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ーコラムー
相続税
税理士監修記事

相続税の連帯納付義務とは?対象者や事前にできる対策を解説

公開日:2024.12.26 更新日:2024.12.26

相続税を滞納したら、周りに影響はあるの?と気になっていませんか。

財産を受け継いだものの、現金がなく相続税が払えないというケースも多いでしょう。

滞納するとほかの相続人に影響を及ぼすため、注意が必要です。

この記事では、相続税の連帯納付義務について詳しく解説します。

義務の対象者や代わりに納める金額、事前にできる対策も紹介するので、相続の機会がある方は参考にしてください。

1. 相続税の連帯納付義務とは

1. 相続税の連帯納付義務とは

財産を相続すると、額に応じて相続税が発生します。

受け継ぐ額が基礎控除の範囲内であれば納税の義務はありませんが、範囲を超過した部分は課税対象です。

相続を知った日の翌日から10カ月以内に相続税の申告と納付を済ませなければなりません。

しかし、相続する内容によっては税金が払えないと困ることもあるでしょう。

財産のなかに現金がほとんどなく、不動産や車などの形ある財産ばかりだと、貯蓄から支出しなければなりません。

貯蓄があれば問題ないものの、なければ滞納してしまうでしょう。

滞納した際は、ほかの相続人に連帯納付義務が生じます。

ほかの相続人の未払い分を代わりに納める必要があるので、滞納によってほかの人に大きな負担がかかると考えておきましょう。

ここでは、連帯納付義務について解説します。

1-1. 連帯納付義務に時効はある?

連帯納付義務は、申告期限から5年間です。

たとえば、2024年1月10日に相続があることを知った場合の申告・納付期限は2024年11月11日です。

2024年11月11日に連帯納付義務が発生し、2029年11月11日に義務はなくなります。

自分以外の相続人が相続税を納めていなければ、5年間の間に税務署から通知が届きます。

自分の分は納めていても、ほかの相続人の未払い分を負担しなければならないので、通知が届いたら払っていない人に確認することが大切です。

ほかの相続人が納めていなくても、納付期限から5年の間に通知が届かなければ、代わりに納める必要はありません。

1-2. 連帯保証との違い

似た言葉である連帯保証との違いは、本人の意思によって義務を負うかどうかです。

連帯納付義務は、相続税の申告によって課せられる強制的な義務です。

本人確認もないため、申告をした本人は義務を負うことを把握していないケースも多いでしょう。

連帯保証は、保証人になる人の意思が尊重されます。

契約者と一緒に返済の義務を負うという意思を確認したうえで成立するものなので、本人の同意なしに義務付けられるものではありません。

2. 相続税の連帯納付義務の対象者や金額

1. 相続税の連帯納付義務とは

自分の相続税は納めたのに、ほかの相続人の未払い分を負担するのは納得できないと考える方も多いでしょう。

連帯納付義務は誰にでも課せられるわけではありません。

対象者や納める金額が決まっているため、ここで解説します。

2-1. 連帯納付義務が発生する人

同じ被相続人から財産を遺贈、または相続した人が連帯納付義務の対象者です。

被相続人とは、亡くなった人のことです。

たとえば、父親と子ども2人の世帯で父親が亡くなった場合、父親が被相続人となります。

財産を相続する権利を持つ子ども2人は、相続税の申告を済ませた時点で連帯納付義務を負います。

相続ではなく、生前贈与を受け、相続時精算課税制度を利用している人も対象です。

亡くなった人から何らかのものを受け取った方は、義務が発生する可能性があると考えておきましょう。

2-2. 相続放棄した人はどうなる?

