皆さんは「公証役場」と呼ばれる役場を知っていますか?公証役場は法務省管轄の役場の一つで、市区町村ではなく国の役場で、日本全国に300近くの公証役場が存在しています。
公証役場には「公証人」と呼ばれる法律の専門家が勤務しており、様々な法的な書類(権利関係書類)を作成しています。そして遺言の一種類である「公正証書遺言(こうせいしょうしょゆいごん)」も作成しています。
目次 |
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1.「公正証書遺言(こうせいしょうしょゆいごん)」とは? |
「公正証書遺言(こうせいしょうしょゆいごん)」とは?
遺言には普通方式と特別方式(※)がありますが、一般的には普通方式に含まれる3種類の方式の中から選択して作成します。
※特別方式の遺言には危急時遺言(ききゅうじゆいごん)と隔絶地遺言(かくぜつちゆいごん)があり、死亡の時期が危急に迫っている場合や遺言者が隔絶地にいる場合に使われます。
一般的に遺言と言えば、自分で書いてそれを保管する遺言書(自筆証書遺言)が多いのですが、それでは死亡した時点で遺言を紛失していたり、死亡してから偽造されてしまったりする恐れもあります。そこでそのような事態を防ぐ目的で利用されるのが「公正証書遺言」です。
公正証書遺言は効力が強いことから、遺言者に成りすました第三者が偽造すると、正当な相続人に大きな被害を与えてしまいます。そこで公正証書遺言を作成するには遺言者と公証人以外に2名以上の「証人」が必要と規定されています。
それでは、この「証人」にはどのような人がなることができるのでしょうか?また「証人」に求められる役割には何があるのでしょうか? 引き続き、公正証書遺言の「証人」の役割やなれる人について確認をしてみましょう。
公正証書遺言における証人の役割と、証人になれない「証人欠格者」
先に説明した通り、公正証書遺言を作成するには2名以上の証人が必要です。証人が必要な理由をまとめてみます。
また証人は誰にでもできる訳ではなく、民法974条には「証人欠格者」として公正証書遺言の証人になれない人を規定しています。
- 未成年者
- 推定相続人、受遺者並びにこれらの配偶者及び直系血族
- 公証人の配偶者、四親等内の親族、書記及び使用人
まず未成年者は証人にはなれません。民法では遺言書の作成は15歳から有効ですが、証人になれるのは成人してからと定められています。
また実際に相続を受ける可能性の高い家族などの推定相続人も、同じく証人になることはできません。相続により利益関係が生まれる人は、証人として不適格と判断されているからです。
そして公証人の不正を防ぐ意味から、公証人関係者が証人になることも禁じられていますが、これはあまり意識する必要なないでしょう。
公正証書遺言は公的な効力が高いことから、証人にも公平な資格が求められています。
公正証書遺言作成の流れ
①公正証書遺言は基本的に公証役場で証人立ち合いの元、口述した遺言内容を公証人が文章として作成します。
②次に遺言者と証人で内容を確認の上、遺言者が署名押印し完成させ、さらに公証人が遺言書の有効性を証明するために、署名押印して公正証書遺言として効力が発行されます。
しかし高齢者や病気で入院中などの理由で、公証役場へ出向くことができない場合には、公証人が自宅や病院へ行って作成することも可能です。
公正証書遺言を作成するには手数料が必要です。5,000万円の相続では約3万円の手数料になりますので、比較的利用しやすい制度と言えるでしょう。
相続トラブルが心配な人は公正証書遺言がお勧め
近年、相続時のトラブルが増加しています。そしてその多くで遺言書を作成していなかったり、紛失・偽造されていたりする事例が見受けられるのです。
手間と費用がかかる公正証書遺言ですが、相続トラブルを未然に防ぐ意味では最も有効な遺言方法と言えます。相続や遺言の専門家や公証役場で相談すると丁寧に制度を教えて貰えるので、将来のためにぜひ活用してみてはいかがでしょうか?
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