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ーコラムー
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代襲相続と相続放棄 ~ 基本的なルール(子・兄弟姉妹・養子)について

2019.7.11

代襲相続とは、本来であれば相続人となるはずの人が、法律上の一定の事由によって相続人ではなくなったとき、その人の「子」が、親の相続人としての地位を代襲し、代わりに相続人になることをいいます。

今回のコラムでは代襲相続について、兄弟姉妹や甥姪、養子、など様々なケースを例に挙げながら紹介します。

目次

1.代襲相続とは?
  1.2.被代襲者になるのは子と兄弟姉妹
  1.3.法定相続のしくみ
2.代襲相続が始まるタイミング(死亡(以前死亡)/相続欠格/相続廃除)
3.子の代襲相続人は直系卑属(孫やひ孫など)
4.兄弟姉妹の代襲相続人は甥や姪のみ
5.養子の代襲相続人
6.相続放棄を行った場合
7.相続割合について
8.遺留分について

代襲相続とは?

相続では、相続を受ける人を「相続人」、亡くなった人のことを「被相続人」といいますが、代襲相続では、代襲相続によって新たに相続人となる子のことを「代襲者」、相続人としての地位を代襲される親のことを「被代襲者」といいます。

たとえば、代襲相続が発生する代表的な事由は、相続人の「死亡(以前死亡)」です。詳しくは後述しますが、たとえば次のようなケースで代襲相続が発生します。

この場合、被相続人Aよりも先に亡くなっていた長男Bを被代襲者とする代襲相続が発生し、Bの子である孫娘のD子が代襲相続人となります。

代襲相続人となったD子は、長男Bの相続人としての地位を取得し、次男Cとともに、父Aの法定相続人になります。

被代襲者になるのは子と兄弟姉妹

法定相続人のうち、被代襲者となるのは、法定相続の第1順位の子と第3順位の兄弟姉妹のみです。

さらに第1順位の子については、「再代襲」が認められるため、場合によっては、孫やひ孫なども代襲相続人になることができます。

第2順位の直系尊属(親や祖父母など)には、そもそも代襲相続が親の相続権を代襲するというものであるため、代襲相続という考え方がありません。

ただし法定相続人が第2順位の直系尊属となるケースにおいて、両親が亡くなっていて祖父母が生存している場合は、親→祖父母のように、相続権が子から親に移ります。

これは代襲相続ではなく、法定相続のルールとして押さえておく必要があります。

代襲相続とは?基本的なルールと相続放棄について

法定相続のしくみ

代襲相続は、法定相続人が一定の事由によって相続人でなくなった場合に、その地位を子が代襲するというものです。

つまり代襲相続は、法定相続の枠組みの中で起こるものであり、このことから、代襲相続が発生するかどうかの判断は、まず基本ルールとなる法定相続のしくみについて知ることが必要になります。

法定相続とは、法律上の相続権をもつ一定の親族による相続のことで、法定相続人とは、法定相続によって相続人となる人のことを指します。

必ず法定相続人になるのは被相続人の配偶者で、それ以外は、子→直系尊属(親、祖父母など)→兄弟姉妹の順位で相続権が移ります。

常に相続人 配偶者以外の相続人
配偶者 第1順位 ※第1順位~第3順位
前順位がいなければ次の順位に移行
第2順位 直系尊属(親、祖父母等)
第3順位 兄弟姉妹

たとえば、被相続人に妻と子がいる場合、法定相続人は妻と子となり、もし子がいなければ、法定相続人は妻と被相続人の直系尊属(親や祖父母など)、子も親もいなければ、法定相続人は妻と被相続人の兄弟姉妹になります。

配偶者がいない場合は、子のみ→直系尊属のみ→兄弟姉妹のみと、上記の第1順位から第3順位どおりに相続権が移ります。

また、法定相続人にはそれぞれ法定相続分(相続できる財産の割合)についても、法律に決まりがあります。

各相続人の法定相続分は、誰が法定相続人になるかで、下記のように変わります。

法定相続人 法定相続分
配偶者と子 配偶者 …2分の1
子   …2分の1
配偶者と直系尊属 配偶者 …3分の2
直系尊属…3分の1
配偶者と兄弟姉妹 配偶者 …4分の3
兄弟姉妹…4分の1

