配偶者が亡くなったとき、財産はその配偶者が全て相続した方がいいのでしょうか。

確かに、財産をすべて配偶者が相続すれば、節税効果が高く良い選択と言えます。

しかし、財産を配偶者が全て相続する選択には注意が必要です。

場合によっては、二次相続時の方が税負担額が増えてしまうことも。

本記事では、財産は配偶者が全て相続するべきであるかどうか、相続税の節税方法の注意点などについて解説していきます。

財産の相続方法で悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。

財産は配偶者が全て相続するべき?

財産は配偶者が全て相続するべき?

財産を相続する場合、配偶者が相続すれば、配偶者控除を適用可能です。

配偶者控除を受けると、大きな節税効果が期待できるため、相続税の面からみていくと良い選択ではあります。

しかし、一次相続は節税できても、二次相続に落とし穴があることも。

そのため、配偶者が全ての財産を注意する際には、配偶者控除を理解して適切な選択をする必要があるのです。

まずは次の章で、配偶者控除について詳しく解説していきます。

とても重要な情報ですので、しっかり見ていきましょう。

配偶者のみが使える相続税の控除は節税効果が大きい!

配偶者のみが使える相続税の控除は節税効果が大きい!

配偶者のみが使える「配偶者控除」について、以下2点解説していきます。

それぞれ詳しくみていきましょう。

配偶者控除(配偶者の税額軽減)とは?

配偶者控除とは、課税遺産総額が1億6千万円以下であれば相続税が課税されない制度です。

また1億6千万円を超えても、それが法定相続分までの場合も相続税は課税されません。

つまりは課税対象が、1億6千万円以下または法定相続分の範囲なら、大幅に相続税の節税が可能です。

配偶者控除の要件

配偶者控除は、配偶者のみが適用できる節税効果の高い特例です。

配偶者控除を適用するためには、下記3つの要件を満たす必要があります。

【戸籍上の夫婦であったこと】

配偶者控除を受けるには、法的に夫婦であったことが必要不可欠となります。

したがって、籍を入れていない内縁関係の場合は、配偶者控除を受けられないのです。

籍を入れていれば婚姻の日数は1日であっても控除の対象となります。

戸籍上の夫婦であることが配偶者控除の要件であることを覚えておきましょう。

【相続税の申告期限までに遺産分割が完了していること】

相続では、相続人同士による遺産分割協議を行い、相続税の申告期限内に申請をする必要があります。

ちなみに、相続税の申告期限は、被相続人が亡くなった日の翌日から10カ月以内です。

その期間に遺産の分割方法を決めて、届け出をする必要があります。

配偶者控除を適用するためには、ここまでの行程を申告期限内に行わなければいけません。

期限内に決まらない場合は、申告期限後3年以内の分割見込書を添付し申告しましょう。

見込書を添付することで、10カ月から3年まで申請期限を延ばせます。

また、配偶者控除も受けられるため、決まりそうになければ見込書を提出しましょう。

【相続税の申告書が完成したら税務署にしっかり届けること】

配偶者控除を受ける場合には、相続税が0円になっている場合でも、申告書を税務署にしっかりと届け出ましょう。

届け出を行わないと、配偶者控除を受けることはできず、余計な税金を払うことになってしまいます。

配偶者控除を受けるなら、必ず申告書を税務署に届けるようにしましょう。

上記3点が配偶者控除を受けるための要件です。

しっかり確認して、特に申告漏れには気を付けるようにしましょう。

【関連記事】相続税の配偶者控除で1.6億円まで非課税!計算方法やデメリットを解説!