相続放棄をすれば、義務は生じないので安心です。

連帯納付義務は、相続税の申告を済ませた際に生じます。

故人のすべての財産を受け取らない相続放棄を選択すれば、義務が生じることはありません。

ただし、手続きを済ませていなければ義務が生じるので注意が必要です。

遺産分割協議で相続放棄をすると宣言しても、手続きが済んでいなければ財産を受け取る対象とみなされます。

当然義務も生じるため、何も財産を受け取っていないにもかかわらず、ほかの相続人の未払い分の支払いを求められるかもしれません。

相続放棄の手続きは、家庭裁判所で行います。

相続があることを知った日から3カ月以内に手続きを済ませる必要があるので、財産を受け取らない方はすぐに動き始めましょう。

2-3. 連帯納付義務で支払う金額

義務によって納める金額には上限が定められているので、確認することが大切です。

上限額は相続した財産の額-自身が納めた相続税額から算出されます。

たとえば、父親と子ども2人の世帯で父親が亡くなり、5,000万円の遺産があるとします。

基礎控除は「3,000万円+600万円×2人=4,200万円」が適用されます。

5,000万円-4,200万円=800万円が、相続税の課税対象です。

法定相続分に則り半分の2,500万円ずつ相続した場合には、それぞれ400万円に対して相続税を支払います。

400万円場合は控除がなく、10%の税率が掛けられます。

それぞれ40万円の支払いが発生したものの、1人は期限を過ぎても納めませんでした。

この場合、もう1人の相続人に2,500万円-40万円=2,460万円を上限とした連帯納付義務が課せられます。

受け取った財産額に差があったとしても、自身が受け取った財産額以上の支払いを求められることはありません。

ただし、義務を負う人は二重の負担を強いられるため、相続人全員がきちんと納税することが大切です。

相続税の詳しい計算方法について知りたい方は、下記記事も併せてご覧ください。

【関連記事】相続税の税率は最大で55%!税額や控除額の計算方法を解説

3. 連帯納付義務が発生するまでの流れ

3. 連帯納付義務が発生するまでの流れ

ほかの相続人が税金を納めていなかった場合、いつ自身のところに通知が届くのか不安という方も多いでしょう。

滞納から税務署の督促までの流れを紹介します。

  1. 納付期限後、本人へ支払いを求める通知を郵送
  2. ほかの相続人に滞納の旨を記載した通知を郵送
  3. ほかの相続人に納付通知書を郵送
  4. ほかの相続人に督促状を郵送

