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事例・ケーススタディ CASE STUDY

夫婦間で贈与した場合、贈与税が発生してしまうケースは?

夫婦間で贈与税が発生する場合について

贈与税は、個人から個人に財産を贈与した場合にかかる税金です。金銭等の財産を贈与すると、その財産をもらい受けた側に利益が発生するとして、贈与税が課税されます。

贈与税には110万円の基礎控除額が設定されており、1年間に贈与を受けた財産の総額がこれを超えなければ原則として贈与税はかかりません。

夫婦間の贈与の場合には、後述する基礎控除枠に加えて2,000万円までが非課税になる贈与税の配偶者控除の活用が検討できます。

これら非課税の枠を超えた贈与を行った場合には、贈与税が発生します。


夫婦間での贈与における課税対象

贈与税の課税対象は基本的に、金銭に変えることができる・価値を数値化して評価できる財産です。現金・有価証券・不動産・宝石や貴金属が対象になります。

贈与税がかからない財産は、法人から受けた贈与、奨学金、香典や祝儀等があり、中でも代表的なものは、生活費と教育費です。夫婦や親子など、被扶養者を養うために行われる生活費や教育費の贈与では、通常必要とされる範囲内とされるものには、贈与税は課税されません。

また、課税対象となる財産には、その判断が複雑な「みなし贈与」があります。例えば

■夫が支払っている妻の保険料の受取人が子であるなど、保険金受取人以外の者が負担していた保険料
■市場価格など本来の価額よりも著しく低い価額で贈与された財産
■負債や債務の免除を受けた場合

これら、利益が発生したとみなされる場合には、その実益が贈与税の課税対象になります。

夫婦間の贈与で「みなし贈与」とされる代表的なケースでは、住宅の取得があります。夫名義で契約した住宅のローンを妻も支払っている場合には、妻の支払いが夫への贈与とみなされ贈与税の課税対象となる場合があります。


夫婦間で口座のお金を移動させる場合

贈与税がかかるかどうかの判断は、夫婦間で口座のお金を移動させる場合でも変わりません。

妻から夫へ、夫から妻へ口座のお金を移動させても、生活費や教育費などの贈与では課税されません。生活費に使われる夫婦の給与を一つの口座で管理する、夫から妻の口座に生活費を移動させる、このような場合が当てはまります。


配偶者控除の利用方法

所得税や相続税で配偶者控除があるように、贈与税にも配偶者が優遇される控除があります。

「おしどり贈与」と呼ばれる贈与税の配偶者控除では、居住用の不動産や居住用の不動産を購入するための資金を贈与した場合、贈与税の課税価格から最大2,000万円を控除できます。贈与税の基礎控除と合わせて利用できるので、最大2,110万円まで非課税で贈与ができることが大きなメリットです。

この贈与税の配偶者控除を利用するためには、満たさなければならない要件があります。

■婚姻期間が20年以上である夫婦
■対象の財産は日本国内に存在する居住用の不動産、または居住用不動産を取得するための金銭であること
■贈与を受けた翌年の3月15日までに、贈与により取得した、または贈与を受けた金銭で取得した居住用不動産に贈与を受けたものが実際に住んでおり、その後も住み続ける見込みであること

さらに、適用を受けるためには贈与年の翌年に確定申告が必ず必要になります。贈与額から2,110万円を控除した結果の税額がゼロの場合でも、確定申告の手続きを行わない限り適用されません。


さて、最大2,110万円の贈与が非課税になる贈与税の配偶者控除は魅力的に見えますが、相続税の生前対策として不動産の生前贈与を検討する際には、安易に選択をしない方が良い場合もあります。

相続税には「小規模宅地等の特例」があり、要件を満たすと被相続人が住んでいた土地の相続税評価額が最大80%安くなります。また、相続税には1億6,000万円までは相続税がかからない配偶者控除があります。これら優遇措置のおかげでそもそも相続税が課税されないケースでは、贈与税の配偶者控除を適用しても相続税対策としての効果はほとんど得られません。

相続税対策を目的に、生前に贈与税の配偶者控除を利用して財産の移転を行ったとしても、生前贈与にかかる諸経費を含めて考えた場合、必ずしも減税の効果を得られるとは限りません。

贈与税の配偶者控除の利用を検討する場合には、相続税とセットで考えることがポイントです。全体として負担が少なくなるのはどの方法なのか、専門家である税理士にシミュレーションを依頼し検討することをお勧めします。


事例:不動産の共有問題。夫名義のマンションを妻に贈与し相続対策として有効だったケース

家族構成

財産構成

  • 自宅マンション  評価額:4,000万円(夫と妻の共有名義)
  • 事務所マンション 評価額:4,500万円(夫と妻の共有名義)

ご相談内容

夫婦で1/2ずつ保有している自宅用と事務所用それぞれのマンションを、単独の名義にしておきたいです。

自宅マンションを妻の名義にし、事務所として使用している他マンションの名義を夫にしたい場合、現在のお互いの持分を交換する方法で不動産の名義変更はできないでしょうか?

日本クレアス税理士法人の対応

まずは、土地建物の交換をした時に活用できる「固定資産の交換の特例」を検討しました。これは、土地や建物などの固定資産を同じ種類の固定資産と交換したときは、譲渡がなかったものとされる特例です。

土地建物の交換では、不動産を売却したことによって生じる譲渡所得が発生せず、所得税や住民税が課税されることはありません。

ですがこの特例にはいくつかの適用要件があり、今回のケースでは要件の一つ「交換により取得する資産を、譲渡する資産の交換直前の用途と同じ用途に使用すること」に当てはまらないため、持分の交換を断念しました。

その代わり、夫の持分を妻に生前贈与する方法をご提案しました。

■配偶者控除の対象財産である居住用の不動産(=自宅マンション)における夫の名義分を妻に贈与する
■贈与税の配偶者控除を活用し2,000万円の名義分を非課税で妻に贈与

贈与を行うことで、自宅マンションは当初の望みどおり妻の単独名義となり、また相続税の生前対策としても有効な手段をとることができました。

ポイント

 

贈与税は相続税とセットで考えることが必要です。相続税にも配偶者控除があり、1億6,000万円までは相続税がかからない特例があります。また、自宅マンションの相続の場合には「小規模宅地等の特例」を活用すると評価を最大80%下げることができます。トータルで考えると贈与を行わない方がメリットである場合もあります。

このケースの場合、会社を経営している夫の相続財産はマンション以外にも現預金や有価証券などがあり、相続税をシミュレーションした結果、配偶者控除や小規模宅地等の特例を利用したとしても相続税が発生することが判明しました。

安易に贈与を提案するのではなく、相続を見越してしっかりとシミュレーションを行うことで、相続税対策になる贈与を提案することができました。

夫婦間であっても、大きな財産の移動が発生する場合には、目の前の事象(今回のケースでは名義変更)にとらわれるのではなく、相続まで見据えた対策を取ることが重要です。

当社では、経験豊富な相続の専門家による相続のシミュレーションを元に最適な生前対策のご提案を行っています。贈与や相続に関してお悩みをお持ちの場合はぜひ、無料個別相談をご活用ください。

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