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ーコラムー
遺言書を作成する

遺言書の「付言事項」活用のポイント【参考例あり】

2015.12.15

遺言書に書く内容は相続財産の分配方法がメインとなりますが、それだけでなく「付言事項(ふげんじこう)」という項目を設けて自由に気持ちを書き記すことができます。

付言事項の内容は法的な拘束力を持ちませんが、葬儀の方法など自分の希望を伝えたり、あるいは家族への感謝の気持ちなどを記載することができます。

この付言事項をうまく使えば相続に伴うトラブルや衝突を回避できるだけでなく、遺族に強い感動をもたらし、親族としての結束をさらに強めることもできます。

目次

1.遺留分の権利行使をさせない手段として
2.妻に全財産を残したい場合
  2.1.よくある「長男の嫁問題」
  2.2.介護のエピソードをできるだけ具体的に
3.株式の相続が必要な理由
  3.1.株式以外の財産について
  3.2.家業への貢献度を具体的に
4.葬儀方法の付言事項を記載する理由
  4.1.葬儀方法について記載することの効力
  4.2.葬儀方法を付言事項とする場合の注意点
  4.3.葬儀を身内だけで行ってほしい場合
5.養子縁組がトラブルになりやすい理由
  5.1.孫を養子縁組した場合
6.遺言書での臓器提供の意思表示
  6.1.遺言書での臓器提供の意思表示
  6.2.臓器提供の付言事項の例
  6.3.臓器提供の付言事項のポイント
7.献体について
  7.1.献体について付言事項に記載したほうがよい理由
  7.2.献体についての付言事項の具体例
  7.3.献体についての付言事項のポイント

1.遺留分の権利行使をさせない手段として

バラの花束

遺産の分配は必ずしも法定相続分で設定するわけではありません。

あなたの最後の遺志として、誰に何をどれだけ残すかは自由に決めることができます。

これを遺言書に記すわけですが、問題は各人には遺留分という最低取り分の保障があり、権利を行使されればあなたの遺言内容を実現させることはできなくなります。

誰か特定の人に多めの財産を承継させるために、他の誰かの遺留分を侵害する遺言内容となることは往々にしてあります。 遺産は現預金だけでなく不動産や動産もありますから、綺麗に均等分割がしにくい場合もありますし、お世話になった人、長年連れ添った配偶者に財産を集中させたいこともあるでしょう。

その場合でも遺留分を侵害してしまった人にその権利を行使させないために、そのような分配内容した理由と、遺留分を行使されないように情に訴える文面とします。

2.妻に全財産を残したい場合

相続人が妻と二人の子になる場合で目立った遺産が自宅の土地家屋しかない場合、妻の住処を残すためには遺産の割合を妻に集中させないといけません。

子らの遺留分を侵害するので、権利行使されると妻は住処を売却しなければなりません。

この場合

などとして、妻への遺産の集中によって子らが抱く不公平感をなくすように情に訴えた文面とすると効果的です。

ポイントは「遺留分」という言葉を入れないことです。この権利のことを知らない人もいますし、あえて知らせたり意識させる必要もないので、言葉としては用いない方が良い場合が多いです。

付言事項の活用例として一部の相続人が抱く不公平感をなくすようにする工夫をお伝えしました。 もう一つ、いさかいが生じやすい介護にまつわる兄弟間のトラブル防止のための付言事項の活用を考えてみましょう。

2.1.よくある「長男の嫁問題」

長男の方のお嫁さんは長男方の実家に一緒に住むことも多いですが、二世代で一緒に住む場合必ず介護の問題が生じます。

長男のお嫁さんは言ってみれば血のつながらない赤の他人の下の世話など肉体的、心理的な苦労をすることになります。

相談実務では介護を受ける側の方からの相談として、「苦労に報いたいが、相続人とならない長男の嫁さんには財産を残せますか?その場合他の兄弟から遺留分の権利行使を受けたり嫌がらせをされるのが怖い」というものが結構あります。

