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ーコラムー
相続税
税理士監修記事

日本の相続税はおかしい?高い!理不尽だ!二重課税だ!と不満が上がる理由

公開日:2024.9.20 更新日:2024.09.20

相続した際に税金を支払ったけれど、納得がいかないと不満を抱えていませんか。

相続の経験がある人からたびたび上がる、日本の相続税はおかしいとの声に同意する人も多いでしょう。

相続税は日本だけなのか、納税額を抑えることでどのようなメリットがあるのかを把握すれば、納税への不満も多少和らぐかもしれません。

本記事では、日本の相続税はおかしいと不満が上がる理由を解説します。

相続税は本当に高すぎるのか、日本以外の国では相続税があるのかも紹介するので、納税に不満を持つ方はぜひご覧ください。

1. 相続税の目的と現実|なぜ不満が広がるのか?

相続税の目的と現実:なぜ不満が広がるのか?

納税に不満を持つ方の多くが、相続税はなぜあるのかと考えているでしょう。

ここでは、相続税制度が導入された背景を詳しく解説します。

1-1. 相続税制度の導入背景と意義

相続税制度は、明治38年から導入されたものです。

導入当初は日露戦争に必要な財源を確保する目的があったものの、その後いつまでも続く法律として税法に加えられました。

現在の相続税は以下の目的で徴収されています。

<相続税を徴収する目的>

  • 社会保障やインフラ整備などに使われる
  • 資産を再分配する
  • 経済状況の格差の固定化を防ぐ

徴収された相続税は社会のために使われるので、個人が得た財産の一部を国内で再分配することが目的です。

また、経済力のある家庭ほど相続税は多くなることから、経済格差が広がらないようにする目的もあります。

1-2. 富の再分配という本来の目的とその現実的な効果

富の再分配によって現代の日本が成り立っていることを考えると、相続税は大きな効果をもたらしていると考えられます。

富の再分配とは、経済力のある家庭から多く相続税を徴収して社会に役立てることで、経済状況の格差をなくすものです。

富の再分配が行われなければ、経済力のある地主一強の土地が増えます。

地主のみが多くの財産を有し、それ以外の住民は貧困に陥るため、経済格差による問題が多くなるでしょう。

現代も多少の経済格差はありますが、社会問題になるほどのトラブルは少ないといえます。

この結果から、経済格差の固定化を防ぐ目的が達成されているとわかります。

2. 相続税は本当に高すぎるの?

相続税は本当に高すぎるの?

相続税の目的はわかったけれど、それでも高すぎる…と不満をぬぐえない方も多いでしょう。

なかには、相続税が高すぎて払えないとお困りの方もいるかもしれません。

ここでは、日本の相続税は本当に高すぎるのかを解説します。

2-1. 相続税の税率・控除額の実態

相続税の計算には税率と控除が欠かせません。

控除で差し引けない場合は納税の義務が生じるため、相続額別に定められる税率をかけて納税額を計算しましょう。

相続税の控除は以下の通りです。

<相続税に適用できる控除>

  • 基礎控除
  • 配偶者の税額軽減
  • 未成年控除
  • 障害者控除
  • 相次相続控除

基礎控除は相続する人なら誰にでも適用できる控除です。

3,000万円+(600万円×法定相続の数)から算出される額が基礎控除額になるので、相続する人の人数をきちんと確認しておきましょう。

配偶者の税額軽減や未成年者控除などは、条件を満たせば適用できます。

複数の控除を適用すれば取得金額が控除範囲内に収まりやすくなるため、税金を払わずに済むかもしれません。

取得金額が控除の範囲内に収まらない場合は、範囲外の部分に課せられる相続税を支払う必要があります。

計算方法は取得金額×税率」です。

まずは正味の遺産総額を計算し、各種控除を適用しましょう。

適用後に法定相続分を分配し、相続人別に税額を計算します。相続税の税率は以下の通りです。

相続税の速算表
法定相続分に応ずる取得金額 税率 控除額
1,000万円以下 10%
1,000万円超から3,000万円以下 15% 50万円
3,000万円超から5,000万円以下 20% 200万円
5,000万円超から1億円以下 30% 700万円
1億円超から2億円以下 40% 1,700万円
2億円超から3億円以下 45% 2,700万円
3億円超から6億円以下 50% 4,200万円
6億円超 55% 7,200万円

