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ーコラムー
相続税
税理士監修記事

孫が相続する場合の基礎控除は?代襲相続や遺言による相続を解説

公開日:2023.8.25 更新日:2023.09.08

「孫が相続するときに注意点はある?」「孫に相続させるにはどんな方法がある?」

子供がすでに他界しているなどの理由で、孫への相続が発生しそうという方もいるでしょう。

孫が遺産を相続する場合、通常とは違う点に注意が必要なケースもあるため、事前に把握しておくことが大切です。

本記事では孫が相続人となるパターン、孫へ遺贈をする方法、相続税の計算での注意点などについて解説します。

孫として相続する可能性がある方、孫への相続を検討している方は、ぜひ参考にしてください。

1. 孫が相続人となる3つのパターン

相続では一般的に配偶者や子供が相続人となることが多いですが、孫が相続人となるケースもあります。

そのパターンは以下の3つです。

  • 代襲相続によって孫が法定相続人になる場合
  • 孫に遺言書によって遺贈する場合
  • 孫を養子にしていた場合

それぞれくわしくみていきましょう。

1-1. 代襲相続によって孫が法定相続人になる場合

代襲相続とは本来の相続人となる人がすでに死亡しているなどの理由で、その子供などが代わりに相続をすることです。

被相続人から見た子供が亡くなっている場合、その子供である孫が代襲相続人となります。

子供が犯罪を犯すなどの理由で、相続人の資格を失うことがあります。

「相続欠格」といいますが、相続欠格の場合でも代襲相続が発生します。

孫から見て自分の親が相続欠格になったとしても、自身の祖父母の代襲相続人になれます。

また「相続廃除」といい、被相続人や遺言執行者が、相続人の資格を奪うこともあります。

相続廃除をする理由として、子供が親に長年暴力をふるっていた・親の金を勝手に使いこんで経済的に困窮したなどの事情が挙げられます。

相続欠格と同様、相続廃除の場合も代襲相続が発生します。

問題のある子供に相続させたくない場合でも、孫が相続人として相応しいなら、代襲相続を利用して財産を孫に遺すことができます。

1-2. 孫に遺言書によって遺贈する場合

被相続人が孫と親しくしており、孫に財産を残したいとき、遺言書によって自分の財産の一部を譲渡することができます。

遺言書によって孫に相続させる財産を指定しておけば、配偶者などと同じく孫も相続人になります。

遺言書による贈与を遺贈といい、受け取る側である孫の承諾がなくても効力が発生します。

ただし遺言書は、法的に有効なものであることに注意が必要で要件を満たしていないと無効とされます。

遺言書が無効となってしまうケースは下記のとおりです。

  • 作成日が記載されていない、または特定できない
  • 署名や押印がない
  • 訂正方法を間違えている
  • 自筆で作成すべきところをパソコン・ワープロで作成している
  • 認知症の人が作成した
  • 15歳未満の人が作成した

上記のほかにも遺言書は気を付けるべきポイントがいくつもあり、自分だけで作成するのは不安と感じる方もいるでしょう。

その場合は「公正証書遺言」を作成するのがおすすめです。

2人以上の証人が立ち合い、公証人が遺言書を作成するため、ミスが発生しにくくなります。

1-3. 孫を養子にしていた場合

孫が相続人となる3つ目のパターンは、孫と養子縁組をしていたケースです。

養子にすると、実子同様に法定相続人として認められます。

一般的には相続税対策として、孫を養子にするケースがあります。

相続税には基礎控除があり、法定相続人が増えるほど基礎控除額も増えるため、結果的に相続税を低くすることが可能です。

ただし、養子縁組をすれば無制限に相続税を節税できるわけではありません。

実子がいる場合、養子を法定相続人に含めることができるのは1人までという制限があります。

また実子がいない場合でも、2人までに制限されますので注意しましょう。

2. 代襲相続とは?孫が相続人になる可能性

代襲相続とは、被相続人がすでに亡くなっているなどの理由で、その子供が代わりに相続をすることです。

事故や病気などにより、子供が親より先に亡くなるケースもありますので、孫が代襲相続人になるケースもそれほど珍しくはありません。

2-1. 孫が代襲相続した場合の基礎控除額

孫による代襲相続の場合でも、相続税の基礎控除額の計算方法は変わりません。

基礎控除額の計算式は、3,000万円+法定相続人×600万円で、法定相続人が1人増えるごとに控除額が600万円増える仕組みです。

よって法定相続人が多いほど、相続税も結果的に少なくなります。

孫も法定相続人として認められるため、上記の計算式に含められます。

2-2. 孫が代襲相続した場合法定相続分はどうなる?

