相続税の基礎控除とは?3,000万円+600万円×相続人数の計算式・相続人別金額一覧(2026年)

監修
中村亨
日本クレアス税理士法人 代表 税理士 公認会計士
相続税の基礎控除額は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」です。法定相続人が1人なら3,600万円、2人なら4,200万円、3人なら4,800万円、4人なら5,400万円で、正味の遺産額がこの金額以下なら相続税はかからず、申告も原則不要です。
法定相続人が1人増えるごとに基礎控除は600万円ずつ増えます。相続放棄した人や養子(実子がいれば1人、いなければ2人まで)も人数に含めて計算します。この記事では計算式・相続人別の金額一覧・申告要否の判定フロー・数え方の注意点を税理士監修で解説します。
1. 相続税の基礎控除とは?
基礎控除とは、相続税の計算において遺産総額から無条件で差し引ける金額です。正味の遺産額が基礎控除額以下なら、相続税はゼロで申告も原則不要です。
2. 基礎控除額の計算式と相続人別の金額一覧
2-1. 計算式
基礎控除額 = 3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数
| 法定相続人の数 | 基礎控除額 | 相続税が発生するライン |
|---|---|---|
| 1人 | 3,600万円 | 遺産が3,600万円超 |
| 2人 | 4,200万円 | 遺産が4,200万円超 |
| 3人 | 4,800万円 | 遺産が4,800万円超 |
| 4人 | 5,400万円 | 遺産が5,400万円超 |
| 5人 | 6,000万円 | 遺産が6,000万円超 |
基礎控除は法定相続人1人につき600万円ずつ増えるため、誰が法定相続人になるかを正しく数えることが最初の関門です。法定相続人の順位と範囲は法定相続人の範囲・順位・相続分でくわしく確認できます。
基礎控除を超えた場合に実際にいくら相続税がかかるかは、遺産100万円〜20億円の金額別・家族構成別の相続税早見表で確認できます。たとえば遺産5,000万円を配偶者と子2人で相続する場合の相続税は10万円、1億円なら315万円です。
2-2. 法定相続人の範囲と注意点
- 配偶者:常に法定相続人(最優先)
- 第1順位:子(代襲相続人である孫も含む)
- 第2順位:両親・祖父母(直系尊属)
- 第3順位:兄弟姉妹(代襲相続人である甥・姪も含む)
- 相続放棄した人も法定相続人の数に含める(相続税法第15条第2項)
- 養子は実子がいる場合は1人まで、実子がいない場合は2人まで算入可
3. 申告が必要かどうかの判定フロー
- 遺産総額(現預金・不動産・有価証券・生命保険など)を概算する
- 非課税財産(墓地・仏具など)・葬式費用・債務を差し引く
- 生前贈与加算(相続開始前7年以内の贈与)を加える
- 上記で出た「正味の遺産額」と基礎控除額を比較する
✅ 正味の遺産額 ≦ 基礎控除額 → 相続税ゼロ・申告原則不要
⚠️ 正味の遺産額 > 基礎控除額 → 申告・納税が必要
⚠️ 配偶者控除・小規模宅地等の特例を使って税額がゼロになる場合でも申告は必要です。特例の適用に申告が条件となっています。

