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ーコラムー
贈与税
税理士監修記事

車を買ってもらうと贈与税がかかる?親子間での譲渡は?節税方法を解説

公開日:2024.5.30 更新日:2024.05.30

「車を買ってもらうと贈与税がかかる?」
「タダ譲るだけなのに税金が発生するの?」

車を所有できる年齢になると、親や祖父母から車を譲ってもらう・買ってもらうという方もいるでしょう。

実はいくら血縁関係にあるといっても、一定の要件を満たす場合には贈与税がかかってしまいます。

せっかく相手へのプレゼントとして車を贈るなら、税金がかからない方がいいですよね。

そこで本記事では、どのような場合に車に対して税金がかかってしまうのか解説し、節税方法まで紹介します。

車の贈与を考えている・受ける予定があるという方はぜひ最後までご覧ください。

1. 車を買ってもらう・譲渡を受ける場合にも贈与税がかかる

車を買ってもらう・譲渡を受ける場合にも贈与税がかかる

前述の通り、たとえ血縁関係にあったとしても、車を買ってもらったり譲ってもらったりした場合には贈与税がかかるケースがあります。

具体的には下記2つのケースにおいて、贈与税が発生するので注意が必要です。

  • 110万円(基礎控除)を超える車の場合
  • 本来の価格より安い金額で譲る場合

なぜ贈与税が発生するのかくわしくみていきましょう。

1-1. 110万円(基礎控除)を超える車の場合

贈与税には誰もが利用できる基礎控除額が110万円分設けられているため、評価額が110万円を超える車の贈与を受けた場合には贈与税がかかります。

ただし、これは車以外の財産贈与を受けていないことを前提とした場合です。

贈与税は毎年1月1日〜12月31日の間に贈与されたすべての財産の合計から、基礎控除を引いた分に対して課税されます。

そのため、車以外の財産の贈与を受けていた場合には、110万円以下の車であっても贈与税が発生する可能性があるのです。

例)贈与税が発生してしまう場合

  • 現金:60万円
  • 車:100万円
  • 贈与合計:170万円
  • 基礎控除額:100万円
  • 課税対象額:50万円

上記のような場合には、車の価格は100万円ですが、現金の贈与も受けているため贈与税がかかってしまいます。

ケースによって贈与税の発生有無は変わってくるため、110万円は一つの基準として覚えておきましょう。

1-2. 本来の価格より安い金額で譲る場合

本来の価格よりも安い金額で車を譲る場合には、「本来の価格 ー 譲った金額 = 贈与税の対象」となり、場合によっては贈与税が発生します。

たとえば本来500万円の価値がある車をタダで譲った場合、贈与を受けた相手は何の対価も支払わず500万円分の財産を手にしたことになるため、贈与税の対象となってしまうのです。

では、「少額でも相手からお金を受け取れば良いの?」と考える方もいるでしょう。

しかし、少しお金を受け取ったからといってその金額が著しく低い場合には、贈与税の対象となってしまいます。

明確な基準は決められていませんが、財産の80%ほどまでが適正な価格といわれています。

よかれと思って孫や子どもに車を譲ってしまうと、贈与税の負担をかけてしまう可能性があるので注意しましょう。

2. 車の贈与税はいくらからかかる?3ステップで計算

車の贈与税はいくらからかかる?3ステップで計算

車の贈与税はいくらからかかるのか、具体的な計算方法を解説します。

  • 対象車の評価額を求める(査定)
  • 基礎控除を引いて課税価格を計算する
  • 贈与税率を乗じて贈与税を算出する

    それぞれのステップをくわしくみていきましょう。

    2-1. 対象車の評価額を求める(査定)

