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相続税
税理士監修記事

換価分割とは?相続財産をお金に換えるメリット・デメリットを解説!

公開日:2024.12.26 更新日:2025.01.12

相続の際に換価分割を選びたいけれど、自分に適しているかがわからないとお悩みではありませんか。

財産を相続人で分け合う際は、現物分割・代償分割・換価分割のいずれかから配る方法を選びます。

それぞれのメリット・デメリットを把握したうえで、適切な方法を選ぶことが大切です。

この記事では、換価分割とは何か、利用する上でのメリット・デメリットを解説します。

遺産分割協議書の書き方や手続きの流れも紹介するので、相続の予定がある方はぜひご覧ください。

1. 換価分割とは

1. 換価分割とは

故人の遺産を相続人で分け合う方法には、以下の3つがあります。

  • 現物分割:不動産や車などを相続人で分け合う
  • 代償分割:形ある財産を受け継いだ人がほかの相続人に代償金を払う
  • 換価分割:財産の売却で得た利益を相続人で分け合う

相続人全員が現金を受け取りたい場合は、換価分割がおすすめです。

売却で得たお金を法定相続分に則って分け合えるため、平等な相続を実現できます。

【関連記事】
現物分割とは?メリットやデメリット・相続で利用されるケースを解説

代償分割とは?メリットやデメリット・代償金の決め方を解説

換価分割を選ぶ際は、売却前に登記変更を行わなければなりません。

相続人の名義に変えることで売却手続きを進められるので、複数人の共同登記、または代表者1人の単独登記のどちらかを済ませましょう。

ここでは、共同・単独登記の違いを解説します。

1-1. 共同登記とは

1つの不動産や車などを複数人の共有名義にすることを共同登記といいます。

共同登記のメリットは以下の通りです。

  • 不公平感がない
  • 名義人になることで安心感を得られる

複数の相続人の共有名義にすることで、不公平感がなくなります。

売却後に現金を受け取れるとわかっていても、名義人になれなければ不安を覚えるでしょう。

複数人、もしくは全員の共有名義にすれば、相続人全員が安心できます。

メリットの一方で、名義人に何かあったときに売却しにくくなるデメリットもあります。

売却までに名義人が死亡すると、新たな相続が発生するため、売却手続きを進められません。

手続きは名義人全員で進める必要があるので、現金化までに時間を要するでしょう。

1-2. 単独登記とは

単独登記とは、相続人の代表者が単独で名義人になるものです。

代表者1人の名義にすれば、名義変更や売買の手続きがスムーズに進むメリットを得られます。

ほかの相続人は代表者に手続きを一任できることから、効率のよい方法だといえます。

ただし、売却までに時間がかかると、名義人は不動産の固定資産税や車の自動車税などを納めなければなりません。

現金化までに余分な出費が発生するので、代表者が損してしまうでしょう。

また、遺産分割協議書に換価分割の旨を記載していないと、現金化後の分配で贈与税が発生する恐れもあります。

換価分割であることを把握していない税務署からすれば、分配されたお金は代表者からの贈与に見えます。

協議書に記載することで不要なトラブルを避けられるので、必ず記載しておきましょう。

1-3. 換価分割利用時の遺産分割協議書の書き方

換価分割を利用する際の遺産分割協議書の書き方を紹介します。

まずは共同名義の書き方です。

・第1項:受け継ぐ不動産を複数人の共同名義とすること、それぞれが相続する割合を書く

(例)次の不動産は換価分割を行うため、相続人〇〇、相続人〇〇および相続人〇〇がそれぞれ3分の1の割合にて共有取得する。不動産の住所・面積を記載。

・第2項:上記の不動産を売却し、相続人間で分配する旨を書く

(例)相続人〇〇、相続人〇〇および相続人〇〇は共同で前項の不動産を売却したうえで、売却にかかる費用を差し引いた売却代金を共有持ち分割合に従って取得する。

次に、単独名義の書き方を見てみましょう。

・第1項:受け継ぐ不動産の詳細と、相続する人について書く

(例)次の不動産は換価分割を目的とし、相続人〇〇が取得する。

不動産の住所・面積を記載。

・第2項:代表者が不動産を売却する旨、ほかの相続人への分配について記載する

(例)相続人〇〇は、前項の不動産を速やかに売却したうえで、売却にかかる費用を差し引いた売却代金を以下の割合で分配する。相続人〇〇、相続人〇〇および相続人〇〇がそれぞれ3分の1ずつ。

