自筆証書遺言は、紙とペンと印鑑を用意すればご自身で作成できます。ただし、その全文を形式不備にならないよう自ら作成することは難しく、せっかく作成した遺言書が無効になる事例も少なくありません。
また、自筆証書遺言には遺言書が発見されないリスクがあったり、家庭裁判所での検認手続が必要なため遺言執行まで時間がかかってしまうなどのデメリットもありました。 そこで、自筆証書遺言の条件緩和のために、「民法及び家事事件手続法の一部を改正する法律案」及び「法務局における遺言書の保管等に関する法律案」 が国会に提出されました。
改正内容3つのポイント
①財産目録に関する改正
遺言書の財産目録部分に関しては、パソコン等で作成したものや不動産の登記簿全部事項証明書などの別紙添付等も可能となります。 全てのページへの署名捺印は必要となりますが、作成や書き換えは非常に楽になります。
②保管場所に関する改正
法務局で自筆証書遺言を保管できるようになります。これにより遺言書の紛失や偽造のリスクを防ぐことができます。
③検認に関する改正
上述したとおり法務局で自筆証書遺言も保管できるようになりますが、この法務局で保管された遺言書については検認手続きが不要となります。
検認手続きのため自筆証書遺言を開封して遺言執行するまで2~3ヶ月かかることがありましたが、検認が不要になることでより早く遺言執行に取り掛かることができるようになります。
まとめ
今回の民法改正案が通れば、自筆証書遺言の形式不備や紛失、偽造等のリスクが大幅に減ります。検認に必要な手間と時間も削減されるため、より使いやすい遺言書となるでしょう。
また自筆証書遺言を作成する際の最も大きな負担であった「財産目録」の作成がパソコン等で可能になることにより、財産目録の作成を専門家に委託することも可能になります。 遺言書を定期的に見直す負担も大幅に軽減されますので、より遺言者の意思を反映した有用な遺言書として自筆証書遺言が身近な存在になることが期待されます。
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