贈与税には1年あたり110万円の基礎控除の枠があります。 従って、この「1年間の110万円の基礎控除」を活用し、110万円以内の贈与を数年、数十年と積み重ねることで、相続財産を少なくすることができます。 すると、いざという時の相続税額も減ります。
時間を味方にして行う贈与とは?
時間を味方にして行う贈与とは、110万円の基礎控除をうまく利用して、10年、20年の長い時間をかけて行う贈与のことです。 「時間を味方にして行う贈与」は、相続対策でも最もポピュラーな対策といえます。
贈与の具体例
具体例で見てみましょう。 現行の贈与税の算出は、以下の表に則って行われます。
① 20歳以上の方が直系尊属から贈与を受けた場合の税率構造 (祖父母から孫へ、両親から子へ等)
平成27年1月1日以降(現行) | ||
基礎控除後の課税価格 | 税率 | 控除額 |
200万円以下 | 10% | - |
400万円以下 | 15% | 10万円 |
600万円以下 | 20% | 30万円 |
1,000万円以下 | 30% | 90万円 |
1,500万円以下 | 40% | 190万円 |
3,000万円以下 | 45% | 265万円 |
4,500万円以下 | 50% | 415万円 |
4,500万円超 | 55% | 640万円 |
② (20歳以上の方の直系尊属からの贈与)以外の贈与財産の税率構造
平成27年1月1日以降(現行) | ||
基礎控除後の課税価格 | 税率 | 控除額 |
200万円以下 | 10% | - |
300万円以下 | 15% | 10万円 |
400万円以下 | 20% | 25万円 |
600万円以下 | 30% | 65万円 |
1,000万円以下 | 40% | 125万円 |
1,500万円以下 | 45% | 175万円 |
3,000万円以下 | 50% | 250万円 |
3,000万円超 | 55% | 400万円 |
直系尊属の方が直系卑属の方へ500万円を一度に贈与した場合には、贈与税が48.5万円もかかるのに対し、111万円を5回贈与した場合には、5,000円(1,000円×5回)で済みます。
(例)贈与財産の価額の合計が500万円の場合
基礎控除後の課税価格 500万円-110万円=390万円
贈与税額の計算 390万円×15%-10万円=48.5万円
48.5万円が贈与税の納税額
(例)贈与財産の価格が111万円の場合 ※これを5回繰り返すとします
基礎控除後の課税価格 111万円 - 110万円 = 1万円
贈与税額の計算 1万円 × 10% = 1,000円
1,000円が贈与税の納税額(これを5年繰り返すと5,000円の贈与税になります)
こうした110万前後の贈与を数十年繰り返すことで、まとまった金額を贈与することができ、かつ、時間はかかりますが贈与税を低く抑えることが可能になります。 まさに、時間を味方につけた贈与と言えましょう。
時間を味方にして行う贈与の注意点
時間を味方にした贈与を行う場合、以下のような点に注意しなければなりません。
贈与の月日
毎年同じ月日に贈与すると「定期金の贈与」とみなされ、一括して贈与税がかかることがあります。 贈与の月日を毎年変えること有効です。
贈与財産の種類
1年目は株式、2年目は現金と言ったように、毎年違う財産を贈与することが望ましいです。
連年贈与で贈与税がかかるケース
毎年同じ額の贈与を10年とか15年といった長期にわたって続けると、贈与の開始時にすべての金額の贈与の意思があったとみなされて、一括して贈与税がかかるケースがありますので注意が必要となります。 あらぬ誤解を招かぬよう、贈与の都度、贈与契約書を作成することもポイントになります。
また個別事象によっても最適な方法が変わってきますので、贈与税について不明な点がある場合は、事前に税理士等の専門家に相談してみるのもよいでしょう。
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