負担付死因贈与(ふたんつきしいんぞうよ)という言葉を聞いたことはあるでしょうか? 負担付死因贈与とは、一定の義務を負担することを条件に、財産を贈与する契約です。
例えば「最後まで介護をしてくれたら、○○をあげる」といった契約のことです。 以下で詳しく見ていきましょう。
負担付死因贈与の具体例
死因贈与とは?
まず「死因贈与」について説明します。 「死因贈与」とは、死亡を原因として贈与することを約束するものです。 「自分が死んだら○○をあげる」「○○をもらうね」といった贈与のことです。 これに「負担」が伴うものが、「負担付死因贈与」となります。
負担付死因贈与とは?
例えば、「親の面倒をみた人に財産を確実に渡したい」といったケースに、負担付死因贈与は有効です。
あまり考えたくはありませんが、親子間であっても、介護したいという気持ちを持っていても、何年か経つと状況が変わって介護できなくなり、結果的に口約束に終わってしまう…なんてことも十分にありえます。
また、介護を受ける側としても遺言書で、介護をしてくれた人に多く財産を渡そうと考えていたとしても、途中で気分がかわり、遺言書を書き直してしまう可能性も十分にあります。
相続が始まって遺言書を開いてみるまで、本当に長年介護をしてきただけに値する財産をもらえるかどうかが分からないというのでは、お互いに疑心暗鬼になりやすいといえましょう。
負担付死因贈与は贈与契約のひとつです
贈与契約は、一方の意思だけでは成り立ちません。 遺言書との違いは、あげる側から一方的に取り消せないことです。
そのため、この負担付死因贈与を使えば、介護をする側(贈与を受ける側)も、約束の内容がしっかり把握できますし、その約束を履行できた場合には、特別な理由がない限り契約の撤回がゆるされないメリットもあります。
もちろん、全く負担を遂行しなかった場合は、財産はもらえません。 負担の内容をお互いがきちんと認識でき、約束の内容をしっかり行うならば、負担付死因贈与契約も大変有効な契約といえます。
書面で残しておくことが大切
負担付死因贈与を使う場合にも、きちんと契約書をつくり書面で残しておくことが必要です。
贈与する側は、贈与する時にはもう死亡していませんので、書面での契約書が頼りになります。 公正証書を作成しておくのが安全ですし、頻繁に利用されているようです。
また、家族の間でバランスを取り、あまり不平等にならないようにすることも大切です。 さらに、なぜ贈与契約書をつくったかも家族にしっておいてもらうと、相続時に揉めないよう配慮をする必要もあります。
さらに、負担付死因贈与は、被相続人が死んでしまうことで、他に身寄りのない幼い子供やペットが路頭に迷ってしまうような場合にも、有効な策として活用できます。
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