親の土地を相続したら相続税はいくら?評価額の出し方と税額の目安を税理士がわかりやすく解説

監修
中村亨
日本クレアス税理士法人 代表 税理士 公認会計士
親が所有していた土地を相続することになったとき、多くの方がまず気にされるのが「相続税はいくらになるのか?」という点です。しかし、土地の相続税は固定資産税額ではなく、国税庁の路線価や倍率を使って評価額を算出するため、自己判断では正確な金額がわかりにくいのが実情です。さらに、土地の形状・利用状況・特例の可否によって税額は大きく変動し、思わぬ高額になるケースも珍しくありません。この記事では、親の土地に相続税がいくらかかるかを「誰でも理解できる順序」で整理し、評価額の出し方、税額のざっくり試算方法、税務署が注目するポイント、節税に使える特例まで、税理士目線でわかりやすく解説します。相続の不安を減らし、円滑に手続きを進めるための基礎知識としてお役立てください。

目次
1. 親の土地の相続税はいくらからかかる?基本の考え方
相続税がかかるかどうかは、まず「基礎控除額」を超えるかどうかで判断します。
1-1. 相続税がかかるライン(基礎控除)
相続税の基礎控除額は以下の式で決まります。
3000万円+600万円×法定相続人の数
例として、相続人が配偶者と子ども2人の家庭では、
3000万円+600万円×3=4800万円
となり、相続財産が4800万円を超えると相続税の対象になります。
基礎控除の詳細(国税庁):
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4152.htm
都市部では土地の評価額が高いため、土地だけで基礎控除を超えるケースは多く見られます。
1-2. 親の土地だけで相続税が発生しやすいケース
以下のような家庭では、土地だけで課税対象額を超える可能性があります。
・都市部(東京23区・横浜市・大阪市など)に土地がある
・自宅のほかに駐車場や貸地など複数の土地を所有している
・広い土地や地価が高い地域に土地がある
・相続人の人数が少なく基礎控除額が小さい
・更地や資産価値の高い宅地を持っている
特に都市部では、面積が小さくても路線価が高く評価額が大きくなりやすいため注意が必要です。
2. 親の土地の相続税が高くなりやすい家庭の特徴
土地の相続税が高くなりやすい家庭には一定の共通点があります。
2-1. 路線価の高いエリアに土地がある
路線価は国税庁が毎年発表する、土地の評価額の基準となる価格です。特に以下の地域は路線価が高い傾向があります。
・東京都23区
・横浜市・川崎市
・名古屋市・大阪市中心部
・駅近の住宅密集地や商業地
路線価は国税庁の「路線価図」で確認できます:
https://www.rosenka.nta.go.jp/
2-2. 自宅以外に複数の土地を所有している
土地は1筆ごとに評価され、その合計額が相続財産に加算されます。そのため、以下のように複数の土地を持つ家庭は税額が大きくなりやすいです。
・自宅の土地
・月極駐車場
・貸地(地代を受け取っている土地)
・農地・山林
・未活用の空き地
複数の土地があると評価方法が複雑になりやすく、税務署も注意深く確認します。
2-3. 評価が難しい土地を所有している
以下のような土地は評価方法が複雑で、税務署も重点的に確認する傾向があります。
・貸家建付地
・借地権付き土地
・底地
・私道持分
・旗竿地や変形地
・セットバックを必要とする土地
これらは評価方法を誤ると過少申告につながり、税務調査の対象になる可能性があります。
2-4. 相続人の状況が複雑
以下の点に当てはまる家庭は、申告内容の整理が難しくなるため、税務署が確認したいと判断することがあります。
・相続人が多い
・相続人に海外居住者がいる
・相続人同士の連絡が取りにくい
・遺産分割がまとまっていない
・申告を自力で行おうとしている
相続人の状況が複雑な場合、申告ミスや計算ミスが起こりやすいため注意が必要です。
3. 親の土地の相続税をざっくり試算する3ステップ
親の土地に相続税がいくらかかるのかは、次の3つのステップで大まかに把握できます。
3-1. 路線価・倍率を使って土地の評価額を算出する
土地の評価額は下記いずれかの方法で求めます。
・道路に面した土地:路線価 × 面積
・道路に面していない土地:固定資産税評価額 × 倍率
路線価(国税庁 路線価図):
https://www.rosenka.nta.go.jp/
倍率地域はこちら:
