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ーコラムー
相続税の申告手続き
税理士監修記事

これだけは覚えておこう!相続税の基礎控除とは?

公開日:2015.11.2 更新日:2021.06.28

亡くなった人の財産は相続税の申告・納付が必要ですが、「基礎控除」によって限度額まで非課税とされます。個別の金額は家族構成に応じて変動するものの、計算方法はごくシンプルです。今すぐ自分で相続税の基礎控除がいくらあるか調べ、資産状況と比較するのは、そう難しいことではありません。

ただし、金額の決め手となる「法定相続人の数」に関しては、いくつか誤解を避けたいポイントがあります。また、基礎控除だけにこだわらなくとも、資産や相続人の状況により適用できる制度は他にもあります。

本記事では、最低限知っておきたい「基礎控除の考え方・計算のやり方」について注意点を交えながら解説するとともに、課税される場合に駆使したい基本的な税額控除等の制度を紹介します。

目次

1.課税価格が基礎控除額に収まるなら相続税申告は不要
2.基礎控除の計算方法
  【参考】法定相続人とは?
3.基礎控除額を計算する時の注意点
  3-1.養子には人数制限がある
  3-2.相続放棄した人も法定相続人として数える
  3-3.相続欠格・相続廃除は法定相続人として数えない
4.相続税の基礎控除額と法改正
5.基礎控除以外にもある税額控除の制度
  5-1.配偶者の税額の軽減
  5-2.死亡保険金・死亡退職金の非課税枠
  5-3.各種税額控除
6.【注意】各種税額控除&特例を利用するなら相続税申告は必須
  各種税額控除あるいは税額の軽減
  資産別に利用できる特例
7.まとめ

1.課税価格が基礎控除額に収まるなら相続税申告は不要

基礎控除とは、被相続人(=亡くなった人)の財産に死亡前3年以内の生前贈与等を加えた「課税価格の合計額」のうち、一部は課税しないとする制度です。これは全ての被相続人に無条件で適用でき、例外はありません。

そして、課税価格すなわち「亡くなった人からもらい受けた財産」が基礎控除の範囲に収まっているのであれば、相続税の申告は不要です。課税されるか気になる人は、これから紹介する算定方法で基礎控除額を早速調べてみましょう。

2.基礎控除の計算方法

相続税の基礎控除額を計算する時は、「法定相続人の数」が必要です。家族構成により変化しますが、例えば配偶者と2人の子を持つ人であれば、法定相続人は計3人存在することになります。

あとは下記の式に当てはめれば、個別の被相続人にかかる相続税の基礎控除額が分かります。

相続税の基礎控除額 = 3,000万円 +  600万円 × 法定相続人の数

上記のような計算方法が指定されているのは、相続そのものに「近親者の生活保障」という意味が込められているからです。せっかく相続財産を得たのに課税で大部分が失われるとなると、相続制度の意味を成しません。そこで、血縁あるいは婚姻によって相続権を得た人を尊重し、法定相続人の数に応じて基礎控除額を変動させる仕組みが採られています。

【参考】法定相続人とは?

法定相続人とは、遺産について所定の割合で取得する権利を得た人のことを指します。

権利を得る可能性があるのは、基本的に「配偶者」「子」「父母や祖父母などの直系尊属」「兄弟姉妹」のいずれかの続柄にあたる人です。このうち、配偶者は必ず法定相続人となり、他の3つの続柄の人は「子→直系尊属→兄弟姉妹」の順で、最も相続順位が高い人だけが権利を得ます。

※孫・甥・姪が相続権を得る場合がある等、法定相続人の判定に関するルールは複雑です。詳しくはこちらのコラム「法定相続人とは誰のこと?範囲・順位・相続分を解説」をご参考ください。

3.基礎控除額を計算する時の注意点

基礎控除額の計算ベースとなる「法定相続人の数」の考え方は、遺産を取得する時のそれと全く同じというわけではありません。課税逃れや、相続しなかったことが他の家族の課税額を著しく増やすトラブルを防ぐため、相続権のある人の数え方について税法独自のルールが一部設けられているのです。

以降では、基礎控除を計算する時の法定相続人の扱いについて、注意すべきポイントを3つにまとめます。

3-1.養子には人数制限がある

民法では、養子も実子と同じように法定相続人として扱い、遺産の取得割合も平等です。一方で、相続税の基礎控除では、計算に含められる養子の数に制限があります(下記参照)。