配偶者がいない場合は、子、直系尊属、兄弟姉妹がそれぞれのパターンにおいて、すべての相続権をもちます。

また同順位に複数の相続人がいる場合は、原則はそれぞれ均等に法定相続分を配分します。

代襲相続が始まるタイミング

代襲相続が発生する原因になることを、代襲原因といいます。代襲原因には、

・死亡(以前死亡)
・相続欠格
・相続廃除
の3つがあります。

死亡(以前死亡)

法定相続人となるはずの子や兄弟姉妹が、被相続人が亡くなる以前に死亡していた場合、代襲相続が発生します。

ポイントは、法定相続人の死亡が、被相続人が亡くなる「以前」の死亡であることです。たとえば、交通事故などによって同時死亡の推定を受けた場合も、以前死亡として代襲相続が発生します。

相続欠格

相続欠格とは、遺産の相続人として不適格な事由がある場合、相続人となる権利を喪失することです。

欠格事由となるのは、次の5つになります。

・被相続人や、自身より先順位の相続人、自身と同順位の相続人を故意に死亡させたり、死亡させようとしたりして、刑に処せられた者
・被相続人が他人によって殺害されたことを知っていながら、これを告訴、告発しなかった者(殺害した犯人が配偶者や直系血族(親や子など)である場合を除く)
・詐欺や強迫を行って、被相続人の遺言や、遺言の撤回や取り消し、変更を妨害した者
・詐欺や強迫を行って、被相続人に遺言や、遺言の撤回や取り消し、変更をさせた者
・被相続人の遺言書を偽造、変造、破棄、隠匿した者

相続廃除

相続人が被相続人に対して、生前に虐待や重大な侮辱を行ったり、その他著しい非行を行ったりしたときは、被相続人はその人物を相続人から排除することができます。

相続排除の方法には、被相続人が生前に家庭裁判所に請求するほか、遺言書に相続排除をしたい旨を記載し、遺言執行者から家庭裁判所に請求してもらうという方法があります。


ちなみに相続廃除の対象となるのは、遺留分(※)をもつ相続人に限られるため、遺留分のない兄弟姉妹は、排除によって代襲相続が発生することはありません。

(※)配偶者、第1順位の子、第2順位の直系尊属に認められた、最低限の相続財産を請求できる権利のこと

それでは、具体的にどのようなケースで代襲相続が起こるのか見ていきましょう。

代襲相続が起こるケース

子の代襲相続人は直系卑属(孫やひ孫など)

被相続人の子が被代襲者になる場合、その代襲相続人は、被相続人からみた孫になります。さらにその孫にも代襲原因があれば、次はその子(ひ孫)が代襲相続人となります

これを再代襲といい、被相続人の子が被代襲者となるケースにおいてのみ、生存する若年世代を対象に代襲が繰り返されるものです。

ちなみにどこまで再代襲されるかというと、相続では胎児を既に生まれたものとみなすというルールがあるため、胎児であっても代襲相続人となることができます。

それでは次の例で、誰が代襲相続人となるか、その法定相続分はいくらになるかを見ていきましょう。

被相続人甲には配偶者がいないため、第1順位の子のみが法定相続人となります。 長男Aはすでに死亡しているため、Aの長男であるC太郎とD子がAの代襲者となり、次男Bとともに法定相続人となります。

C太郎とD子の法定相続分は、長男Aの法定相続分である2分の1を2人で均等に分けた4分の1となります。(Aの配偶者は、代襲相続人にはなりません。)

兄弟姉妹の代襲相続人は甥や姪のみ

第3順位の兄弟姉妹の代襲相続には、再代襲は起こらず、一代限りの代襲となります。

つまり兄弟姉妹の代襲相続人となるのは、被相続人からみて「甥や姪のみ」ということです。もし甥や姪に代襲原因があったとしても、それ以上の代襲相続は起こりません。

それでは次の例で、誰が代襲相続人となるか、その法定相続分はいくらになるかを見ていきましょう。

<被相続人乙の法定相続人>
・乙の配偶者(法定相続分:4分の3)
・弟B    (法定相続分:8分の1)
・姪C子   (法定相続分:8分の1)

