親が亡くなったらやること・すること一覧|期限別チェックリストと手続きの流れを税理士が解説(2026年)

監修
中村亨
日本クレアス税理士法人 代表 税理士 公認会計士
親が亡くなった直後は、深い悲しみの中で多くの手続きを同時に進めなければなりません。死亡届から相続税申告まで、法律で期限が定められている手続きが多く、順序を誤ると延滞税や過料のリスクがあります。
この記事では、親が亡くなったときにやること・することを期限別にチェックリスト形式で整理し、相続税申告までの流れを相続専門税理士が解説します。
目次
【全体像】期限別チェックリスト
まず全体の期限と手続きを一覧で確認しましょう。
| 期限 | 手続き内容 | 窓口・根拠 |
|---|---|---|
| 7日以内 | 死亡届の提出・火葬許可証の取得 | 市区町村役場(戸籍法86・87条) |
| 14日以内 | 健康保険(国民健康保険・後期高齢者)の資格喪失届 | 市区町村役場 |
| 14日以内 | 世帯主変更届(故人が世帯主だった場合) | 市区町村役場 |
| 14日以内 | 年金受給停止の届出 | 年金事務所・日本年金機構 |
| 2年以内(早めに) | 葬祭費・埋葬料の請求 | 健康保険組合・市区町村 |
| 3か月以内 | 相続放棄・限定承認の申述 | 家庭裁判所(民法915条) |
| 4か月以内 | 準確定申告(亡くなった人の確定申告) | 税務署(所得税法124条) |
| 10か月以内 | 相続税の申告・納付(課税対象者のみ) | 税務署(相続税法27条) |
| 3年以内 | 不動産の相続登記 | 法務局(不動産登記法・義務化) |

1. 死亡後7日以内にやること
1-1. 死亡診断書の受け取り
医師が発行する「死亡診断書」を受け取ります。事故・突然死の場合は警察や監察医による「死体検案書」が交付されます。コピーを5〜10枚用意しておくと、その後の保険金請求・銀行手続きがスムーズです。
1-2. 死亡届の提出と火葬許可証の取得
死亡を知った日から7日以内に市区町村役場へ死亡届を提出します(戸籍法第86・87条)。提出先は「死亡地」「故人の本籍地」「届出人の住所地」のいずれかです。
死亡届の提出と同時に火葬許可申請を行い、「火葬許可証」を受け取ります。これは火葬時に必須の書類です。
2. 死亡後14日以内にやること
2-1. 健康保険・介護保険の資格喪失届
故人が加入していた健康保険(国民健康保険・後期高齢者医療制度など)の資格喪失届を市区町村役場へ提出し、保険証を返却します。
2-2. 世帯主変更届
故人が世帯主だった場合、14日以内に世帯主変更届を市区町村役場へ提出します。新たな世帯主を届け出ます。
2-3. 年金受給停止の届出
年金を受給していた場合は速やかに年金事務所へ死亡の届出を行います。手続きを怠ると年金を受給し続けてしまい、後日全額返還請求を受けます。
3. 葬儀後・早めに行う手続き
3-1. 葬祭費・埋葬料の請求
健康保険の種類に応じて葬祭費(国民健康保険:2万〜7万円程度)または埋葬料(健康保険:5万円)が支給されます。請求期限は原則2年以内ですが、早めに手続きを行いましょう。
3-2. 高額医療費・生命保険金の請求
亡くなる前に支払った医療費が高額療養費制度の対象になる場合、還付を受けられます。また生命保険に加入していた場合は死亡保険金の請求期限(通常3年)があるため、早めに保険会社へ連絡します。
3-3. 銀行口座の凍結と相続手続き
金融機関に死亡を連絡すると故人名義の口座が凍結されます。凍結後は相続人全員の同意または遺産分割協議書がなければ原則引き出し不可です。相続税申告のためにも死亡日時点の残高証明書を早めに取得しておきましょう。
4. 3か月以内にやること:相続放棄の判断
相続財産に借金・保証債務が含まれている場合、相続開始を知った日から3か月以内に家庭裁判所へ相続放棄・限定承認の申述が必要です(民法第915条)。
この期限を過ぎると原則として単純承認(すべての財産・負債を引き継ぐ)となります。借金の有無が不明な場合でも、早めに専門家に相談することをおすすめします。

