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ーコラムー
不動産の相続
税理士監修記事

小規模宅地等の特例とは?適用条件や同居要件をわかりやすく解説

公開日:2023.5.29 更新日:2023.05.29

土地の資産価値は高いため、遺産に土地がある場合には財産価額が高くなる傾向があります。

財産価額が高くなると相続税も高くなるため、土地の評価額は相続税額を大きく左右する要因です。

実は相続税には特例が設けられており、小規模宅地等の特例を利用することで土地の評価額を大幅に下げることができます。

そこで本記事では小規模宅地等の特例について、適用要件や同居要件を中心に解説します。

計算方法や注意点も紹介しますので、小規模宅地等の特例について詳しく知りたいという方はぜひご覧ください。

※本記事は執筆時点の法律に基づき説明しております。

1.小規模宅地等の特例とは?

小規模宅地等の特例とは、土地を相続した場合に条件を満たすことで利用でき、最大で80%土地の評価額を減額できる特例です。

相続税は総財産の評価額に対し税率を乗じて算出するため、土地の評価額が80%減額できれば相続税も大幅に減額できます。

<小規模宅地等の特例が利用できる土地の種類>

  • 自宅用の土地(特定居住用宅地等)
  • 貸付用の土地(貸付事業用宅地等)
  • 貸付以外の事業用の土地(特定事業用宅地等、特定同族会社事業用宅地等)

小規模宅地等の特例適用には条件があり、土地の種類や用途によって異なるため注意しましょう。

1-1.小規模宅地等の特例が出来た背景

一般的な家庭を考えると、相続における財産の中で「自宅」の割合はとても高くなります。

自宅を相続するにあたって、相続税を支払うために自宅を売却せざるを得ないというのでは、住む場所を失う人がたくさん出てしまいます。

そこで「自宅を相続税によって手放さない」ために、「自宅にかけられる相続税を低くする」ことが求められた結果、小規模宅地等の特例ができたのです。

1-2.小規模宅地等の特例を適用するメリット

小規模宅地等の特例を適用するメリットは3つあります。

  • 土地にかかる相続税を大幅に減額できる
  • 自宅を手放さずに済む
  • 相続後も今までと同じ環境で生活できる

土地にかかる相続税を最大で80%減額できることは、小規模宅地等の特例の最大のメリットでしょう。

たとえば1億円の土地を相続した場合、土地の価値は変わらないにも関わらず、評価額を2,000万円まで下げることができます。

このように土地の評価額が大幅に下げられることで、相続税によって自宅を手放すこともなくなり、相続後も今までと同じ環境で生活ができます。

2.自宅用の土地に小規模宅地等の特例を適用する条件

自宅用の土地に特例を適応するためには、被相続人が生前に自宅の敷地として利用していたことが前提となります。

また小規模宅地等の特例の適用条件は、土地を取得する相続人によって異なります。

  • 配偶者
  • 同居親族
  • 同居親族以外

1つずつ解説します。

2-1.配偶者は土地を取得するだけで特例適用になる

配偶者が自宅用の小規模宅地等の特例を適用する場合の条件は2つあります。

<配偶者が相続する場合の適用条件>

  • 対象の土地は被相続人が住んでいた自宅の敷地であること
  • 対象の土地を相続するのが配偶者であること

つまり配偶者は自宅を相続するだけで、自宅用の小規模宅地等の特例が適用できます。

2-2.同居親族が相続する場合には居住継続が条件

被相続人と同居していた親族が、土地を相続する場合の条件は4つです。

<同居親族が相続する場合の適用条件>

  • 対象の土地は被相続人が住んでいた自宅の敷地であること
  • 対象の土地を相続するのが同居していた親族であること
  • 相続税の申告期限まで対象の土地を所有していること
  • 相続税の申告期限まで対象の土地の上にある建物に居住していること

