現物分割や代償分割・換価分割を検討しましょう。

      5. 遺産分配についてよくある質問

      遺産分配についてよくある質問を4つピックアップして紹介します。

      <よくある質問>

      • 遺言書の分配が不公平な場合はどうする?
      • 離婚した元配偶者には分配する?
      • 被相続人の借金はどう分配する?
      • 相続放棄・相続欠格・相続廃除者はどう扱う?

        それぞれどのように対応すればいいのかみていきましょう。

        5-1. 遺言書の分配が不公平な場合はどうする?

        遺言書による財産分配が不公平な場合には、遺留分が侵害されていないか確認しましょう。

        遺留分とは、一部の法定相続人に認められている、最低限の遺産相続割合です。

        相続人の構成にもよりますが、法定相続分の1/2または1/3が遺留分として設定されています。

        この遺留分が侵害されている場合には、遺留分侵害額請求を行うことで、侵害された遺留分を取り戻すことが可能です。

        本来の法定相続分とまではいきませんが、ある程度の財産を相続できるため、遺留分が侵害されていないかを確認してみましょう。

        5-2. 離婚した元配偶者には分配する?

        離婚した元配偶者は法定相続人にはなれないため、遺産を分配する必要はありません。

        法定相続人になれるのは、配偶者であっても法律上で婚姻関係を結んでいる方のみです。

        離婚している場合には、法律上の婚姻関係にないため、法定相続人の権利はありません。

        ただし例外として、遺言書によって指定がある場合には、遺言書にしたがって財産を分配することになります。

        5-3. 被相続人の借金はどう分配する?

        被相続人に借金がある場合には、債権者の同意がない限り法定相続分で分配することになります。

        財産にはプラスの財産とマイナスの財産があり、借金はマイナスの財産に該当します。

        プラスの財産は遺産分割協議によって、法定相続分を無視して分配を決めることが可能です。

        しかし、マイナスの財産は基本的に法定相続分を無視することはできません。

        そのため、相続するプラスの財産が少ないと、相続をきっかけに借金を背負ってしまう可能性があるのです。

        被相続人にマイナスの財産がある場合には、分配方法を慎重に決定しましょう。

        5-4. 相続放棄・相続欠格・相続廃除者はどう扱う?

        法定相続人が相続放棄・相続欠格・相続廃除者に該当する場合には、遺産分配の対象から外れます。

        そのため、該当者がいる場合には、その分ほかの相続人の相続割合が増加します。

        相続放棄とは、プラスの財産・マイナスの財産を問わず、すべての財産を相続しないことを指します。

        相続人に認められている権利のため、マイナスの財産が大きい場合などに選択されることが多いです。

        相続欠格とは、犯罪などを理由として相続人の資格を被相続人の意思とは関係なく、剥奪することを指します。

        相続廃除とは、相続人の資格を剥奪される当然の理由がある場合に、被相続人の意思によって資格を剥奪することです。

        相続欠格と相続廃除は、どちらの場合でも相続人としての資格を失うため、遺産分配の対象からは外れます。

        法定相続人のなかに該当者がいる場合には、遺産分配に影響があるため注意しましょう。

        6. 遺産分配で揉める場合には専門家に相談しよう!

        ここまで遺産相続における遺産の分配方法について解説してきました。

        遺産分配では、まず遺言書が優先され、その後遺産分割協議や法定相続分での分配へと進んでいきます。

        法定相続分は民法で規定されている相続割合ですが、相続人の同意があれば法定相続分を無視した財産分配も可能です。

        不動産など分配方法に注意が必要な財産もあるため、不安な場合には専門家への相談がおすすめです。

        とくに税理士であれば相続税の相談も可能なため、各相続人にとって最適な財産分配を実現してくれるでしょう。

        日本クレアス税理士法人 相続サポート

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