確かに自分の兄弟ならいざ知らず、その嫁となると普段付き合いもないので元から兄弟間の仲が悪いと尚更やっかみの対象になります。

この場合、長男嫁に対する財産の分配が他の兄弟の遺留分を侵害する場合はその権利行使に対する牽制として、侵害しない場合でも兄弟間の軋轢防止のために付言事項を利用できます。

2.2.介護のエピソードをできるだけ具体的に

ありがとう

他の兄弟は実際の介護がどういうものか想像もできないことが多いですから、どれだけ大変な思いをさせたか、苦労を掛けたか、その献身に心の底から感謝しているということを伝えます。

などと長男嫁への感謝の気持ちと遺贈する理由を書き記します。

上記には入れませんでしたが、各子に対する愛情や感謝の念も忘れずに記載して下さい。長男嫁には感謝しているが、血を分けた子に対する愛情の念は特別なものですから、「充実した人生を送れたのは君たちのおかげだ、ありがとう。」という気持ちをうまく伝えるようにしましょう。

遺言書に自分の思いや、遺言書を作成した背景などを自由に記載出来る「付言事項(ふげんじこう)」。 次は、中小企業を経営されているオーナー経営者が、家業である会社の経営権を長男に相続させたい場合を考えてみます。

3.株式の相続が必要な理由

父と息子

株式会社は、株式をどれだけ持っているかによって、会社の経営に参加できるかどうかが決まります。

「株式の過半数を所有することで会社の経営権を有する」と言われますが、決議事項によっては、株式の2/3以上の所有が必要な場合もあります。また、株式の少数しか所有していなくても、株主提案権などの権利を持つことができます。

つまり、長男が家業に携わっている場合で、ご自分と同じようにオーナー経営をしてもらいたい場合には、安定した会社経営のためにも株式の全部を長男に相続させるのが望ましいでしょう。

3.1.株式以外の財産について

オーナー経営者と会社の間で、土地や建物の賃借が発生している場合、事業にかかわる資産についても、長男に相続してもらうことが会社の安定には望ましいことがあります。

家業を継ぐ長男には会社の株式や、事業にかかわっている資産を相続してもらい、そのほかの家族には、それ以外の資産を相続してもらいたいところです。

3.2.家業への貢献度を具体的に

そのような場合には、他の家族にも相続権がありますので、相続の内容で争いのもととなる可能性があります。事業の継続が困難とならないように、ご自分の気持ちや、家業に貢献してきた長男の功績、他の家族への感謝の気持ちなどを付言事項として記載しておくとよいでしょう。

この場合、

などというように、家業に貢献してくれた長男の功績を具体的に入れることがポイントです。今後も家業を存続させていってほしいという気持ちを、効果的に伝えることができます。また、他の家族も、今まで家業に協力してきたわけですから、 長男だけではなく、他の家族への感謝の気持ちも、具体的に記載しましょう。

今後も家業のために、協力しあってほしいという気持ちを伝えることができます。   

4.葬儀方法の付言事項を記載する理由

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葬儀は、昨今では生前葬というものもありますが、やはり死後に行われることがほとんどです。

葬儀は、宗教観や価値観によって、どのように行うか大きく違ってくるものです。身内だけの葬儀にしてほしい、散骨してほしいなどの希望がある場合もあります。葬儀の方法をめぐり、親族間でトラブルになることもあります。

生前からできるだけ、ご家族に希望を伝えておくことが望ましいのですが、生前には葬儀の方法については、現実味がなく、話しづらいとお考えの方も多いようです。

トラブルを避け、ご家族が葬儀方法について迷わなくてもよいように、付言事項として記載しておくと良いでしょう。

4.1.葬儀方法について記載することの効力

葬儀の方法については、遺言書に記載したとしても、遺言事項ではないため、効力はありません。つまり、記載されたとおりに葬儀を行わなくてもよく、残されたご家族が葬儀の方法を決定することができます。

