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ーコラムー
税負担の軽減

小規模宅地等の特例とは?適用条件をわかりやすく解説

2019.7.18

小規模宅地等の特例とは、相続税の土地評価額を減額させる特例措置で、適用の減額割合は最大80%です。相続税は総財産の評価額に対し、税率を乗じますので、評価額が80%減額すれば相続税も80%減税になります。

ただし、小規模宅地等の特例適用は、土地の種類・用途によって条件が異なるため注意が必要です。

小規模宅地等の特例で最も適用が多いものが、自宅用の土地です。適用条件や添付書類、特例適用にあたっての注意点について、ご説明します。

目次

1.小規模宅地等の特例の条件は土地の用途
 1.1.配偶者は土地を取得するだけで特例適用になる
 1.2.同居親族が相続する場合には居住継続が条件
 1.3.被相続人が一人暮らしだった場合には同居以外の親族も適用可能
2.土地の小規模宅地等の特例の計算方法について
3.小規模宅地等の特例は土地のみ対象で建物は対象外
4.老人ホームに住んでいても小規模宅地等の特例は適用可能
5.小規模宅地等の特例の併用は可能
6.小規模宅地等の特例の添付書類について

小規模宅地等の特例の条件は土地の用途

小規模宅地等の特例適用をする際の条件は、財産を取得する相続人によって異なります。
被相続人…亡くなった人
相続人 …亡くなった人の財産を取得する権利がある人

自宅用の土地の場合、被相続人が自宅の敷地として利用していたことが前提です。

配偶者は土地を取得するだけで特例適用になる

配偶者が自宅用の小規模宅地等の特例適用する場合の条件は、2つです。

<配偶者が相続する場合の適用条件>

  • 対象の土地は被相続人が住んでいた自宅の敷地
  • 対象の土地を相続するのが配偶者

配偶者は自宅を相続するだけで、自宅用の小規模宅地等の特例適用が可能となります。

同居親族が相続する場合には居住継続が条件

被相続人と同居していた親族が、土地を相続する場合の条件は4つです。

<同居親族が相続する場合の適用条件>

  • 対象の土地は被相続人が住んでいた自宅の敷地
  • 対象の土地を相続するのが同居していた親族
  • 相続税の申告期限まで対象の土地を所有
  • 相続税の申告期限まで対象の土地の上にある建物に居住

同居人が相続する場合、相続税の申告期限まで継続して居住することが条件となります。相続税の申告期限は、相続開始日の翌日から10ヶ月以内です。

相続開始後10ヶ月以内に土地を売却すると、所有権が無くなりますので小規模宅地等の特例は適用できません。

小規模宅地等の特例とは?適用条件をわかりやすく解説

被相続人が一人暮らしだった場合には同居以外の親族も適用可能

自宅の小規模宅地等の特例は、原則として、同居親族が相続するのが条件です。
しかし、被相続人が一人暮らしだった場合には、同居していない親族であっても特例適用が受けられます。

<同居以外の親族が相続する場合の適用条件>

  • 対象の土地は被相続人が住んでいた自宅の敷地
  • 対象の土地を相続するのが同居していない親族
  • 被相続人に配偶者がいない(死別・離別含む)こと
  • 相続開始前3年以内に日本国内にある取得者、取得者の配偶者、取得者の三親等内の親族又は取得者と特別の関係がある一定の法人が所有する家屋に居住したことがないこと(相続開始の直前において被相続人の居住の用に供されていた家屋を除く)
  • 相続開始時に、取得者が居住している家屋を相続開始前のいずれの時においても所有していたことがないこと
  • 対象の土地を相続開始時から相続税の申告期限まで有していること

土地の小規模宅地等の特例の計算方法について

自宅の小規模宅地等の特例は、土地の評価額を減額します。自宅用の土地の減額割合は80%であり、適用上限の面積があります。


<小規模宅地等の特例の計算式>
1㎡あたりの土地の評価額×330㎡(※)×0.8=減額する金額
土地評価額-減額する金額=小規模宅地等適用後の土地評価額

※実際の土地の面積が330㎡未満の場合には実際の面積


<自宅用の土地の計算例>
【1】土地の評価額の計算
1㎡あたりの評価額 10万円/㎡
土地面積 400㎡
土地の評価額 10万円×400㎡=4,000万円

【2】減額する金額の計算
10万円×330㎡×0.8=2,640万円
(実際の面積400㎡≧330㎡⇛330㎡が控除限度面積)