    車の贈与税を調べる場合には、まず対象となる車の評価額を求めるところから始めましょう。

    国税庁によって車は「一般動産」とされており、評価方法は「原則として、売買実例価額、精通者意見価格等を参酌して評価」することと規定されています。

    売買実例価額

    売買実例価額とは、市場で実際に取引される際の価額のことを指します。

    車の場合には、今その車を中古車市場で売りに出した場合に取引される値段が売買実例価額です。

    精通者意見価格

    精通者意見価格とは、その分野の専門家による鑑定によって示された価額を指します。

    業者に売る際などには査定をしてもらい買取価格を提示してもらいますが、この買取価格が精通者意見価格です。

    参考:国税庁

    中古車市場で同じ車がどのくらいの金額で取引されているのか確認し、わからない場合には業者に査定を依頼しましょう。

    2-2. 基礎控除を引いて課税価格を計算する

    車の評価額を求められたら、基礎控除を引いて贈与税の課税価格を計算しましょう。

    贈与税の基礎控除はどんな人でも一律110万円の枠が適用可能です。

    今回は車の評価額が600万円だった場合で、課税価格を求めてみましょう。

    例)

    • 車の評価額:600万円
    • 基礎控除額:110万円
    • 課税価格:490万円

    車の評価額が600万円の場合の課税価格は490万円と求めることができます。

    2-3. 贈与税率を乗じて贈与税を算出する

    課税価格を求めることができたら、税率を乗じて贈与税額を算出しましょう。

    実は贈与財産には2種類あり、どちらに該当するかによって税率が変わります。

    • 特例贈与財産
      直系尊属(親や祖父母など)から18歳以上の直系卑属(子や孫など)に贈与される財産
    • 一般贈与財産
      特例贈与財産以外の贈与財産

      それぞれの財産に適用される税率は下記のとおりです。

      <一般贈与財産の税率>

      基礎控除後の課税価格 税率 控除額
      200万円以下 10% -
      300万円以下 15% 10万円
      400万円以下 20% 25万円
      600万円以下 30% 65万円
      1,000万円以下 40% 125万円
      1,500万円以下 45% 175万円
      3,000万円以下 50% 250万円
      3,000万円超え 55% 400万円

      <特例贈与財産の税率>

      基礎控除後の課税価格 税率 控除額
      200万円以下 10% -
      400万円以下 15% 10万円
      600万円以下 20% 30万円
      1,000万円以下 30% 90万円
      1,500万円以下 40% 190万円
      3,000万円以下 45% 265万円
      4,500万円以下 50% 415万円
      4,500万円超え 55% 640万円

      出典:国税庁HP「贈与税の計算と税率」

      課税価格が490万円の場合の贈与税を計算してみます。

      • 一般贈与財産の場合:490万円 × 30% - 65万円 = 82万円
      • 特別贈与財産の場合:490万円 × 20% - 30万円 = 68万円

      同じ車であっても、贈与税額に違いが生じることを知っておきましょう。

      3. 車の贈与税を節税する5つの方法

      車の贈与税を節税する5つの方法

      車の贈与税を節税する方法を5つ紹介します。

      • 名義はそのままに車を貸す
      • 複数の業者に査定してもらう
      • 特例贈与財産として贈与する
      • 中古車になってから譲る
      • 購入資金を現金で贈与する

