成年後見制度は、高齢者や障害者の方々が安心して生活を送るために非常に重要な制度です。
判断能力が不十分な方々が適切な支援を受けながら、自身の生活や財産を守ることを目的としています。
しかし、その手続きや業務内容は非常に煩雑で、成年後見人には、多くの時間と労力が求められます。
特に、親族が後見人を務める場合、その負担は計り知れないでしょう。
そこで、専門的な知識と経験を持つ司法書士に成年後見人を依頼することが一つの有効な手段となるのです。
本記事では、司法書士を成年後見人に選任するメリットや司法書士が代行できる内容・費用、そして依頼手順について詳しく解説します。
成年後見制度をより安心・確実に利用するためのポイントを理解しましょう。
目次
1. 司法書士を成年後見人に選任する4つのメリット
司法書士を成年後見人に選任すると、以下4つのメリットが期待できます。
- 成年後見業務の手間や時間を省ける
- 法律専門家として正しく成年後見を遂行してもらえる
- 本人の利益を必ず守ってくれるため安心が得られる
- 成年後見人による不正な使い込みを避けられる
どのようなメリットがあるのかを知り、依頼を検討しましょう。
1-1. 成年後見業務の手間や時間を省ける
成年後見人の業務には、財産管理や契約の締結、日常生活のサポートなど、多岐にわたる業務・責任が含まれます。
これらの業務を家族が担うことは非常に大変で、日々の生活の中でこれらの業務を遂行することは、精神的にも肉体的にも大きな負担となるでしょう。
司法書士に依頼することで、これらの煩雑な手続きを代行してもらうことができ、時間と労力を大幅に節約できます。
さらに、司法書士は業務のプロフェッショナルであるため、効率的かつ迅速に手続きを進めることが可能です。
1-2. 法律専門家として正しく成年後見を遂行してもらえる
司法書士は法律の専門家であり、成年後見制度に関する深い知識を持っています。
依頼することで、法律に基づいた正確な対応が期待でき、後見人としての役割を適切に果たしてもらうことが可能です。
特に、法律に関する複雑な問題やトラブルが発生した場合、司法書士の専門知識が大いに役立ちます。
さらに、法律改正などの最新情報にも精通しているため、常に適切な対応をしてもらうことが可能です。
1-3. 本人の利益を必ず守ってくれるため安心が得られる
司法書士は職業倫理として依頼者の利益を最優先に考えます。
成年被後見人の財産や権利を守るため、常に最善の判断を下してくれるでしょう。
そのため、家族や親族だけでなく、本人自身も安心して生活を送ることができます。
家族が後見人を務める場合、感情的な問題が絡むことも少なくありませんが、司法書士なら第三者として冷静かつ公正に対応してもらうことが可能です。
1-4. 成年後見人による不正な使い込みを避けられる
成年後見人による不正行為は、家族や親族が後見人を務める場合に起こり得るリスクの一つです。
司法書士に依頼することで、第三者としての公正な立場から管理が行われ、不正行為のリスクを大幅に低減することができます。
さらに、司法書士は職業倫理に基づいて行動するため、高い信頼性がある点も司法書士に依頼するメリットです。
2. 成年後見制度において司法書士に代行してもらえる内容
成年後見制度では、司法書士に以下のような内容を代行してもらえます。
- 成年被後見人の財産管理
- 成年被後見人の身上監護
2-1. 成年被後見人の財産管理
司法書士は、成年被後見人の財産を適切に管理し、無駄遣いや不正利用を防いでくれます。
具体的な財産管理業務には、銀行口座の管理、不動産の取引、投資の監督などが含まれます。
たとえば、成年被後見人の預貯金の管理や不動産の売却・購入手続き、日常的な支出の管理など。
また、税務申告や保険の手続きなど、専門的な知識が必要な業務にも対応可能です。
2-2. 成年被後見人の身上監護(生活や治療・介護に関する契約)
生活全般のサポートや医療・介護サービスの契約締結など、成年被後見人の生活を支えるための業務も司法書士が代行可能です。
身上監護のもと、本人は適切な生活環境で安心して暮らせるようになるでしょう。
たとえば、医療機関との契約や介護施設の選定、日常生活に必要なサービスの契約などを行います。
3. 司法書士を成年後見人に選任した場合の費用
司法書士に成年後見人を依頼する際の費用には、一般的に初回の相談料、後見業務の報酬、日常の管理費用などが含まれます。
依頼内容や地域によって異なるため、具体的な金額については、司法書士事務所に直接相談することがおすすめです。
また、費用の一部に対して公的補助が受けられる場合もあるので、利用できるか事前に確認しておくといいでしょう。
費用は、一時的なものではなく、継続的に発生することを理解することも大切です。
4. 成年後見開始までの手順【司法書士に依頼した場合】
成年後見開始までは、以下の流れで進めていきましょう。
-
司法書士に成年後見制度について相談する
-
成年後見を申し立てる
-
成年後見制度の申し立てに必要な書類
-
成年後見制度にかかる費用
それぞれのステップで行うことを解説していきます。
4-1. 司法書士に成年後見制度について相談する
まずは、信頼できる司法書士事務所に相談し、成年後見制度の詳細や必要な手続きについて説明を受けましょう。
制度の概要や具体的なサポート内容、費用について詳しく説明してもらいます。
この段階で疑問点や不安な点があれば、遠慮せずに質問することが大切です。
4-2. 成年後見を申し立てる
次に、家庭裁判所に成年後見の申し立てを行いましょう。
この際、書類や後見制度を利用するに値するか判断するための証拠を準備する必要があります。
司法書士がサポートしてくれるため、指示に従って準備を進めましょう。
申し立てが受理されると、家庭裁判所によって審理が行われ、成年後見人が専任されます。
4-3. 成年後見制度の申し立てに必要な書類
申し立てには、申立書、診断書、戸籍謄本、財産目録などの書類が必要です。
これらの書類を正確に揃えるためにも、司法書士のサポートを最大限活用しましょう。
書類の準備には一定の時間がかかるため、早めに準備を始めることが重要です。
詳細な書類準備の手順や必要書類は、下記記事にて解説しているので、ぜひ併せてご覧ください
【関連記事】:成年後見制度の診断書とは?申し立てに必要な理由やもらい方を解説!
4-4. 成年後見制度にかかる費用
成年後見制度に関する費用は、申し立て時の手数料、司法書士の報酬、後見業務の継続的な管理費用などがあります。
そのため、事前に費用の見積もりを取得し、必要な予算を確保しておくことが重要です。
具体的な費用については、下記記事で解説しているので、ぜひご覧ください。
【関連記事】:成年後見人の費用はいくら?毎月の報酬はいつまで払う?申立費まで完全解説!
5. 成年後見制度は必要に応じて司法書士に依頼しよう!
成年後見制度は、本人の生活と財産を守るために非常に重要な役割を果たします。
家族だけでなく、司法書士の専門知識とサポートを活用することで、安心かつ確実な成年後見が実現できるでしょう。
特に、法律に関する問題や複雑な手続きを円滑に進めるためには、司法書士の支援が不可欠です。
必要に応じて、司法書士に相談・依頼を検討しましょう。
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