共同と単独で書く内容が異なるので、こちらを参考に協議書を作成しましょう。

2. 相続で換価分割を利用する3つのメリット

2. 相続で換価分割を利用する3つのメリット

相続人全員が平等に現金を受け取るために換価分割を選択したいけれど、メリットはあるの?と気になっている方も多いでしょう。

  • 公平な相続が実現しやすい
  • 相続財産の評価を巡ってトラブルが起こりづらい
  • 代償金を用意する必要がない

ここでは、利用で得られる3つのメリットを解説します。

2-1. 公平な相続が実現しやすい

形ある財産を売却し、法定相続分に則って現金を受け取ることで、公平な相続を実現できます。

現物分割と代償分割は、不動産や車などの評価額に応じて差が出ます。

評価額が高いものを受け取った人に比べ、低いものを受け取った人は不公平感を覚えるでしょう。

換価分割は形ある財産をすべて売却し、現金化します。

相続の権利を持つ人全員が利益を受け取れるので、全員が平等です。

2-2. 相続財産の評価を巡ってトラブルが起こりづらい

形ある財産をそのまま分けることはないため、評価を巡るトラブルが起こりにくいといえます。

形ある財産を相続する際、全員が評価額の高いものを欲しがるでしょう。

誰が何を受け取るかで揉める恐れがあるので、遺産分割協議を終えるまでに時間がかかります。

換価分割は形ある財産を現金化する方法のため、評価額を巡るトラブルは起こりません。

法定相続分に則って現金を分けることで、トラブルなく相続手続きを終えられるでしょう。

2-3. 代償金を用意する必要がない

代償金を用意する必要がない点も大きなメリットです。

代償分割を選ぶ場合、代償金を用意しなければなりません。

1人が形ある財産を受け取る代わりに、ほかの相続人に相応の現金を渡す必要があるからです。

換価分割なら代償金を用意せずに済みます。

不動産や車などをそのまま受け取ることはできませんが、相続人全員が現金を受け取れるため、不要なトラブルを避けたい方に適しています。

3. 換価分割の利用時に注意が必要な4つのデメリット

3. 換価分割の利用時に注意が必要な4つのデメリット

メリットと一緒に換価分割のデメリットも押さえておきたいと考える方も多いでしょう。

  • 安く売ることになる可能性がある
  • 財産がなくなってしまう
  • 売却時に諸経費が引かれる
  • 譲渡所得税が発生する可能性がある

ここでは、利用時に気を付けるべきポイントを解説します。

3-1. 安く売ることになる可能性がある

現金化を急ぐあまり、形ある財産の売値が安くなる恐れがあります。

財産のなかでも特に高値がつきやすい不動産は、希望に近い価格で取引することが大切です。

しかし、急ぎで売却するとなると、安値での取引に応じてしまうかもしれません。

少し待つことで言い値での取引ができる可能性もあるため、焦らないようにしましょう。

安く売ると、相続人が受け取る金額も下がるので、全員が納得いくお金を受け取るためにも時間をかけることがおすすめです。

3-2. 財産がなくなってしまう

財産を売却すると、建物や土地を活用できません。

相続人にとって不要な不動産だったとしても、ほかの人にとっては魅力的な建物や土地になる可能性があります。

不動産を貸し出せば賃借料を収益として得られるため、安定した利益を手に入れられるでしょう。

また、建物や土地の価値が上がったころに売却する手もあります

相続時にはさほど価値がなくても、数年後、数十年後に大幅に価値が上がるかもしれません。

換価分割で不動産を手放してしまうと、今後の利益をつぶしてしまいます。

3-3. 売却時に諸経費が引かれる

形ある財産を売却する際に、諸経費が引かれる点にも注意が必要です。

たとえば、不動産を売却するときは以下の諸経費が発生します。

  • 仲介手数料
  • 譲渡所得税
  • 印紙税
  • 住宅ローン返済手数料
  • 登記費用
  • ハウスクリーニング費用

売却後の利益は、そのまま相続人に配られるわけではありません。

諸経費を差し引いた後の額を分配するので、受け取る金額が少なくなる恐れもあります。

相続人の間でトラブルが起きないよう、かかった諸経費の内訳を明確にしておくことが大切です。

相続人に配る際、売却益と諸経費、それぞれに配る金額を細かく説明すれば、金銭的なトラブルを避けられるでしょう。

3-4. 譲渡所得税が発生する可能性がある

財産を取得した時よりも価値が上がっていれば、譲渡所得税が発生します。

譲渡所得税とは、売却価格よりも取得費用が安かった場合の差額分に課せられる税金です。

売却価格-(取得費+譲渡費用)の計算式から算出します。

たとえば、8年前に故人が3,000万円で取得した不動産を相続するケースを見てみましょう。

不動産の取得費用は購入代金や手数料などを含めて3,000万円、譲渡費用は400万円とします。

相続時に価値が上がっており、4,000万円で売却した場合は4,000万円 -(3,000万円+400万円)= 600万円です。

故人が不動産を取得してから8年が経過しているので、課税対象の600万円に長期譲渡取得の税率である20.315%を掛けて所得額を算出します。600万円 × 20.315% = 121万8,900円が譲渡所得税額です。

