オーナー企業の事業承継においては、自社株の承継が非常に重要が課題となってきます。
自社株の承継という課題に対処するために、まずは株主名簿をチェックし、保有率を把握していく必要があります。
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まずは株主名簿の確認から!
年に1回、オーナー企業の経営者は必ず法人税の申告を行うはずです。その法人税の申告書の「別表二」をご覧になったことはありますか?
ここは、株主名簿を記入するための用紙で、株主の住所や氏名、何株持っているか等の数字を記入します。 この名簿は事業継承にとって、重要な項目の一つですので定期的にチェックをすることが大切です。
また家族名義の株式がその中にある場合、実質的に本人のものであるかが証明できるかが鍵となります。
相続税の税務調査などでは、こうした家族名義の財産について、奥様のものか社長本人のものか等の線引きが焦点になります。
仮に多額の株式を社長の息子さんが保有していた場合、「この株はどのようにして取得したのですか?」と、調査官から問われる可能性があります。 株式を贈与するのであれば、きちんと贈与契約書を作成することが大切です。
自社株の承継方法は?
一般に「社長のイスを譲る」との言葉もありますが、実際の承継には何が必要なのでしょうか?
- 代表取締役(経営権)
- 自社株式(支配権)
- オーナー所有の土地・建物(財産権)
この3つを後継者に譲ることで、初めて、後継者に会社の経営を任せたという状態になります。後継者は、この3つが揃うことで、会社の重要な方針を決定したり実行できます。
自社株は何%保有すべきなのか?
株式を保有する割合によって、その株主の権限が決められています。
保有割合 | 株主の権限 |
3分の1以上を保有 | 重要案件に関する株主総会の特別決議に対する拒否権を持つ |
2分の1以上を保有 | 取締役選任など株主総会の普通決議の可決ができ、経営支配権を持つ |
3分の2以上を保有 | 取締役解任や定款変更、合併など株主総会の特別決議の可決が可能になる |
経営に関する重要な案件を決定していくためには、やはり3分の2以上を保有することが、最低の条件となります。
特別決議は、合併などの組織再編、事業の譲渡、株式併合、定款変更などが行えます。 2分の1以上でもよいと思われがちですが、それだと普通議決権のみなので、取締役や監査役の選任、公認会計士等の異動などしか権限がありません。
また仮にオーナー社長が100%の株式を保有している場合、全てを後継者に継がせることを目指すべきです。
自社株を100%保有することで、特殊な場合や緊急な曲面において舵取りができる利点があります。
親族などに株式を不用意に分散すると、たとえ株式が少数であっても相続などで、拡散していく可能性があります。そのため、後継者に集中して、100%の株式を継承することを目指すことを勧めます。
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