【2026年版】親が亡くなったらやること一覧|役所手続き〜相続税申告のポイント

監修
中村亨
日本クレアス税理士法人 代表 税理士 公認会計士
親が亡くなった直後は、深い悲しみの中で多くの手続きを同時に進めなければなりません。
死亡届や葬儀の手配だけでなく、年金・健康保険・銀行口座の凍結、相続人の確定、相続税の申告など、法律で期限が定められている手続きも多く、順序を誤ると思わぬ不利益につながる可能性があります。
特に相続税については、「自分には関係ないと思っていたが、後から申告が必要と分かった」「期限を過ぎてしまい、延滞税が発生した」という相談が後を絶ちません。
この記事では、日本クレアス税理士法人が相続税実務の視点から、親が亡くなったときに必ず行うべき手続きを時系列で整理し、相続税申告までのポイントを網羅的に解説します。初めて相続を経験する方でも全体像を把握できるよう、期限・注意点・専門家に相談すべきタイミングを明確にしています。

目次
親が亡くなった直後にやること(死亡後7日以内)
死亡診断書(死体検案書)の受け取り
最初に必要となるのが、医師が発行する「死亡診断書」です。事故や突然死などの場合は、警察や監察医による「死体検案書」が交付されます。
この書類は死亡届の提出、保険金請求、銀行手続きなどで使用するため、コピーを複数枚用意しておくと後の手続きがスムーズです。
死亡届の提出と火葬許可証の取得
死亡届は、死亡を知った日から7日以内に市区町村役場へ提出します。
提出先は以下のいずれかです。
・死亡地の役所
・故人の本籍地
・届出人の住所地
死亡届の提出と同時に火葬許可申請を行い、「火葬許可証」を受け取ります。これは火葬時に必須となる書類です。
役所で行う各種手続き(14日以内が目安)
健康保険・介護保険の資格喪失手続き
故人が加入していた健康保険(国民健康保険、後期高齢者医療制度など)は、死亡により資格を喪失します。
市区町村役場で資格喪失届を提出し、保険証を返却します。
年金の受給停止手続き
年金を受給していた場合は、速やかに年金事務所へ死亡の届出を行います。
手続きを行わないまま受給が続くと、後日返還請求を受けることになります。
国民年金・厚生年金の死亡届や遺族年金の請求については、日本年金機構の公式案内が参考になります。
参考:日本年金機構「年金を受けている方が亡くなったとき」
https://www.nenkin.go.jp/
世帯主変更届
故人が世帯主であった場合、世帯主変更届を14日以内に提出する必要があります。
葬儀後に行う給付金・還付金の手続き
葬祭費・埋葬料の請求
健康保険の種類に応じて、葬祭費または埋葬料が支給されます。
請求期限は原則2年以内ですが、早めに手続きを行うことをおすすめします。
高額医療費・保険金の請求
亡くなる前に支払った医療費が高額医療費制度の対象となる場合、還付を受けられることがあります。
また、生命保険に加入していた場合は、死亡保険金の請求も忘れずに行いましょう。
銀行口座・金融資産の手続き
銀行口座の凍結
金融機関に死亡の連絡をすると、故人名義の口座は凍結されます。
凍結後は、相続人全員の同意または遺産分割協議書がなければ、原則として引き出しができません。
相続税申告のためにも、預金残高証明書の取得を早めに行うことが重要です。
株式・投資信託・証券口座の確認
証券会社に口座がある場合も、相続手続きが必要です。
評価額は相続税計算に直結するため、死亡日時点の残高・時価を正確に把握します。
相続人と財産を確定させる(3か月以内が重要)
相続人の確定(戸籍調査)
相続税申告では、相続人の範囲を正確に確定する必要があります。
出生から死亡までの戸籍謄本をすべて取得し、法定相続人を確定させます。
相続放棄・限定承認の判断
相続財産に借金や保証債務が含まれている場合、相続放棄や限定承認を検討します。
これらの手続きは、相続開始を知った日から3か月以内に家庭裁判所へ申述しなければなりません。
相続税申告が必要かを判断する
相続税の基礎控除額
相続税がかかるかどうかは、以下の基礎控除額を超えるかで判断します。
基礎控除額
3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数
この金額を超える場合、相続税の申告が必要です。
国税庁公式:相続税の基礎控除
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4152.htm
相続税の申告・納付(10か月以内)
相続税申告の期限
相続税の申告と納付は、死亡日の翌日から10か月以内に行う必要があります。
期限を過ぎると、延滞税や加算税が課される可能性があります。
国税庁公式:相続税の申告と納付
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4205.htm
特例・控除の適用判断が重要
相続税には、以下のような重要な特例があります。
・配偶者の税額軽減
・小規模宅地等の特例
・生命保険金の非課税枠
これらは申告をしなければ適用されない特例も多く、専門的な判断が必要です。
不動産の相続登記(2024年以降は義務化)
不動産を相続した場合、名義変更(相続登記)が必要です。
2024年4月以降、相続登記は原則3年以内に行うことが義務化され、正当な理由なく怠ると過料の対象となります。
法務省:相続登記の義務化について
https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00414.html
日本クレアス税理士法人が重視する実務ポイント
相続手続きで最も重要なのは、「早い段階で全体像を把握すること」です。
・相続税がかかるかどうかの早期判定
・期限管理(3か月・10か月)
・不動産・金融資産の評価
・特例適用の可否判断
これらを後回しにすると、取り返しのつかない税務リスクにつながる可能性があります。
まとめ
親が亡くなった後の手続きは、感情面の負担に加え、法律・税務の知識が求められる複雑なものです。
特に相続税申告は期限が厳格に定められており、「知らなかった」では済まされません。
役所手続きから相続税申告までを時系列で整理し、必要に応じて専門家のサポートを受けることが、相続を円滑に進める最大のポイントです。
日本クレアス税理士法人では、相続税申告・財産評価・相続手続き全般をワンストップでサポートしています。
不安を感じた時点で、早めにご相談ください。

監修
中村亨
日本クレアス税理士法人 代表
税理士
公認会計士
2002年8月に会計事務所として創業、2005年には税理士事務所を開業し、法人や個人のお客様の会計・税務の支援をする中で、「人事労務の問題を相談をしたい」「事業承継を検討している」といったお客様のニーズに応える形でサービスを拡大し続け、現在では社会保険労務士法人など複数の法人からなるグループ企業に成長してきました。お客様に必要なサービスをワンストップで提供できることが当社の強みです。