引用:国税庁「No.4155 相続税の税率」

たとえば、3500万円の取得金額がある場合は「3,500万円×20%-200万円=500万円」が相続税額となります。

人によって取得金額が変わるので、金額別の税率と控除額を確認しておきましょう。

2-2. 相続税が「高すぎる」と感じる理由

経済力が低~中程度の家庭からの相続税への不満はさほどありませんが、高所得層からは多くの不満の声が上がっています。

日本の相続税は基礎控除額が少ないため、実家が裕福な人は高確率で税金を納めなければなりません。

税率も最大55%と高く設定されているので、財産が多くなるほど納税負担も重くなると考えておきましょう。

相続財産が基礎控除の範囲内に収まる程度であれば、相続税への負担はありません。

しかし、高所得層は相続のたびに高い税金を納める必要があります。相続税が高すぎるという不満が出てくるのも無理はないでしょう。

2-3. 相続税が一般市民に与える影響

相続税は社会保障やインフラ整備に使われるため、一般市民に良い影響を与えます。

相続税がなくなる、または少なくなると財源を確保できず、暮らしにくくなるでしょう。

日々の生活に活用されることを考えると、相続税は一般市民にとってなくてはならない存在だといえます。

2-4. 「払えない」現実に直面したケーススタディ

両親や祖父母から財産を引き継いだものの、納税額が高すぎて払えないというケースもあります。

相続財産の大部分を不動産が占める場合、相続税を自身の貯蓄から納めなければならないので、金額によっては払えなくなるでしょう。

相続税が払えないときの対処法は以下の通りです。

<相続税が払えないときの対処法>

  • 延納を利用する
  • 物納を検討する
  • 相続した不動産を売却する
  • 相続放棄する

相続税は現金の一括払いが一般的ではあるものの、条件を満たせば分割払いも可能です。

また、相続した不動産を活用して納税することも可能です。

具体的には、現金ではなく不動産を納める物納、不動産を売却した資金で納税するなどの方法があります。

不動産を手放したくない方は、不動産を担保にローンを組むこともおすすめです。

借り入れ後は返済していかなければなりませんが、相続した不動産を手放さずに済むでしょう。

いずれの方法にもメリットを感じず、相続予定の不動産も不要な場合は相続放棄を検討しましょう。

相続放棄を選べば、すべての財産を引き継がずに済むため、相続税の支払いも発生しません。

相続税が支払えない場合の対処法を下記記事にまとめましたので、興味のある方は併せてご覧ください。

【関連記事】相続税が払えないときの6つの対処法!相続放棄などで差し押さえを避けよう

3. 二重課税問題:相続税と贈与税は本当に合理的か?