        それぞれのケースで、どのように節税するのかみていきましょう。

        3-1. 名義はそのままに車を貸す

        車を貸し借りする場合には「使用貸借」とみなされるため、贈与税がかかることはありません。

        そのため、車の名義は親や祖父母のままに、子どもや孫に車を貸す方法もおすすめです。

        名義変更をしなければ所有権が移ることはなく、財産が移動したことにはなりません。

        日常的に使用することも問題はなく、通常よりも多く書類を揃えることで所有者の代わりに車検を通すことも可能です。

        贈与税がかかってしまいそうな車の場合には、「名義をそのままにして貸す」選択肢があることを知っておきましょう。

        3-2. 複数の業者に査定してもらう

        贈与税を抑えるためには、複数の業者に査定してもらいできるだけ安い査定額を獲得することがおすすめです。

        贈与税の計算方法で分かったように、車の評価額が下がることで課税価格も下がり、最終的な贈与税額も下がります。

        そして、車の評価額には「精通者意見価格」が使用できるので、1社だけでなく複数の業者に査定してもらいましょう。

        通常なら高い査定額が欲しいですが、譲渡を考えている場合にはできるだけ安い査定額を獲得することが大切です。

        3-3. 特例贈与財産として贈与する

        特例贈与財産として贈与することで、税率が下がり贈与税を節税可能です。

        特例贈与財産となるためには、下記の条件を満たす必要があります。

        • 贈与者が直系尊属(親や祖父母など)である
        • 受贈者が18歳以上の直系卑属(子や孫など)である

          18歳以上が大きな条件となるので、18際以上になるまで待ってから贈与することがおすすめです。

          3-4. 中古車になってから譲る

          贈与税を節税するためには、中古車になってから譲るといいでしょう。

          なぜなら、車の評価額は中古車市場での取引価格が使用できるからです。

          新品に近い状態で譲るよりも取引価格を抑えることができるので、中古車になってから譲るのがおすすめです。

          3-5. 購入資金を現金で贈与する

          車の購入資金を現金で贈与して、節税する方法もおすすめです。

          孫や子どもに車を買ってあげると、買ってもらった側に贈与税が発生してしまいます。

          基礎控除額を利用すれば、1年間の贈与額が110万円まで贈与税がかかりません。

          子どもや孫がローンで購入した車の毎月の返済額を現金を贈与して援助することで、贈与税がかからずに子どもや孫を援助できるでしょう。

          ただし、毎年同じような時期に同じような金額を贈与してしまうと、定期贈与とみなされる可能性があります。

          定期贈与とみなされると贈与税の対象となってしまうため、贈与契約書を作成するなど贈与方法を工夫しましょう。

          4. 車の贈与税についてよくある3つの質問

          車の贈与税についてよくある質問

          車の贈与税についてよくある質問をまとめました。

          • 名義変更をしない場合の注意点は?
          • 生活に必要な車でも贈与税がかかる?
          • 車の贈与税が無申告だと税務署にばれる?

          車関連の税金についての疑問を払拭し、申告や納税に戸惑わないようにしましょう。

          4-1. 名義変更をしない場合の注意点は?

          名義変更をせずに車を貸す場合には、自動車保険の適用範囲には注意しましょう。

          保険が効かない状態で事故を起こしてしまうと、子どもや孫がすべて自己負担で損害賠償請求に応じなければなりません。

          自動車保険の適用範囲を確認するとともに、使用貸借状態に有利に働くオプションがあれば追加することも検討しましょう。

          保険の適用範囲にだけ注意できれば、贈与税を回避できるおすすめの方法です。

          4-2. 生活に必要な車でも贈与税がかかる?

          子どもや孫などに対して扶養義務者が贈与する場合、学費や生活費など生活に通常必要とされるものに関しては贈与税がかかりません。

          そのため車を贈与する場合でも、扶養の一環であるとみなされる場合には、贈与税の対象外となります。

          たとえば、地方の大学に進学し、通学に車がないと学業に支障をきたしてしまう場合など。

          しかし、公共交通機関が発達している場合や贈与する車が高級車である場合には、嗜好品とみなされる可能性が高いです。

          本当に生活に必要な車以外には、贈与税がかかる可能性が高いので注意しましょう。

          4-3. 車の贈与税が無申告だと税務署にばれる?

          車の贈与税が発生しているにもかかわらず、無申告だと税務署にばれる可能性が高いです。

          車の贈与税は他の財産と同じく、贈与があった年の翌年の2月1日から3月15日までに申告・納税しなければなりません。

          税務署はさまざまなルートから車の購入資金を調べる方法を持ってるため、ほとんどの場合でばれてしまいます。

          なお申告・納税義務を怠った場合には、ペナルティを課せられてしまうので注意しましょう。

          5. 車にかかる贈与税の仕組みを理解して節税しよう!

          車を買ってもらったり、譲ってもらったりした場合、その車に対して贈与税が発生します。

          たとえ血縁関係にある人からの贈与でも関係なく、基礎控除を超える場合には贈与税を支払わなければなりません。

          しかし、名義変更をせずに車を貸す・特例贈与財産として贈与するなどの工夫をすることで、贈与税の節税が可能です。

          ただ、贈与税がかかるかはケースバイケースのため、判断に迷う場合には税の専門家である税理士に相談しましょう。

          日本クレアス税理士法人 相続サポート

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