4. 基礎控除を超えた部分にかかる税率
相続税は基礎控除を超えた部分(課税遺産総額)にだけかかります。遺産の全額に課税されるわけではありません。課税遺産総額を法定相続分で按分した金額に、10%〜55%の8段階の税率を適用して税額を計算します。
税率の一覧(速算表)と計算手順は相続税の税率・速算表を、遺産額ごとの具体的な税額は金額別の相続税早見表を参照してください。土地・不動産がある場合の基礎控除の考え方は不動産と相続税の基礎控除で解説しています。
5. 基礎控除を超えた場合に使える主な控除・特例
5-1. 配偶者の税額軽減(配偶者控除)
配偶者が取得した遺産が「1億6,000万円」または「法定相続分相当額」のいずれか大きい方までなら相続税がかかりません。ただし申告が必要です。
5-2. 小規模宅地等の特例
亡くなった方が住んでいた土地を配偶者や同居親族が相続した場合、330㎡まで評価額を80%減額できます。土地が含まれる相続では最も効果が大きい特例です。
5-3. 生命保険・死亡退職金の非課税枠
死亡保険金・死亡退職金には「500万円 × 法定相続人の数」の非課税枠があります(相続税法第12条)。法定相続人3人なら1,500万円が非課税になります。
5-4. 未成年者控除・障害者控除
| 控除名 | 計算式 | 根拠 |
|---|---|---|
| 未成年者控除 | (18歳 − 相続時の年齢)× 10万円 | 相続税法第19条の3 |
| 障害者控除(一般) | (85歳 − 相続時の年齢)× 10万円 | 相続税法第19条の4 |
| 障害者控除(特別) | (85歳 − 相続時の年齢)× 20万円 | 相続税法第19条の4 |
6. 令和6年改正:生前贈与との関係に注意
基礎控除の計算に影響する令和6年改正のポイントを確認しておきましょう。
| 改正内容 | 適用開始 | 注意点 |
|---|---|---|
| 生前贈与加算期間の延長(3年→最終7年) | 2024年1月1日以降の贈与から段階的に適用 | 相続開始前7年以内の暦年贈与が相続財産に加算される |
| 相続時精算課税の年110万円基礎控除の追加 | 2024年1月1日以降の贈与から適用 | 110万円以下は申告不要。ただし相続時の加算対象外 |
これらの改正により、生前贈与の計画が相続税額に大きく影響します。早めに専門家へ相談することをおすすめします。

7. よくある質問(FAQ)
Q1. 基礎控除内なら必ず申告不要ですか?
原則不要ですが、配偶者控除・小規模宅地等の特例を適用して税額がゼロになる場合は申告が必要です。特例の適用には申告書の提出が条件となっています。
Q2. 相続放棄した人は法定相続人の数に含めますか?
含めます(相続税法第15条第2項)。相続放棄をしても基礎控除の計算上は法定相続人として数えます。
Q3. 養子は何人まで法定相続人に含められますか?
実子がいる場合は1人まで、実子がいない場合は2人まで算入できます(相続税法第15条第2項)。
Q4. 基礎控除の計算に代襲相続人は含まれますか?
含まれます。代襲相続人(孫・甥・姪など)も法定相続人として基礎控除の計算に算入されます。
Q5. 相続税の基礎控除額は2人の場合いくらですか?
4,200万円です。3,000万円+600万円×2人で計算します。正味の遺産額が4,200万円以下であれば相続税はかからず、申告も原則不要です。
Q6. 相続税の基礎控除は一人当たりいくらですか?
法定相続人1人につき600万円です。これに定額の3,000万円を加えた金額が基礎控除額になります。法定相続人が1人なら3,600万円、5人なら6,000万円です。
Q7. 遺産が基礎控除を少し超えたら、全額に相続税がかかりますか?
かかりません。相続税は基礎控除を超えた部分にだけ課税されます。たとえば法定相続人2人で遺産4,300万円なら、課税されるのは基礎控除4,200万円を超えた100万円だけです。
まとめ
- 基礎控除は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」
- 正味の遺産額が基礎控除以下なら相続税ゼロ・申告原則不要
- 配偶者控除・小規模宅地等の特例を使って税額ゼロでも申告は必要
- 令和6年改正で生前贈与加算期間が最長7年に延長
- 法定相続人の範囲・相続放棄者・養子の扱いは計算ミスが起きやすい
ご自身の家族構成での基礎控除額や、基礎控除を超えた場合の税額を正確に知りたい方は、無料相談で相続専門の税理士が試算します。相続税申告のサポート内容は相続税申告・相続手続コースをご覧ください。


監修
中村亨
日本クレアス税理士法人 代表
税理士
公認会計士
2002年8月に会計事務所として創業、2005年には税理士事務所を開業し、法人や個人のお客様の会計・税務の支援をする中で、「人事労務の問題を相談をしたい」「事業承継を検討している」といったお客様のニーズに応える形でサービスを拡大し続け、現在では社会保険労務士法人など複数の法人からなるグループ企業に成長してきました。お客様に必要なサービスをワンストップで提供できることが当社の強みです。