同居人が相続する場合には、相続税の申告期限まで継続して居住していることが条件となります。

なお、相続税の申告期限は「被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10か月以内」です。

相続開始後10ヶ月以内に土地を売却すると、所有権が無くなりますので小規模宅地等の特例は適用できませんので注意しましょう。

2-3.被相続人が一人暮らしだった場合には同居以外の親族も適用可能

自宅の小規模宅地等の特例は、原則として同居親族が相続するのが条件です。

しかし被相続人が一人暮らしだった場合には、同居していない親族であっても特例を適用できる場合があります。

<同居以外の親族が相続する場合の適用条件>

  • 対象の土地は被相続人が住んでいた自宅の敷地であること
  • 対象の土地を相続するのが同居していない親族であること
  • 被相続人に配偶者がいない(死別・離別含む)こと
  • 相続開始前3年以内に日本国内にある取得者、取得者の配偶者、取得者の三親等内の親族又は取得者と特別の関係がある一定の法人が所有する家屋に居住したことがないこと(相続開始の直前において被相続人の居住の用に供されていた家屋を除く)
  • 相続開始時に取得者が、居住している家屋を相続開始前のいずれの時においても所有していたことがないこと
  • 対象の土地を相続開始時から相続税の申告期限まで有していること

基本的には同居親族以外は小規模宅地等の特例を適用できませんが、上記の条件を満たすことで土地の評価額を最大で80%減額できます。

3.小規模宅地等の特例の同居要件とは

前述の通り小規模宅地等の特例は、特定の条件を満たす場合を除き同居親族しか適用できません。

では、同居とは具体的にどのような状態を意味するのでしょうか。

3つのパターンを紹介します。

  • 別居中の配偶者
  • 高校生・大学生などで一人暮らししている子供
  • 成人後別の場所に住んでいる子供

3-1.別居中の配偶者

配偶者は別居状態であっても小規模宅地等の特例を受けることができます。

またその際、結婚してから間もない場合でも特例が適用できます。

3-2.高校生・大学生など別の場所に住んでいる子供

子供が親の自宅を相続する場合、子供が親と同居している場合(生計をともにしている場合)は、小規模宅地等の特例を受けることができます。

高校生や大学生などで仕送りを受けて別の場所で暮らしている場合は、生計を共にしているとみなされますので小規模宅地等の特例を受けることができます。

3-3.成人後別の場所に住んでいる子供

結婚等で親と別の場所で所帯をもって暮らしている場合や、仕事の関係で通勤に便利な場所にマンションを借りていて親と一緒に住んでいない場合を考えてみましょう。

これらの場合は仕送りをもらっている子どもとは異なり、生計をともにしているとみなされないため特例の対象にはなりません。

4.小規模宅地等の特例の計算方法について【自宅用の土地】

小規模宅地等の特例を適用すると土地の評価額を大幅に減額できます。

自宅用の土地の減額割合は最大で80%であり、適用面積には上限があります。

<小規模宅地等の特例の計算式>

1㎡あたりの土地の評価額×330㎡(※)×0.8=減額する金額 土地評価額-減額する金額=小規模宅地等適用後の土地評価額 ※実際の土地の面積が330㎡未満の場合には実際の面積

<自宅用の土地の計算例>

【1】土地の評価額の計算

1㎡あたりの評価額 10万円/㎡

土地面積 400㎡

土地の評価額 10万円×400㎡=4,000万円

【2】減額する金額の計算

10万円×330㎡×0.8=2,640万円

(実際の面積400㎡≧330㎡⇛330㎡が控除限度面積)

