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ーコラムー
家族信託
税理士監修記事

認知症になった後に家族信託はできない?判断ポイントや他の対策を解説!

公開日:2023.9.29 更新日:2024.03.01

「親が認知症になったら家族信託は利用できない?」 「認知症対策にはどんな方法がある?」

これから家族信託の利用を検討している方のなかには、親の認知症について心配する方も多いでしょう。

結論からいうと認知症が発症してしまうと、その後の家族信託利用は原則として不可能です。

また、家族信託は認知症対策に利用することはできますが、メリット・デメリットがあります。

本記事では認知症と家族信託の関係や家族信託の利用がおすすめのケース・家族信託以外で認知症対策に利用できる制度などを紹介します。

将来親の認知症対策として家族信託を利用したいと思う方は、ぜひ参考にしてください

1. 原則認知症発症後に家族信託は利用できない

家族信託は財産に関する認知症対策としても注目されています。

しかし原則として、認知症の発症後に利用することはできません。

なぜなら家族信託は契約行為であるため、認知症で判断能力のない人では信託契約を結ぶことができないからです。

ただ、一部例外があり家族信託の利用が認められるケースも存在します。

認知症の発症後、どのような場合に家族信託の利用が認められるのかみていきましょう。

1-1. 軽度の認知症の場合にはできる可能性も

軽度の認知症の場合には、家族信託の利用が認められるケースがあります。

そのため、認知症を一度発症してしまったら、家族信託が一切利用できなくなるわけではありません。

利用できるかどうかは判断能力にかかってくるため、軽度の認知症で契約行為ができると認められれば利用できる可能性はあります。

認知症が発症しているか、程度はどのくらいかは一般的には医師が判断します。

軽度の認知症であるMCIの判断基準は下記のとおりです。

MCI:軽度認知障害(認知症になる一歩手前の段階)

  • 本人または家族からの申告で記憶障害がある
  • 日常生活動作のほとんどは問題なくできる
  • 認知機能は全般的に正常である
  • 明確に認知症であるとは診断できない

上記から、軽度の認知症は少し物忘れが増えてきたような状態といえます。

ただしMCIの判断基準と契約行為における判断能力は直接リンクしません。

家族信託における判断能力は、公証人が立ち会って判定します。

本人が契約内容をきちんと分かっていると判断されると、家族信託を利用できる可能性があります。

1-2. 軽度の認知症の場合には必ず公正証書で作成しよう

家族信託の契約書は、自分たちだけで作成した書類に捺印したものでも有効です。

しかし、軽度の認知症の方が委託者や受益者になる場合、必ず公正証書で作成することをおすすめします。

公正証書として残しておけば、そのままの書類よりも信用力や証拠力が高まり、後で指摘を受けても安心です。

公正証書を作成するには、公正役場に出向き担当の公証人や事務員に契約書を見せます。

公証人が内容をチェックし、公正証書案を作成してくれるので、内容に同意したら正式に作成してもらいます。

作成費用は一般的に4~10万円程度かかりますが、信託契約を確実かつ安全に遂行するためにも、公正証書として作成しておきましょう。

2. 判断能力が重要!判断ポイントは?

軽度の認知症でも家族信託の利用が認められるかどうかは、信託契約書作成の際の公証人の質問に答えられるかがポイントになってきます。

質問に問題なく答えられれば、判断能力があるとみなされるためです。

信託契約で求められる判断能力とは、具体的には以下の例が挙げられます。

  • 自分自身の氏名・生年月日・住所を言える
  • 契約書に署名できる(手が動かないなど身体的に難しいケースは除外)
  • 契約の概要やメリット・デメリットが分かる
  • どの財産を誰に委託するのか分かっている