  • 実子がいる時:養子の算入は1人まで…2人目以降の養子にも相続権はあるが、基礎控除額には算入しない
  • 実子がいない時:養子の算入は2人まで…3人目以降の養子にも相続権はあるが、基礎控除額には算入しない

3-2.相続放棄した人も法定相続人として数える

相続放棄とは、相続人自ら家庭裁判所で手続きすることを条件に、亡くなった人に属する一切の権利義務を受け継がないとする制度です(民法第915条1項)。多額の借金や老朽化の進んだ不動産など、「負の遺産」が多く遺されている場合に選択されます。

上記制度を利用すれば、当然遺産は一切得られなくなります。他方、遺産を取得して相続税の申告義務が生じた人は、基礎控除額をどう考えるべきでしょうか。

結論として、相続放棄したかどうかに関わらず、基礎控除では法定相続人として扱います。つまり、例え財産をもらわない選択をした人がいても、遺産分割を進める他の家族の基礎控除額が下がることはありません。

3-3.相続欠格・相続廃除は法定相続人として数えない

相続放棄しない場合でも、「相続欠格」(民法第891条1号~5号)や「相続廃除」(民法第892条~第894条)の要件を満たせば、その相続人は権利を剥奪されます。

ただ、権利を失うとしても、本人の意思でやる相続放棄とは異なり、相続欠格・相続廃除の対象者は基礎控除についても法定相続人として扱われません。つまり、相続権を剥奪された人が出ると、遺産分割を進める他の家族の非課税枠が減ってしまいます。

4.相続税の基礎控除額と法改正

相続税の基礎控除額は、個人資産の状況等に基づき過去数回にわたって見直されています。

本記事で紹介した額になったのは、現行の平成25年度改正(※適用対象は平成27年1月1日以降の相続開始分)からです。ここで過去にさかのぼり、法改正による基礎控除額の推移を追ってみましょう。

法改正の区分
(適用時期)
相続税の基礎控除額 その他の主な改正
抜本改正前(~昭和62年12月) 4,000万円+800万円×法定相続人の数 ・最高税率の見直し(75%→70%)
・税率構造の見直し(14段階→13段階)
・税額控除の引上げ
平成4年度改正(平成4年1月~) 4,800万円+950万円×法定相続人の数 ・「小規模宅地等の特例」の減額割合引上げ
平成6年度改正(平成6年1月~) 5,000万円+1,000万円×法定相続人の数 ・「配偶者の税額の軽減」の引上げ
・税率構造の見直し(13段階→9段階)
平成15年度改正(平成15年1月~) 5,000万円+1,000万円×法定相続人の数(据え置き) ・最高税率の見直し(70%→50%)
・税率構造の見直し(9段階→6段階)
・相続時精算課税制度の導入
平成22年度改正(平成22年4月~) 5,000万円+1,000万円×法定相続人の数(据え置き) ・障害者控除の上限年齢引き上げ
平成25年度改正(平成27年1月~) 3,000万円+600万円×法定相続人の数 ・最高税率の見直し(50%→55%)
・税率構造の見直し(6段階→8段階)
・税額控除の引上げ

表で基礎控除額の変遷を見ると、最新の改正で大幅な減額へと方針転換されたことが分かります。この改正では、法定相続分が2億円超となる時の税率構造にも修正が入りました。他方、未成年者や障害者にかかる税額控除の額が一部で上方修正される等、生活保障を意識した変更も実施されました。

全体として最近は富裕層への課税が強まったように思えますが、うちの資産状況はごく普通だから……と油断するのは禁物です。相続税で後悔しないよう、基礎控除はいくらになるのか、これから紹介する税額控除等の制度のうちどれが使えそうか、なるべく早いうちに把握しておきましょう。

5.基礎控除以外にもある税額控除の制度

税額の控除や軽減に関する制度は、基礎控除だけではありません。他にも、「生活保障の必要性が高い相続人につき税額を控除する」「一部の資産につき非課税枠を設ける」「二重課税を防ぐ」等といった目的で設けられたものがいくつかあります。

税申告が必要なケースでは、各種制度を最大限活用しましょう。

5-1.配偶者の税額の軽減

配偶者の税額の軽減とは、その名の通り被相続人の配偶者を対象に、実際に取得した財産のうち限度額(下記参照)までは課税しないとする制度です。

  • 「配偶者の税額の軽減」の限度額=「1億6千万円」と「配偶者の法定相続分相当額」のどちらか多い方

なお、上記税額軽減を利用するには、原則として相続税の申告期限(被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10か月目)までに遺産分割を終わらせなくてはなりません。ただ、遺産分割協議が長引く等して申告期限までに手続きが終わらない場合でも、所定の分割見込書を提出すれば適用できます。