日本でおかしい・理不尽だと不満があがっているのは、相続税だけではありません。

子どもや孫に現金や不動産などを譲渡した際に発生する贈与税も、なぜ支払わなければならないのかと不満を持つ人が多くいす。

ここでは、相続税と贈与税について、二重課税になるケースはあるのかを紹介します。

3-1. 相続税と贈与税の課税の実態

相続税と贈与税の特徴は以下の通りです。

<相続税と贈与税の特徴>

  • 相続税:亡くなった人の財産を引き継ぐ際に発生する税金
  • 贈与税:現金や財産などを譲渡された際に発生する税金

税金が発生するタイミングが異なるため、財産をもらった状況に応じて税金の種類が変わると考えておきましょう。

一点注意したいのが、贈与から7年以内に贈与者が亡くなった場合、受け取った財産も相続税の対象になることです。

贈与税を支払っていたとしても、相続財産に加えられるため、相続税を支払わなければなりません。

相続税と贈与税の二重課税になるので、相続税の申告をする際に贈与税額控除を適用しましょう。

贈与税額控除とは、相続発生前の7年以内に支払った贈与税額を相続税から差し引けるものです。

納税額が安くなるだけでなく、相続税と贈与税の二重課税を防ぐことができます。

3-2. 贈与税がバカバカしいと感じる理由

自身が亡くなる前に財産を子どもや孫に渡したいけれど、贈与税がバカバカしくて躊躇してしまうという方も多いでしょう。

贈与税は税率が非常に高く、相続よりも納税額が多くなるケースがあります。

たとえば、3,000万円の現金や不動産を子どもに譲る際、相続であれば基礎控除の範囲内なので税金は発生しません。

しかし、贈与の場合は55%の税率が課せられるため、支払う額が圧倒的に多いのです。

受け取った人が大きな支払い負担を負うことから、生前贈与を利用する人は少なくなっています。

贈与税は世代間の資産移転を妨げる存在でもあるため、多くの国民が不満を持ってるといえるでしょう。

4. 相続税は日本だけが厳しい?国際的な相続税制度との比較

相続税は日本だけでなく、世界各国の税制に含まれています。

そのため、どこの国に住んでいても相続税は発生しますが、日本だけ厳しいのでは?と疑問を持つ方も多いでしょう。

ここでは、世界各国と日本の相続税の違いを解説します。

4-1. 各国の相続税制度の比較

日本は、世界各国に比べて相続税が高い傾向にあるのでしょうか。

イギリス・アメリカ・フランス・ドイツとの違いをまとめました。

<日本と世界各国の相続税の違い>

特徴

日本

相続人別の取得金額に応じた10~55%の税率が定められている。
金額別の控除もあり

イギリス

遺産課税方式を用意しており、税率は一律40%。
ただし、日本円で約5800万円までの課税価格は非課税

アメリカ

取得金額別に税率が変わる遺産税を採用。
基礎控除額が日本円で約16億7300万円と高いため、富裕層のみ支払うケースが多い

フランス

取得金額別に税率が変わる遺産取得課税方式を採用。
基礎控除額が日本円で約1500万円と低い

ドイツ

フランス同様、遺産取得課税方式を採用。
さまざまな控除を用意している

世界各国で特徴が異なり、アメリカやイギリスのように基礎控除額が高い国もあります。

基礎控除額が高い国は富裕層のみ納税義務を負うため、中間層や低所得層の負担はさほどないといえるでしょう。

日本も基礎控除が用意されており、法定相続人の数によって異なります。

相続人が1人でも3,600万円までは非課税になるため、世界各国に比べて日本だけが重い納税義務を課せられるということはありません。

4-2. 日本の相続税が他国に比べて高額な理由

前述したように、日本と世界各国の相続税に大きな差はありません。

しかし、基礎控除額が高い国や、そもそも相続税がない国と比べれば、日本の相続税はおかしいと感じるでしょう。

相続税がない国は以下の通りです。

<相続税がない国>

  • シンガポール
  • オーストラリア
  • インド
  • ニュージーランド
  • スウェーデン
  • カナダ
  • ポルトガル
  • 中国

上記の国は、富裕層の海外流出を防ぐ、または外国の富裕層に移住してもらうために相続税を廃止しているといいます。

富裕層のほうが相続税の支払い額は大きくなるため、相続税のない国は日本よりも魅力的に映るでしょう。

4-3. 日本の相続税制度における改革の必要性

日本における相続税制度の基礎控除額はさほど高くなく、税率も高いといえるため、どちらも改正する必要があるでしょう。

基礎控除額が多くなる、または最高税率を下げることで中間層の負担を抑えられるため、相続税に対する不満も和らぎます。

ただし、相続税を廃止することは難しいといえます。

前述したように、相続税は社会のために幅広く使う財源として活用されています。

財源がなくなると社会保障やインフラ整備に使うお金がなくなり、一般国民にとって暮らしにくい国になるからです。

廃止は難しいものの、基礎控除額の増額や最高税率の引き下げは実施できる可能性があります。

税制は数年毎に改正されているため、相続の機会がある方は、改正が行われないかをチェックしておきましょう。

5. 相続税はなくせ!国民の声と政府の対応

相続税を支払った経験がある人の多くが、相続税を無くせと声を上げています。

世界各国には相続税を廃止しているところも多くあるため、廃止も不可能ではないと考えるでしょう。

ここでは、相続税を廃止することで得られるメリットとデメリットについて解説します。

5-1. 相続税を廃止すべきという国民の声が強まる理由

日本の相続税は基礎控除額が少なく、最高税率も高いことから、相続税を廃止すべきとの声が多く聞かれます。

基礎控除額が少ないと、相続する多くの人が税金を支払わなければなりません。

