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ーコラムー
相続税の控除と特例
税理士監修記事

相続税の「配偶者の税額の軽減」とは?

公開日:2018.10.1 更新日:2023.07.02

我が国では社会保障上で配偶者が色々と優遇されることが多いですが、税分野でも負担が軽くなる制度が各種用意されています。

相続税方面では「配偶者の税額軽減」という制度によって、税負担を大きく減らすことができるようになっています。

今回は配偶者だけに用意された相続税の税額軽減の措置について解説します。

目次

1.「配偶者の税額の軽減」とは?
  1.1.制度のデメリットも理解し、相続人の了解を得ておく
  1.2.生前贈与は別の方法で行う
  1.3.相続税が発生して発覚した内緒の贈与
  1.4.相続税が発生して発覚した内緒の贈与
2.どのような人が「配偶者の税額の軽減」を受けられるのか?
3.「配偶者の税額の軽減」を使うときの留意点
4.まとめ

「配偶者の税額の軽減」とは?

「配偶者の税額の軽減」とは?

この制度は、被相続人の配偶者が相続によって取得した正味の財産が「1億6千万円」または法定相続分」のどちらか大きい額までは相続税がかからないという制度です。

夫婦はともに助け合いながら生活し、財産を形成していきます。もしご主人が亡くなってしまわれた場合、残された配偶者である妻のその後の生活を保障する必要がある、という背景からこの制度は存在しています。

さて、この制度の基本的な考え方としては、まず配偶者の相続財産が1億6千万円に収まるかどうかを考え、これを超えるようであれば次に法定相続分に収まるかどうかという順で考えると分かりやすいかと思います

配偶者の法定相続分はケースごとに以下のようになります。

①相続人が配偶者と子のケース

配偶者=二分の一 子=二分の一

②相続人が配偶者と直系尊属(父母、祖父母等)のケース

子はいませんが、直系尊属にあたる父母、祖父母等がいるケースです。この場合の法定相続分は、
配偶者=三分の二 直系尊属=三分の一 となります。

③相続人が配偶者と兄弟姉妹のケース

子と直系尊属(父母、祖父母等)はいませんが、兄弟姉妹がいるケースの法定相続分は
配偶者=四分の三 兄弟姉妹=四分の一 となります。

④相続人が配偶者のみのケース

配偶者=100% 上記④の場合、配偶者が全ての遺産を承継するので、法定相続分=遺産の全額です。

従ってどんなに高額の相続財産を承継しても相続税はかからないことになります。

ただし、配偶者以外にも相続人がいて、その者が相続放棄をした結果、相続人が配偶者のみになったとしても、法定相続分の計算は当該相続放棄前の人数で計算することになる点は注意が必要です。


さてここまでで、相続税の「配偶者の税額の軽減」には大きなメリットがあることがわかりました。

しかしながら、このメリットを享受できるには一定の条件を満たさなければなりませんし、また、留意点もいくつかあります。大きな額の控除を受けられる制度ですが、誰しもがあらゆる状態で受けることができる控除ではありません。

こちらでは「配偶者の税額の軽減」を受けるための条件を整理して確認していきましょう。

どのような人が「配偶者の税額の軽減」を受けられるのか?

どのような人が「配偶者の税額の軽減」を受けられるのか?

相続税の「配偶者の税額の軽減」を利用するにはいくつか条件があります。

まず、婚姻届を役所に提出し、法律上の婚姻をしている配偶者でなければならないので、内縁の妻などは利用することができません。

また相続税の申告書を税務署に提出しなければならないので、例え特例を利用した結果税額が0円になったとしても、申告自体は行う必要があります。 また、特例の適用があるのは原則として相続税の申告期限までに遺産分割が確定した財産だけで、未分割の財産には原則として適用がありません。

ただし、申告期限から3年以内に分割が確定した財産には事後的に適用を受けることが可能です。

この場合、当初の期限までの確定申告の際に「申告期限後3年以内の分割見込書」を添付しておき、当該期限後3年以内の分割終了日の翌日から4か月以内に更正の請求を行う必要があります。


もし期限後3年以内に分割が終了しない場合、裁判で係争中などやむを得ない事由があれば税務署長の承認を得る一定の手続きを取ったうえで、事後的に適用を受けることができます。

この場合、やむを得ない事由が止んだ日の翌日から4か月以内に更正の請求を行う必要があります

救済措置はこのように二段階に分かれていますが、期限後3年以内に分割が終了しない場合の二段階目の救済は税務署長の承認が必要になるので、必ず認められるとは限らない点に注意してください。

「配偶者の税額の軽減」を使うときの留意点

以上見てきたように、配偶者は非常に大きな減税枠を利用できるので、配偶者の負担だけを見ればメリットしかないように思えます。しかし二次相続のことを考えると、不用意に利用すると家族全体としてはかえって税負担が大きくなってしまう可能性があります。

二次相続とは、最初の相続の次に起こる相続のことです。

例えば父母と子がいる家庭で、父が死亡した際(一次相続)に母に遺産を集中させ、税額軽減を利用して相続税の負担を免れたとしましょう。

年齢的に次に死亡するのは母ですから、母が死亡した際(二次相続)には、母が残す相続財産は母固有の資産に加えて父から引き継いだ多額の遺産が上乗せされている状態です。

その多額の遺産を子が一手に引き受けることになりますが、この時母に配偶者がいないので配偶者の税額軽減を利用することはできません。

また母が死亡し相続人が減っていますから、基礎控除の枠も小さくなっています。

一次相続で配偶者の税額軽減を目いっぱい使ってしまうと二次相続では相続人の相続税負担が大きくなる危険があるため、この点を考慮して一次相続での遺産の配分は慎重に考える必要があります。

また上述したように一定の救済措置はあるものの、原則として相続税の申告期限までに分割が確定した相続財産だけが特例の適用を受けられるので、できるだけ期限までに遺産分割協議を終えることができるよう、スムーズな協議進行を目指す必要があります。

まとめ

今回は配偶者だけが利用できる相続税の軽減措置「配偶者の税額の軽減」について見てきました。

相当大きな減税枠を利用できるので必ず利用を検討すべきですが、二次相続の際の税負担のことを考えて運用する必要があるので、目いっぱい利用すれば良いというものではないことに注意が必要です。

また法律婚をしている配偶者でなければ利用できないことと、原則として相続税の申告期限までに分割が確定した相続財産だけが適用の対象になることにも留意してください。

二次相続を考えた遺産の分配については将来の相続も合わせて考える必要があるので、より有利に事を運べるように税理士のアドバイスを受けると安心です。

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