相続税

相続税の納付方法は?8つの手段と納税時の注意点、支払えない場合の対処法を解説

監修

中村亨

日本クレアス税理士法人 代表 税理士 公認会計士

「相続税の支払い方法は?」「どんな方法があるの?」

相続税の納付にどのような方法があるか知らないという方も多いのではないでしょうか。

実は、相続税の納付方法は7つもあり、それぞれにメリット・デメリットが存在します。

そのため、自分に合った納付方法を知っておくことが大切です。

そこで本記事では、相続税の納付について8つの方法を中心に解説します。

相続税を支払えない場合の対処法、納税の注意点も紹介しますので、相続税の納付方法について詳しく知りたいという方はぜひご覧ください。

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1. 相続税の8つの納付方法:各方法のメリット・デメリット

1. 相続税の7つの納付方法:それぞれのメリットデメリット

 

実は、相続税には8つもの納付方法があります。

最近では税金をスマホアプリから支払うことができるようになりましたが、相続税も例外ではありません。

8つそれぞれのメリット・デメリットをまとめましたのでご覧ください。

<相続税の納付方法>

納付方法 メリット デメリット
金融機関 納税額が高額な場合でも一括で納付できる。 手数料がかからない。 納付書を入手・記入する必要がある。 窓口が平日の昼間までしか空いていない。
郵便局 銀行同様、高額な納税額を一括で支払える。いつも利用しているところでの納付が可能。 納付書の作成に手間がかかる。営業時間内に足を運ばなければならない。
税務署 申告と同時に納付もできる。 手数料がかからない。 管轄の税務署でしか納付できない。 窓口が平日の昼間までしか空いていない。
コンビニ 最寄りのコンビニで支払うことができる。 コンビニが空いていればいつでも納付できる。 手数料がかからない。 納付書の作成後、税務署でバーコード付き納付書を作成してもらう、または自分で作成する必要がある。 30万円以下の場合にしか利用できない。
クレジットカード 24時間いつでも納付できる。 インターネットで完結できる。 クレジットカードのポイントが貯まる。 1回の決済につき1,000万円まで納付できる。 金額に応じて手数料がかかる。 領収書が発行されない。 利用できないカードもある。
ダイレクト納付 口座引き落としで納税ができる。 インターネットで完結できる。 納付手続き自体はとても簡単。 手数料がかからない。 e-Taxへ登録し相続税を申告している必要がある。 1ヶ月ほどかかる納付利用開始届を税務署に提出しなければならない。 e-Tax・金融機関の時間外は利用eできない。
インターネットバンキング e-Taxの時間内であればいつでも納付可能。 納付利用開始届が不要。 手数料がかからない。 ネット完結が可能。 e-Taxの利用開始手続きが必要。 インターネットバンキングの口座を開設する必要がある。 1回の納付に対する手間が大きい。
スマホアプリ 24時間いつでも納付できる。 インターネットで完結できる。 アプリに応じてポイントを獲得できる。 手数料がかからない。 領収書が発行されない。 30万円以下の場合しか利用できない。 利用できない決済アプリもある。