法定相続分とは遺産総額における各相続人の取り分のことで、民法で定められています。

法定相続分は、相続人の立場や人数によって変わります。

たとえば配偶者と子供1人のみの場合、配偶者が1/2、子供が1/2です。

代襲相続における法定相続分は、本来の相続人の法定相続分を引き継ぐルールです。

よって代襲相続した孫の場合、本来の相続人である自身の親、被相続人から見た子供の法定相続分を引き継ぎます。

たとえば相続人が配偶者と子供1人のみで子供がすでに亡くなっている場合、孫の法定相続分は1/2です。

孫が複数名いる場合は、法定相続分を孫の人数で等分します。

2-3. 孫が代襲相続したら遺留分はどうなる?

遺留分とは、遺産総額のうち最低限相続できる割合のことです。

遺留分は遺言書によって効力を失うことはなく、相続人は遺留分を請求できます。

遺留分は法定相続分の1/2または1/3と決められており、法定相続人の構成や人数によって変化します。

代襲相続の遺留分も法定相続分と同様、本来の相続人の遺留分を引き継ぐことになります。

たとえば子供の遺留分が1/4なら、孫の遺留分も1/4です。

複数の孫がいる場合、遺留分を人数で等分します。

3. 遺言書による遺贈とは?孫へも可能

孫を可愛がっており、自分の財産の一部を孫に遺したい方もいるでしょう。

遺言書によって孫へ遺贈することができ、このケースも孫が相続人となります。

ただし孫に遺贈する場合、注意点がいくつかあります。

  • 孫へ遺贈する場合は基礎控除の計算には含めない
  • 孫に対して遺贈する場合は遺留分に注意
  • 付言によって孫に対するトラブルを回避しよう

それぞれくわしく説明します。

3-1. 孫へ遺贈する場合は基礎控除の計算には含めない

孫が代襲相続をする場合は基礎控除の計算に含めることができますが、遺贈する場合は計算に含めることはできません。

人数が少なくなる分基礎控除額が上がり、算出される相続税額が高くなる可能性があります。

ただし、各人の遺産の取得割合によって相続税を配分するときには、相続人以外の方も含めて決定します。

遺贈された方も相続税の課税対象ですが、基礎控除の計算に含めない点は間違えやすいので注意しましょう。

3-2. 孫に対して遺贈する場合は遺留分に注意

孫が可愛いので、多くの財産を譲渡したいと考える方もいるでしょう。

その場合、そのほかの相続人の遺留分を侵害しないように注意が必要です。

たとえば配偶者と子供2人なら、配偶者は1/4、子供はそれぞれ1/8ずつの遺留分が認められます。

このケースで遺産総額が2,000万円の場合、配偶者の遺留分は500万円、子供は250万円です。

孫への遺贈が多額なあまり、配偶者や子供が遺留分を受け取れなくなると、遺留分の侵害額請求をされてしまうかもしれません。

遺贈する前に財産の総額を確認し、孫以外の相続人の遺留分を侵害しない程度の額で遺贈しましょう。

3-3. 付言によって孫に対するトラブルを回避しよう

相続人として配偶者や子供がいる場合、なぜ孫にまで遺贈をしなくてはならないのか、納得できない相続人が出てくることも考えられます。

遺贈が原因でトラブルになると、親族間の人間関係が悪化し、孫の立場も苦しくなってしまうかもしれません。

遺贈によるトラブルを避けるには、遺言書の「付言」の活用がおすすめです。

付言とは、財産の分割方法ではなく、家族や親族への感謝の気持ち、葬式に関する希望などを記載できる箇所です。

たとえば「孫が生前に手厚く介護をしてくれた」「自宅に来て食事の支度や掃除をしてくれた」などの事情をくわしく説明することで、ほかの相続人の納得を得られやすくなります。

付言の記載方法に関するルールはないので、自由に気持ちを表現可能です。

付言の欄だけでは足りない場合、手紙などを併用することもできます。

4. 孫を養子にしていた場合の基礎控除額は?

