家族信託は、不動産経営等の事業継承を考える上でも役立ちます。 ここでは不動産の管理に家族信託を取り入れるメリットを、具体例を交えながら説明していきます。
柔軟な継承先の指定
通常の遺言は、次の世代までの資産の継承が一般的です。 それを引き継いだ方がその先どのように資産を継承させていくかは、影響力が与えられていません。
しかし信託の仕組みを導入すると、継承先の指定が何世代にもわたって可能となります。 つまり、民法で決められている相続とは異なる形で、相続の順番や資産継承の将来を決めることができるのです。
不動産を管理する具体例
収益が出ているアパートを経営しているAさん。 しかしAさんは、高齢になり足腰も弱ってきたため外出もなかなかできなくなりました。
アパートの管理は管理会社と契約していましたが、清掃や契約書の確認、消防器具の点検等、アパートのオーナーもやることはたくさんあります。 Aさんのそのような様子を見て、長女が不動産の管理を行ってもよいと言い出しました。
そこでAさんとAさんの長女は家族信託契約を結びました。 委託者はAさんで、受託者は長女です。アパートの名義は長女にうつり、賃貸借契約や修繕の依頼等の契約も長女の名前で行うようになりました。
こうして長女が管理をするようになってから、色々な問題もスムーズに進みました。 修繕が必要なところを業者に見積もりを取らせて修繕し、空き室対策としてお部屋の環境改善に乗り出すなど、若い力で乗り切りました。
長女は自分のお金にはなりませんが、母のアパート経営のことを勉強しました。 確定申告等も手伝いAさんの所得や相続についても考えるようになりました。
このように、家族信託を利用して子供に管理を任せることで、 アパート経営という事業を次の代へ引き継ぐ、事業継承がスムーズに行えるというメリットもあります。
先祖代々の不動産を受け継ぐ
事業資産や先祖代々の不動産を「長男」に相続させた場合、長男が死亡すれば、「長男の妻」や「孫」に相続されます。 仮に、長男家族に子どもがいない場合、長男の妻が死亡すると、長男の妻の親族が相続することになります。
信託の場合は、長男から次男へという具合に、受益者を順次に指定することができるというメリットもあり、事業経営のスムーズな承継や、家産の散逸を免れることができます。
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