【3】土地の評価額から減額する金額を引いたものが「減額後の土地評価額」
4,000万円-2,640万円=1,360万円


相続税の最低税率は10%です。
2,640万円分の土地評価額が減少した場合、最低でも264万円分の相続税が節税となります。

小規模宅地等の特例は土地のみ対象で建物は対象外

小規模宅地等の特例は、土地のみが対象の特例です。

自宅建物の有無や建物の名義は特例条件に関係します。しかし、小規模宅地等の特例適用によって、建物本体の評価額は減額にはなりません。

自宅用の建物の名義は被相続人か同居人の名義

自宅用の土地を小規模宅地等の特例適用する場合、建物の名義が被相続人の名義でなくても特例適用は可能です。

自宅の名義が被相続人と同居している生計を一にする親族であれば、特例適用の対象です。 生計を一にするとは、一緒のサイフで生活費をやりくりしている場合をいいます。

店舗兼住宅の場合には住宅部分のみが自宅用の対象

建物を店舗兼住宅として利用している場合、自宅として利用している部分のみが自宅用の小規模宅地等の特例適用の対象となります。

店舗と自宅の割合が6:4の場合、自宅用の小規模宅地等の特例対象となるのは、自宅部分の4割のみです。

なお、店舗部分に関しても条件を満たせば、他の小規模宅地等の特例適用を受けることができます。

<店舗兼住宅の適用例>

全て居住用 事業用6:居住用4 全て事業用
特定事業用宅地等 該当なし 6割該当 10割該当
特定居住用宅地等 10割該当 4割該当 該当無

老人ホームに住んでいても小規模宅地等の特例は適用可能

自宅用の小規模宅地等の特例適用は、被相続人が亡くなる直前まで自宅の敷地として利用していないと特例適用はできません。

しかし、被相続人が老人ホームに入居した場合においては、亡くなる直前に自宅に住んでいない場合でも、小規模宅地等の特例を適用できます。

被相続人が要介護認定等を受けていることが条件

老人ホームに入居している場合、小規模宅地等の特例適用に該当するためには、被相続人が要介護認定などの対象者であることが条件となります。

<認定条件(いずれかに該当)>

  • 要介護認定(介護保険法第19条第1項)
  • 要支援認定(介護保険法第19条第2項)
  • 介護保険法施行規則第140条の62の4第2号に該当
  • 障害支援区分の認定(障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律第21条第1項)

また、特例適用の対象となる施設は、以下の通りです。

<特例適用の対象となる施設>

  • 養護老人ホーム
  • 特別養護老人ホーム
  • 軽費老人ホーム
  • 有料老人ホーム
  • 介護医療院
  • 高齢者向け施設(高齢者の居住の安定確保に関する法律第5条第1項に規定するサービス付き)
  • 障害者支援施設

老人ホームに入居中に自宅の貸付けはできない

被相続人が老人ホームに入居している間、対象となる自宅を使用することはできません。 老人ホームに入居中に自宅を貸し付けた場合、自宅用の小規模宅地等の特例は適用不可となります。

また、無償であっても老人ホーム入居後、新たに居住することは認められません。被相続人が老人ホームを退所した場合に、すぐに戻れる自宅であることが特例適用条件です。

小規模宅地等の特例の併用は可能

小規模宅地等の特例の併用は可能です。
自宅用の小規模宅地等以外にも、貸付用・貸付事業以外の事業用の特例措置が存在します。

貸付用の小規模宅地等の特例は200㎡まで

貸付用の小規模宅地等の特例の控除面積は、200㎡までが限度です。
土地評価額の減額割合は50%で、自宅用と併用する場合、限度面積は合算することになります。

<自宅用と貸付用の比較>

自宅用 貸付用
控除面積の限度 330㎡ 200㎡
減額割合 80% 50%
控除面積の計算 貸付用と合算 自宅用と合算

貸付以外の事業用の小規模宅地等の特例は400㎡まで

貸付以外の事業用の小規模宅地等の特例の控除面積は、400㎡までが限度です。土地評価額の減額割合は80%で、自宅用とは別に限度面積が設けられています。

<自宅用と貸付以外の事業用の比較>

自宅用 事業用
控除面積の限度 330㎡ 400㎡
減額割合 80% 80%
控除面積の計算 自宅用単独 事業用単独

小規模宅地等の限度面積の計算式

小規模宅地等の特例適用の条件を満たす場合、複数の土地に対して適用できます。限度面積は適用する小規模宅地等の種類によって異なります。

①自宅用(特定居住用宅地等)
②貸付用(貸付事業用宅地等)
③貸付以外用(特定事業用宅地等、特定同族会社事業用宅地等)

