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ーコラムー
相続の財産評価
税理士監修記事

株の相続税はいくらから?評価額の算出方法や払えない場合の対策を解説!

公開日:2024.7.21 更新日:2024.07.30

「株を相続することになったけれど、税金はどれくらい発生するの?」とお悩みではありませんか。

財産を相続する際には、受け取った財産に対して相続税が発生します。

税額を把握するには財産の価値を知る必要があるものの、株はどのようにして価値を計算するのかが気になるところです。

本記事では、株の相続税はいくらからか、価額をどのように算出するかを詳しく解説します。

知っておきたい相続税対策についても紹介するので、財産をもらう予定がある方は参考にしてください。

1. 株の相続税計算方法!かからない場合もある

株の相続税計算方法!かからない場合もある

株式を相続する場合は、受け取るものの評価額を計算しなければなりません。

計算の流れは以下の通りです。

株を含めた相続税計算の流れ

  1. 株式を含めた相続財産のすべてを把握する
  2. 株式の正しい評価額を計算する
  3. 配偶者控除や基礎控除を差し引き、申告が必要かを確認する
  4. 申告が必要な場合は申告書を作成・提出し、納税する

株式には上場と非上場があり、それぞれで計算方法が異なります。

計算を間違えると誤った申告内容で提出してしまう恐れがあるので、慎重に正しい結果を算出しましょう。

株式を含めた相続財産の金額が、配偶者控除や基礎控除内であれば税金はかかりません。

申告の必要もないため、利用できる控除の金額を確認することも大切です。

相続税の詳しい計算・申告方法については、下記記事で詳しく解説していますので、ぜひ併せてご覧ください。

【関連記事】:相続税の税率は最大で55%!税額や控除額の計算方法を解説

2. 株の相続税評価額を算出する方法

株の相続税評価額を算出する方法

前述したように、株式は上場と非上場で計算方法が変わります。

計算方法を誤ると間違えた評価額になってしまうので、正しい方法を把握しておきましょう。

ここでは、上場と非上場別に、正しい計算方法を解説します。

2-1. 上場株式の相続税評価額

上場株式の評価額は、「評価額×株の数」で計算します。

評価額を決めるポイントは以下の通りです。

株式の評価額を決めるポイント

  • 所有者が死亡した日の最終価格
  • 所有者が死亡した月の毎日の最終価格の平均
  • 所有者が死亡した月の前月の毎日の平均最終価格
  • 所有者が死亡した月の前々月の毎日の平均最終価格

    4つのうちの、最も低い価格が計算に使う評価額として使われます。

    例として、50株を所有する人が亡くなったケースを見てみましょう。

    各ポイントの価格は以下の通りです。

    ポイント別の価格

    • 所有者が死亡した日の最終価格:290円
    • 所有者が死亡した月の毎日の最終価格の平均:320円
    • 所有者が死亡した月の前月の毎日の平均最終価格:300円
    • 所有者が死亡した月の前々月の毎日の平均最終価格:310円

      この場合、最も低い290円が評価額に該当します。

      290円×50株=14,500円となり、この価額が相続税評価額になります。

      2-2. 非上場株式の相続税評価額

      非上場株式の計算は「純資産価額方式」・「類似業種比準方式」・「配当還元方式」のいずれかで評価額を算出します。

      3つの特徴は以下の通りです。

      算出方法の特徴

      • 純資産価額方式:会社解散時、株主に配分される金額を予測して評価する
      • 類似業種比準方式:評価する企業と似た上場企業の株を参考に評価する
      • 配当還元方式:年配当金額から評価額を算出する

        純資産価額方式では、会社の純資産価額・帳簿価額の純資産・法人税に相当する額・発行済みの株式の数を計算で使います。

        計算する流れは以下の通りです。

        純資産価額方式の計算の流れ

        1. 会社の純資産価額-帳簿価額の純資産=評価差額
        2. 評価差額×37%=法人税に相当する額
        3. 会社の純資産価額-法人税に相当する額=純資産価額
        4. 純資産価額÷発行済みの株式の数=1株の評価額

          続いて、類似業種比準方式の計算の流れを見てみましょう。

          計算に使うのは、比べる企業の株価と評価する企業の1株あたりの配当金額・簿価純資産価額・利益金額です。

          類似業種比準方式の計算の流れ

          「比べる企業の株価×評価する企業の1株あたりの配当金額・簿価純資産価額・利益金額の比準要素×調整率×(資本金などの額×50円)=1株の評価額」

          比準要素の算出が難しいため、計算しづらい方式だといえます。

          正確な評価額を算出できるかわからないとお困りの際は、税理士に相談することがおすすめです。

          最後に配当還元方式の計算の流れを見てみましょう。

          配当還元方式の計算で使うのは、年配当金額のみです。

          類似業種比準方式の計算の流れ

          年配当金額×10=1株あたりの評価額

          3つの方式のなかで最も計算しやすいといえます。

          3. 株の相続税対策5選!