軽い物忘れが増えてきた程度であれば、上記をすべてクリアできる高齢者の方も多いでしょう。

仮に医師によって認知症と診断されていた場合であっても、軽度で判断能力が残っていれば家族信託契約を結ぶことが可能です。

3. 認知症対策で家族信託を利用するメリット

軽度ではない認知症を発症してしまうと、家族信託は利用できなくなります。

このため、認知症になる前の対策として家族信託を利用するケースが増えています。

認知症対策として家族信託を利用するメリットは下記の3点です。

<家族信託を利用する3つのメリット>

  • 認知症発症後でも自由度高く財産管理が可能
  • 管理者への月額報酬がかからない
  • 二次相続以降も対策が可能

それぞれくわしく解説します。

3-1. 認知症発症後でも自由度高く財産管理が可能

家族信託では、認知症を発症したとしても財産管理の自由度が損なわれません。

たとえば家族信託と類似した制度として、成年後見制度があります。

成年後見制度では本人の意思能力が低いとき、家族などが代理となって財産管理や身上監護を行います。

具体的には、介護施設との契約締結など、生活・療養・介護などに関する法律行為です。

成年後見制度では財産管理についてさまざまな制約があり、後見人が自由に管理することはできません。

なぜなら成年後見制度では、後見人の財産を守ることが大前提となっているからです。

そのため、増収を目的とした財産管理・運用はできず、必要な費用のみを引き出して管理する形になります。

一方で家族信託は、信託する財産・任せる人・権限内容・期限を自由に設定できます。

契約内容によっては、増収を目的とした投資も可能になるため、自由度が高いことが特徴です。

また一度家族信託契約を締結しておけば、委託者が認知症を発症した後でも、受託者は契約書の範囲内なら自由に財産を管理・処分できます。

3-2. 管理者への月額報酬がかからない

家族信託では、管理者への月額報酬がかからないケースが多いです。

成年後見制度では、成年後見人の選定は家庭裁判所が行い、ほとんどの場合で専門家が選出されます。

弁護士・司法書士・介護福祉士など専門知識を持った方が後見人となった場合には、安心感こそ高まりますが、毎月2万円程度の報酬を支払わなければなりません。

また、成年後見制度が始まると途中でストップすることはできず、被後見人が死亡するまで報酬の支払いは続きます。

一方家族信託の場合、契約内容にもよりますが、一般的に受託者への報酬は発生しません。

家族信託では専門家への依頼料や書類の作成費用などの初期費用がかかりますが、長い目で見れば成年後見制度よりコストは低くなります。

3-3. 二次相続以降も対策が可能

家族信託を利用することで、二次相続以降も対策が可能になります。

成年後見制度では、被後見人の相続に関する領域には関与できません。

また遺言が有効なのは一次相続のみであり、二次相続まで指定することは不可能です。

家族信託なら受益者を代々で設定できるため、二次相続以降を見越した対策を計画的に行えます。

4. 認知症対策で家族信託を利用するデメリット

認知症対策で家族信託を利用することにはメリットも多いですが、下記のようなデメリットもあります。

<家族信託を利用する3つのデメリット>

  • 身上監護まではカバーされていない
  • 家族信託をきっかけに親族で揉める場合がある
  • 初期費用が大きい

それぞれ詳しく解説していきます。

4-1. 身上監護まではカバーされていない

身上監護とは本人の生活を維持するための医療・介護に関わる契約行為のことです。

成年後見制度では身上監護が認められており、成年後見人は必要に応じて医療・介護に関わる契約を進めることが可能です。

一方家族信託ではあくまで財産の管理・処分が対象のため、身上監護についての法律行為を行うことはできません。

そのため、老人ホームの入居契約が行えないなど、包括的な認知症対策ができない点に注意しましょう。

4-2. 家族信託をきっかけに親族で揉める場合がある

親が認知症になったら誰が介護するのか、財産をどうするのか揉めないため、家族信託によって早めに対策を行いたい方も多いでしょう。

しかし早い段階で財産についての話し合いを始めてしまったばかりに、親族間で揉めてしまう可能性もあります。

