相続で争う恐れがある場合、代理人になれるのは弁護士のみです。司法書士、行政書士、税理士などは一切代理人になれませんし、たとえ無料でも個別具体的な法律相談にのることは出来ず、非弁行為にあたると解釈されがちです。
ということで、遺言の作成、又は、遺言執行者の依頼は、何らかの争いの火種が少しでもあるのならば弁護士が適任であると思われます。
弁護士に支払う報酬額は・・・?
さて、弁護士に支払う報酬額は一体どのくらいになるのか、お知りになりたい方も多いのではないでしょうか。
2004年4月1日より、弁護士会の定める報酬規程が廃止され、それぞれの弁護士によって報酬額を決められるようになっています。そのため、遺言の内容や遺言執行者の仕事の中身によって、弁護士の報酬額にも幅が出てきているというのが現状です。
この点、日本弁護士連合会のホームページに2008年度の弁護士報酬に関するアンケートが掲載されており、少し古いデータではありますが弁護士報酬の目安として今でも十分信頼できると思われますので、以下に引用します。
内容や地域によっても左右されるでしょうが、大事なことですからやはり納得して依頼したいものです。 尚、本アンケート調査においては、その専門分野に詳しい全国の弁護士が回答しているとの事です。
『2008年度アンケート結果版 アンケート結果にもとづく市民のための弁護士報酬の目安』
設例:定型的な遺言書を作成したい。資産は、不動産、預金、株券で、評価額の総額は5000万円である。(1)公正証書遺言作成手数料 (n=970)
この設例では、10万円前後から20万円前後がほとんどです。 遺言書にはいくつかのタイプがありますが、代表的なものは公正証書遺言と自筆証書遺言です。
1 10万円前後 492 50.7% 2 20万円前後 293 30.2% 3 30万円前後 123 12.7% 4 40万円前後 8 0.8% 5 50万円前後 20 2.1% 6 その他 34 3.5%
公正証書遺言については公証人が、自筆証書遺言は遺言者自身が遺言書を作成します。
弁護士は、どのタイプの遺言書が適切か、遺産の内容や評価額の調査、紛争が起きないような遺産の分配の仕方のアドバイス、さらに公正証書遺言では公証人との準備段階での協議や承認の確保など様々な役割を担当します。
したがって、遺産にいろいろな種類の資産があったり、その評価額の算定が難しかったり、相続人の関係が複雑で紛争予防のためには遺産の分け方に知恵を絞らなければならないなどの事業があるときには、弁護士の手数料も高くなることがあります。あらかじめ弁護士に確認して下さい。(2)遺言執行者にもなっているときの遺言執行手数料 (n=943)
この設例では、40万円前後が4分の1を超えていますが、100万円前後、60万円前後と20万円前後がいずれも20%近くになっています。 遺言書の内容を実現しようとするときには、遺言をした人はこの世にはいません。
1 20万円前後 173 18.3% 2 40万円前後 256 27.1% 3 60万円前後 175 18.6% 4 80万円前後 77 8.2% 5 100万円前後 185 19.6% 6 120万円前後 20 2.1% 7 その他 57 6.0%
そこで、遺言書の内容を遺言した人に代わって実現する人が必要になります。その人を遺言執行者といいます。 遺言執行者の仕事は、自筆証書遺言のときに遺言書そのものを生前から預かるところから始まることもありますが、基本的には遺言者が亡くなった後に集中します。
すべての相続人などへの遺言内容の説明、登記・登録の名義変更の手続き、遺言書で指定された人への物品や預金の引渡など、遺言の内容によって遺言執行者の仕事も中身も異なりますので、弁護士報酬には幅があります。あらかじめ弁護士に確認してください。
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