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ーコラムー
相続税
税理士監修記事

相続税と贈与税は何が違う?税率や控除・特例などを徹底比較!

公開日:2024.7.31 更新日:2024.07.31

相続や贈与に関する税金についての知識は、財産を効率的に管理し、税負担を最小限に抑えるために非常に重要です。

相続税と贈与税は、いずれも財産の移転に伴う税金ですが、それぞれの仕組みや税率、控除・特例には大きな違いがあります。

本記事では、相続税と贈与税の基本的な違いや共通点を整理し、具体的な税率や控除、特例について詳しく解説します。

適切な対策を講じることで、家族の財産を守りながら税金の負担を軽減する方法を学びましょう。

1. 相続税・贈与税とは?共通点と課税対象

1. 相続税・贈与税とは?共通点と課税対象

相続税と贈与税は、財産の移転に伴う税金として、日本の税法で規定されています。

相続税は、被相続人が亡くなった際に、その財産を相続人が受け取る場合に課される税金です。

一方、贈与税は、生前に財産を他人に贈与する際に課される税金です。

2つの税金は、個人間の財産の移転に関連する点で共通していますが、その課税タイミングや方法に違いがあります。

両税の主な課税対象には、現金や預金、不動産、株式、その他の財産が含まれ、どちらも財産の移転に伴う税負担を公平に分担させるための税金です。

以下では、相続税と贈与税の基本的な概念や共通点・課税対象について詳しく解説します。

1-1. 【共通点】どちらも財産を取得するときにかかる税金

相続税と贈与税は、いずれも財産の移転に対して課せられる税金です。

相続税は人が亡くなった際にその財産を受け取る際に発生し、贈与税は生前に財産を譲り受ける際に発生します。

どちらも財産を受け取ることによる利益に対して課税される点が共通点です。

1-2. 相続税の課税対象

相続税は、被相続人が亡くなったときに、その財産を相続や遺贈によって取得した者に対して課せられます。

不動産、現金、預貯金、株式、車、骨董品など、被相続人が所有していたすべての財産が課税対象です。

加えて、死亡保険金や死亡退職金も一定の条件のもとで相続財産として扱われます。

1-3. 贈与税の課税対象

贈与税は、生前に財産を譲り受けた場合にその受贈者に対して課せられます。

不動産、現金、預貯金、株式、車、宝石、絵画などが課税対象です。

贈与税は年間の贈与額に基づいて課税され、贈与が複数年にわたって行われる場合でも、その都度課税が行われる点には注意しましょう。

2. 【相続税と贈与税】税率の違い

2. 【相続税と贈与税】税率の違い

相続税と贈与税は、いずれも財産の移転に関連して課される税金ですが、その税率には顕著な違いがあります。

相続税は、相続人が受け取る財産の総額に応じて累進課税方式で税率が決定され、財産が多ければ多いほど高い税率が適用されます。

一方、贈与税も累進課税方式を採用していますが、相続税と比較すると税率が異なります。

また、相続税では、一定の控除額が設定されており、控除額を超える部分に対して税率が適用。

これに対し、贈与税は毎年の贈与に対して課税され、年間の基礎控除額を超える部分に対して課税されます。

以下では、相続税と贈与税の具体的な税率の違いについて詳しくみていきましょう。

2-1. 相続税の税率

累進課税方式を採用しているため、遺産の総額が増えるほど税率も高くなります。

た、法定相続人の数や取得する財産の種類によっても異なる控除が適用される場合があり、相続税の税率と控除額は以下の通りです。

相続税の税率と控除額
課税財産価額 税率 控除額
1,000万円以下 10%
1,000万円超 3,000万円以下 15% 50万円
3,000万円超 5,000万円以下 20% 200万円
5,000万円超 1億円以下 30% 700万円
1億円超 2億円以下 40% 1,700万円
2億円超 3億円以下 45% 2,700万円
3億円超 6億円以下 50% 4,200万円
6億円超 55% 7,200万円

詳しい相続税の税率や計算については、下記記事をご覧ください。

【関連記事】相続税の税率は最大で55%!税額や控除額の計算方法を解説

2-2. 贈与税の税率

贈与税も累進課税方式であり、贈与額に応じて税率が異なります。以下の表に示すように、贈与額が増えるほど税率が高くなります。

この累進課税方式により、大きな贈与を受ける場合には高い税率が適用されるため、下記の税率を参考に贈与の計画を立てましょう。

<一般贈与の場合の税率>

基礎控除後の課税価格 税率 控除額
200万円以下 10% -
300万円以下 15% 10万円
400万円以下 20% 25万円
600万円以下 30% 65万円
1,000万円以下 40% 125万円
1,500万円以下 45% 175万円
3,000万円以下 50% 250万円
3,000万円超え 55% 400万円