5-2.死亡保険金・死亡退職金の非課税枠

ょう。これらは「みなし相続財産」として扱われ、基本的に相続税の課税対象に含まれます。と言っても、実際に課税されるのは、以下の非課税枠を超える部分だけです。

  • 死亡保険金(生命保険金・損害保険金等)…非課税枠=500万円×法定相続人の数
  • 死亡退職金(退職金・退職手当・功労金等)…非課税枠=同上

5-3.各種税額控除

紹介したもの以外にも、下記のような税額控除があります。ここでは簡単に適用要件と内容をまとめますが、少しでも当てはまりそうなものがあれば、専門家に詳細を尋ねる等して活用できないか確かめてみましょう。

贈与財産の加算と税額控除 【基本】相続開始前3年以内の贈与財産→課税価格に加算
【例外1】各種非課税の適用を受けた贈与財産→加算しない
【例外2】贈与税をすでに支払っている場合(暦年課税or相続時精算課税)→贈与財産を課税価格に加算した上で、相続税の課税額から贈与税を控除
※相続時精算課税にかかる贈与税につき、控除しきれなかった分は還付される
未成年者控除 【適用要件】未成年者(かつ法定相続人)が相続or遺贈で財産を取得した場合
【内容】対象者の課税額から「10万円×満20歳になるまでの年数」を控除

※控除しきれなかった分は、扶養義務者の課税額に適用
※2022年4月より成人年齢が18歳に引き下げられるに伴い、控除の内容も今後変わる可能性あり
障害者控除 【適用要件】85歳未満の障害者(かつ法定相続人)が相続or遺贈で財産を取得した場合
【内容】対象者の課税額から「10万円×満85歳になるまでの年数」を控除

※控除しきれなかった分は、扶養義務者の課税額に適用
相似相続控除 【適用要件】前回の相続で生前の被相続人が課税され、以降10年以内に今回の相続が起きた場合
【内容】今回の相続にかかる課税額から、前回の相続で被相続人に対する課税額を控除

※控除できる額は、前回相続からの経過年数1年につき年10%の割合で逓減
在外財産に対する税額の控除(外国税額控除) 【適用要件】海外にある財産を取得し、かつ現地国で相続税が課税された場合
【内容】現地国での課税額相当分を、国内での課税額から控除

6.【注意】各種税額控除&特例を利用するなら相続税申告は必須

課税価格が基礎控除額を超えるなら、どんな場合でも相続税申告が必要です。

間違えやすいのは、各種税額控除や特例(下記例)を適用することで、結果として課税額がゼロになったり、あるいは納税猶予されたりする場合です。どの制度も、申告書をもって申請しなければ、適用したことにはなりません。誤解がないよう十分注意しましょう。

各種税額控除あるいは税額の軽減

…配偶者の税額の軽減、未成年者の税額控除、障害者の税額控除、相似相続控除、外国税額控除、等

資産別に利用できる特例

…小規模宅地等の特例、農地等を相続した場合の納税猶予、非上場株式等についての相続税の納税猶予及び免除の特例(一般措置・特例措置)、等

7.まとめ

相続税の基礎控除額、つまり亡くなった人の財産につき無条件で非課税となる額の限度は、「3,000万円+600万円×法定相続人の数」で計算できます(平成27年1月1日以降の相続開始分に適用)。

注意したいのは、金額の増減に関わる「法定相続人の数え方」において、下記のように遺産分割の時とは違う扱いをする点です。

  • 養子は1人もしくは2人までしか数えられない
    …実子がいる場合は1人まで、実子がいない場合も2人までしか基礎控除に算入できない
  • 相続放棄しても基礎控除では法定相続人として数える
    …一方で、相続廃除あるいは相続欠格の対象になった人は、基礎控除の数に算入されない

本記事では、あくまでも最低限得たい知識として基礎控除を紹介しました。

実際に相続税対策をする時は、他の税額控除や税額の軽減に関する制度、そして資産と相続の状況に応じて適用できる各種特例等について、全般的に知識を網羅しておく必要があります。

1人ひとりの課税額や適用できる制度については、知識・経験共に豊富な税理士に診断してもらうのがベストです。

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