贈与税

結婚祝いやご祝儀に贈与税はかかる?非課税になる条件と注意点を税理士が解説

監修

中村亨

日本クレアス税理士法人 代表 税理士 公認会計士

結婚祝いやご祝儀として、両親や親族からまとまった金額を受け取ると
「これって贈与税がかかるのでは?」と不安になる方は少なくありません。

結論からいうと、結婚祝いやご祝儀は、社会通念上相当な金額であれば原則として贈与税は非課税です。

ただし、
・高額な資金援助を受けた場合
・会社や取引先から多額のお祝い金を受け取った場合
・受け取り方や名義、用途によって
贈与税や所得税の課税対象になるケースもあります。

この記事では、相続・贈与を専門とする税理士の視点から
・結婚祝いやご祝儀が非課税になる理由
・贈与税がかかってしまう具体的なケース
・両親や祖父母から結婚資金を援助してもらう際の節税方法
をわかりやすく解説します。

結婚を控えている方、家族から資金援助を受ける予定がある方は、ぜひ最後までご覧ください。

 

1. 結婚祝いやご祝儀は基本的に贈与税は非課税

1. 結婚祝いやご祝儀は基本的に贈与税は非課税

贈与税とは、1月1日から12月31日までの期間110万円以上の財産を受け取った場合にかかる税金です。

結婚祝いやご祝儀として、両親や親族などから、多いと数百万円という金額を受け取る方もいるため、贈与税がかかると考えられがちです。

しかし実際には、社会通念上の範囲内に収まる金額であれば、結婚祝いやご祝儀に贈与税がかかることはありません。

結婚祝いやご祝儀は、基本的に贈与税が非課税になると覚えておきましょう。

2. 結婚祝いやご祝儀に贈与税が発生してしまうケース

2. 結婚祝いやご祝儀に贈与税が発生してしまうケース

結婚祝いやご祝儀は贈与税が「非課税」となると説明しましたが、以下に該当する場合に贈与税が発生します。

  • 「社会通念上相当」以上の結婚祝いやご祝儀をもらった
  • 会社から結婚祝いやご祝儀を多くもらった
  • 個人事業主や会社として結婚祝いやご祝儀をもらった

1つ1つ理由などを説明します。

2-1. 「社会通念上相当」以上の結婚祝いやご祝儀をもらった

「社会通念上相当」以上の結婚祝いやご祝儀をもらった場合は、贈与税の課税対象となる場合があります。

たとえば

  • ご祝儀で100万円を受け取った
  • 数千万円の挙式費用を親に支払ってもらった

などが該当すると考えられます。

結婚のお祝いだとしても、社会通念上相当以上の金額を受け取った場合は、贈与税が発生するので注意しましょう。

2-2. 会社から結婚祝いやご祝儀を多くもらった

会社から受け取る金銭は「所得税」がかかりますが、結婚祝いやご祝儀の場合は「社会通念上相当額」であれば課税されません。

しかし、勤め先の会社から100万円のご祝儀をいただいたなどの場合は課税される可能性があります。

また勤め先の会社から多額の結婚祝いやご祝儀をもらった場合は「給与」の扱いとなり、贈与税ではなく「所得税」「住民税」がかかる場合があります。

気になる方は、一度税理士に相談してみましょう。

2-3. 個人事業主や会社として結婚祝いやご祝儀をもらった

個人事業主や会社として、取引先などから結婚祝いやご祝儀を受け取った場合には、課税対象となります。

受け取った金額の計上方法は以下のとおりです。

  • 個人事業主:「事業収入」として計上
  • 会社:「雑所得」として計上

個人事業主や会社として結婚祝いやご祝儀をもらったときは、課税対象となるため収入に計上することを忘れないようにしましょう。

なお、個人事業主であっても、一般的な範囲内での親族・友人などからのご祝儀であれば、贈与税がかかることはありません。

3. 両親や祖父母から結婚資金を援助してもらう場合は?

3. 両親や祖父母から結婚資金を援助してもらう場合は?