<特例贈与の場合の税率>

基礎控除後の課税価格 税率 控除額
200万円以下 10% -
400万円以下 15% 10万円
600万円以下 20% 30万円
1,000万円以下 30% 90万円
1,500万円以下 40% 190万円
3,000万円以下 45% 265万円
4,500万円以下 50% 415万円
4,500万円超え 55% 640万円

【出典】:国税庁HP「贈与税の計算と税率」

贈与税の詳しい計算方法については、下記記事をご覧ください。

【関連記事】贈与税とは?税金がかかる条件や税率をわかりやすく解説

3. 【相続税と贈与税】基礎控除の違い

3. 【相続税と贈与税】基礎控除の違い

相続税と贈与税には、それぞれ異なる基礎控除が設定されており、この点が両税の大きな違いの一つです。

相続税における基礎控除は、遺産総額から一定金額を差し引いた後に課税される仕組みです。

この控除額は、「3,000万円+600万円×法定相続人の数」と定められており、遺産を受け取る相続人の数が増えるほど控除額も増加します。

たとえば、法定相続人が3人いる場合、基礎控除額は「3,000万円+(600万円×3)」で4,800万円となります。

基礎控除額が大きいため、実際の相続では相続税が発生ケースも多いです。

一方、贈与税における基礎控除は年間110万円であり、この金額までは贈与税がかかりません。

そのため、贈与を毎年少しずつ行うことで、贈与税の負担を軽減することが可能です。

年間基礎控除を超える贈与については、超過分に対して贈与税が課されるので注意しましょう。

4. 【相続税と贈与税】控除や特例の違い

4. 【相続税と贈与税】控除や特例の違い

相続税と贈与税には、それぞれ独自の控除や特例が存在し、両税の違いを際立たせる要素となっています。

相続税には、配偶者控除や未成年者控除、障害者控除、小規模宅地等の特例など、さまざまな控除や特例が設けられています。

これらは相続人の負担を軽減するための制度であり、適用することで相続税額を大幅に節税可能です。

一方、贈与税にも結婚資金の贈与や住宅取得等資金の贈与などの特例が存在します。

これらの特例は、生前贈与に活用することで、相続税対策を行う際に有効です。

以下では、相続税と贈与税における主要な控除や特例の違いについて具体的に解説し、それぞれの活用方法を紹介します。

4-1. 相続税の控除・特例

相続税には多くの控除や特例が存在します。主なものとして以下が挙げられます。

配偶者控除

相続税の配偶者控除は、相続税の課税において配偶者が大幅な優遇措置を受けることができる制度です。

この控除は、亡くなった人の配偶者が相続する財産に対して適用され、相続税の負担を軽減することを目的としています。

配偶者控除では、配偶者が相続する財産の総額が一定額以下であれば、相続税が非課税となります。

この一定額とは、1億6,000万円または法定相続分相当額のいずれか大きい方の金額です。

配偶者控除を受けるためには、配偶者が相続の事実を証明する必要があり、相続登記や相続分割協議書などの書類が必要なので注意しましょう。

小規模宅地等の特例

小規模宅地等の特例は、相続税の負担を軽減するために設けられた制度で、被相続人が居住していた住宅や事業用の土地に対して適用されます。

特例を利用することで、相続税の計算対象となる土地の評価額を大幅に減額することができ、相続人が被相続人と同居していた場合や、事業を引き継ぐ場合に有効です。

対象の宅地や適用要件についてまとめましたのでご覧ください。

条件 詳細
対象となる宅地の種類

特定居住用宅地等:被相続人が居住していた住宅の敷地。
最大330㎡までの部分に対して評価額が80%減額。

特定事業用宅地等:被相続人が事業を行っていた土地。
最大400㎡までの部分に対して評価額が80%減額。

貸付事業用宅地等:被相続人が賃貸事業を行っていた土地。
最大200㎡までの部分に対して評価額が50%減額。

適用要件

相続人が引き続きその土地に居住し続けること。

相続人がその事業を引き継ぎ、継続して事業を行うこと。

被相続人の死亡日まで被相続人がその土地を利用していたことが確認できること。

相続人が相続税の申告期限までに、該当する宅地を取得し、所定の要件を満たすこと。

適用することで、相続税の負担を大幅に軽減することが可能です。

未成年者控除

未成年者控除は、相続において未成年者が相続人となった場合に、相続税の負担を軽減するために設けられた制度です。