中間層~富裕層の納税負担が重くなることから、相続税を廃止すべきという意見を持つ人が増加しているのです。

5-2. 相続税廃止のメリット・デメリット

相続税を廃止することで得られるメリットは以下の通りです。

<相続税廃止のメリット>

  • 全国民の納税負担が緩和される
  • 富裕層が暮らしやすくなる
  • 海外の富裕層が移住するようになる

相続税がなくなれば、全国民の納税負担を大きく抑えられます。

2024年現在、物価の高騰や繰り返される増税によって、国民は多大な負担を強いられています。

そんなときに相続税が廃止されれば、国民負担は大きく和らぐため、暮らしやすい国になるでしょう。

また、納税負担の重い富裕層が暮らしやすくなる、海外の富裕層が移住してくる点も大きなメリットです。

富裕層が多くなることで経済が潤い、日本全体に良い影響を与えます。

続いて、相続税廃止によるデメリットです。

相続税を廃止すると、社会保障やインフラ整備に使う財源を確保できなくなります。

また、財産の再分配がされないことで地主一強の土地が増えるため、国民が済みにくくなる点も大きなデメリットだといえるでしょう。

相続税廃止については、早稲田大学の教授が持論を展開しています。

しかし、それが大きな議論を呼ぶことはなく、平成25年の相続税増税の際にも目立った反論はありませんでした。

このことから、日本では相続税廃止に対して消極的な姿勢を示しているといえます。

6. 贈与税を下げて景気を活性化:資産移転の促進による経済効果

相続税を廃止することは難しいものの、贈与税を引き下げてほしいと考える方も多いでしょう。

贈与税は、相続税に比べて税率が高いため、納税額が高額になります。

相続税対策のために生前贈与を行いたくても、贈与税がネックになって実施できない方も多くいます。

ここでは、贈与税を引き下げることによる経済への影響と、政府における税制改革の動向を解説しましょう。

6-1. 贈与税を下げることが経済に与える好影響

贈与税を引き下げると、以下のようなメリットが得られます。

<贈与税引き下げによるメリット>

  • 若年層の資産形成と消費の増加
  • 資産移転の促進による住宅市場や教育投資の活性化
  • 企業の世代交代を円滑に進められる

贈与税を引き下げることで生前贈与を行いやすくなるため、若年層がまとまった資産を得られます。

資産を持つことで消費が増加するので、経済活性化の効果を期待できるでしょう。

また、若年層がマイホームの購入や出産・育児に積極的になれるメリットもあります。

家を買いたい、子どもが欲しいと考えても、自分たちの収入だけでは無理だと考える人も多くいます。

しかし、両親や祖父母が生前贈与によって資産を譲渡すれば、収入の悩みを解消することが可能です。

贈与税の引き下げは企業にも大きなメリットをもたらします。

後継者に会社を譲る際に支払う納税額が下がれば、支出負担を大きく減らせます。

特に大企業は価値が高いことから、高額の納税負担を強いられやすいため、引き下げによって後継者の負担を抑えられるでしょう。

6-2. 高額な贈与税が経済を停滞させる現実

贈与税が高額になることで、メリットとは反対のことが起こり、経済を停滞させます。

生前贈与が行いにくくなると、若年層は自分たちの収入のみですべてを賄わなければなりません。

マイホームの購入・育児費用など、高額のお金が必要になる際に両親や祖父母の助けを得られないのです。

自分たちの収入のみで生活していくとなると、年収によっては子どももマイホームも諦めざるを得ません。

多少の消費はあっても、不動産などの高い消費は減少するでしょう。

また、年々深刻化している少子化も進む点も、日本にとって大きな問題となります。

6-3. 政府の税制改革の動向と展望

2022年の税制改正が行われる前、以下の点が議論されていました。

<税制改正前の議論>

  • 教育資金や結婚子育て資金などの検討
  • 相続税と贈与税の一体化

現行の制度では、教育資金・住宅購入資金・結婚子育て資金などを両親や祖父母が援助する際の非課税枠が設けられていました。

しかし、適用する数が少ないことから、非課税枠を設けている制度全体の見直しが検討されています。

相続税と贈与税の一体化とは、財産を引き継ぐタイミングを問わず同じ額の税金を支払うものです。

前述したように、日本の贈与税は相続税に比べて税率が高くなっています。

その理由は、富裕層が生前贈与をすることによって相続税の節税を防ぐためです。

贈与税がなければ何も気にせず生前贈与を行えますが、富裕層は高額のお金を子どもや孫に譲り、中間層から低所得層はある程度の資産のみ譲ることになります。

経済格差が固定化されることを防ぐために、贈与税が税制に加えられました。

しかし、贈与税の基礎控除の範囲内であれば、納税せずに資産を譲渡できます。

基礎控除は年収制限がないため、富裕層も控除を活用して節税ができるのです。

贈与税に大きな効力がないと判断した政府は、相続税と贈与税の一体化を検討し始めました。

2022年に公表された税制改正には、議論されていた2つの点はどちらも含まれていません。

今後段階的に導入していく可能性もあるので、税制改正の内容をチェックすることがおすすめです。

7. 相続税の適切な節税は税理士に相談しよう!

相続税は社会保障やインフラ整備・社会への資産再分配・経済格差の固定化を防止する目的で徴収されています。

相続税がなければ、日本は貧富の差が激しい暮らしにくい国になる恐れがあることから、廃止に消極的な姿勢を見せる人が多いのです。

廃止が難しい相続税は、節税対策を実施して納税額を抑えることが大切です。

節税対策にはさまざまな方法があるため、早めに知っておきたい方は税理士に相談してみましょう。

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