両親や祖父母から結婚資金を援助してもらう場合に、どのようなところを注意すればよいのでしょうか。

  • 結婚・子育て資金の一括贈与に係る贈与税の非課税制度を利用しよう
  • 結婚式の費用を直接支払ってもらった場合も非課税
  • 銀行振込の場合には課税されることもあるので注意

ポイントも併せて1つ1つ解説します。

3-1. 結婚・子育て資金の一括贈与に係る贈与税の非課税制度を利用しよう

「結婚・子育て資金の一括贈与にかかる贈与税の非課税制度」という特例があります。

これは、一定の要件を満たせば、結婚・子育て資金の支払いに充てた資金の贈与税が非課税になる制度です。

この非課税制度を利用するために必要な要件は、以下のとおりです。

要件

内容

適用対象者

贈与者:父母・祖父母など(直系尊属)

受贈者:18歳以上50歳未満の子・孫など(直系卑属)かつ、前年の合計所得金額が1000万円以下。

適用対象となるもの

挙式費用、新居の住居費、引っ越し費用など

特例を受けられると、受贈者1人につき300万円までは非課税になります。

適用対象のものがあれば、忘れずに申請を行いましょう。

3-2. 結婚式の費用を直接支払ってもらった場合も非課税

親や祖父母に、結婚式の費用を直接払ってもらうと非課税となります。

親や祖父母からお金を受け取ると贈与税がかかる可能性もでてきますが、直接支払ってもらった場合には課税の心配はありません。

しかし、数千万円の挙式代を支払ってもらうなど、一般的な挙式にかかる費用より大幅に高い金額だと課税される可能性もありますので注意しましょう。

3-3. 銀行振込の場合には課税されることもあるので注意

銀行振込の場合、記録が残るため課税されることがあります。

しかし「結婚・子育て資金の一括贈与にかかる贈与税の非課税制度」を活用して、「結婚・子育て資金非課税申告書」や「領収書」などの必要な書類を提出すれば非課税となります。

気になる方は、国税庁のホームぺージを確認してみましょう。

参考元:国税庁「直系尊属から結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の非課税」

また、記録が残らないようにお祝いは直接の受け渡しも検討しましょう。

4.よくある質問(FAQ)

結婚祝いが110万円を超えたら必ず贈与税がかかりますか?

必ずしもかかるわけではありません。社会通念上相当な結婚祝いであれば非課税ですが、高額になるほど説明が必要になります。

親から100万円の結婚資金援助を受けるのは問題ありますか?

結婚費用として一般的な範囲内であれば、課税されないケースが多いです。用途を明確にしておくことが重要です。

現金手渡しなら贈与税はバレませんか?

現金でも贈与税の対象になることがあります。記録が残らなくても、税務調査で判明する可能性はあります。

結婚後にもらったお祝い金はどうなりますか?

結婚祝いとしての性質が認められれば非課税ですが、結婚から時間が経過している場合は贈与と判断される可能性があります。

5. ご祝儀や結婚祝いに贈与税は非課税だが注意も必要

4. ご祝儀や結婚祝いに贈与税は非課税!

結婚祝いやご祝儀は、原則として贈与税は非課税です。

しかし、
・金額が高額すぎる
・会社や取引先からの支給
・使途が不明確
といった場合には、課税対象になる可能性があります。

少しでも不安がある場合は、
相続・贈与に詳しい税理士へ事前に相談することが、トラブルを防ぐ最善策です。

クレアス相続では、結婚資金の贈与や将来の相続を見据えたご相談も承っております。
お気軽にご相談ください。

監修

中村亨

日本クレアス税理士法人 代表
税理士
公認会計士

2002年8月に会計事務所として創業、2005年には税理士事務所を開業し、法人や個人のお客様の会計・税務の支援をする中で、「人事労務の問題を相談をしたい」「事業承継を検討している」といったお客様のニーズに応える形でサービスを拡大し続け、現在では社会保険労務士法人など複数の法人からなるグループ企業に成長してきました。お客様に必要なサービスをワンストップで提供できることが当社の強みです。

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