それぞれの納付方法を理解して適切な納付を実現しましょう。

1-1. 銀行などの金融機関

相続税のスタンダードな納付方法として、銀行などの金融機関での納付が挙げられます。

入手後、自分で記入した相続税の納付書と現金を持っていくだけで相続税を納付できます。

銀行であれば、その場で現金を引き出して支払うことができるため、大金を持ち歩く必要がありません。

しかし、納付ができる窓口は平日の15時までしか空いていないところがほとんどなので注意しましょう。

1-2.郵便局

最寄りの郵便局で相続税を納めることも可能です。

郵便局は、銀行同様、高額な納税額となっても一括で支払えます。

納付手数料も無料なので、手数料の出費も抑えられるでしょう。

ただし、税金を納める際は納付書を作成する手間があること、郵便局の営業時間内に足を運ぶ必要があることの2点に注意しなければなりません。

最寄りの郵便局で納税する際は、時間に余裕を持って向かいましょう。

1-3. 税務署で直接納付

相続税を管轄している税務署でも、相続税を納付できます。

税務署での納付は、相続税の申告と納付が同時にできる点がメリットです。

また、納付書に不備等があればその場で修正を行えるため、確実性も高いでしょう。

しかし、被相続人の住所地を管轄する税務署でしか納付できない点や、平日の17時までしか窓口対応をしていない点には注意が必要です。

1-4. コンビニで支払う

コンビニは、相続税の支払いにも対応しています。

自宅の近所に下記のコンビニがあれば、遠出する必要なく相続税が納付できます。

<相続税が支払えるコンビニ>

  • ローソン
  • ナチュラルローソン
  • ミニストップ
  • ファミリーマート

※一部店舗は非対応

コンビニ納付の場合には、事前に納付書を税務署に提出しバーコード付きの納付書を入手する必要があります。

また、自分でQRコードを作成する方法もありますが、どちらも少し手間がかかってしまいます。

なお、QRコードの作成は国税庁のホームページから行うことができます。

そしてコンビニ払いは、30万円以下の場合しか利用できないため注意しましょう。

1-5. クレジットカードで納める

相続税は、クレジットカードで納付することも可能です。

インターネット上で24時間いつでも行えるため、移動や受付の手間を省ける点は大きなメリットでしょう。

また、一回の決済で1,000万円まで納付ができるため、大金を持ち歩く必要がないことも安心なポイントです。

しかし、決済手数料がかかる点には注意しましょう。

納付税額 決済手数料(税込)
1円~10,000円 83円
10,001円~20,000円 167円
20,001円~30,000円 250円
30,001円~40,000円 334円
40,001円~50,000円 418円

以降も同様に10,000円を超えるごとに決済手数料が加算されます。

引用元:国税庁

ポイントを貯めることもできますが、カード会社によってはポイント付与の対象外としている場合がありますので事前に確認しましょう。

クレジットカードで相続税を納付する場合には、「国税クレジットカードお支払サイト」から手続きを進めていきます。

なお、e-Taxを利用している場合は、e-Taxからアクセスすることで申告内容や個人情報等が引き継がれるため、スムーズに納付可能です。

1-6. e-Tax①:ダイレクト納付

e-Taxで相続税を申告した場合には、納付もe-Tax経由で行うことができます。

ダイレクト納付とは、口座引き落としによって相続税が利用できる方法です。

ダイレクト納付では手数料もかからず、e-Tax、金融機関の時間内であればいつでも利用できます。

しかし、税務署に「納付利用開始届」を提出しなければならず、この届の承認には1ヶ月ほどの時間を要する場合があります。

そのため、納付期限が迫っている場合にはおすすめできません。

1-7. e-Tax②:インターネットバンキング

e-Taxでの電子納税では、インターネットバンキングも利用できます。

<インターネットバンキングとは>

インターネットを利用した銀行などの金融取引のサービスです。オンラインバンキングとも呼ばれることがあります。 〜中略〜 銀行の窓口やATMに行かなくても、自宅や外出先などで、銀行の営業時間を気にすることなく振込や残高照会などをすることができます。

引用元:総務省

インターネットバンキングに対応している金融機関を利用している場合には、スマホからでもすぐに電子納税が可能です。

ダイレクト納付とは異なり、税務署への「納付利用開始届」の提出が不要なので、電子納税をする場合はインターネットバンキングがおすすめでしょう。

しかし、電子納税の場合にはe-Taxで相続税を申告する必要があるなど、1回の納付に対する手続きの手間が大きい点に注意が必要です。

1-8. スマホアプリ:PayPay・d払いなど

令和4年12月1日から、スマホアプリでの相続税納付が可能になりました。

「国税スマートフォン決済専用サイト」(スマホ専用)から手続きを進めることで、30万円までの相続税を納付できます。

現在利用可能な決済アプリは下記のとおり。

<利用可能な決済アプリ>

  • PayPay
  • d払い
  • au PAY
  • LINE Pay
  • メルペイ
  • amazon pay

スマホと上記の決済アプリのいずれかがインストールされていれば、すぐに納付ができるためとても便利です。

納付できる金額は少ないですが、手数料もかからないため、30万円未満の場合は積極的に利用するといいでしょう。

2. 相続税は現金一括が原則!できない場合はどうする?

2. 相続税は現金一括が原則!できない場合はどうする?