特例の適用を選択する宅地等 限度面積
貸付以外用(③)及び自宅用(①)
(貸付用がない場合)
②≦400
①≦330
両方を選択する場合は、合計730㎡
貸付用(②)及びそれ以外の宅地等(①、③)
(貸付用がある場合)
③×200/400+①×200/330 +②≦200

貸付用の小規模宅地等の特例を適用する場合、限度面積は合算します。
自宅用と貸付事業以外の事業用の場合には、それぞれの限度面積まで特例適用が可能となります。

小規模宅地等の特例の添付書類について

小規模宅地等の特例適用する場合、相続税の確定申告書を申告期限内に提出して、初めて特例適用となります。

また、自宅用の特例適用にあたっては、適用する相続人等によって添付書類が異なります。

<共通する書類>

  • 戸籍謄本(被相続人と相続人の続柄が確認できる)
  • 遺産分割協議書の写し
  • 遺産分割協議書に押印した相続人等の印鑑証明書
  • マイナンバー(マイナンバーを有している場合)


<同居人が特例適用を受ける場合>

  • 住所が確認できる書類(マイナンバーを所有している場合は不要)


<同居人以外の相続人が特例適用する場合>

  • 住所が確認できる書類(マイナンバーを所有している場合は不要)
  • 相続開始前3年以内に居住していた家屋が、自己、自己の配偶者、三親等内の親族又は特別の関係がある一定の法人の所有する家屋以外の家屋である旨を証する書類 (住んでいるアパートの賃貸契約書など)
  • 相続開始の時において自己の居住している家屋を相続開始前のいずれの時においても所有していたことがないことを証する書類(住んでいるアパートの登記事項証明書など )


<被相続人が老人ホーム等に入居している場合>

  • 被相続人の戸籍の附票の写し(相続開始日以後に作成されたもの)
  • 施設への入所時における契約書の写しなど、被相続人が相続開始の直前において入居又は入所していた住居又は施設の名称及び所在地並びにその住居又は施設が次のいずれに該当するかを明らかにする書類

⇒いずれか該当する書類
・介護保険の被保険者証の写し
・障害福祉サービス受給者証の写し
・障害支援区分の認定を受けていたことを明らかにする書類

小規模宅地等の特例の添付書類について

遺産分割が間に合わない場合は分割見込書を提出する

小規模宅地等の特例は、期限内申告と遺産分割協議の完了が前提です。

申告期限内までに遺産分割協議がまとまらなかった場合には、「申告期限後3年以内の分割見込書」を相続税の申告書と提出することになります。

なお、遺産分割が成立した場合には、速やかに更正の請求書(修正申告書)を提出することになります。

相続税の申告書の提出先は被相続人の管轄税務署

相続税の申告書は、被相続人の住んでいる場所を管轄する税務署に提出します。

相続人が複数いる場合には、連名で1つの申告書を作成して提出することになります。相続税の申告期限は、相続発生した日の翌日から10ヶ月以内です。

小規模宅地等の特例適用をする場合には、最初に誰が特例適用できる相続人なのかを確認してください。


今回のコラムでご紹介したように、土地を相続した場合に活用できる特例には細かい適用条件が設定されており、また計算方法や提出書類も複雑です。日本クレアス税理士法人にいただくご相談の中でも、土地や建物といった不動産の相続・贈与に関係するものは非常に多くあります。

当社では、贈与などの生前対策から、発生した相続の申告はもちろん、申告した後のセカンドオピニオンまで、幅広くサポートを行っています。

土地にまつわるものでは、他社で申告した相続に関するセカンドオピニオンの活用で相続の還付を受けたケースもあります。

適用期限や範囲が変わる場合が多い特例については、相続の経験が豊富で最新動向を把握している専門家にご相談ください。