          株の相続税対策5選!

          株を相続することになったけれど、できるだけ納税負担を抑えたいと考える人も多いでしょう。

          税金負担を抑える方法にはさまざまなものがあり、なかには株式ならではの対策もあります。

          • 生前贈与
          • 発行会社に非上場株式を譲渡
          • 非上場株式の納税猶予および免除の特例
          • 相続した株を譲渡して取得費の特例を利用
          • 自社株の評価額を下げる

          上記5つの対策を紹介するので、ぜひ実践してみてください。

          3-1. 生前贈与を活用

          1株あたりの単価が低く小分けにできる株式は、生前贈与に最適だといえます。

          何らかのものを譲るときは贈与税が発生するものの、基礎控除内の価格であれば税金を払わずに済みます。

          基礎控除額は110万円なので、贈与するものの価格が安ければ税金なしで財産を渡せるでしょう。

          建物や土地などの財産は、基礎控除を超える可能性が高いことから、生前贈与に向いていません。

          その一方で、1株あたりの評価額が安く分配もできる株式なら、基礎控除内に収めることが可能です。

          3-2. 特例を利用して発行会社に非上場株式を譲渡

          相続が発生する前に株を売却したい場合は、特例を活用することがおすすめです。

          上場企業の株は買い手が見つかりやすいものの、非上場株式は買い手があまりいないため、売りたくても売れない状況に陥ってしまいます。

          売れない状況になったときは発行会社に売却することが可能です。

          ただし、売却時に利益を得た場合は譲渡所得税とみなし配当課税が発生し、みなし配当課税の最高税率は最大45.945%と非常に高くなっています。

          高い税率は、特例を活用することで20.42%にまで下げることが可能です。

          発行会社に申告書の提出と納税の必要があるものの、取り扱いに困る非上場株式をスムーズに手放せるでしょう。

          3-3. 非上場株式の納税猶予および免除の特例を利用する

          非上場株式を企業の後継者や相続人に譲る場合は、納税猶予および免除の特例を活用することがおすすめです。

          企業経営者から円滑化法の認定を受けている非上場企業の株を贈与された場合、一定の要件を満たすことで贈与税の猶予措置を受けられます。

          猶予された贈与税は、後継者が死亡した際に支払いを免除されるため、譲り受けた株式にかかる贈与税を支払う必要はありません。

          特例を利用する場合は、特例承継計画を提出する必要があるので、忘れずに作成しましょう。

          3-4. 相続した株を譲渡して取得費の特例を利用する

          株を相続し、一定期間内に譲渡した場合は、取得費の特例を利用できます。

          何らかの財産を第三者に譲って利益を得た場合、譲った側は利益に応じた所得税を支払わなければなりません。

          得た利益から譲ったものを取得する際にかかる取得費用が差し引けるため、利益のすべてが課税対象になるわけではないと覚えておきましょう。

          取得費の特例を利用すれば、相続税額の一定金額を取得費に加算できます。

          取得費が多くなることで、譲渡所得額も下がるため、納税負担を抑えられるでしょう。

          3-5. 自社株の場合は評価額を下げる

          経営している企業の株価が高い時は、自社株を下げることで後継者に譲りやすくなります。

          業績のいい企業の株価は非常に高く、一見大きなメリットに見えるでしょう。

          しかし、後継者に譲る・相続させる際は、高い贈与税や相続税が発生してしまうため、受け取る側の負担が大きくなります。

          後継者の負担を減らしたいのであれば、自社株の評価額を下げることがおすすめです。

          株価の引き下げ方法にはさまざまなものがあるため、自社に適した方法で株価を下げ、後継者の納税負担を抑えましょう。

          4. 株の相続税が払えない場合|相続放棄も検討する

          株の相続税が払えない場合|相続放棄も検討する

          株を相続したいけれど、相続税が払えない場合は、相続放棄を検討しましょう。

          権利を放棄すれば、株を含めたすべての財産が受け取れなくなるため、受け取りに伴う納税義務も発生しません。

          ただし、プラスの財産すべてを受け取れないので、よく考えたうえで決めることが大切です。

          相続放棄をする際は、相続開始日から3カ月以内に家庭裁判所に申し立てをする必要があります。

          期間を過ぎると相続放棄ができなくなるので、早めに足を運びましょう。

          5. 株の相続は複雑!税理士へ相談しよう

          株を相続する場合、税金がかかるケースとかからないケースがあります。

          いずれにしても株を含めた全財産の評価額を算出し、基礎控除に収まる範囲かを確認しなければならないので、ここで紹介した計算式を参考に評価額を調べてみましょう。

          株の計算にはさまざまな情報が必要です。

          情報を集めきれず、計算できないとお困りの方は、税理士に相談することがおすすめです。

          プロの手を借りることで、手間なく相続する株の評価額を把握できるでしょう。

          日本クレアス税理士法人 相続サポート

          このコラムは「日本クレアス税理士法人」が公開しております。

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