相続税の申告手続きは、法律で期限が決められています。期限内に正しい金額で相続税の申告と納付をしないと、ペナルティが課されてしまいます。
相続税の申告をしなかったり少ない金額で申告してしまうと、どのようなペナルティがあるのでしょうか。今回は相続税の申告が正しく行われなかったときのペナルティについて解説します。
相続税の申告期限
相続税は相続開始を知った日から、10ヶ月以内(例:被相続人が6月1日にお亡くなりになられた場合には翌年の4月1日まで)に申告及び納付を行う必要があります。
なお、相続税の申告期限の日が土日祝日と重なった場合には、休み明けの日が相続税の申告期限日となります。
相続税の納税は現金による一括納付なので、注意が必要です。
相続税の納付が遅れたときの延滞税
(1)延滞税(えんたいぜい)とは
相続税の申告が正しく行われないケースとしてまず考えられるのは、相続税の納付が遅れる、というケースです。 前述したとおり、相続税の納付期限は、相続発生つまり被相続人の死亡した日の翌日から10か月以内です。相続税の納付を納付期限までにすることができず遅れてしまうと、「延滞税」というペナルティが課されます。
延滞税は、本税の年14.6%ですが、納付期限から2か月以内であれば年7.3%です(ただし、平成26年1月1日以後の期間は、年「14.6%」と「特例基準割合+7.3%」のいずれか低い割合となります)。どれだけ納付が遅れたかの日数によって金額が変わってきます。
(2)延滞税はどういうときに発生するのか
延滞税は次のような場合に課されます。
いずれの場合も納付期限をすぎていたとしても、早く納付すればするほど延滞税は少なくなりますので、できるだけ早く相続税の納付を行うようにしましょう。
期限までに申告をしなかったとしても、税務署員の誤った指導があった、申告期限に相続税の計算ができないような事情があった、申告書を提出をするときに曖昧だった法令解釈が提出後に明確になったなどの正当な理由があれば、延滞税がかからない場合もあります。
ここまで相続税の納付に遅延が発生した場合に課せられる「延滞税」について解説してきました。 さて、相続税の納付が期限までになされなかった場合、状況によっては「加算税」というものが課されることがあります。引き続いて「加算税」についてみていきましょう。
追加で払わなければならない加算税
相続税の納付が納付期限までにされなかった場合、状況によって加算税というものがかかります。加算税の種類には、過少申告加算税、無申告加算税、重加算税の3つがあります。それぞれどのようなものなのかを具体的にみていきましょう。
(1)過少申告加算税(かしょうしんこくかさんぜい)
過少申告加算税(かしょうしんこくかさんぜい)とは、相続税の期限内に申告書を提出して申告どおりに税金を納付しても、その相続税の申告書に記載された税額が少なかった場合に課されるペナルティです。
ただし、自主的に修正申告をして正しい税額を納付すればペナルティである加算税はかかりません。申告書の税額が少ないことを税務署から指摘され修正申告をした場合には、納税額に対して10%の加算税がかかります。
さらに申告したときの税額と50万円とくらべて大きい金額を超える部分については、15%の加算税がかかります。
相続税の申告は、最初から正しい金額で申告と納付をしなければなりませんが、もしも間違えて少ない税額で相続税の申告と納付をしてしまった場合には、そのことに気づいたらすぐに正しい修正申告と納付をすることが大切です。
(2)無申告加算税(むしんこくかさんぜい)
無申告加算税(むしんこくかさんぜい)とは、相続税の期限内に特別な理由もなく申告書を提出しない場合に課されるペナルティです。相続税の申告期限から2週間以内に申告をすれば、無申告加算税はかかりません。
相続税の期限までには申告しなかったものの相続税の期限が2週間以上経過してから、税務署の調査が入る前に自主的に申告し相続税を納付する場合には、無申告加算税は5%となります。
せっかく申告をしたのに期限までに申告できなかったという理由でペナルティが課され、余分な税金を払わなければならなくなってしまいますので、相続税の申告と納付は期限内に行うようにしたいものです。
もし相続税の期限までに申告をしないで税務署の調査が入ってしまい、そのあとに申告をした場合には15%、税額が50万円を超える部分については20%の無申告加算税がかかります。税務署の調査はいつ入るかわかりませんので、相続税の申告をしていないことに気づいたらできるだけ早く申告をするようにしましょう。
(3)重加算税(じゅうかさんぜい)
重加算税(じゅうかさんぜい)は、相続税を払いたくないためにわざと相続税の申告を少なくしたり、申告自体をしなかった場合に課されるペナルティです。
わざと税金を払わないという場合には、重いペナルティが課されます。 申告はしたけれど相続税を少なくしようと、相続財産を隠したり相続税の証拠書類を偽装した場合には、追加で支払らう税金の35%が重加算税として課されます。
相続税の申告自体もしないで、相続税がかかっていないかのように相続財産を隠したり証拠書類を偽装した場合には、相続税総額の40%もの重加算税が課されます。
きちんと申告をし納付をすれば発生しないペナルティが、相続税を払いたくないという思いで相続財産隠しや偽装工作をするとかかってしまいます。脱税は犯罪ですが、計画的に法律の範囲内で節税していくことはできますので、相続財産隠しや偽装工作などは絶対にしないようにしましょう。
(4)相続税の加算税の実態
平成26年度の国税庁の統計をみてみると、過少申告加算税が4,607百万円、無申告加算税が1,445百万円、重加算税が3,091百万円という結果になっています。相続人1人あたりに換算すると、過少申告加算税は約234千円、無申告加算税は368千円、重加算税は1,846千円となります。
実際に相続税の申告でペナルティを課されると、高額なペナルティが課されてしまうことがわかります。
相続税のペナルティを課されないようにするために
相続財産がたくさんあればあるほど、正しい申告と納付をしなかったときのペナルティの金額が高くなります。
誰でも相続税は払いたくないものですが、払いたくないからといって相続財産隠しや偽装工作をしてしまうと犯罪行為になりペナルティも高額になってしまいます。相続税は正しい知識があれば法律の範囲内で節税対策をとることもできます。節税対策をするには相続が発生する早い段階から、計画的に行っていくことがポイントです。
また、相続税の申告に必要な計算は複雑で資料を集めるのも大変な作業です。期限内に申告と納付をしようと思っていても、相続発生のときにはただでさえ忙しいために相続税の申告まで手がまわらないこともあります。
できるだけ相続発生時の負担を減らすためにも、早い段階から計画的に相続対策を行い相続財産を把握しておくことが大切です。
相続のプロフェッショナルである税理士に相談すると、相続発生にそなえてそれぞれの事情にあわせた相続対策のアドバイスをしてくれますし、いざ相続が発生したときにも専門知識のもとに相続税の申告を代行してくれますので、ペナルティを心配することなく任せることができます。
相続はそれぞれの家族の事情や相続財産にかかわることですので、できれば自分にあう信頼できる税理士を見つけたいものですが、相続専門の税理士であればたくさんの相続を担当してきていますので自分にあう税理士が見つけられるのではないでしょうか。
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