行政機関や民間事業者の中でも大企業においては、死者に関する情報についての取扱要領(情報公開の手続き)などが備え付けられており、何度も検討を繰り返すうちに事例が蓄積されているものです。
しかし、中小企業ではこれまで必要なかったという理由で検討していないため、突然、死者の情報の照会を受けて対応に右往左往してしまうということがあります。
個人情報保護法等が絡んでいますので、個別具体的なことは弁護士に相談すべきですが、ここでは一般的な検討の視点を簡単にお伝えします。 相続人から被相続人の生前情報の照会を受けた場合の対応について考えるとき、次の2つの視点を意識する必要があります。
①必要性:開示しなければならないのか
②許容性:開示することが許されるのか
開示請求がなされた場合
上記①の開示の必要性については、個人情報保護法第25条に基づいて「本人」から保有個人データの開示請求がなされた場合に、一定の例外(同条1項但書各号)を除いて、当該「本人」の保有個人データを開示する必要性が生じます。
これにより、相続人から被相続人の生前情報の開示請求がなされた場合、被相続人の生前情報が相続人の個人情報にあたるのかの判断が必要となり、あたる場合には原則として開示義務が生じます。
一方、上記②の開示の許容性については、開示の例外事由(個人情報保護法第25条第1項但書各号)の有無を個別に検討することになります。なお、例外事由にあたるとき、これを任意に開示することが許されるかについては争いがあるところです。 顧問弁護士等の意見を聞きながら、会社としての方針を決めておくべきです。
開示請求によらない照会の場合
まだ相続人から正式な開示請求がなされていない場合には、開示の必要性が問題になりませんので、あくまで会社の取り決めの問題となります。 しかし、任意に開示する場合には、上記②の開示の許容性について検討する必要が生じます。
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