【3】土地の評価額から減額する金額を引いたものが「減額後の土地評価額」

4,000万円-2,640万円=1,360万円

相続税の最低税率は10%なため、2,640万円分土地の評価額が減少した場合、最低でも264万円分の相続税が節税できます。

5.小規模宅地等の特例適用時の注意点

小規模宅地等の特例を適用する場合には特定の条件を満たす必要がありますが、そのほかにも2つの注意点があります。

  • 土地のみが対象
  • 店舗兼住宅の場合、住宅部分のみが対象

1つずつ解説します。

5-1.土地のみが対象

自宅用の土地に小規模宅地等の特例を適用する場合、建物の名義が同居人の名義であっても特例の適用は可能です。

しかし小規模宅地等の特例の適用によって、建物本体の評価額は減額できません。

小規模宅地等の特例では、適用条件として土地上にある建物や名義が関係しますが、評価額は土地の部分しか減額できませんので注意しましょう。

5-2.店舗兼住宅の場合には住宅部分のみが対象

建物を店舗兼住宅として利用している場合、自宅として利用している部分のみが小規模宅地等の特例の適用対象となります。

たとえば店舗と自宅の割合が6:4の場合、自宅用の小規模宅地等の特例の対象となるのは自宅部分の4割のみです。

なお店舗部分に関しても条件を満たせば、ほかの小規模宅地等の特例を適用できます。

<店舗兼住宅の適用例>

全て居住用 事業用6:居住用4 全て事業用
特定事業用宅地等 該当なし 6割該当 10割該当
特定居住用宅地等 10割該当 4割該当 該当無

6.小規模宅地等の特例の併用は可能

小規模宅地等の特例は利用できる土地が3種類ありますが、条件を満たせば併用可能です。

具体的には自宅用以外にも、貸付事業用・特別事業用の特例措置が存在します。

6-1.貸付事業用の小規模宅地等の特例は200㎡まで

貸付用の小規模宅地等の特例の控除面積は200㎡が限度です。

土地評価額の減額割合は最大50%で、自宅用と併用する場合、限度面積は合算することになります。

<自宅用と貸付用の比較>

自宅用 貸付用
控除面積の限度 330㎡ 200㎡
減額割合 80% 50%
控除面積の計算 貸付用と合算 自宅用と合算

6-2.貸付以外の事業用の小規模宅地等の特例は400㎡まで

貸付以外の事業用の小規模宅地等の特例の控除面積は400㎡が限度です。

土地評価額の減額割合は最大80%で、自宅用とは別に限度面積が設けられています。

<自宅用と貸付以外の事業用の比較>

自宅用 事業用
控除面積の限度 330㎡ 400㎡
減額割合 80% 80%
控除面積の計算 自宅用単独 事業用単独

6-3.小規模宅地等の限度面積の計算式

小規模宅地等の特例は適用条件を満たす場合、複数の土地に対して適用できます。

ただ、限度面積は適用する特例の種類によって異なります。

①自宅用(特定居住用宅地等)

②貸付用(貸付事業用宅地等)

③特定用(特定事業用の宅地、特定同族会社事業用宅地等)

特例の適用を選択する宅地等 限度面積
貸付以外用(③)及び自宅用(①)(貸付用がない場合) ②≦400①≦330両方を選択する場合は、合計730㎡
貸付用(②)及びそれ以外の宅地等(①、③)(貸付用がある場合) ③×200/400+①×200/330 +②≦200

貸付用の小規模宅地等の特例を適用する場合、限度面積は合算します。

自宅用と特別事業用の場合には、それぞれの限度面積まで特例の適用が可能です。

7.小規模宅地等の特例の添付書類について

小規模宅地等の特例を適用する場合、相続税の確定申告書を申告期限内に提出して、初めて特例が適用できます。

また自宅用の特例適用にあたっては、適用する相続人や状況によって添付書類が異なります。

<共通する書類>

  • 戸籍謄本(被相続人と相続人の続柄が確認できる)
  • 遺産分割協議書の写し
  • 遺産分割協議書に押印した相続人等の印鑑証明書
  • マイナンバー(マイナンバーを有している場合)

<同居人が特例適用を受ける場合>

  • 住所が確認できる書類(マイナンバーを所有している場合は不要)

<同居人以外の相続人が特例適用する場合>

  • 住所が確認できる書類(マイナンバーを所有している場合は不要)
  • 相続開始前3年以内に居住していた家屋が、自己、自己の配偶者、三親等内の親族又は特別の関係がある一定の法人の所有する家屋以外の家屋である旨を証する書類 (住んでいるアパートの賃貸契約書など)
  • 相続開始の時において自己の居住している家屋を相続開始前のいずれの時においても所有していたことがないことを証する書類(住んでいるアパートの登記事項証明書など )