5. 4か月以内にやること:準確定申告
亡くなった方が生前に収入(給与・年金・不動産収入など)があった場合、相続開始を知った日の翌日から4か月以内に「準確定申告」が必要です(所得税法第124条)。
準確定申告は相続人全員が連署して税務署へ提出します。期限を過ぎると延滞税・加算税の対象になります。
※給与所得のみで年末調整が済んでいる場合は不要なケースもあります。判断が難しい場合は税理士へご相談ください。
6. 相続人と財産を確定させる(3か月以内が目安)
6-1. 相続人の確定(戸籍調査)
相続税申告では相続人の範囲を正確に確定する必要があります。故人の出生から死亡までの戸籍謄本をすべて取得し、法定相続人を確定させます。認知・養子縁組がある場合は特に注意が必要です。
6-2. 財産の調査・評価
相続財産(現預金・不動産・株式・生命保険・負債など)をすべて把握します。特に不動産の評価(路線価・固定資産税評価額)は相続税計算に直結するため、早期に専門家の評価を受けることが重要です。
7. 10か月以内にやること:相続税の申告・納付
7-1. 申告が必要かどうかの判定
基礎控除額(3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数)を超える遺産がある場合、相続税の申告が必要です。
| 法定相続人の数 | 基礎控除額 | 相続税が発生するライン |
|---|---|---|
| 1人 | 3,600万円 | 遺産が3,600万円超 |
| 2人 | 4,200万円 | 遺産が4,200万円超 |
| 3人 | 4,800万円 | 遺産が4,800万円超 |
| 4人 | 5,400万円 | 遺産が5,400万円超 |
※配偶者控除・小規模宅地等の特例を使って税額がゼロになる場合でも、申告は必要です。
7-2. 申告期限と注意点
死亡日の翌日から10か月以内に申告・納付が必要です(相続税法第27条)。10か月は長く見えますが、戸籍収集・財産評価・遺産分割協議を並行して進めると余裕はありません。相続発生後、できるだけ早く専門家へ相談することをおすすめします。
7-3. 主な控除・特例(適用には申告が必要)
| 特例・控除名 | 内容 | 注意点 |
|---|---|---|
| 配偶者の税額軽減 | 配偶者が取得した遺産が1億6,000万円または法定相続分相当額まで非課税 | 申告が必要。二次相続への影響も要検討 |
| 小規模宅地等の特例 | 居住用宅地330㎡まで評価額80%減額 | 同居・家なき子など要件あり |
| 生命保険の非課税枠 | 500万円 × 法定相続人の数が非課税 | 相続人以外の受取人は対象外 |
8. 不動産の相続登記(3年以内・義務化)
不動産を相続した場合、相続を知った日から3年以内に相続登記が必要です。2024年4月1日以降に義務化され、正当な理由なく怠ると10万円以下の過料の対象となります(不動産登記法)。
9. よくある質問(FAQ)
Q1. 親が亡くなったら最初に何をすればいいですか?
まず死亡診断書を受け取り、7日以内に死亡届を提出してください。同時に火葬許可証を取得します。その後、健康保険・年金の手続き(14日以内)へと進みます。
Q2. 相続税がかかるかどうかはいつわかりますか?
相続人の範囲と財産の総額が確定した時点でわかります。目安として遺産が基礎控除額(3,000万円+600万円×相続人数)を超えるかどうかを確認してください。不動産・生命保険がある場合は評価が複雑なため、早めに税理士に相談することをおすすめします。
Q3. 相続税の申告は自分でできますか?
預貯金のみで金額がシンプルな場合は自分で申告できます。ただし不動産・非上場株式・生命保険が含まれる場合は評価が複雑で、誤りが追徴課税につながるリスクがあります。税理士への依頼をおすすめします。
Q4. 10か月の期限に間に合わなかった場合はどうなりますか?
申告期限を過ぎると無申告加算税(最大15〜20%)・延滞税が発生します。気づいた時点ですぐに申告することで、加算税が軽減されるケースもあります。
まとめ:親が亡くなったら、まず全体の期限を把握する
- 死亡届は7日以内(戸籍法)
- 健康保険・年金・世帯主変更は14日以内
- 相続放棄の判断は3か月以内(民法)
- 準確定申告は4か月以内(所得税法)
- 相続税申告・納付は10か月以内(相続税法)
- 相続登記は3年以内(不動産登記法・義務化)
相続手続きは期限が多く、感情的に辛い時期に複雑な判断を迫られます。「何から手をつければいいかわからない」という段階でも、相続専門税理士への相談で全体像を把握することができます。


監修
中村亨
日本クレアス税理士法人 代表
税理士
公認会計士
2002年8月に会計事務所として創業、2005年には税理士事務所を開業し、法人や個人のお客様の会計・税務の支援をする中で、「人事労務の問題を相談をしたい」「事業承継を検討している」といったお客様のニーズに応える形でサービスを拡大し続け、現在では社会保険労務士法人など複数の法人からなるグループ企業に成長してきました。お客様に必要なサービスをワンストップで提供できることが当社の強みです。