しかし、付言事項として記載しておくことで、ご家族や親族に、自分の気持ちと、その理由を伝えることができます。

4.2.葬儀方法を付言事項とする場合の注意点

葬儀方法を付言事項として記載し、希望どおりの葬儀を行ってもらうには、遺言書は、葬儀方法が親族により決定される前に、開示されなければなりません。

通常は、死亡直後に遺言書が開示されるわけではありません。生前から、遺言書の保管場所を明確にし、死亡直後に開示してほしい旨を伝えておくとよいでしょう。また、葬儀方法については、遺言書の付言事項としてだけではなく、エンディングノートを作成して希望を記載しておくのも良い方法です。

4.3.葬儀を身内だけで行ってほしい場合

よくあるケースのひとつとして、葬儀を身内だけで行ってほしい場合の付言事項の記載例をご紹介します。

この場合のポイントは、身内だけの葬儀を行うことが、本人の強い希望であることをしっかり記載することです。

また、周囲に対する感謝の気持ちを記載することで、死後に残された者の気持ちを和らげることができます。

付言事項は、遺言書の中で、法律にしばられることなく自由に文章を作成できる部分です。

遺言書を開封するときには、遺言が財産の分配にかかわってくることから、重い雰囲気が流れることも少なくありません。そんな場合に、付言事項が記載してあると、故人の気持ちを関係者に伝えることができ、関係者は、故人の遺志を実現してあげたいという気持ちを持つことができるでしょう。

相続の中でも争いの場面となりやすい、相続人に養子と実子がいる場合についての付言事項の記載例をご紹介したいと思います。 

5.養子縁組がトラブルになりやすい理由

付言事項_養子

相続対策を行う場合に、養子縁組を検討するケースがあります。

法定相続人の人数を計算する場合、養子縁組をすると、実子がいる場合には養子1名まで、実子がいない場合には養子2名まで、法定相続人の人数を増やすことができます。

このことで、相続税の基礎控除額がアップし、死亡保険金と死亡退職金の非課税枠も増えますので、節税対策になります。

しかし、養子が増えることで養子の遺留分が発生するため、実子がいる場合にはトラブルになる場合もあります。 相続対策のために養子縁組を行う場合、事前に実子の理解を得ておくと良いでしょう。

5.1.孫を養子縁組した場合

よくあるケースのひとつとして、孫を養子縁組した場合の付言事項の記載例をご紹介します。

養子にした孫に対する愛情を具体的に記載するとともに、実子に対する感謝や愛情もていねいに記載しておくことがポイントです。

このことで、実子と養子の間の不要なトラブルを避け、ご自分の家族に対する愛情を伝えることができます。 養子縁組行う理由は、節税対策のためだけではなく、やはりそのもとには愛情や感謝の気持ちがあるわけですので、愛情や感謝の気持ちを自分の気持ちとして残しておきましょう。  

付言事項は、法定遺言事項以外の内容で、法的拘束力はありませんが、自分の気持ちを自由に書くことができるものです。付言事項を書いておくと相続人に自分の気持ちを伝えることができます。

次に、自分の死後に臓器提供をしたい場合の付言事項について、例をあげながら解説したいと思います。

6.臓器提供の方法

臓器提供

臓器提供は、脳死後あるいは、心臓が停止した死後にできます。 自分の死後に臓器提供をしようと思ったとき、臓器提供の意思表示を示す方法は、日本臓器移植ネットワーク(https://www.jotnw.or.jp/)によると、以下の3つの方法があります。

  1. インターネットによる意思登録
  2. 健康保険証等の意思表示欄への記入
  3. 意思表示カードへの記入

臓器提供は本人の意思が尊重されます。本人の意思が不明な場合でもご家族の承諾があれば臓器提供ができますが、ご家族にとっては、死亡された方の臓器提供はとてもデリケートな問題です。

臓器提供をしたい場合には、上記の意思表示のほかに事前に家族と話しあっておくことが大切です。

6.1.遺言書での臓器提供の意思表示

臓器提供の意思表示は遺言書でもできます。遺言書で行う場合には付言事項に記載をします。 遺言書は、遺言を書いた人の死亡後に開封されるものですが、臓器提供は死亡後に速やかになされる必要があります。