 

ここまでさまざまな相続税の納付方法を解説してきましたが、相続税は現金一括での納付が原則とされています。

解説した方法のなかには現金という形は成していない(クレカ・スマホアプリなど)場合もありますが、広い意味で現金と捉えられています。

では、現金での一括納付が難しい場合にはどうすればいいのでしょうか。

2-1. 延納や物納を検討する

相続税を現金一括で支払うことが難しい場合には、延納や物納を検討しましょう。

延納とは、相続税を分割して払う方法です。

分割払いの期間は原則5年ですが、特定の条件を満たせば20年までの分割が認められています。

延納を利用することで、相続税を細かく分割して払うことができるため、支払いの負担を分散できます。

物納とは現金での納付が難しい場合に、相続財産の一部(不動産屋株式など)を現金の代わりに納付する方法です。

それぞれの方法はただ現金で支払いが難しいという理由だけで利用できる方法ではありません。

そこで下記では、延納・物納の要件などについて解説します。

2-2. 延納の要件や注意点

相続税の延納要件は下記のように定められています。

(1) 相続税額が10万円を超えること。

(2) 金銭で納付することを困難とする事由があり、かつ、その納付を困難とする金額の範囲内であること。

(3) 延納税額および利子税の額に相当する担保を提供すること。

ただし、延納税額が100万円以下で、かつ、延納期間が3年以下である場合には担保を提供する必要はありません。

(4) 延納申請に係る相続税の納期限または納付すべき日(延納申請期限)までに、延納申請書に担保提供関係書類を添付して税務署長に提出すること。

引用元:国税庁

相続税の申告・納付期限は「相続の開始を知った日の翌日から10ヶ月以内」とされていますので注意しましょう。

また、延納期間が3年以上・納税額が100万円以上の場合には担保を用意しなければなりません。

そして、延納する場合には利子税もかかるため注意しましょう。

相続内容によって延納期間や利子税が異なるため、詳しくは国税庁のホームページを確認してみてください。

2-3. 物納の要件や許可限度額

物納を利用するための要件は下記のように定められています。

(1) 延納によっても金銭で納付することを困難とする事由があり、かつ、その納付を困難とする金額を限度としていること。

(2) 物納申請財産は、納付すべき相続税額の課税価格計算の基礎となった相続財産のうち、次に掲げる財産および順位(1から5の順)で、その所在が日本国内にあること。

(3) 物納に充てることができる財産は、管理処分不適格財産に該当しないものであることおよび物納劣後財産に該当する場合には、他に物納に充てるべき適当な財産がないこと。