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4602.htm
さらに、土地の区分(自宅、貸家建付地、農地など)によって評価方法が変わるため注意が必要です。
3-2. 評価額を合算し基礎控除と比較する
算出した土地の評価額を合計し、基礎控除額と比較します。
基礎控除額を超えると相続税の申告が必要となります。
土地だけで基礎控除を超えるケースは珍しくなく、特に都市部ではよく見られます。
3-3. 税率表に当てはめて概算税額を算出する
相続税の税率は財産額に応じて10〜55%まで段階的に決まります。
国税庁の速算表を使って概算額を簡単に把握できます。
相続税速算表(国税庁):
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4156.htm
例:
・土地評価額:4000万円
・相続人:2人
・1人あたりの取得額:2000万円
・税率:10%
・概算税額:約200万円
目安ではあるものの、税額の大きさをつかむには十分です。
4. 最新の実務傾向:税務署が土地評価で重視するポイント
税務署は土地の評価に関して以下の点を重点的に確認する傾向があります。
・路線価と実勢価格(売買価格)の乖離
・評価区分が適切か(宅地、貸家建付地、農地など)
・貸家建付地の評価減が正確に計算されているか
・土地購入資金と生前贈与の関係
・土地の境界・地積が登記簿と一致しているか
・過去の贈与税や土地関連の申告内容との整合性
税務署は金融機関情報、法務局情報、過去の税務データを照合できるため、不自然な取引や不明瞭な資金移動はすぐ把握されます。
5. 親の土地の相続税を抑えるために使える制度
相続税を減らすには、利用できる制度を正しく把握することが重要です。
5-1. 小規模宅地等の特例(最大80%評価減)
親が住んでいた自宅の土地については、一定の条件を満たす場合に330㎡まで評価額を80%減額できます。
小規模宅地の特例(国税庁):
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/3308.htm
特例を使うことで相続税が数百万円から数千万円単位で軽減されることもあります。
5-2. 貸家建付地など利用状況による評価減
次のような土地は20〜30%の評価減が認められる場合があります。
・貸家建付地
・借地権付き土地
・底地
利用状況に応じて評価方法を変える必要があります。
5-3. その他の控除制度
相続税には次のような控除制度があります。
・配偶者の税額軽減
・未成年者控除
・障害者控除
・相次相続控除
相続人の状況に応じて適用できる制度が異なるため、慎重に確認が必要です。
6. 申告前に確認したいセルフチェックリスト
以下の項目に複数当てはまる場合は、専門家への相談をおすすめします。
・路線価を確認していない
・複数の土地を所有している
・固定資産税評価額で試算しようとしていた
・小規模宅地の特例が使えるか不明
・土地の区分(宅地・貸家建付地など)が曖昧
・相続人同士の連絡が取りづらい
・契約書や財産資料が整理されていない
・申告を自力で行う予定
土地評価は専門性が高いため、誤って申告すると追徴課税につながることもあります。
7. まとめ:親の土地の相続税は評価方法で大きく変わる
親の土地に相続税がいくらかかるかは、路線価や倍率、土地の形状や利用状況、そして特例が使えるかどうかなど、多くの要素で決まります。特に都市部の土地は評価額が高く、土地だけで基礎控除を上回るケースが増えています。
相続税は、適切な評価を行い、特例を正しく使うことで大幅に節税することができます。申告を焦って自己判断で進めるのではなく、必要に応じて専門家のサポートを受けることで、トラブルを避けながらスムーズに手続きを進められます。
土地の相続は金額が大きい分、正確な判断が重要です。早めの確認と準備で、安心して相続手続きを進めていきましょう。

監修
中村亨
日本クレアス税理士法人 代表
税理士
公認会計士
2002年8月に会計事務所として創業、2005年には税理士事務所を開業し、法人や個人のお客様の会計・税務の支援をする中で、「人事労務の問題を相談をしたい」「事業承継を検討している」といったお客様のニーズに応える形でサービスを拡大し続け、現在では社会保険労務士法人など複数の法人からなるグループ企業に成長してきました。お客様に必要なサービスをワンストップで提供できることが当社の強みです。