もともと仲が悪かったり関係性が希薄だったりすると、そもそも話し合うことすら困難かもしれません。

親族で揉めて合意を得るのが難しそうな場合には、専門家に依頼して間に入ってもらいながら進めることがおすすめです。

4-3. 初期費用が大きい

家族信託の手続きをするには、一般的に数十万円~数百万円の初期費用が必要です。

そのため資産が多くない場合には、認知症対策として利用すると逆に負担となります。

初期費用の内訳は、専門家への依頼料・各種必要書類の発行費用・不動産の登記費用・信託口口座の開設費用などです。

専門家への依頼料は信託財産の1%程度の手数料が相場で、たとえば3,000万円なら300万円が依頼料となります。

専門家に依頼せず自分でやることも不可能ではありませんが、法律・税務・相続などについての知識が求められます。

家族信託の一連の手続きの中でも、不動産登記は司法書士など法律の専門家が行うのが一般的であり、知識のない方にはかなりハードルが高いです。

必要書類も多く、役所や法務局などを訪れる必要もあるため、日ごろ忙しい方には難しいでしょう。

費用はかかってしまうものの、手続きの難しさや長期的な制度の運用を考えると、専門家に依頼することがおすすめです。

5. 家族信託の利用がおすすめなケース

家族信託の利用がおすすめなのは、下記のいずれかに該当する方です。

<家族信託がおすすめなケース>

  • 資産を多く所有している場合
  • 経営者で事業継承を行いたい場合
  • 障害を持つ子に対して対策をしたい場合

それぞれくわしく見ていきましょう。

5-1. 資産を多く所有している場合

数千万円の資産がある、賃貸用の不動産を所有しているなど、資産が豊富な方には家族信託の利用が向いています。

たとえば、不動産の所有者の方がもし認知症になってしまった場合でも、家族信託を利用していれば受託者が物件の管理や処分をスムーズに行えます。

子供などの立場からも、早めに家族信託の契約を締結しておけば、アパートやマンションなどの運用や管理に関する不安を解消できます。

また資産が多いと相続税も多くなりますが、家族信託を利用すると認知症の発症後も相続税対策が可能です。

5-2. 経営者で事業承継を行いたい場合

子供などに自分の事業を承継させたい方にも、家族信託はメリットがあります。

規模が比較的小さい会社は事業オーナーが株式をすべて保有しているケースが多いですが、後継者にすべて株式を譲渡すると、多額の贈与税が発生してしまいます。

そこで会社の株式を信託財産として家族信託契約を締結すれば、親が受益者となることで贈与税を回避できます。

経営権は引き続き親が持ちながら、タイミングを見計らって後継者に経営権を譲ることも可能です。

ただ、家族信託が終了し事業を承継するタイミングでは相続税がかかります。

実質的な後継を指定できるという点に、家族信託を利用する大きなメリットがあります。

5-3. 障害を持つ子に対して対策をしたい場合

障害のある子供の場合、親が亡くなって資産を相続したとしても、自分で適切に管理するのは難しいケースもあります。

親亡き後問題とも呼ばれ、自分が亡くなった後の子供を心配する親は少なくありません。

そういった場合に家族信託を利用すれば、周囲の家族や親族に受託者として協力してもらい、財産を管理・処分することが可能です。

子供は受益者となることにより、財産の管理・処分による利益を享受でき、安定した生活を送ることができるでしょう。

6. 家族信託以外で認知症対策に利用できる制度

家族信託以外の認知症対策として、成年後見制度が挙げられます。

成年後見制度は、認知症や病気などによって判断能力が低下してしまった方が、家庭裁判所に申し立てをして援助する人を付けてもらう制度です。

成年後見制度は財産管理について家族信託より制限がかかる一方、身上監護ができるメリットがあります。

また、成年後見制度を利用することで、銀行口座の凍結を解除し費用の引き出しや引き落としなどが可能になります。

成年後見制度には任意後見制度と法定後見制度がありますので、それぞれくわしく解説します。

6-1. 任意後見制度|家族信託との違い

家族信託と任意後見制度では、身上監護の有無が大きな相違点です。

任意後見制度では、被後見人が元気なうちから将来認知症になったときのことを踏まえて、後見人を選ぶことができます。

