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ーコラムー
相続税の申告手続き
税理士監修記事

相続税の申告手順を7ステップで解説!手続き全体の流れを整理しよう

公開日:2023.7.27 更新日:2023.08.02

「相続税の申告はどんな手順・方法で行うの?」「申告に必要な書類は何?」

これから相続税申告をする方で、このような疑問をお持ちの方も多いでしょう。

相続税の申告期限は「被相続人が亡くなったことを知った日の翌日から10ヶ月以内」と定められており、合計7ステップで進めていくことになります。

「10ヶ月なら時間は十分ある」と思う方もいますが、実際に行うことは多く時間的な余裕がなくなるケースもあるので要注意です。

本記事では相続税申告の全体の流れ、具体的な申告手順、必要となる書類などについて解説します。

相続税申告の手順を知りたい方はぜひチェックしたうえで、期限までに適切な申告をしましょう。

1. 相続税の申告手続きにおける全体の流れ

相続税の申告は、被相続人の死亡を知った日の翌日から10ヶ月以内が期限となっています。

遺産が何かを整理する、遺産分割協議をするなどのステップを踏んだうえで、相続税を申告する流れです。

この10ヶ月間全体で行う手続きを下記の表にまとめました。

<相続税申告の全体の流れ>

期限(被相続人の死亡から) 手続き 詳細
1週間以内 市町村へ死亡届の提出
2ヶ月 遺言書の確認・相続人の特定 ・遺言書の確認と検認手続き
・金融機関へ届出をする
2ヶ月 財産目録の作成 ・被相続人の遺産を探す
・金融機関のリストアップと残高照会
3ヶ月 遺産継承・放棄の判断 相続放棄や限定承認をする場合、 3ヶ月以内に被相続人住所地の管轄裁判所に申述する
4~9ヶ月 遺産分割協議・協議書の作成 ・遺言書がある場合は遺言書の内容に基づいて分割する ただし、遺留分の侵害がないかを要確認
・遺言書がない場合は、法定相続人全員で協議を行う
10ヶ月 相続税の申告 ・申告期限:被相続人の死亡を知った日の 翌日から10ヶ月以内
・申告場所:被相続人の住所地の管轄税務署へ 相続人が共同して提出する

被相続人が死亡してからまず行うのは、市町村へ死亡届を提出することです。

死亡届は被相続人が死亡してから1週間以内に提出する必要があり、期限が短いので注意しましょう。

また、被相続人が利用していた金融機関に、死亡したことを届け出ることも必要です。

被相続人が亡くなってから2ヶ月を目処に、誰が相続するか・相続できる財産が何かを確定し、財産目録としてまとめます。

財産目録の作成のため、遺品を探したり、生前に取引をしていた銀行や証券会社の残高を調べたりしましょう。

遺産は現金や不動産だけでなく、借金などマイナスの財産も含まれます。

借金の相続を回避するため、相続放棄または限定承認をする場合、3ヶ月以内に手続きをする必要があります。

作成した財産目録をもとに、相続するか放棄するかを決定しましょう。

続いて、相続税申告を行うまでの4~9ヶ月間で、遺産分割協議を開いて分割方法を決めます。

この協議では法定相続人全員が参加し、どの遺産をどのように分割するかを決定します。

遺言書があれば原則としてその内容に従うことになりますが、ない場合は協議して決める必要があります。

遺産分割協議は揉めるケースも多く、時間がかかると想定しておくとよいでしょう。

遺産分割協議が決着したら遺産分割協議書として書類に残します。

遺産分割の方法が確定次第、申告に必要な書類を取り寄せて、申告書の作成を行います。

相続税の申告書が完成したら、税務署に提出をして申告は完了です。

2. 相続税申告の手順|7ステップで申告完了

相続税申告は、下記7つのステップで進めていきます。

  1. 法定相続人を確定させる
  2. 相続財産をすべてまとめる
  3. 相続税がかかるか・申告が必要か確認する
  4. 相続税の申告書を入手する
  5. 申告に必要な書類を収集する
  6. 相続税の申告書を作成する
  7. 提出期限内に申告書を提出する

