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ーコラムー
相続税
税理士監修記事

相続税が払えないときの6つの対処法!相続放棄などで差し押さえを避けよう

公開日:2023.6.23 更新日:2024.05.30

相続税とは被相続人が保有していた財産を相続した際に、その財産に対して課税される税金です。

相続税は現金一括での納付が原則となっているため、金額によっては支払いが難しいという場合もあるでしょう。

では相続税が払えないときはどうしたらいいのでしょうか。

そこで本記事では、相続税が払えないときの対処法を6つ紹介します。

相続税の支払いが難しい・払えないときの対処法が知りたいという方はぜひご覧ください。

1. 相続税が払えない状況とは?

対処法を見ていく前に、どのような場合に相続税が払えなくなってしまうのかを解説します。

<相続税が払えない状況>

  • 相続財産のうち不動産が多い
  • 相続した不動産が売却できない
  • 遺産分割協議がまとまらない

上記3つのパターンでは、なぜ相続税が払えない場合が多いのかみていきましょう。

1-1. 相続財産のうち不動産が多い

相続財産のうち不動産が多い場合には、相続税が支払えないことが多いです。

相続する財産は、被相続人がどのような資産形成をしていたかによって大きく内容が異なります。

不動産投資やマンション・アパートなどの賃貸事業を被相続人が行なっていた場合には、必然的に相続財産に占める不動産の割合が高くなるでしょう。

その場合不動産や土地は資産価値が高いため、通常の資産に比べて相続税評価額が高くなり、相続税が高くなる傾向にあります。

被相続人の現預金が潤沢にあれば話は別ですが、このような被相続人の場合には現金はあまり残していないことが多いでしょう。

そうすると相続税分の現金を用意するのはとても難しくなってしまうため、相続税が支払えなくなってしまうのです。

1-2. 相続した不動産が売却できない

相続した不動産が売却できない場合も、相続税が支払えないことが多いです。

相続税の支払額が高くても、不動産は資産価値が高いため、換価(現金化)できれば相続税の支払いに充てることができます。

しかし、不動産は流動性が低い資産のため、取引市場がある株式やFXなどと比べて売却にかかる時間が長くなってしまう傾向があります。

そのうえ、相続税の申告・納付期限は「被相続人が亡くなったことを知った日の翌日から10ヶ月以内」と定められており、そもそもあまり時間がありません。

結果的に不動産の売却が間に合わず、相続税が支払えないという場合が多いのです。

1-3. 遺産分割協議がまとまらないため預金が引き出せない

遺言書によって財産の分配が定められていない場合には、遺産分割協議を行い相続人同士で話し合って財産の取り分を決定します。

しかし、相続人同士で折り合いがつかなかったり、そもそも話し合いに応じてくれない相続人がいるなど遺産分割協議がまとまらない場合があります。

通常、誰かが亡くなった場合には、その人の口座を動かすことができないように金融機関側で凍結処理がされます。

この凍結を解除するためには遺産分割協議が完了していることが1つの条件となるため、遺産分割協議がまとまっていないと被相続人の預金が引き出せなくなってしまいます。

そうなってしまうと、相続人の個人資産から支払うことになるため、相続税が支払えない場合が多いのです。

2. 相続税が払えないと追徴課税・差し押さえされてしまう

特別なケースを除いて相続税の申告・納税期限を延長することはできず、期限内に支払えない場合には追徴課税・差し押さえの対応をされてしまいます。

<相続税の追徴課税内容>

追徴税区分 内容
延滞税 税額の14.6%(最大)
過小申告加算税

税務調査の通知前:無課税

税務調査の調査後:10~15%

無申告加算税

税務調査の通知前に申告:5%

税務調査の通知後に申告:10~20%

(悪質な場合は40%)

重加算税

申告はしているという場合:35%

申告すらしていない場合:40%

このように追徴課税は、場合によってかなり重いペナルティとなるため、より相続税の支払いが難しくなってしまいます。

仮にペナルティを受けてさらに支払いが難しくなった状況をそのまま放置していると、最終的には財産を差し押さえられることになります。

<差し押さえまでの流れ>

  1. 督促状が届く
  2. 税務署からの電話・税務署員の訪問
  3. 最終督促状が届く
  4. 差押予告書が届く
  5. 差押調書が届く
  6. 差し押さえの実施

放置してすぐに財産が差し押さえられるわけではありませんので、督促状が届いた時点で相続税の支払いを行いましょう。

3. 相続税が払えないときの6つの対処法

現金の用意が難しく相続税が支払えないときの6つの対処法を紹介します。

<相続税が払えないときの対処法>

  1. 延納:相続税を分割払いする
  2. 物納:現金の代わりに財産を納める
  3. 相続財産の売却益で相続税を納める
  4. 相続放棄する
  5. 金融機関から一時的にお金を借りる
  6. 遺産分割協議を納税資金分だけ行う