乙には配偶者がいるため、兄弟姉妹の法定相続分は4分の1となり、兄弟姉妹の人数で均等に分けることとなります。

Aはすでに死亡しているため、姪のC子がAの地位を代襲します。姪C子の法定相続分は、Bと2人で均等に分けるため、8分の1となります。

養子の代襲相続人

養子縁組とは、法律上の親子関係を作ることで、養子縁組をした者同士は、実親・実子と同じ扱いとなります。相続においても同様で、もし被相続人の子どもに実子と養子がいる場合、養子には実子と同じ法定相続分が認められます。

ただしこの養子に代襲原因が起こった場合、その養子の子どもが代襲相続人になれるかどうかについては注意が必要です。

代襲相続人となるには、被代襲者の「子」であることに加えて、被相続人の「直系卑属」であることが必要になります。(直系卑属とは、血のつながりのある親、子、孫などのことです。)

養子縁組とはこの血のつながりを法律で作るものなので、代襲相続も認められるような気がしますが、その養子縁組を行ったタイミングによって、養子の子どもが被相続人の直系卑属に該当するかどうか分かれます。

端的にいうと、養子縁組をする前に生まれていた養子の子は代襲相続人にはなれず、養子縁組をしたあとに生まれた子は代襲相続人になることができます。

具体例で見ていきましょう。

<被相続人Aの相続人>
・実子A(法定相続分:すべて)

養子Bの実子Cは、被相続人丙と養子Cが養子縁組を行う前に生まれていることから、Cは丙の直系卑属にあたらず、Cは、丙の相続においてBの代襲相続人になることはできません。

もしCに財産を遺したい場合は、生前贈与、遺言、丙とCの養子縁組といった方法があります。

<被相続人Aの相続人>
・実子A     (法定相続分:2分の1)
・養子Bの実子C(法定相続分:2分の1)

相続放棄を行った場合

自ら相続人の地位を放棄する行為に「相続放棄」がありますが、相続放棄は、代襲原因になりません。

したがって相続放棄を行っても、子が代襲相続人となることはないため注意しましょう。これは、故意に一世代の相続を飛ばし、一世代分の課税を免れる行為を防止するためと考えられます。

相続割合について

代襲相続人の相続割合は、被代襲者の法定相続分と同じになります。

参考例として、下記のケースで法定相続分を計算したものをご紹介します。

・代襲相続人2人が相続人となるケース
・被代襲者と同順位の相続人1人と代襲相続人1人が相続人となるケース

法定相続人 法定相続分
配偶者と子の代襲相続人2人 配偶者  …2分の1
代襲相続人…各4分の1ずつ
配偶者・子1人・子の代襲相続人1人 配偶者  …2分の1
子1人  …4分の1
代襲相続人…4分の1(※)
配偶者・兄弟姉妹の代襲相続人2人 配偶者  …4分の3
代襲相続人…各8分の1ずつ
配偶者・兄弟姉妹1人・兄弟姉妹の代襲相続人1人 配偶者  …4分の3
兄弟姉妹 …8分の1
代襲相続人…8分の1(※)

(※)代襲相続人が兄弟など複数名いるときは、被代襲者の相続分を人数で均等に分けます。

代襲相続人の相続割合は、被代襲者の法定相続分と同じですが、1人の被代襲者に複数の代襲相続人がいる場合、その法定相続分は、被代襲者の法定相続分を均等に分けて計算します。このことから、同順位の法定相続人と代襲相続人とで、その相続分が同じにならないケースが出てきます。

たとえば、上記の「子の代襲相続人は直系卑属(孫やひ孫など)」でご紹介した例では、代襲相続人である孫C太郎と孫D子の法定相続分は、次男Bの半分です。

遺留分について

遺留分とは、兄弟姉妹以外の法定相続人に認められた、最低限の相続財産を請求できる権利です。

遺留分の請求が認められるのは、配偶者、子、直系尊属となり、それぞれの遺留分は、直系尊属しか法定相続人にいない場合は被相続人の財産の3分の1、それ以外のときは被相続人の財産の2分の1となります。

つまり、法定相続人が次のパターンであれば、各相続人の遺留分は、その法定相続分の2分の1が遺留分になるということです。

・配偶者のみ
・子のみ
・配偶者と子
・配偶者と直系尊属

代襲相続人にも、被代襲者と同じ遺留分が認められます。
代襲相続人で遺留分をもつのは孫やひ孫になりますので、その遺留分は、法定相続分の2分の1です。

ちなみに代襲原因の相続廃除の項目でも触れているとおり、相続廃除の対象となるのは、遺留分をもつ相続人のみとなります。