たとえば孫がまだ幼いうちに親である子供が亡くなったため、祖父母が孫と養子縁組をするといったケースもあるでしょう。

孫を養子にすると実子と同様に扱われ、基礎控除額の計算においても法定相続人に含めることが可能です。

先ほども解説しましたが、養子縁組の孫を基礎控除に含められる人数には制限があることに注意しましょう。

実子がいる場合は1人、いない場合は2人までです。

5. 孫が相続する場合の相続で注意するべきポイント

孫が相続人となるケースでは、以下の2点に注意しなくてはなりません。

  • 基礎控除増加を目的とした養子は認められない場合も
  • 相続税の2割加算が適用される

それぞれくわしく解説していきます。

5-1. 基礎控除増加を目的とした養子は認められない場合も

最初から基礎控除を目的とした養子は、基礎控除の計算で認められない場合もあります。

国税庁のホームページには下記のように記載されています。

「養子の数を法定相続人の数に含めることで相続税の負担を不当に減少させる結果となると認められる場合、その原因となる養子の数は、相続税控除の養子の数に含めることはできない」

引用元:国税庁

相続税の節税のため、祖父母の立場で勝手に孫との養子縁組を進めないようにしましょう。

5-2. 相続税の2割加算が適用される

孫が相続する際の注意点2つ目は、相続税の2割加算が適用される場合があることです。

たとえば相続税額が100万円の場合、2割加算されると120万円を支払う必要があります。

2割加算は孫へ遺贈をする場合、孫を養子にした場合に適用され、孫が代襲相続をする場合には適用されません。

なお孫以外に被相続人の兄弟姉妹や甥・姪が相続する場合にも、2割加算が適用されます。

2割加算される背景として、相続はそもそも配偶者や子供といった身近な人々が行うのが一般的という前提があります。

代襲相続ではない孫、甥・姪などが相続をするのは偶発性が高く、遺産分割の公平性を保つために2割加算が定められています。

6. 孫への相続に関してよくある質問

孫が遺産を相続するケースでよくある質問と回答を紹介します。

<孫への相続についてよくある質問>

  • 孫に負担をかけないためにできる生前対策は?
  • 子が相続放棄した場合、孫は代襲相続できる?

それぞれくわしく解説します。

6-1. 孫に負担をかけないためにできる生前対策は?

孫のためにと遺産を遺しても、場合によっては孫の負担が重くなってしまう場合があります。

負担をできるだけ減らすには、以下の2点が重要です。

  • 生前贈与をして相続税の節税対策をする
  • 死後事務委任契約によって死亡後の手続き負担を減らす

1つ目の対策として、孫が支払う相続税を減らすために、生前贈与を活用しましょう。

「暦年贈与(課税)」という制度があり、1~12月の1年間で、1名につき110万円までの贈与は課税されません。

よって、早い段階から毎年110万円以下の贈与をしていくことで、結果的に相続税の節税につながります。

また暦年贈与では、毎年110万円を超えない限り税務署への手続きが要らないこともメリットです。

2つ目の対策は、税理士や司法書士などの専門家と死後事務委任契約を結ぶことで、孫の手続き負担を減らすことにつながります。

死後事務委任契約とは、本人が亡くなった後の諸々の手続きや葬儀などを、第三者に代行してもらう契約のことです。

相続に関する孫のサポートも依頼しておけば、孫も手続きが楽になります。

死後委任事務契約で必要な費用は、依頼する手続きの範囲や葬儀の内容などによって異なります。

契約をする前に、見積もりを出してもらって検討しましょう。

6-2. 子が相続放棄した場合、孫は代襲相続できる?

相続放棄とは、被相続人の財産を相続する権利をすべて手放すことを指します。

預貯金や不動産などプラスの財産を相続できなくなる代わりに、借金・債務などのマイナス財産を相続せずに済むのがメリットです。

しかし相続放棄をすると、代襲相続はできなくなります。

孫がたとえ相続したいと思っても、親である子供が相続放棄をすると、代襲相続は不可能です。

また、相続放棄はいったん受理されると、相当の事情がない限り撤回や取り消しはできません。

相当の事情とは、たとえばほかの相続人から騙されて、被相続人に膨大な借金があるといわれたのに、実際には借金はまったくなかったなどのケースです。

相続放棄をすると相続人としての資格を回復させることはかなり難しいため、慎重な判断が必要です。

7. まとめ

孫が相続をする3つのパターンや基礎控除額、法定相続分と遺留分などについて解説してきました。

孫が相続人となるケースは、代襲相続をする場合・遺贈をする場合・養子縁組をする場合の3つのパターンがあります。

法定相続分や遺留分が認められているため、被相続人が亡くなったことによる生活の困窮を防ぐ配慮がされているといえます。

相続に関して孫に負担を掛けないようにするには、生前贈与をする・死後委任事務契約を結ぶといった対策が有効です。

税理士や弁護士などの専門家に相談してみるのも良いでしょう。

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日本クレアス税理士法人 相続サポート

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