平成27年1月に相続税法が改正され、課税対象者が拡大しました。書店やインターネットでは、「生前贈与を活用しよう」という対策本が溢れています。なかでもお勧めされているのが、毎年110万円以下を定期的に生前贈与する「暦年贈与」といわれる方法です。
この暦年贈与。実はいくつかの大切な「コツ」があります。
暦年贈与は贈与税の基礎控除を活用する方法
暦年贈与とは、贈与税の基礎控除を活用する方法です。
一例をあげましょう。AさんからBさんに資産を譲渡する際は、その資産の額に応じて「贈与税」がかかります。この贈与税、税率10%~5%と資産額に応じて高くなっていくのですが、毎年110万円までは「基礎控除」として非課税にすることができます。
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暦年課税とは、この贈与税の非課税制度を活用し、コツコツ「毎年最大110万円ずつ」贈与をしていこう、贈与を繰り返すことで将来の相続税を減らそう、とする節税対策を指します。
「定期贈与」と見なされないようにするには…
ただし、この暦年贈与は税務署に「相続税逃れ」と判断されると追徴課税(後から税金を請求されること)の可能性があります。ポイントは「定期贈与と見なされないようにすること」です。
つまり、「多額の資産について、非課税制度を利用して分割譲渡している」と思われたらNGです。そうではなく、あくまでその回その回に贈与の必要性があった、と税務署に伝えることが大事なポイントです。
具体的に「定期贈与と見なされないためのポイント」をいくつかお伝えします。
- 贈与するごとに「贈与契約書」を作成すること(毎年〇〇万円を贈与、という形式にしない)。贈与契約書には双方の署名捺印をするようにします。
- 毎年110万円ではなく、100万円や105万円など、「金額の異なる贈与」とする。
- 贈与を受けたものが、その財産を管理して、自由に処分できるようにする
つまり、相続税逃れのために贈与側の名義を借りて、資産を隠している、と思われないことが大切です。 双方の署名捺印は、「合意のうえ贈与しています」という証明になります。 一部の信託銀行では、暦年贈与を行うサービスである「暦年贈与信託」というものもあります。参考にされるのもひとつの方法ですね。
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