税務調査を行う調査官にとって、相続人から話を引き出しながら、金融資産の実態を見極める事が重要なポイントです。
税務署の調査官は税務調査に入ったうちの8割から、相続税の申告漏れの指摘をしています。
ここでは指摘の多い名義預金をどのように調査するかに絞って見てみましょう。
名義預金と判定するためのポイント
口座の「印鑑」を丹念に調査します
まず故人の印鑑を白紙に空押しして、「印影」を確認し、 その後朱肉を付けてもう一度、印影を取ります。 空押しをした時に、印影が写れば最近使ったことがあると考えます。
また、故人の口座の印鑑と、家族名義の口座の印鑑が同じ場合、名義預金の可能性が高くなるため、家族名義の預金に使われている印鑑も全てチェックし、 名義預金の発見に努めることが多くなります。
故人や相続人の「筆跡」を調査します
調査官が遺族の代表に「相続人の氏名、住所、職業を書いてください」という場合は、筆跡鑑定の狙いがあります。
誰が「管理」していたか?
預金通帳や定期預金、印鑑を誰が管理していたかも重要な手がかりとなります。
例えば、子供名義の口座があった場合、故人が通帳も印鑑を管理していた場合や、さらに現金の預け入れや引き出し等も故人が行っていた場合は、故人が家族名義だけを借りただけの名義預金と判断されます。
「利息」はどうしていたか?
家族名義の預金を調査していて、利息から名義預金だと判断されることもあります。 家族名義の口座から自分名義の口座に利息分を移しているような場合には、名義預金の可能性がさらに高まります。
贈与が行われていたことを証明できるか?
贈与が行われたことが証明できなければ、名義預金の可能性がさらに高まります。 従って
- 贈与税の申告しているか
- 贈与契約書は作成してあるのか
- 財産をもらった人は、財産を把握しているか
の3点については、入念に確認をとられることが多いようです。 それではどのように名義預金と判断されないように対策をしておけばよいのでしょうか。
税務調査の際、銀行等での高額の出金は必ずチェック内容をチェックされるようです。
仮に相続財産を減らすことで相続税を免れようと、銀行の残高を減らそうとしたとします。 自分名義の口座から例えば300万円を引き出して、子供に現金を手渡したとします。 口座の残高は確かに減りましたが、通帳には記録がしっかり残っています。
税務署は「このお金はどうしたのですか?」と、その後の使い道を尋ねるでしょう。 また、税務調査では、銀行からの資料も用意されています。
「故人の通帳から300万円が引き出された翌日、長男名義の口座は300万円が増えています。この長男名義の増えたお金は、故人のお金ではありませんか?間違えありませんか?」というような質問が想定されます。 この長男名義の300万円を故人の相続財産に含めて申告しない場合には、税務調査で指摘される確率が高いでしょう。
そのため、相続税の申告については、銀行や証券会社にデータが残っている、金融資産については正しく申告した方がよいといえます。
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