控除を利用することで、未成年者が相続する財産に対する相続税額を減額できます。

未成年者控除の非課税範囲と条件は以下のとおりです。

  1. 未成年者の年齢:相続開始時において20歳未満であること。

  2. 相続人であること:未成年者が被相続人の相続人であること。

  3. 控除額:未成年者が18歳に達するまでの年数(18歳から未成年者の年齢を引いた数)に対し、1年あたり10万円

利用できる控除は状況によって異なるので、何が利用できるか確認しましょう。

4-2. 贈与税の控除・特例

贈与税にもいくつかの特例が存在します。

結婚資金の贈与に対する非課税制度

結婚資金として贈与されるお金に対して一定の条件を満たす場合、贈与税が非課税となる制度があります。

この制度は、若者の結婚を支援するためのもので、親や祖父母からの贈与が対象です。

非課税の対象となる結婚資金贈与には以下のような条件があります。

  • 受贈者の年齢:贈与を受ける人(受贈者)が20歳以上50歳未満であること。
  • 贈与者との関係:贈与を行う人(贈与者)が直系尊属(親や祖父母)であること。
  • 非課税限度額:非課税となる金額は1,000万円まで。ただし、これは一生涯の限度額であり、複数回に分けて贈与を受ける場合でも累計で1,000万円を超えると、その超過分には贈与税がかかります。

住宅取得等資金の贈与の非課税

親や祖父母から住宅の取得や改修に必要な資金を贈与された場合、一定の条件を満たせばその贈与に対する贈与税が非課税となるものです。

この制度は、若い世代の住宅取得を支援するために設けられています。

住宅取得等資金の贈与が非課税となるためには、以下の条件を満たす必要があります。

  • 受贈者の年齢:贈与を受ける人(受贈者)が20歳以上であること。
  • 贈与者との関係:贈与を行う人(贈与者)が直系尊属(親や祖父母)であること。
  • 住宅の要件:贈与を受けた資金が、居住用の住宅を取得するため、または居住用住宅の改修に使用されること。
  • 非課税限度額:新築または購入の場合、一般住宅の場合は最大1,000万円、耐震・省エネ・バリアフリー住宅の場合は最大1,500万円までが非課税となります(2023年時点の例)。リフォームの場合、最大1,000万円までが非課税となります。

制度内容は一定の間隔で変更されてきているので、手続きの詳細なども含め、国税庁の公式サイトや税務署で確認しましょう。

5. 税額の大きさは状況によって異なる

5. 税額の大きさは状況によって異なる

相続税と贈与税の税額は、個々の状況によって大きく異なります。

税額の算出には、受け取る財産の種類や額・受け取る時期・利用できる控除や特例など、さまざまな要素を考慮する必要があります。

そのため、どちらの税額が大きくなるかは一概には言えません。

たとえば、相続財産が大きい場合には相続税が高額になる一方で、生前に贈与を分散させることで贈与税の負担を軽減できるケースもあります。

状況に応じて最適な対策を検討することが重要です。

6. 相続税と贈与税を通算できる「相続時精算課税制度」

6. 相続税と贈与税を通算できる「相続時精算課税制度」

相続時精算課税制度は、60歳以上の親または祖父母から18歳以上の子または孫への贈与に対して、2,500万円まで非課税とする制度です。

ただし、相続時には贈与分も相続財産に含めて課税されます。

この制度を利用することで、生前贈与と相続を通じて一貫した財産管理が可能となります。

 【相続時精算課税制度の主な特徴】

非課税枠:生前贈与時に2,500万円まで非課税。

相続時に精算:贈与時には非課税だが、相続時に贈与分を相続財産に加算して相続税を計算。

適用条件:贈与者が60歳以上の親または祖父母であり、受贈者が18歳以上の子または孫であること。

制度を上手に利用することで、大きな財産を効率的に移転することができる反面、相続時の税負担を見据えた計画的な運用が必要となります。

7. 相続税と贈与税の違いを正しく理解しよう!

相続税と贈与税の違いを正しく理解することは、財産の効率的な移転と税負担の軽減に重要です。

税率や控除・特例をしっかり把握して適切な対策を講じることで、家族の財産を守りつつ、税金の負担を最小限に抑えることができます。

税理士など専門家の助言を受けながら、最適な方法を選びましょう。

日本クレアス税理士法人 相続サポート

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