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ーコラムー
年金の相続
税理士監修記事

遺族基礎年金や寡婦年金など、相続発生時の年金手続きのポイント

公開日:2016.7.10 更新日:2022.07.05

「相続」はさまざまな「手続き」を必要とします。公的年金もそのひとつで、被相続人の死亡によって支給が発生する年金があり、反対に支給が停止する年金もあります。

これまで受け取れるはずだった年金を、未支給年金として遺された家族が受け取る手続きを要する場合もあります。

公的年金は、遺された家族にとって生活の拠り所となるお金でもあります。特に最近は被相続人が有していた銀行口座が、個人情報管理の厳格化により、家族からの請求から開示まで一定の時間がかかることも多くなっているようです。相続本体をスムーズに進めるためにも、相続発生時の年金手続きのポイントをおさえましょう。

目次

1.相続の発生とは?
2.「遺族基礎年金」と「遺族厚生年金」
  2-(1)遺族基礎年金
  2-(2)遺族厚生年金
3.「寡婦年金(かふねんきん)」
4.「死亡一時金」
5.「未支給年金」
6.相続発生時の年金手続きに関するまとめ

1.相続の発生とは?

一般的に「相続発生」とは、それまで生存していた人が死亡して、所有していた財産が遺言書によって、もしくは相続人同士の話し合いによって(遺産分割協議書を作成して)、「財産の受取人がすべて決まった」時点を指します。

今回の年金手続きは、厳密にいえば相続ではなく、「死亡そのもの」をもって各種手続きの必要なタイミングとなります。これら死亡発生から相続には1年以内の期間しかないケースが多いので、大枠で「相続」と捉えるようにしましょう。

2.「遺族基礎年金」と「遺族厚生年金」

遺族基礎年金や寡婦年金など、相続発生時の年金手続きのポイント

公的年金を支払っていたものからの相続が発生した場合、「遺された家族」には、遺族年金を受け取る権利が発生します。遺族年金には、「遺族基礎年金」と「遺族厚生年金」があります。

2-(1)遺族基礎年金

遺族基礎年金は、死亡した人によって生計を維持されていた、(1)子のある配偶者、および(2)子に支給されます。

長く(1)は「子のある妻」だったものの、最近は主夫として子どもを育てる男性も増えており、対応が進み「子のある配偶者」に変わりました。

これら遺族基礎年金の受給資格に該当する遺族には、子どもが18歳に到達した年度の3月31日まで、遺族基礎年金を受け取ることができます(また、20歳未満で障害年金の障害等級が1級または2級の子も含まれます)。

<遺族基礎年金の受給額>

780,100円+子の加算額(年額:平成28年4月から)
第1子、第2子…各224,500円
第3子以降…各74,800円

2-(2)遺族厚生年金

一方、遺族厚生年金は遺族基礎年金に比べ、支給範囲が広く設定されています。基本的な受給者の範囲としては、遺族基礎年金と同じく、死亡した人に生計を維持されていた、(1)妻、(2)子や孫、(3)55歳以上の夫、父母、祖父母が対象です。

(2)の子・孫の範囲は遺族基礎年金と同じく18歳に到達した年度の3月31日まで(または20歳未満で障害年金の障害等級が1級または2級の子)となっており、(3)の夫、父母、祖父母に関しては支給開始年齢が60歳からとなっています(夫は前項の遺族基礎年金受給中に限り、遺族厚生年金も合わせて受給できます)

<遺族厚生年金の受給額>

遺族厚生年金の受給額は、死亡した人の一定期の収入(報酬比例月額といいます)によって異なります。詳しくは下記、日本年金機構のホームページを参照してください。

参考:日本年金機構Webサイト 遺族厚生年金(受給要件・支給開始時期・計算方法)

これら遺族基礎年金、遺族厚生年金の手続きにおけるポイントは、思いのほか煩雑な計算式のため(特に遺族厚生年金)、早めに市役所や日本年金機構に相談することです。自身で計算できない場合も、行政機関にて計算式や受給予定額を教えて貰うことができるところも多いでしょう。

また、社会保険労務士(社労士)という専門家も、このあたりの専門的な知識を有しており、重要な相談先となるでしょう。

改めて整理してみると、相続における年金関係の手続きの煩雑さがわかりますね。続いては、あまり聞きなれない言葉かもしれませんが、寡婦年金、死亡一時金、未支給年金について説明していきます。

いずれも制度を理解したうえで、所定の書類を準備するなど、さまざまな手続きが必要となります。年金手続きの専門家でもある社会保険労務士(社労士)などの専門家に相談しながら手続きを進めるのもよいでしょう。

3.「寡婦年金(かふねんきん)」

寡婦年金(かふねんきん)とは、亡くなった夫が国民年金の第1号被保険者として25年以上年金保険料を納めていたときに、10年以上婚姻関係にあり、生計を維持されていた妻が受け取ることができます

該当する場合は、前回の記事で紹介した遺族年金と同時に各市町村の窓口や日本年金機構にて問い合わせ、及び受給手続きが可能ですので、併せて申請するようにしましょう。

その際は戸籍謄本や自身の年金手帳のほか、夫の死亡届などを提出する必要があります。日本年金機構サイトにて確認するようにしましょう。

4.「死亡一時金」

死亡一時金も寡婦年金と同様の制度です。

第1号として保険料を納めた期間が36カ月以上あり、老齢年金を受け取らずに死亡した場合、遺された家族が一時金を受け取ることのできる制度です。

ただ、この死亡一時金は、寡婦年金と併給することができません。相続が発生し、死亡一時金と寡婦年金を両方受け取れる状況にある場合は当然、「どちらを受け取る方がいいのか」を計算することになります。

5.「未支給年金」

公的年金を受け取っていた人が亡くなった場合、基本的には年金の受給権は相続されません。遺された家族は「年金受給権者死亡届(報告書)」を年金事務所に提出する必要があります。

ただ、2カ月おきに受給される年金において未支給部分がある場合、または何かの手続きで受け取っていない年金部分が発生している場合は、生計を一にしていた遺族が受け取ることができます。

6.相続発生時の年金手続きに関するまとめ

相続発生時の年金手続きのポイントをまとめました。市役所、日本年金機構、そして社会保険労務士と幅広いアドバイス体制が揃っておりますので、しっかりと利用して、円滑に手続きをするようにしましょう。

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