下記では1つずつ、詳しく解説していきます。

2-1. 法定相続人を確定させる

相続税申告の第1ステップは、誰が法定相続人なのかを確定させることです。

被相続人の財産を相続できることが法律によって決まっている人のことを、法定相続人と呼びます。

法定相続人を確定させる理由は、遺産分割協議に参加する人を決める必要があるからです。

遺産分割協議では、法定相続人が全員参加する必要があるため、すべての法定相続人を確定させなくてはなりません。

法定相続人は、次の順序で決定されます。

相続順位

たとえば、被相続人の配偶者と子どもが存命の場合、配偶者と子どもだけが法定相続人となります。

もし配偶者がすでに亡くなっているなら、法定相続人は子どものみです。

子どもがすでに死亡している場合の法定相続人は孫となり、これを代襲相続と呼びます。

なお、子・孫も亡くなっている場合、ひ孫が法定相続人となる場合もあります。

また被相続人に子どもや孫がいない場合、父母が法定相続人となり、父母も死亡している場合は祖父母が法定相続人になります。

なお、配偶者の父母や祖父母については、法定相続人になることはできません。

父母も祖父母もいない場合は兄弟姉妹が法定相続人で、兄弟姉妹も死亡している場合は甥や姪が法定相続人となります。

このようにケースによって、法定相続人は異なりますので注意しましょう。

2-2. 相続財産をすべてまとめる

法定相続人を確定させたら、次に相続財産をすべてリストアップしていきます。

相続財産には以下の4種類があります。

  • プラスの財産
  • マイナスの財産
  • 非課税財産
  • みなし相続財産

財産というと現金・株式・土地・建物などをイメージする方が多いでしょう。

金銭的に見積もることができる価値があるものは、ほぼすべて「プラスの財産」として相続の対象になります。

その他にも、ゴルフ会員権、場合によってはヘソクリなどもプラスの財産としてカウントされます。

物体として経済的価値を持つものが中心ですが、著作権などの知的財産権、機械や棚卸し商品などの事業用財産などもプラスの財産となりますので注意しましょう。

相続での財産とはプラスの財産だけではなく、マイナスの財産も含まれます。

マイナス財産の具体例として、借入金などの負債、債務者の連帯保証人になっているなどの「保証債務」などが挙げられます。

想定していなかった借金などが判明すると、相続の判断に時間がかかってしまうため、できるだけ被相続人が亡くなる前に確認を取るとよいでしょう。

なお近年は、田舎で駅から遠いなど、売却が難しかったり買い手がつかなかったりする物件が問題になることがあります。

相続人にとってはまったく価値がないと感じられるケース(負動産)もありますが、土地や建物として存在する限り、客観的な数字で財産価値を数値化できます。

よって価値の低い物件でも、借金などとは違いマイナス財産として取り扱うことはできません。

3つ目のみなし相続財産とは、本来の相続財産には該当しないものの、財産が移転するという点から相続財産とみなされる財産が該当します。

具体的には、被相続人が死亡したことで受け取る生命保険金などの財産のことです。

また、亡くなった後に勤めていた会社から受け取る死亡退職金も、みなし相続財産に含まれます。

みなし相続財産は、相続放棄をしても受け取れるのも特徴です。

たとえば借金などについては相続放棄をしたうえで、生命保険金や死亡退職金を受け取ることができます。

相続税が非課税となる財産もあり、主に「墓地・墓石・庭内神し」・「相続人が寄付した財産」「生命保険」・「死亡退職金」の4つが該当します。

みなし相続財産でもある生命保険や死亡退職金は、遺族の生活を支えるお金として重要ということもあり、非課税枠が設けられています。

双方とも、500万円×法定相続人の数が非課税枠となります。

2-3. 相続税がかかるか・申告が必要か確認する

相続をすると必ず相続税が発生するということではありません。

相続税がかかるのは、相続財産が基礎控除額を超えた場合です。

<相続税の基礎控除額の計算式>

「3,000万円+(600万円×法定相続人の数)」

たとえば法定相続人が3人の場合、3,000万円+1,800万円=4,800万円です。

財産がこの金額を超える場合は相続税がかかるため、申告が必要になります。

また、相続税に関する特例や税額控除を使って非課税になる場合でも、申告が必要となるケースがあります。

特例や控除の具体例は「小規模宅地等の特例」や「配偶者控除」です。

「小規模宅地等の特例」は被相続人の自宅や店舗などの土地評価額を大きく下げることができる制度です。

ただし、この特例を適用させるには相続税の申告を行うことが条件となっているため、無申告ではできません。

「配偶者控除」の制度では、配偶者が相続する財産が1億6,000万円以下の場合、相続税は発生しない仕組みとなっています。

