オーナー企業が事業承継を考える際、株価の引き下げがしばしば課題になります。そこで注目すべきなのが生命保険の活用です。
生命保険を活用することは、役員退職金の財源を確保する上で非常に効果があります。また、利益を圧縮するので株価引き下げの効果もあります。
ここで生命保険を活用した事業承継対策、相続対策について詳しく見ていきましょう。
目次 |
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1.生命保険のメリット |
1.生命保険のメリット
生命保険のメリットや効果には、以下のような点が挙げられます。
- 役員の退職金の財源となる
- 株価引下げのための、利益の圧縮効果がある
- オーナーの突然の病気や死亡、不慮の事故などに備えることができ、残された会社の経営や家族の生活を守ることができる
2.どのような生命保険を選ぶべきか?
生命保険にはいくつかのタイプがあり、「掛け捨て」なのか、または、「解約返戻金有り」なのかにより、損金扱いの割合が異なります。
事業承継における生命保険には、退職金の財源を確保するという目的もあるので、ここでは、掛け捨てタイプではなく、解約返戻金のある保険を選びましょう。
2-1.生命保険活用の具体例
例えば、70才で事業承継をする事を目標に、40才から長期定期保険に加入します。
この場合、70才の事業承継の時に解約返戻金が高くなるように設計を行います。 そして、70才の時に解約することで、退職金の財源とすることができます。 解約返戻率は通常、払い込み保険料の70~90%程度です。
解約までの30年間は、保険料を損金計上しながら、節税と利益圧縮を図ります。実質的には、解約返戻金を社外に確保しておくことになります。
会社が預金等の金融資産で納税資金を確保しようとしても会社本来の事業の資金繰りに使われてしまう可能性が非常に高くなり、結果として相続発生時には預金はなく、納税資金に困ることになります。また、相続発生の際に、多額の資金を支出することは、会社の経営や資金繰りの面からも楽ではありません。
2-2.生命保険の活用で本業の資本と分けることができる
そこで、会社の本業の資金と分けるためにも、会社が役員の死亡に備えて被保険者を役員、保険金受取人として会社として生命保険に加入しておきます。相続が発生した場合、会社は受け取る生命保険金を財源として、役員退職金を遺族に支払うのです。
このような方法により、会社の資金繰りとは別にさせておくことができます。 会社も生命保険に加入しておくことは大変重要です。
なお、会社が支払う退職金については、最終月額報酬・役員としての在籍年数・貢献度等を勘案して計算されます。 加えて、スムーズな退職金支給を行うためには、あらかじめ社内で「役員退職慰労金規定」を作成しておくこともポイントになります。
3.生命保険の非課税枠を活用
通常、亡くなった時に備えて自身を生命保険の被保険者とし、自身で保険料を支払い、妻や子どもに保険金を残す場合、相続税が課税されます。
この相続税には、法定相続人1人あたりにつき、「500万円×法定相続人の数」を非課税枠とすることが可能です。 たとえば奥様とお子様2人の場合、500万円×3の1,500万円までが非課税となります。
3-1.中小企業の事業承継に生命保険の非課税枠を活用
たとえば現在中小企業の経営者をしているご主人様が、お子様のうちAさんに会社の株式を継がせ後継者としたい場合、他の兄弟のBさんへの相続資産に困る、という場合があります。
この場合は、自身を被保険者にした生命保険の受取人をBさんにすることによって、Bさんへの相続分を確保し、非課税枠を活用できる、というメリットがあります。
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