配偶者が全ての財産を相続する前に考えるべきこと

配偶者が全ての財産を相続する前に考えるべきこと

続いて、配偶者が全ての財産を相続する前に考えるべきこととして、以下3点解説します。

それぞれ詳しくみていきましょう。

小規模宅地等の特例が適用できるか否か

小規模宅地等の特例とは、宅地の相続税評価額を最大8割まで軽減できる特例です。

被相続人が所有していた宅地は、財産として残ります。

しかし宅地の評価が高いと、それだけ相続税が高くなり、相続税が払えなくなることも。

そういった事態を防ぐため、最大で8割評価額を軽減し、相続の負担を減らせるのが小規模宅地等の特例です。

したがって、小規模宅地等の特例が適用できれば、相続税が減らせることになります。

配偶者居住権が利用できるか否か

配偶者所有権とは、住居の所有者が亡くなった場合、配偶者がその住居に住む権利を保障する特例です。

また、要件が満たされていれば「無償」で住むことも可能。

配偶者居住権が適用された場合、具体的には以下のメリットがあります。

かつての法では、居住権ではなく所有権を獲得して相続するのが基本でした。

しかしこの形だと、不動産の評価が高くなり相続税が払えない・生活費が不足する例も。

そのため泣く泣く宅地を売却せざるを得ない、という状況が発生していたのです。

愛する配偶者が亡くなり、さらに家までも追い出されるという状況だったと言えます。

しかし「住居権」のみであれば、住居全体より廉価で相続が可能となります。

生活費と住む環境をうまく維持できる方法が「配偶者居住権」なのです。

しかし、固定資産税や修繕費は、配偶者の負担になる点には注意しましょう。

二次相続の負担が大きくならないか

一次相続で節税できても、二次相続で税負担額が増えてしまうケースがあります。

したがって、一次相続の時点で二次相続のことを計算しておくことが非常に重要です。

場合によっては、無駄な税金を払うことにもなりかねません。

次の章からは二次相続の負担が大きくなる理由を解説していきます。

余計な損をしてしまわないよう、しっかり確認してください。

配偶者が全て相続すると二次相続の税負担が大きくなってしまう3つの理由

配偶者が全て相続すると二次相続の税負担が大きくなってしまう3つの理由

続いて、配偶者が全て相続すると二次相続の税負担が大きくなる理由を3点解説します。

それぞれ詳しくみていきましょう。

一次相続よりも相続財産が増える可能性が高い

配偶者が全て相続してしまうと、一次相続より相続財産が増える可能性が高くなります。

一次相続で得た財産を配偶者が使い、減っていれば話が変わりますが、二次相続までの期間が短い場合には、ほとんど使われないことがあるでしょう。

結果、一次相続で相続した財産が丸々残ってしまうのです。

そこに自分自身の財産が加わるため、一次相続より財産が多くなります。

そうなると、二次相続時の税負担額が増えてしまうのです。

最初から子に分配していれば上記のようにはならないので、よく考える必要があるでしょう。

二次相続では相続人が減り相続税の基礎控除額も減ってしまう

二次相続では、基本的に相続人が減ってしまいます。

少なくとも二次相続では配偶者一人分、相続人が減ってしまうのが普通です。

そうなれば1人当たり600万円の基礎控除額が、減った人数分少なくなります。

結果1人当たりの相続額が増えてしまい、相続税も同様に増えることになるのです。

したがって、一次相続の時点から二次相続を見据えた計画をする必要があります。

一次相続で使えた控除や特例が利用できない場合がある

二次相続では、一次相続の時点で使えた控除や特例が利用できない場合があります。

最も大きな例でいえば「配偶者控除」でしょう。

また配偶者控除に加え、基礎控除からも配偶者の分が使用できなくなります。

一次相続の時点から二次相続に対して分配額を計算するなど対策を立てましょう。

配偶者が財産を全て相続する場合は二次相続対策をしよう!

配偶者が財産を全て相続する場合は、必ず二次相続対策をしておくようにしましょう。

二次相続対策をしないと、一次相続より多くの税が課される可能性が高くなります。

また二次相続では、受けられる控除や特権が減っているのも大きなデメリットです。

無断な税金を払わないよう、配偶者が財産を全て相続する場合には、一次相続の時点で二次相続のことも考慮しましょう。

二次相続まで見据えた相続は複雑になるため、不安な場合には、早めに税理士に相談することがおすすめです。