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ーコラムー
事業承継

遺留分に関する民法の特例による事業承継 ~ 利用条件と手続きを解説

公開日:2017.11.5 更新日:2019.10.17

経営者にとって事業を後継者へ承継させることは、重要な課題の一つです。そのためには自己保有する自社株式を後継者へ全て相続させる必要がありますが、民法で定められている遺留分により、後継者以外が一部を相続し株式が分散する可能性が出てきます。

「遺留分に関する民法の特例」は、このような問題を回避させる目的で作られました。

関連記事:事業承継をスムーズに行う遺留分に関する民法の特例

今回は、遺留分に関する民法の特例を利用するために必要な条件と手続きについて解説しましょう。まずは遺留分に関する民法の特例の合意の内容をおさらいします。

民法の特例を利用するには合意が必要

遺留分に関する民法の特例を利用するには、推定相続人(将来相続人になると推定される人)全員の合意が必要です

遺留分に関する民法の特例を利用するには、推定相続人(将来相続人になると推定される人)全員の合意が必要です。

合意の種類には、「除外合意」と「固定合意」、そして「付随合意」があります。

除外合意

「先代の経営者から贈与された株式等を、相続時に遺留分算定基礎財産から除外する」という合意をすることを、除外合意と言います。

除外合意を行うことで他の相続人は、株式等を遺留分として主張できなくなるので自社株が分散されることを防ぎます。

固定合意

固定合意とは、後継者が贈与した株式等の評価額を合意時の額で固定する合意のことです。

例えば贈与時に2,000万円で固定合意した場合、相続時に自社株が値上がりしていても遺留分としては固定された株価になるので、後継者の負担を減らす効果があります。

ただし固定合意する評価額は適正であることが条件であり、税理士や弁護士、公認会計士などの証明が必要です。

付随合意

合意にはもうひとつ、「付随合意」という除外合意と固定合意の双方、あるいはどちらか一方を合意した場合にすることができる合意があります。

付随合意は、

・後継者が贈与を受けた株式等以外の財産

・非後継者が贈与を受けた財産 を遺留分算定基礎財産から除外できる、という合意です。


なお、除外合意と固定合意は二者択一ではなく、どちらか一方だけの合意でも、双方の合意でも、いずれも可能です。例えば、後継者が旧代表者からの贈与等により取得した 1000 株のうち 600 株を「除外合意」の対象とし、残りの 400 株を「固定合意」の対象とすることもできます。

それではここまででは「遺留分に関する民法の特例」の概要と3種類の合意(除外合意、固定合意、付随合意)を確認しました。ここでは、民法の特例を受けるための条件と手続きを詳しくみていきましょう。

民法の特例を受けるための条件とは

遺留分に関する民法の特例を受けるためには条件があります

「遺留分に関する民法の特例」を利用するために、必要な条件をまとめてみましょう。

  1. 合意については、推定相続人書面による合意書を作成すること
  2. 民法の特例を受ける時点で、3年以上事業を継続している非上場企業であること
  3. 合意の時点において、株式を贈与する後継者は会社の代表であること
  4. 後継者は自己保有分の株式と贈与分を合わせて議決権の過半数を保有していること
  5. 合意の時点では、後継者の保有分の株式議決権の過半数を満たしていないこと

まず合意は後継者と推定相続人全員で書面によって行われなくてはいけません。また対象の企業は3年以上の事業実績が必要で、合意の時点では後継者は会社の代表に就任していることも条件になります。

民法の特例を受けるための手続きとは

遺留分に関する民法の特例を利用するには、後継者による法的な手続きが必要です。

手続きにはまず推定相続人との合意書が必要で、合意書が完成した時点から1ヶ月以内に経済産業大臣へ確認の申請を行います

経済産業大臣により上記した条件が確認され、問題がなければ確認した旨が後継者へ通知されます。 経済産業大臣の確認が下りたら、1ヶ月以内に家庭裁判所へ特例合意の申し立てを行います。家庭裁判所の審理により特に問題点が見つからなければ、後継者へ許可が下り、遺留分に関する民法の特例が認められることになります。一連の流れをまとめてみましょう。

  1. 後継者と推定相続人で合意書を作成する
  2. 合意書が完成したら1ヶ月以内に経済産業大臣へ申請を行う
  3. 経済産業大臣の確認が下りたら1ヶ月以内に家庭裁判所へ申し立てを行う
  4. 家庭裁判所の許可が下り手続きが終了する

民法の特例を利用するのは難しくはない

このように遺留分に関する民法の特例を利用するには、特に難しい手続きは必要ありません。

重要なのは合意書を作成することで、推定相続人の一人でも反対すると特例を利用することができなくなります。そうならないためには先代の経営者も交えて話し合いを行うことが大切で、さらに後継者以外の推定相続人が相続で不利にならない心遣いも大切です。

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