それぞれの対処法を理解し、最適な方法を選択できるようになりましょう。

3-1. 延納:相続税を分割払いする

相続税の現金一括納付が難しい場合には、特定の要件を満たすことで延納が利用できます。

延納とは相続税を分割払いすることで、原則として5年・最長で20年の分割が認められます。

<延納の利用要件>

(1) 相続税額が10万円を超えること。

(2) 金銭で納付することを困難とする事由があり、かつ、その納付を困難とする金額の範囲内であること。

(3) 延納税額および利子税の額に相当する担保を提供すること。

ただし、延納税額が100万円以下で、かつ、延納期間が3年以下である場合には担保を提供する必要はありません。

(4) 延納申請に係る相続税の納期限または納付すべき日(延納申請期限)までに、延納申請書に担保提供関係書類を添付して税務署長に提出すること。

引用元:国税庁

延納を利用することで、相続税の期限内の支払いが難しい状況を打開でき長期間で少しずつ相続税を納付していくことができます。

100万円以上・3年以上になる場合には担保が必要になりますが、そのほかの条件についてはそこまで厳しいものではありません。

正当な理由があり、期日内に手続きをすれば利用できるケースが多いため、一括納付が難しい場合には利用を検討しましょう。

3-2. 物納:現金の代わりに不動産を納める

延納のほか、相続税が一括で支払えない場合には特定の要件を満たすことで物納が利用できます。

物納とは、延納でも支払えないに現金に代わり相続財産で相続税を納めることを指します。

<物納の利用要件>

  • 延納でも金銭での納付ができない
  • 物納可能な財産である
  • 申請順位を満たしている
  • 納付期限までに物納申請書を提出している

財産のなかには、物納ができる財産とできない財産があり、物納可能な財産でも管理・処分のしやすさによって申請順位が設けられています。

<物納可能財産の申請順位>

順位 財産内容
第1順位

1. 不動産、船舶、国債証券、地方債証券、上場株式等

2. 不動産および上場株式のうち物納劣後財産に該当するもの

第2順位

3. 非上場株式等

4. 非上場株式のうち物納劣後財産に該当するもの

第3順位 5. 動産

参考:国税庁

物納を申請する場合には、自分が物納したい財産ではなく、申請順位の高い財産から申請する必要があります。

また、物納は許可限度額が設けられており、下記の計算式にて算出できる金額までしか物納が利用できませんので注意しましょう。

<物納の許可限度額>

「相続税額 - (現金で納付可能な金額 + 延納により納付できる金額)」

延納に比べ条件は厳しいものの、適切な手順を踏むことで利用可能な制度のため積極的に利用を検討しましょう。

3-3. 相続財産の売却益で相続税を納める

相続税分の現金が用意できない場合には、相続財産を売却して売却益を相続税の支払いに充てましょう。

この際に売却する財産には注意が必要で、自分が相続することが遺産分割協議や遺言書によって確定している財産のなかから売却する財産を選ぶ必要があります。

ほかの相続人に相続される財産を売却してしまうと、また新しい問題が発生してしまいますので注意しましょう。

一般的には不動産を現金化するケースが多いですが、不動産は流動性が低い資産のため、株式や貴金属類などがおすすめです。

いずれの場合でも「被相続人の死亡を知った日の翌日から10ヶ月以内」という期限をすぎないようにしましょう。

3-4. 相続放棄する

相続税が支払えないことが相続税の計算によって分かった場合には、相続放棄をすることも1つの手段です。

相続放棄とは、プラスの財産・マイナスの財産問わず、被相続人のすべての財産を相続しないことを指します。

実は相続人は必ず財産を相続する必要はなく、相続財産に対して下記3つの方法を選択できる権利があります。

<相続方法>

  • 単純承認:プラス・マイナスの財産関係なくすべての財産を相続する
  • 限定承認:財産の範囲内で債務などを生産し、残った財産があれば相続する
  • 相続放棄:プラス・マイナスの財産関係なくすべての財産を相続しない

相続放棄をすることで、財産を相続することはできなくなりますが、相続税を支払う義務も発生しなくなります。

相続放棄は、マイナスの資産が大きく相続したら確実に不利になる場合や、今回のように相続税の支払いを回避するために選択することが多いです。

しかし、相続方法の選択は「相続の開始から3ヶ月以内」に決定する必要があるので注意しましょう。

3ヶ月を過ぎてしまうと、自動的に単純承認したものとみなされてしまいますので、相続放棄する場合には素早い判断が大切です。

3-5. 金融機関から一時的にお金を借りる

金融機関から一時的にお金を借りて相続税の支払いに充てる方法もあります。

納税資金として融資を申請することもできれば、不動産などを担保として融資を申請することも可能です。

しかし、融資の申請が通るかどうかはその状況によって異なるため、確実な方法とはいえません。

少しでも融資が通りやすくなるように、税理士などの専門家に相談するといいでしょう。

3-6. 遺産分割協議を納税資金分だけ行う

遺産分割協議がまとまらずに被相続人の預金が引き出せないという場合には、納税資金を賄える分だけ遺産分割協議を行うといいでしょう。

相続人同士で意見がまとまらない場合でも、納税はすべての相続人に等しくのしかかってくる問題のため、納税資金分ということであれば意見をまとめられる可能性が高いです。

部分的に遺産分割協議を行い、被相続人の口座凍結を解除し、預金を相続税の支払いに充てましょう。

4. 相続税が払えないときは税理士に相談しよう

ここまで相続税の支払いが難しい場合の対処法を中心に解説してきました。

相続税は現金一括を原則としていますが、延納や物納という選択肢も用意されているため、自分にあった対処法を選択して相続税を支払いましょう。

また、相続税の専門家である税理士であれば適切な対処法の提案はもちろんのこと、そもそもの相続税を節税を実現してくれる可能性が高いです。

相続税が支払えないという場合には一度税理士に相談してみるといいでしょう。

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日本クレアス税理士法人 相続サポート

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