したがって、臓器提供を確実にしたい場合には、遺言書での意思表示だけでなく、「臓器提供の方法」に示した方法で意思表示を行い、事前に家族と話し合っておくことが大切です。その上で遺言書の付言事項に、臓器提供についての記載があれば、残された親族も納得することができるでしょう。

6.2.臓器提供の付言事項の例

臓器提供の意思表示は、意思表示カードの記入などで行うことを前提として、ここでは残された相続人に臓器提供の意思表示を示し相続人に伝えることを目的とした付言事項の例をご紹介します。

6.3.臓器提供の付言事項のポイント

臓器提供の意思表示を遺言書だけで行うと、遺言書を開封したタイミングによっては、迅速な臓器提供ができないこともありますので、まずは遺言書以外で臓器提供の意思表示をし、家族からの理解を得ておくことがポイントです。

臓器提供は、死とは何かという概念や宗教観などさまざまな議論がなされるデリケートな分野です。このことから、臓器移植後に開封されるかもしれない遺言書であっても、付言事項で自分の意思を相続人に伝えることで、臓器移植の手続きをすすめた家族にとっては心やすらぐメッセージとなるのではないでしょうか。

遺言書では、付言事項(ふげんじこう)として、法律にしばられることなく自由に自分の気持ちを書いて残しておくことができます。 自分の死後、献体を希望している場合には、家族や親族の気持ちを考え、トラブルなくスムーズに手続きを行うことができるように、付言事項に自分の気持ちを残しておくとよいでしょう。

7.献体について

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献体とは、医学・歯学分野の解剖学の教育や研究のために、自分の死後の遺体を提供することです。その提供は無条件・無報酬です。

献体を実際に行うためには、事前に献体の登録と申し込みをする必要があります。生前に行う献体の登録には、原則として肉親の同意が必要になります。

肉親の範囲は、登録先の大学によって範囲は多少異なりますが、親、兄弟姉妹、配偶者とされていることが一般的です。実際に遺体を献体するときにも、肉親の同意が必要になります。

通常は、死後、遺体は葬儀を終えると火葬場へ向かいます。

しかし、献体が行われる場合には、火葬場ではなく献体先の大学へ運ばれます。その後、防腐処理が行われ、長期間にわたり解剖が行われます。解剖が終わると、大学側が火葬を行い、遺骨が家族に返還されますが、遺骨は1年から2年、長い場合には3年以上の間戻ってきません。

7.1.献体について付言事項に記載したほうがよい理由

献体を行うには、事前手続きと実際に献体を行う際に、肉親の同意が必要です。事前に登録や申し込みを行うときに、肉親の同意が得られていたとしても、あとになって、やはり大切な家族の遺骨が他人に解剖され、遺骨が長期間戻ってこないことに不安になる方もいらっしゃるでしょう。

実際に献体を行うときにも、肉親の同意が必要ですので、同意を得ることができないと献体を行うことができなくなってしまいます。

また、献体を希望する気持ちが伝わっている肉親以外の家族や親族は、解剖や遺骨が長期間戻ってこないことを受け入れることができないかもしれません。

できれば、家族や親族には生前に自分の献体希望の気持ちをきちんと伝えて、理解を得ておくとよいのですが、気持ちを伝えることができなない場合や、理解が不十分な場合もあります。そのような場合にそなえて、遺言書に自分の気持ちを残しておくと、家族や親族が、亡くなった人の気持ちを理解し、献体に協力することができ、手続きもスムーズにすすむのではないでしょうか。

7.2.献体についての付言事項の具体例

献体を希望する場合の具体的な付言事項の例をご紹介します。

7.3.献体についての付言事項のポイント

死後の遺体の取扱いは、一人ひとりの価値観や宗教概念によっては、デリケートな問題です。献体に同意した家族が、あとから他の家族や親族とトラブルにならないためにも、献体を希望する場合には、付言事項として自分の気持ちを残しておくことをおすすめします。

献体を希望する付言事項は、まず、自分の遺体を医学に役立たせたいことを書くとよいでしょう。また、事前の手続きに協力してくれた家族への感謝の気持ちも残しておくと、家族が安心して献体に協力していけるでしょう。