オーナー企業の経営者が事業承継を考える際、しばしば課題になる点のひとつに、家族や親戚に分散している自社株式をどうやって集中させればいいのか、ということがあげられます。
ここでは「少数株主」や「名義株式」の問題をどのように解決していけばよいか、説明していきます。 事業承継には、100%の自社株の承継を目指しましょう。
自社株式が分散する理由
以前は、株式会社を設立するのに7名以上の発起人が必要でした。 そのため、友人や従業員、親族に名義だけを借りて会社を設立したケースが多くみられました。
結果、創業時に数株単位で保有をしてもらっている「少数株主」、名義だけを借りる「名義株式」が存在することになりました。
このように、創業時に数株単位で保有をしてもらっている「少数株主」、名義だけを借りる「名義株式」の存在によって、株式が分散している場合には、できるだけ株式を集めることが求められます。 分散している自社株式は、事業承継時には必ず集約して、後継者に引き継ぐことが大切です。
なぜ自社株式を集中させる事が大切なのか?
数株単位で株式を保有している「少数株主」の方は、知人や親族などが多く、創業時には快く株式を引き受けてくれた人でしょう。 社長様と良好なおつきあいができていれば、株式の買い取りに応じてもらえるでしょう。
しかし、そんな良好な関係にあた方でも、株価が高値になったり、相続などで株主が子供へと引き継がれたような場合には、買い取り価格で揉めるケースもあります。
こうした場合に備えて、株式の譲渡制限や相続人に対する売渡請求をあらかじめ、会社の定款に定めておくと有効です。
名義株式の相続の問題
また「名義株式」については、相続の問題があります。 名義を貸していた人が亡くなってしまった時に、株式が子供の代へ引き継がれ相続された時に起こる問題です。
相続税法では、名義株式は実質的な株主の相続財産となります。 しかし、名義を貸したと証明するものがないと、相続人が相続財産であると主張した場合は、それに対抗する手段が乏しくなります。
こうしたトラブルを防ぐためには、「名義貸与承諾証明書」を交わしておく必要があります。 現オーナーと当時の事情を知る名義貸借人との間で行うことがベストです。
次の代になってしまうと、当時の事情を知らない子供の場合もあり、余計な労力がかかってしまいます。 名義貸与証明書を作成する場合は、公証人役場で書類作成日を証明する「確定日付」を受領しておくと、後々の証明に役立ちます。
集約する方法とは?
後継者が他の株主から買い取る
実際に株券がある場合は他の株主から株券を受け取り、後継者が会社に対して株主名簿の書き換え請求を行います。
もし株券がないときは他の株主と株式の譲渡契約を結んだ上で、前株主と後継者がともに株主名簿の書き換え請求を行います。
会社が後継者以外の株主から買い取る
これは、後継者ではなく会社が買い取る方法です。 いわゆる「金庫株」と呼ばれる株式について、会社が株主総会等を通じてお知らせをした上で、取得することです。
買い取った株式については、会社の保有期間中はその分の議決権の効力がなくなります。 そのため、後継者のもつ株式の議決権割合が高まります。
会社が新株を発行する
会社が新株を発行し、後継者に割り当て、後継者の株式保有率を高めるという方法です。 こちらも株主総会での特別決議が必要となります。 分散した株式を買い取るには、売り手の同意が必要となります。
会社が大きく成長した後では、株価も高くなっていて、相手の同意を取り付けるまでに時間がかかる場合も予想されます。 株式の分散に気が付いた時に、できるだけ早い段階で集約することが大切といえます。
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