また、1億6,000万円を超えた場合も、民法の法定相続分の範囲内なら相続税がかかりません。

この配偶者控除を適用させる場合は、相続税がかからない場合でも申告が必要となりますので注意しましょう。

2-4. 相続税の申告書を入手する

相続税の申告が必要だと分かったら、申告書のフォーマットを入手します。

入手方法は以下の2つです。

<相続税申告書の入手方法>

全国どの税務署でも、同じ書式を受け取ることができますので、自宅や職場などの近くにあるなら利用するのもよいでしょう。

ただし、書式に記入した後は「被相続人の住所を管轄する税務署」に提出する必要があります。

「相続人の住所を管轄する税務署」ではないことに注意しましょう。

税務署が近くにない、税務署が開いている時間に訪問することが難しいといった場合は、PDFファイルを入手する方法が便利です。

書式は第1表から15表までありますが、すべてを作成する必要はありません。

自分が利用したい特例や税額控除などに応じて、必要な部分を作成することになります。

2-5. 申告に必要な書類を収集する

相続税の申告に必要な書類の代表例は下記のとおりです。

<相続税申告に必要な書類の例>

種類 概要
本人確認書類の写し マイナンバーカード(個人番号カード)【裏面】
・通知カード
・住民票の写し(マイナンバーの記載があるものに限る)
一般の書類 ・被相続人の全ての相続人を明らかにする戸籍の謄本(相続開始の日から10日を経過した日以後に作成されたもの)
・図形式の法定相続情報一覧図の写し(子の続柄が実子または養子のいずれであるかが分かるように記載されたものに限る) 被相続人に養子がいる場合には、その養子の戸籍の謄本又は抄本の提出も必要
配偶者の税額軽減のための書類 ・遺言書の写しまたは遺産分割協議書の写し
・相続人全員の印鑑証明書(遺産分割協議書に押印したもの)
期限内に遺産分割ができない場合の書類 ・申告期限後3年以内の分割見込書

このほかにも必要書類がいくつかありますので、知りたい方は以下の国税庁の公式ホームページで確認してみてください。

国税庁 公式ホームページ

2-6. 相続税の申告書を作成する

申告書や申告に必要な書類を入手したら、いよいよ申告書の作成を始めます。

第1表から記入していく方が多いですが、実際には以下の順番で進めます。

<相続税申告書の記入手順>

  1. 第9表から第15表のうち必要部分を作成する
  2. 第1表と第2表を作成する
  3. 第4表から第8表のうち必要部分を作成する

最初に手をつけるのは第9表から第15表です。

その理由は、財産価格と非課税財産を明らかにするためです。

第9表は生命保険金の明細、第10表は退職手当金の明細、第11表は小規模宅地等の特例などを記入していきます。

第13表は債務や葬式費用の明細、第14表は相続開始3年以内の贈与財産、第15表は相続財産の種類ごとの明細です。

次に入力するのは第1表の「相続税の申告書」と第2表の「相続税の総額の計算書」です。

第1表では、以下のような項目を記入していきます。

<第1表において記入する事項>

  • 取得財産の価額
  • 債務および葬式費用の金額
  • 法定相続人の数
  • 相続税の総額
  • 配偶者の税額軽減額
  • 申告納税額

取得財産の価額を入力し、各法定相続人の税額を計算します。

税額控除などを適用させ、最終的に納税する額を記入していく流れです。

計算ミスがないように作成していきましょう。

最後に第4表から第8表で、税額控除の額を計算する書類をまとめます。

税額控除、配偶者の税額軽減、未成年者控除額などの計算書がありますので、該当するものを作成していきましょう。

2-7. 提出期限内に申告書を提出する

申告書の作成がすべて完了したら、税務署へ書類を提出しましょう。

提出先は、被相続人の住所を管轄している税務署です。

相続人自身が住んでいる地区の税務署ではないので、間違えないようにしてください。

たとえば被相続人の住所が東京都杉並区の荻窪地区であれば、荻窪税務署が提出先となります。

地域を管轄する税務署は、国税庁のホームページで、郵便番号・住所・地図から調べることが可能です。

相続税の申告期限は、被相続人の死亡を知った日の翌日から10ヶ月間です。

たとえば2023年5月10日に知った場合は、5月11日から10ヶ月後のため、2024年3月10日までです。

提出期限日が土日の場合は、週明けの月曜日、 祝日であれば翌日になります。

期限に間に合うように作業を進めていきましょう。

3. 相続税の申告手順についてよくある質問

相続税の申告は手順が多く複雑なため、質問や疑問のある方も多いようです。

そこでここからは、相続税の申告手順についてよくある質問と回答を紹介します。

3-1. 相続税の申告はどんな場合に不要?