財産を取得した金額と売却価格に応じて納税の有無が変わるため、売却前に確認しておきましょう。

4. 換価分割がおすすめなケース

4. 換価分割がおすすめなケース

デメリットよりもメリットのほうが大きいと感じた方は、換価分割を検討しましょう。

  • 遺産の相続を誰も望んでいない
  • 公平な相続を実現したい
  • 代償金の用意が難しい
  • 相続税の納税資金に充てたい

ここでおすすめのケースを紹介するので、分配方法の決定の参考にしてください。

4-1. 遺産の相続を誰も望んでいない

不動産や車などの形ある財産の相続をだれも望んでいない場合に適しています。

形ある財産は高価なものが多いですが、活用できなければ負の財産になる恐れがあります。

遺産に含まれていても、誰もが相続を希望しないでしょう。

しかし、現金であれば受け取って困ることはありません。

形ある財産を売却し、相続人で分配すれば全員が納得のいく相続を実現できます。

4-2. 公平な相続を実現したい

財産を売却して相続人で分け合えば、平等に相続できます。

現物分割は受け取るものの評価額によって、代償分割は代償金の額によって不平等になる恐れがあるでしょう。

後々トラブルを招く恐れがあるので、受け取る内容には公平性を持たせなければなりません。

換価分割は1円単位で分け合うお金を決められるので、損せずに済みます。

細かな金額まで計算したうえで分配すれば、全員が納得のいく相続となるでしょう。

4-3. 代償金の用意が難しい

代償金を支払えないときにも換価分割がおすすめです。

不動産を受け取り、ほかの相続人に相応の額を支払うことで形ある財産をそのまま相続できます。

しかし、資金力がなければ代償分割を選ぶことはできません。

換価分割は形ある不動産の売却後、全員が現金を受け取れます。

相続にあたって高額の代償金を用意する必要はないので、誰もが選びやすい分配方法だといえます。

4-4. 相続税の納税資金に充てたい

形ある財産を売却して現金を手に入れれば、納税資金を確保できます。

相続は故人の財産を受け取るだけでは済みません。基礎控除の範囲を超える部分には相続税が発生し、納期限までに納める必要があります。

財産のなかに現金が多く含まれていれば問題ないものの、不動産や車などの形ある財産ばかりだと自身の貯蓄から相続金を支払わなければなりません。

貯蓄がない場合は、換価分割で納税資金を用意することが可能です。

5. 換価分割を利用する手続きの流れ

5. 換価分割を利用する手続きの流れ

財産を分配する際に換価分割を利用したいけれど、手続きの流れがわからないとお困りの方も多いでしょう。

  1. 遺産分割協議で換価分割の合意を得る
  2. 遺産分割協議書を作成する
  3. 早めに財産を売却して相続を完了させる

ここでは、手続きの流れを詳しく解説します。

5-1. 遺産分割協議で換価分割の合意を得る

まずは遺産分割協議で財産を配る方法を話し合いましょう。

人によって、欲しい財産の内容は異なります。

現金が欲しい人もいれば、建物や土地などが欲しい人もいるため、全員が納得できるまで話し合うことが大切です。

全員が現金を望み、形ある財産を欲しがらない場合は換価分割を提案しましょう。

形ある財産を売却して全員で分けられるメリットのほか、売却時に諸経費が掛かることや安値での売却になる恐れがあるなどのデメリットも話すことが大切です。

デメリットを把握したうえで全員が了承すれば、トラブルなく手続きを進められます。

5-2. 遺産分割協議書を作成する

内容がまとまったら、遺産分割協議書を作成しましょう。

財産を売却する前に、故人の名義を変更する必要があります。

複数の相続人が名義人になるか、代表者が名義人になるかによって協議書の書き方が異なるため、間違えないよう注意しましょう。

作成時に注意したいのが、換価分割についてきちんと記載することです。

記載せずに売却金を分配すると、税務署が贈与とみなします。

贈与と判断されると贈与税が発生するので、トラブルを防ぐためにも、協議書を正しく作成することが重要です。

5-3. 早めに財産を売却して相続を完了させる

遺産分割協議終了後、早めに財産を売却しましょう。

形ある財産を売却する時期は、得に定められていません。

名義変更さえ済ませれば、協議から数年経過した後に売却することも可能です。

しかし、早めに売却を済ませないと、以下のトラブルを招く恐れがあります。

  • 売却金の分配が贈与とみなされる
  • 所有期間中に固定資産税を支払わなければならない

協議書に換価分割の旨を記載しておけば、分配されたお金が贈与とみなされることはありません。

ただし、名義変更から長期間経過した後に売却を行い、分配されたお金は贈与と判断される可能性があります。

また、名義変更から売却までの間は固定資産税が発生する点にも注意が必要です。

固定資産税の支払いは名義人が行うものの、1人が負担するとなると不公平感も出るでしょう。

相続人全員で負担するのか、代表者1人が納めるのかで揉めてしまうため、財産を早めに売却することがおすすめです。

6. 換価分割を利用して公平な相続を実現しよう!

6. 換価分割を利用して公平な相続を実現しよう!

相続時に現金を受け取りたいと考える方は、換価分割を検討しましょう。

形ある財産を活用できなくても、売却すれば利益を受け取れます。

相続人全員で分け合えば、公平な相続を実現できるでしょう。

換価分割にはメリットだけでなく、デメリットもあります。

メリットばかりに注目すると後々のトラブルを招くため、よい点・悪い点どちらも把握することが大切です。

デメリットよりもメリットの方が大きいと判断できれば、相続人全員が満足できる相続になるでしょう。

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