ご自身の大切な方に大切な財産を確実にお渡しするために、また、相続対策として生前贈与を検討したり実施したりしている方もいるかと思います。
しかし、当事者は「贈与」という認識のもとで行っていた行為が「贈与の事実を否認」されてしまうことも多く、しばしばトラブルが発生してしまっているのも現状です。これではせっかくの生前対策も意味がなくなってしまいます。 そこで今日は効果的な生前対策を行うことができるよう、生前贈与で注意することを挙げてみました。
1.贈与の事実を残しましょう
民法第549条によれば、贈与は自己の財産を無償で相手に与える意思表示をし、相手が受諾することによって成立するとしています。
贈与者と受贈者の合意の無いものは、贈与が成立したことになりませんから、贈与契約書を作成しましょう。
贈与者と受贈者が署名・押印しておけば、あとになって贈与の事実を証明できます。 ※こちらで贈与契約書の書き方を確認することができます。
関連記事:作成例付き:贈与契約書の書き方
2.定期金の贈与とみなされないよう対策しましょう
さらに、「定期金の贈与」とみなされてしまえば、一括して贈与税が課税されることがあるので、注意が必要です。
例えば、一定期間に毎年同額ずつ贈与することが、贈与者と受贈者で決まっている場合に、一年ごとに贈与したのではなく、これを取り決めた初年度にまとめて定期金の権利(一定期間に毎年同額の贈与を受ける権利)を贈与したとみなされてしまうのです。
10年間に渡り毎年110万円を贈与していた時に、初年度に1100万円を贈与したものとみなされて課税されてしまうのです。 すこし面倒ですが、やはり贈与の都度、贈与契約書を締結するのが良いでしょう。
3.早めに生前贈与を始めましょう
贈与した日から3年以内に相続が発生した場合、相続財産を取得した相続人に生前贈与された財産は相続財産とみなされます。 そのため相続対策は早めに始めた方が効果が出やすいのです。
4.贈与者の口座から受贈者の口座に振り込みましょう
あとで贈与の事実を証明しやすくするために、現金を贈与する場合には、銀行などの金融機関を通じて、贈与者の口座から受贈者が管理する口座に振り込みましょう。
口座名義が受贈者であっても、実際は贈与者が管理(口座開設、預金、通帳・印鑑・キャッシュカードの保管)していれば、名義預金として贈与者の財産と認定されてしまう事があるためです。
関連記事:税務調査について知る~名義預金と判定するポイントは?
5.贈与税の申告・納付を行いましょう
1年間の贈与財産の合計額が基礎控除額の110万円を超える場合には、贈与税の申告をし、納付します。そして、後日の為に控えを保管します。 贈与税の申告は、受贈者が、贈与を受けた翌年の2月1日から3月15日の間に行う必要があります。
生前贈与について個別の相談があるときは、税理士などの専門家にご確認するのもよいでしょう。
日本クレアス税理士法人
執行役員 税理士 中川義敬
2007年 税理士登録(近畿税理士会)、2009年に日本クレアス税理士法人入社。東証一部上場企業から中小企業・医院の税務相談、税務申告対応、医院開業コンサルティング、組織再編コンサルティング、相続・事業承継コンサルティング、経理アウトソーシング決算早期化等に従事。事業承継・相続対策などのご相談に関しては、個々の状況に合わせた対応により「円滑な事業承継」、「争続にならない相続」のアドバイスを行う税理士として定評がある。(プロフィールページ)
・執筆実績:「預貯金債券の仮払い制度」「贈与税の配偶者控除の改正」等
・セミナー実績:「クリニックの為の医院経営セミナー~クリニックの相続税・事業承継対策・承継で発生する税務のポイント」「事業承継対策セミナー~事業承継に必要な自己株式対策とは~」等多数
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