相続税の申告が不要なのは、以下2つのケースです。

<相続税の申告が不要なケース>

  • 相続税がかからないケース
  • 特定の特例を利用して、非課税になるケース

相続税が発生しないケースは、まず相続財産が基礎控除額を超えない場合です。

基礎控除は、3,000万円+(600万円×法定相続人の数)で計算され、たとえば法定相続人が1人なら基礎控除は3,600万円です。

この場合、相続財産が3,600万円以下なら相続税は発生せず、相続税の申告も必要ありません。

2つ目のケースは、特例や控除の制度を適用させて非課税になるケースです。

たとえば「小規模宅地の特例」や「配偶者控除」を利用した結果、相続税が0円になることもあります。

ただし、これらの制度の利用で非課税になる場合、適用させるには相続税の申告が必要です。

1つ目のケースと違い、無申告では適用させることができない点に注意しましょう。

3-2. 事前に行っておくべきことはある?

申告の手順を進める前にやっておくべきことは、下記の3つです。

<相続税申告において事前に行うべきこと>

  • 全体のスケジュールや期限を把握する
  • 相続税がかかるかを確認
  • 遺言書があるかを確認

まず重要なのは、全体のスケジュール・流れを把握しておくことです。

相続税関連の手続きの中には、期限が設定されているものもありますので、事前に知っておかないと後悔するかもしれません。

たとえば借金などでもしかしたら相続放棄をするかもしれないと考えた場合、3ヶ月以内に手続きする必要があると知っておくと、適切な対応が取れるでしょう。

2つ目に、大まかでよいので、相続税が発生しそうかを計算しておきましょう。

先ほど解説したとおり、相続財産が基礎控除額を超えなければ、申告をする必要はありません。

被相続人の預金など、どのような財産がいくらぐらいあるのかを確認することで、相続税が発生しそうかを判断できます。

生前の段階から被相続人に直接聞くなどして、できるだけ財産状況を把握しておきましょう。

3点目として遺言書があることを事前に確認できていれば、遺産分割協議などもスムーズに進みますので、被相続人に確認しておきましょう。

ただし、遺言書を勝手に開封してしまうのはNGです。

公正証書遺言でない場合、開封する際に「検認」というステップが必要になります。

検認の手続きは家庭裁判所で行いますので、相続人だけで行うことはできません。

さらに、遺言書の内容を改ざんしたり廃棄したりすると、相続人としての地位を失うことになりますので注意しましょう。

3-3. 税務署からお尋ねが届いた場合はどうすればいい?

被相続人が亡くなってから半年後くらいに、税務署から「相続税についてのお知らせ」や「相続税の申告書についてのご案内」などが送付される場合があります。

相続税について考えてもいなかった方がいきなり書類を目にすると、驚いてしまうかもしれません。

しかし、これらの書類は相続税について違反しているから届くということではないので、落ち着いて内容を確認しましょう。

書類には「相続税について認識していますか?」「相続税が発生する可能性があるので連絡してください」といった内容が記載されています。

税務署から書類が届いたら、相続税を申告する必要があるかを改めて判断しましょう。

4. まとめ

相続税の申告手順、必要な書類について解説してきました。

7ステップを再度おさらいしておきましょう。

  1. 法定相続人を確定させる
  2. 相続財産をすべてまとめる
  3. 相続税がかかるか・申告が必要か確認する
  4. 相続税の申告書を入手する
  5. 申告に必要な書類を収集する
  6. 相続税の申告書を作成する
  7. 提出期限内に申告書を提出する

申告期限はおよそ10ヶ月後と余裕があるように思えますが、申告で必要となる書類は非常に多く、作成には時間がかかります。

手順をあらかじめ把握しておき、スムーズに進められるよう対策をしておくことが重要です。

自分では無理と判断したら、税理士に依頼するのもよいでしょう。

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