家族信託と同様に後見人選びについて、家族や親族の意思を反映できる点が法定後見制度と異なります。

任意後見制度は認知症になる前に契約を締結しますが、効力を発揮するタイミングは、実際に認知症を発症して家庭裁判所に申し立てを行ってからです。

家族信託は契約を締結して手続きを完了すればすぐ効力を発揮します。

ただし、任意後見人が正しく役割を果たしているか監督する、任意後見監督人を立てる必要がありますので注意しましょう。

6-2. 法定後見制度|家族信託との違い

被後見人がすでに判断能力が衰えてしまった後に、契約を結ぶのが法定後見制度です。

任意後見制度と同様に、家族信託との相違点では身上監護の有無が挙げられます。

また、家族信託は原則として認知症を発症する前に契約を結ぶため、契約タイミングに大きな違いがあります。

法定後見制度では家庭裁判所が選んだ人物が後見人となります。

親の認知症が原因の場合でも、必ずしも家族が後見人を指定できるわけではなく、親族関係にない第三者が後見人となる場合もあります。

法定後見人となるための資格は特になく、親族以外には弁護士や司法書士の専門家や、地域の市民が選任されます。

専門家に任せられるという安心感はある一方、毎月の費用が発生してしまう点も家族信託との相違点です。

7. 認知症と家族信託についてよくある質問

認知症と家族信託に関しては、下記のような質問が多く見られます。

<よくある質問>

  • 財産管理委任契約は認知症に有効?
  • 認知症対策はいつから始めたほうがいい?
  • 認知症を発症したら締結した家族信託はどうなる?

それぞれの回答を解説します。

7-1. 財産管理委任契約は認知症に有効?

財産管理委任契約とは財産管理や療養看護を委任する契約のことです。

心身の状態が良くないときに、親族や友人などが本人に代わり、支払いや医療機関の利用手続きなどを代行してもらえます。

財産管理委任契約は本人の判断能力があることを前提としているため、認知症対策としては不十分です。

たとえば財産の名義変更を行わないため、財産の処分などの場合には本人の同意が必要になります。

そのため本人が認知症で判断能力がなくなると、意思を確認できないため、銀行口座の解約や不動産の処分はできません。

その点家族信託なら名義を受託者に変更できるため、認知症を見据えた長期的な対策として、財産管理委任契約より適切です。

7-2. 認知症対策はいつから始めた方がいい?

認知症対策は、親などが元気なうちにできるだけ早めに取り組むことをおすすめします。

具体的には、事前に家族信託契約を設計しておき、物忘れなどが目立つようになったタイミングで契約を締結するといいでしょう。

認知症を発症してしまうと、原則として家族信託は利用できなくなります。

軽度の場合は利用できる可能性もありますが、必ず利用できる保証はありません。

成年後見制度でも、認知症を発症した後の場合は法定後見制度となるため、家族が自由に後見人を選任するのは不可能です。

財産の管理や処分が自由にできる、相続税対策ができるなど家族信託にはメリットも多いため、認知症になる前に対策を始めましょう。

7-3. 認知症を発症したら締結した家族信託はどうなる?

家族信託の委託者が認知症を発症しても、締結した家族信託の効力はそのままです。

受託者は財産の管理・処分ができ、受益者は財産による利益を享受します。

委託者の判断能力が低下した後でも財産を適切に管理・処分できるため、家族信託は認知症対策として注目されています。

8. 認知症対策には家族信託を活用しよう

認知症対策として家族信託が活用できることを解説してきました。

家族信託を利用すれば、認知症で判断能力が衰えた後も、受託者が不動産など財産の管理・処分をできます。

管理者への月額報酬が発生しない、二次相続まで見越して対策できるなどの点も家族信託の大きなメリットです。

家族信託は認知症を発症してからは原則として利用できなくなるため、元気なうちに信託契約を締結するのが望ましいでしょう。

ただ、契約手続きは知識のない方には難しいため、税務や法律の専門家に依頼しましょう。

日本クレアス税理士法人では、家族信託をトータルサポートいたします。

認知症対策として家族信託を利用したいという場合には、お気軽にご連絡ください。

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