相続税の納付期限後、まずは納税者本人に支払いを求める通知が送られます。

通知を送ったにもかかわらず納税されない場合は、連帯納付義務を負うほかの相続人に、納税者本人が滞納している通知が届くので、連絡を取って話してみましょう。

連絡が取れない、または話したけれど本人が納税しない場合は、義務を負うほかの相続人宛に納付通知書が届きます。

義務を負う人が通知を無視すると、督促状が届き、最悪の場合給与や財産などの差し押さえが行われます。

義務を負う人が損しないようにするには、税務署から滞納の旨の通知が届いた時点で、納税者本人に連絡を取ることが重要です。

本人が税金を納めれば義務を負う人に迷惑がかかることはないため、納税するよう説得しましょう。

4. 連帯納付義務について知っておくべきこと

4. 連帯納付義務について知っておくべきこと

連帯納付義務を負う可能性がある方は、いくつかの点を把握する必要があります。

  • 原則として現金一括納付のみ
  • 滞納した場合には延滞税が発生する
  • 代わりに相続税・利子税を支払うため求償権を得る

ここでチェックしておくべきポイントを解説するので、相続の機会がある方は参考にしてください。

4-1. 原則として現金一括納付のみ

連帯納付義務における支払いは、現金での一括納付のみです。

分割やクレジットカード払いには対応していないので、まとまった金額を用意しなければなりません。

一点注意したいのが、連帯納付義務には延納が適用されないことです。

相続税の支払いが難しい場合は、申告することによって納付を猶予してもらえます。

しかし、連帯納付義務には延納が適用されないので、納付通知書が届いたら期限までに指定された額を納めなければなりません。

4-2. 滞納した場合には延滞税が発生する

税を納めるべき人が滞納した場合、延滞税が発生します。

延滞税とは、税金の納付が遅れたことへのペナルティです。

延滞税の税率は納期限の翌日から2カ月までは7.3%、2カ月目以降は14.6%なので、場合によっては納付額が高額になる恐れもあるでしょう。

延滞税は相続する本人が納めるべきものですが、本人が未納であれば連帯納付義務を負う人に支払い義務が生じます。

しかし、相続税にペナルティの支払いも加わると負担が大きくなるため、連帯納付義務者には延滞税の代わりに利子税が課せられます。

利子税は0.9%なので、延滞税に比べて負担が軽く、特例も設けられているので負担を抑えられるでしょう。

ただし、納期限を過ぎると連帯納付義務者にも延滞税が課せられるため、早めに納付することが大切です。

4-3. 代わりに相続税・利子税を支払うため求償権を得る

ほかの相続人に代わって納税した場合、求償権を得られます。

求償権とは、代納した相続税と利子税の支払いを納税者本人に請求する権利です。

納税者本人に財産がある場合は、求償権を使うことで代納したお金を返してもらえます。

納税者本人に財産がなく、支払いも難しい場合は求償権を放棄することも可能です。

求償権を放棄すると代納したお金は納税者本人への贈与とみなされますが、財産も支払い能力もなければ贈与と判断されません。

5. 連帯納付義務が発生しないよう事前にできる対策

5. 連帯納付義務が発生しないよう事前にできる対策

連帯納付義務が発生すると、自身の貯蓄から納税分を捻出しなければなりません。

求償権を得るとはいえ、納税者本人に支払い能力がなければ自身が大きな損失を被るでしょう。

損しないようにするには、事前に対策をすることがおすすめです。

ここでは、税金を代納せずに済むよう事前にできる対策を紹介します。

5-1. 相続人全員が納税できるか確認しておく

遺産分割協議の際、全員に納税可能かを確認しておきましょう。

現金を受け継ぐ場合は相続税の納付も問題なく行えるものの、不動産や車、貴金属などの形ある財産が多いケースは注意が必要です。

形ある財産ばかりで現金がない場合、自身の貯蓄から相続税を納めなければなりません。

貯蓄がなければ納付できないので、連帯納付義務が発生する可能性が高くなります。

相続税の支払いが難しいという人がいるときは、延納や物納について説明しておきましょう。

延納は支払い期限を猶予するもの、物納は現金の代わりに形ある財産を納める方法です。

現金以外の納付方法を提案することで、相続人全員が納税できる可能性も上がります。

ほかの相続人の納税分を肩代わりせずに済むようにしておきましょう。

5-2. 特例が利用できるよう早めに遺産分割を終わらせる

納税の可能性を高めるには、特例を適用することも重要です。

相続税には配偶者の税額軽減や小規模宅地の特例などを適用できます。

しかし、納期限を過ぎると特例を適用できなくなるので、納税額が大幅に増える恐れがあります。

納税額が増えると払えなくなる可能性が高まるため、納期限内に税の申告から納付までを済ませるようにしましょう。

また、遺産分割協議を早めに終えることも大切です。

遺産分割協議を終えないまま納期限を迎えると、受け継いだ財産を売却して納税資金に充てることができなくなります。

貯蓄がなければ納税できないので、連帯納付義務が発生する可能性も高まるでしょう。

相続人全員が自身で納税するには、遺産分割協議で全員が納税できることを確認し、早めに協議を終えることが大切です。

相続人や受け取るものによっては特例も適用できるので、すべての手続きを相続を知った日の翌日から10カ月までに終えるようにしましょう。

6. 連帯納付義務で他人の相続税を払う可能性がある!

故人から受け継いだ財産によって発生した相続税を納めたものの、ほかの相続人の納税分も払わなければならないケースもあります。

相続税の申告をした時点で連帯納付義務が発生するので、滞納分を利子税とあわせて納めなければなりません。

余分な支出を避けるには、相続人全員が問題なく納税できるかを確認することが大切です。

納税が難しい場合は、延納や物納などのいくつかの支払い方法を提案しましょう。

全員が支払うことで肩代わりせずに済むため、相続人同氏の関係に影響を及ぼすこともありません。

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