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事例・ケーススタディ CASE STUDY

「家なき子」の相続~小規模宅地等の特例の活用

家族構成

  • 母(被相続人)
  • 長男(法定相続人)

財産構成

  • 自宅土地   1億円
  • 自宅家屋     1,000万円
  • 預貯金    500万円

ご相談内容

都心に住む一人暮らしの母親に相続が発生しました。土地の評価額が想像以上に高く納税資金が足りません。何か適用できる特例はないでしょうか?とのご相談です。

相続人である長男は賃貸暮らしをしていました。

日本クレアス税理士法人の対応

ご長男は3年以上賃貸暮らしのため、「家なき子」に該当することをご説明。
その土地を相続税の申告期限まで保有し続けることで、土地の評価額は2,000万円となり、小規模宅地等の特例適用の申告書を提出することによって納税額は0円となりました。

ポイント

「小規模宅地等の特例」とは、亡くなられた方が所有していた居住用・事業用・貸付事業用の土地について、一定の条件に該当すれば、相続税評価額を減額してもいいという特例です。もっとも身近な居住用の特例では、土地の相続税評価額を80%減額させることができます。(限度面積は330㎡まで)参考:「小規模宅地等の特例とは?適用条件をわかりやすく解説

また、居住用の特例を受けられるのは「配偶者」「同居親族」「家なき子」に限られます。

ここでいう「家なき子」は、被相続人に配偶者や同居親族がいなかったこと、相続開始前3年以内に本人又は本人の配偶者の所有する家屋に住んだことがないこと等が条件となっています。つまり、基本的に賃貸暮らしをしていた相続人が、ご実家の土地を相続する際に適用を受けることができます。

今回のケースはシンプルな「家なき子」特例の活用ですが、明らかな節税を目的とした特例の利用が問題視され、平成30年の税制改正で改正が行われました。

子が孫に家屋だけを贈与することで、「家なき子」特例の適用を受けようとするもので、土地と違って家屋は評価額が低く、贈与税もさほど高額にならないので比較的簡単に贈与が可能です。また贈与後も子はそのまま住み続けられますので日常生活に不便も生じません。こういったケースは意図的な租税回避という事で改正が行われました。

また、被相続人が老人ホームに入居した場合においては、亡くなる直前に自宅に住んでいない場合でも、小規模宅地等の特例を適用できるようになる緩和も行われています。


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