(4) 物納しようとする相続税の納期限または納付すべき日(物納申請期限)までに、物納申請書に物納手続関係書類を添付して税務署長に提出すること。

引用元:国税庁

なお、物納申請財産の財産内容及び順位は下記のとおりです。

順位 財産内容
第1順位

1. 不動産、船舶、国債証券、地方債証券、上場株式等

2. 不動産および上場株式のうち物納劣後財産に該当するもの

第2順位

3. 非上場株式等

4. 非上場株式のうち物納劣後財産に該当するもの

第3順位 5. 動産

参考:国税庁

物納は、相続人の所有財産で相続税を支払えず、延納制度を利用しても納税が難しい場合に利用できる制度です。

物納には許可限度額が設けられており、下記の計算式で求められる金額までしか物納を利用できません。

<物納の許可限度額>

「相続税額 - (現金で納付可能な金額 + 延納により納付できる金額)」

以上のように、延納と同じく物納も利用に対するハードルが高いため、相続手続きを進めながら納税の手段を検討することが大切です。

2-4. 一般的な相続税納付の流れ

相続税を納付する流れは以下の通りです。

  1. 相続権を持つ人を把握する
  2. 故人の遺産を把握する
  3. 遺産分割協議を行う
  4. 相続税を計算する
  5. 相続税の申告と納付を行う

身内が亡くなったら、まずは相続権を持つ人を確認しましょう。

続権利を持つ人を把握した後に、故人が残したすべての遺産を調べます。

遺産は現金や不動産などのプラスの財産だけでなく、借金などのマイナスの財産も含める必要があります。

故人が遺言書を残していない場合は、相続の権利を持つ人が参加する遺産分割協議を行いましょう。

誰がどの財産を受け継ぐかを話し合い、内容がまとまったら遺産分割協議書に記しておきます。

協議後、相続人別の相続税を計算します。

税額を算出したら、各相続人が相続税の申告書を作成し、税務署に提出しなければなりません。

申告書に記載した税額を税務署・金融機関・オンライン上でのクレジット決済のいずれかで納めましょう。

相続税の申告・納付期限は亡くなったことを知った日の翌日から10カ月以内です。

期限を過ぎないよう、できるだけ早めに申告を済ませましょう。

3. 相続税を納付する際に気を付けるべき3つのポイント

3. 相続税を納付する際に気を付けるべき3つのポイント

相続税を納付する際には、いくつかの点に気をつけなければいけません。

なかでも、とくに注意するべき点を3つピックアップして解説します。

<相続税納付時の注意点>

  • 期限を過ぎると加算税などペナルティの対象になる
  • 連帯納付義務によりほかの相続人に迷惑がかかる
  • 肩代わり納付は贈与とみなされる場合がある

注意点を理解し、適切な納付を実現しましょう。

3-1. 期限を過ぎると加算税などペナルティの対象になる

相続税の申告・納付期限は「相続の開始を知った日の翌日から10ヶ月以内」と定められています。

この期限を過ぎてしまうと、加算税や延滞税などのペナルティが課せられてしまいます。

<ペナルティ内容>

追徴税区分 内容
延滞税 税額の14.6%(最大)
過小申告加算税

税務調査の通知前:無課税

税務調査の調査後:10~15%

無申告加算税

税務調査の通知前に申告:5%

税務調査の通知後に申告:10~20%

(悪質な場合は40%)

重加算税

申告はしているという場合:35%

申告すらしていない場合:40%

ペナルティのなかには、かなり重い追徴課税をされてしまう場合があるため、必ず正確な申告を行いましょう。

3-2. 連帯納付義務によりほかの相続人に迷惑がかかる

相続税には連帯納付義務があるため、1つの相続手続きに対する相続人は納税に対して連帯責任を負います。

1人でも相続税の納付を行わなかった場合には、ほかの相続人に対して納税義務が生じ、通知が届きます。

誰かが払わなければ、連帯責任として、ほかの相続人に納税の義務が生じることを覚えておきましょう。

自分が払わなかった場合には、相続人に迷惑がかかりますので必ず納税できるようにしましょう。

3-3. 肩代わり納付は贈与とみなされる場合がある

相続税の納付書は相続人各人が作成するのではなく、代表相続人を決めて連署する場合が多いです。

しかし、納税まで代表相続人がまとめて行なってしまうと、ほかの相続人に対する贈与とみなされ、贈与税が加算されてしまう可能性があります。

そのため、相続税の納付は、必ず各人の口座から行うようにしましょう。

ただ、すぐに清算したことが示せる一時的な立て替えの場合には、贈与として扱われることはありませんので安心してください。

3-4. 税理士に相続税申告・納付を依頼するメリットと報酬

税理士に相続税申告と納付を依頼すると、財産調査から相続税の納付までをすべて任せることができます。

両親や祖父母などの近しい人が亡くなった場合、気持ちを回復させるまでに時間がかかります。

相続にまで気が回らず、つい手続きを後回しにしてしまいがちです。

しかし、相続税の申告と納付は相続開始を知った日の翌日から10カ月以内と定められているため、できるだけ早めに手続きを始めなければなりません。

そんなときに頼れるのが税理士です。

税理士に依頼すれば、財産調査を行ってくれるため、それをもとに遺産分割協議を進められます。

受け継ぐ財産が決まったら、申告書を作成してもらえるので、あとは相続税を納付すれば完了です。

一点注意しておきたいのが、税理士への報酬です

報酬は税理士によって異なり、相続する遺産総額の0.5~1%が相場となっています。

極力支出を抑えたい方は、成功報酬を低く設定している税理士にお願いするといいでしょう。

4. 自分にあった方法で相続税を納付しよう

4. 相続税は適切な方法で納付しよう!

ここまで相続税の納付方法を中心に解説してきました。

相続税の納付方法にはさまざまな方法がありますが、それぞれにメリット・デメリットがあります。

また、現金での納付が難しい場合には、延納や物納を利用することも可能です。

しかし、要件は厳しく利用できるかわからないため、確実に現金で納付できるよう対策を講じておきましょう。

気持ちが落ち込んでいて相続手続きにまで気が回らない、相続税の計算が不安という方は税理士にご相談ください。

税理士に依頼することで、財産調査や申告書を作成する手間を省けるため、期限までに無理なく申告・納付を済ませられます。

監修

中村亨

日本クレアス税理士法人 代表
税理士
公認会計士

2002年8月に会計事務所として創業、2005年には税理士事務所を開業し、法人や個人のお客様の会計・税務の支援をする中で、「人事労務の問題を相談をしたい」「事業承継を検討している」といったお客様のニーズに応える形でサービスを拡大し続け、現在では社会保険労務士法人など複数の法人からなるグループ企業に成長してきました。お客様に必要なサービスをワンストップで提供できることが当社の強みです。

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