<被相続人が老人ホーム等に入居している場合>

  • 被相続人の戸籍の附票の写し(相続開始日以後に作成されたもの)
  • 施設への入所時における契約書の写しなど、被相続人が相続開始の直前において入居又は入所していた住居又は施設の名称及び所在地並びにその住居又は施設が次のいずれに該当するかを明らかにする書類

⇒いずれか該当する書類

・介護保険の被保険者証の写し

・障害福祉サービス受給者証の写し

・障害支援区分の認定を受けていたことを明らかにする書類

共通する書類にプラスして必要な書類が異なりますので、抜け漏れがないように注意しましょう。

8.小規模宅地等の特例についてよくある質問

小規模宅地等の特例についてよくある質問をまとめましたのでご覧ください。

  1. 遺産分割が間に合わない場合はどうしたらいい?
  2. 相続税の申告書はどこに提出するの?
  3. 被相続人が老人ホームに住んでたら特例は適用できない?

8-1.遺産分割が間に合わない場合はどうしたらいい?

小規模宅地等の特例は、期限内申告と遺産分割協議の完了が前提条件です。

ただ、申告期限内に遺産分割協議がまとまらず間に合わない場合には、「申告期限後3年以内の分割見込書」を相続税の申告書と提出することで期限を延長できます。

なお遺産分割が成立した場合には、速やかに更正の請求書(修正申告書)を提出する必要がありますので注意しましょう。

8-2.相続税の申告書はどこに提出するの?

相続税の申告書は、被相続人の住んでいる場所を管轄する税務署に提出します。

相続人が複数いる場合には連名で1つの申告書を作成して提出することになります。

なお、相続税の申告期限は相続が発生した日の翌日から10ヶ月以内です。

小規模宅地等の特例を適用する場合には、最初に誰が特例を適用できる相続人なのかを確認しましょう。

8-3.被相続人が老人ホームに住んでたら特例は適用できない?

自宅用の小規模宅地等の特例適用は、被相続人が亡くなる直前まで自宅の敷地として利用していないと特例適用はできません。

しかし、被相続人が老人ホームに入居した場合においては、亡くなる直前に自宅に住んでいない場合でも小規模宅地等の特例を適用できます。

ただし、要介護認定などの対象者であることが条件となります。

<認定条件(いずれかに該当)>

  • 要介護認定(介護保険法第19条第1項)
  • 要支援認定(介護保険法第19条第2項)
  • 介護保険法施行規則第140条の62の4第2号に該当
  • 障害支援区分の認定(障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律第21条第1項)

また、特例適用の対象となる施設は以下の通りです。

<特例適用の対象となる施設>

  • 養護老人ホーム
  • 特別養護老人ホーム
  • 軽費老人ホーム
  • 有料老人ホーム
  • 介護医療院
  • 高齢者向け施設(高齢者の居住の安定確保に関する法律第5条第1項に規定するサービス付き)
  • 障害者支援施設

また有償であっても無償であっても第三者への貸付は認められておらず、被相続人が老人ホームを退所した場合にすぐに戻れる自宅であることが特例の適用には必要です。

9.小規模宅地等の特例で土地の評価額が最大80%減額可能!

本記事でご紹介したように、土地を相続した場合に活用できる特例には細かい適用条件が設定されており、計算方法や提出書類も複雑です。

日本クレアス税理士法人にいただくご相談の中でも、土地や建物といった不動産の相続・贈与に関係するものは非常に多くあります。

当社では贈与などの生前対策から、発生した相続の申告はもちろん、申告した後のセカンドオピニオンまで幅広くサポートを行っています。

土地にまつわるものでは、他社で申告した相続に関するセカンドオピニオンの活用で相続の還付を受けたケースもあります。

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適用期限や範囲が変わる場合が多い特例については、相続の経験が豊富で最新動向を把握している専門家にご相談ください。

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日本クレアス税理士法人 相続サポート

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