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ーコラムー
生前贈与
税理士監修記事

名義預金とみなされるのはどのような時?贈与が成立するためのポイント(民法549条)

公開日:2015.11.5 更新日:2022.06.28

相続実務の中でよくある質問のひとつとして、名義預金に関するものがあります。名義預金と判定されたことにより、相続税が想定していたものよりも大きな額になってしまうことがあるため、相続対策を計画的に行うためには、名義預金についてしっかりと理解を深めることが必要です。

「名義預金」ではなく贈与を成立するためには、どのように対処していく必要があるのでしょうか。 贈与は、双方の合意が必要となります。 そのため、双方がその存在を知っているということが大前提となります。ここでは贈与が成立するためのポイントについて見ていきます。

目次

1.贈与の民法上の規定は?
2.贈与が成立するポイント
3.贈与契約書作成時の3つのポイント
4.名義預金とは?
5.名義預金と判定されるポイントは?
  5-1.預金通帳・証書の保管を誰が行っているか?
  5-2.印鑑
  5-3.贈与税の申告の有無
  5-4.預貯金の管理運営者は誰か?
  5-5.原資のチェック
6.税務調査と名義預金の関係は?
7.どうやって税務署は名義預金を調べているのか?
8.まとめ

1.贈与の民法上の規定は?

贈与は、民法第549条で「贈与は当事者一方が、自己の財産を無償にて相手方に与える意思を表示し、相手方が受諾をすることによって、その効力が生ずる。」と規定されています。

贈与者が「あげる」といい、受増者が「ありがとう、もらいます」と言うなど、双方の合意が必要となります。 例えば、お爺様が孫名義で毎年預金をしていても、その預金の存在を孫が知らない場合には、民法上贈与契約が成立していないことになります。

そのため、孫名義の預金が行われて10年経過したとしても、民法上、贈与が行われていないことになりますので、お爺様の相続財産に含まれるということになります。

2.贈与が成立するポイント

  • 贈与契約書を交わすこと (贈与金額が110万円以下であっても)
  • 贈与金額が110万円を超える場合は、贈与税の申告を毎年行う
  • 預貯金の印鑑は、被相続人と違うものを使用すること
  • 印鑑や通帳、キャッシュカードは、名義人が管理していること
  • 口座の名義人がいつでも管理し、使えるようになっていること

3.贈与契約書作成時の3つのポイントは?

贈与契約書作成時のポイントは以下の3点です。

  1. 贈与する側(あげる人)と贈与を受ける側(もらう人)の氏名を書くこと。署名は自分で行うことが望ましいです。ワープロ書きではあらぬ疑いをかけられる恐れがあります。
  2. 日付を書くこと
  3. 原本を保管すること

上記の3点を、贈与契約書の作成時には確実に行うようにしましょう。

4.名義預金とは?

名義預金とは、形式的には配偶者や子・孫などの名前で口座を持っているが、収入等から考えると実質的には別の所有者がいるという預金のことです。

つまり、単に名義を借りている被相続人の管理下にある預金を指します。

名義預金は申告漏れ相続財産のうち、35.2%(金額構成比)を占め、最も割合が大きくなっています。

※参考:国税庁HP「平成27事務年度における相続税の調査の状況について」(付表2) 申告漏れ相続財産の金額の構成比の推移

同様に、株式についても「名義株式」とされるものがあります。

5.名義預金と判定されるポイントは?

名義預金を判定するためのポイントには、次の5つがあります。

5-1.預金通帳・証書の保管を誰が行っているか?

預金通帳・証書の保管者が被相続人で、相続人がその預貯金の名義人であったとしても、その存在を相続人が相続開始まで知らなかった場合、その預貯金の真の所有者は被相続人と推定されます。

5-2.印鑑

印鑑は税務調査で厳しくチェックされるポイントです。

預金取引の開始の際、本人確認のために印影の届出を行うのが一般的ですが、贈与を行った者と同じ印鑑であれば、贈与者の名義預金として認定される可能性があります。

5-3.贈与税の申告の有無

贈与税の申告を行っていない場合、名義だけが相続人のものであり、実質は相続人の相続財産である「名義借り」として認定されてしまう可能性があります。

5-4.預貯金の管理運営者は誰か?

預金の引き出しや、定期預金の満期に伴う書き換えは、相続人が行うべきものなので、これらの手続きや運用を被相続人が行っていたとしたならば、名義預金として判断される可能性があります。

5-5.原資のチェック

一体どこからそのお金が振り込まれてきたのか、名義人の所得状況や資金源等、税務調査では諸条件を色々な角度からチェックされることになります。

国税庁の調査によると、平成27事務年度における申告漏れ課税価格は3,004億円、内訳を詳しく見てみると現金・預貯金等1,036億円(平成26事務年度1,158億円)が最も多く、続いて土地410億円(平成26事務年度414億円)、有価証券364億円(平成26事務年度490億円)の順となっています。

これに伴い追徴税額は583億円となり、実地調査1件あたりでは489万円となっています。決して少ない金額ではありませんね。

※参考:国税庁HP「平成27事務年度における相続税の調査の状況について

それではなぜ、現金・預貯金等の申告漏れが多くなっているのでしょうか?ここからは名義預金と税務調査の関係の観点から考えてみたいと思います。

6.税務調査と名義預金の関係は?

前述したとおり、申告漏れ相続財産のうち最も多いのが現金・預貯金等です。

相続手続きにおいて、被相続人の名義の預貯金を申告から漏らすことはあまり現実的ではありませんので、税務調査で申告漏れを指摘された現金・預貯金等の大半は名義預金ではないかと推察されます。

申告漏れ相続財産の内訳を見てみると現金・預貯金等で1,036億円、有価証券も364億円、となっています。これらの結果から、税務調査では名義預金や名義株について詳しく調査が入ることがわかります。

相続対策を行うのであれば、「相続人が実際の所有者になっているか」をしっかりと確認することが重要となります。

7.どうやって税務署は名義預金を調べているのか?

税務署は基本的に、全ての金融機関に対して照会を行い、預貯金や株式等の照会は済ませたうえで調査に来ている、と考えてください。

これは被相続人名義の預貯金に限らず、その親族名義の預貯金に関しても同様です。

具体例を挙げると、被相続人が持っていた預貯金がある金融機関の支店に、被相続人の親族名義の預貯金住所が同じ預貯金があるかどうかを調査します。

また、その調査した預貯金で、内容が不明瞭な大きな金額の出金があると、その振込先の預金も調べることもあります。ゆうちょ(郵便貯金)においては、支店は関係なく一括で照会ができますので、郵便局に税務署は照会しないというのは、間違いです。

8.まとめ

相続後の税務調査で不意に相続税が課税されるのは、誰しもが避けたいこと。名義預金と見なされないためには、生前の相続対策が重要になってきます。

また、生前の相続対策を適切に行うには一般的な知識だけではなく、専門家の知識や協力が不可欠です。生前のうちに、相続に詳しい税理士やFP(ファイナンシャルプランナー)などの専門家に相談することをおすすめします。

名義預金ではなく、贈与が成立するためのポイント

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