相続税

相続税の計算方法|自分でできる計算手順と早見表・シミュレーション【2026年・税理士監修】

監修

中村亨

日本クレアス税理士法人 代表 税理士 公認会計士

「相続税は、いくらの遺産からかかるの?」「自分でも相続税を計算できる?」——身近な方が亡くなり、相続税がいくらになるのか不安を感じている方は多いのではないでしょうか。

相続税は、遺産の総額すべてにかかるわけではなく、基礎控除(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を超えた部分にだけかかります。計算の流れさえ押さえれば、おおよその税額はご自身でも把握できます。

本記事では、相続税の計算方法を5つのステップに分け、課税ラインの早見表・法定相続分・税率速算表・具体的な計算例まで、相続専門の税理士監修のもとでわかりやすく解説します。配偶者の税額軽減や生前贈与加算など、間違えやすいポイントもあわせて確認できます。

「うちは相続税がかかるのか」「かかるとしたらいくらか」を知りたい方は、ぜひ最後までご覧ください。

結論:相続税は「基礎控除を超えた分」にだけかかる

相続税は、亡くなった方(被相続人)の遺産のうち、基礎控除額を超えた部分に対してのみ課税されます。基礎控除額は次の式で計算します。

基礎控除額 = 3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数

たとえば法定相続人が3人なら、基礎控除額は 3,000万円+600万円×3人=4,800万円。正味の遺産額がこの金額以下であれば、原則として相続税はかからず、申告も不要です。逆に基礎控除を超える場合は、以下の手順で税額を計算します。この記事では、国税庁の速算表と計算例をもとに、ご自身でおおよその相続税額を試算できるよう手順を追って解説します。

この記事はこんな方に向けています

  • 親などが亡くなり、自分の家に相続税がかかるのか知りたい方
  • おおよその相続税額を自分で計算・シミュレーションしたい方
  • 申告が必要かどうかの判断基準を確認したい方

相続税を計算する5つのステップ【全体像】

国税庁が示す相続税の計算は、次の順序で進みます(出典:国税庁 No.4152「相続税の計算」)。

  1. ステップ1:正味の遺産額(課税価格の合計額)を計算する
  2. ステップ2:基礎控除額を差し引き、課税遺産総額を求める
  3. ステップ3:課税遺産総額を法定相続分で按分する
  4. ステップ4:速算表を使って相続税の総額を計算する
  5. ステップ5:実際の取得割合で按分し、各種控除を差し引く

ステップ1:正味の遺産額を計算する

まず、預貯金・不動産・有価証券などのプラスの財産から、借入金などの債務や葬式費用を差し引き、生命保険金・死亡退職金の非課税枠を調整して「正味の遺産額(課税価格の合計額)」を求めます。

不動産は原則として路線価方式または倍率方式で評価します。土地は小規模宅地等の特例を適用できる場合、評価額を大きく減額できることがあります(詳細は別記事の内部リンク先を参照)。

生命保険金・死亡退職金の非課税枠(500万円×法定相続人の数)の適用可否、生前贈与加算の対象範囲は個別事情で変わるため、監修者による確認を推奨します。

ステップ2:基礎控除を差し引く(相続人別の課税ライン早見表)

正味の遺産額から基礎控除額を差し引いた残りが「課税遺産総額」です。法定相続人の数ごとの基礎控除額(=課税ライン)は次のとおりです。

法定相続人の数 基礎控除額(この金額まで無税)
1人 3,600万円
2人 4,200万円
3人 4,800万円
4人 5,400万円
5人 6,000万円

※法定相続人の数は、相続放棄をした人がいても放棄がなかったものとして数えます。養子は、実子がいる場合は1人まで、実子がいない場合は2人までを法定相続人の数に含めます(出典:国税庁 No.4152)。

ステップ3:課税遺産総額を法定相続分で按分する

課税遺産総額を、いったん各法定相続人が民法上の法定相続分どおりに取得したものと仮定して按分します。主な法定相続分は次のとおりです。

相続人の組み合わせ 配偶者 子・その他
配偶者と子 1/2 子で1/2を均等分割
配偶者と父母 2/3 父母で1/3
配偶者と兄弟姉妹 3/4 兄弟姉妹で1/4

ステップ4:速算表で相続税の総額を計算する

按分した「法定相続分に応ずる取得金額」に、次の速算表の税率を掛け、控除額を差し引きます(出典:国税庁 No.4155「相続税の税率」)。

法定相続分に応ずる取得金額 税率 控除額
1,000万円以下 10%
1,000万円超〜3,000万円以下 15% 50万円
3,000万円超〜5,000万円以下 20% 200万円
5,000万円超〜1億円以下 30% 700万円
1億円超〜2億円以下 40% 1,700万円
2億円超〜3億円以下 45% 2,700万円
3億円超〜6億円以下 50% 4,200万円
6億円超 55% 7,200万円

ステップ5:実際の取得割合で按分し、控除を差し引く

ステップ4で求めた相続税の総額を、実際に財産を取得した割合で各相続人に割り振り、そこから配偶者の税額軽減などの各種控除を差し引いた額が納付税額になります。

なお、財産を取得した人が配偶者・父母・子以外(例:兄弟姉妹や甥姪など)の場合は、税額に20%が加算されます(2割加算。出典:国税庁 No.4152・No.4157)。

具体例で見る相続税の計算(国税庁の計算例)

例:法定相続人が「配偶者+子2人」、課税遺産総額が1億5,200万円の場合

法定相続分は、配偶者1/2・子それぞれ1/4です。按分すると、配偶者7,600万円、子3,800万円ずつになります。これを速算表に当てはめます。

  • 配偶者:7,600万円 × 30% − 700万円 = 1,580万円
  • 子(1人目):3,800万円 × 20% − 200万円 = 560万円
  • 子(2人目):3,800万円 × 20% − 200万円 = 560万円

合計すると、相続税の総額は 2,700万円 になります(出典:国税庁 No.4155 の計算例)。ここから、実際の取得割合に応じて按分し、配偶者の税額軽減などを適用して最終的な納付額を求めます。

配偶者なら1億6,000万円まで無税になることも

配偶者が取得した正味の遺産額が「1億6,000万円」または「配偶者の法定相続分相当額」のいずれか多い金額までは、配偶者に相続税はかかりません(配偶者の税額軽減。出典:国税庁 No.4158)。ただし、原則として申告期限までに遺産分割が確定していることと、相続税の申告を行うことが適用の条件です。この特例を使うと税額がゼロでも申告が必要になる点に注意してください。

2026年時点で押さえておきたい「生前贈与加算」の注意点

相続人などが被相続人から生前に暦年課税で受けた贈与は、一定期間分を相続財産に加算します。被相続人の相続開始日が令和8年(2026年)12月31日以前の場合、加算対象期間は「相続開始前3年以内」です(出典:国税庁 No.4152・No.4161)。制度改正により加算期間は段階的に延長されるため、贈与の時期によって扱いが変わります。ご自身のケースの加算範囲は、監修税理士にご確認ください。

相続税計算でよくある失敗

  • 基礎控除だけを見て「かからない」と判断し、生前贈与加算や名義預金を含め忘れる
  • 不動産を時価(売買価格)で計算してしまい、路線価評価と混同する
  • 配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例を使えば「申告不要」と誤解する(多くは申告が要件)
  • 法定相続分での按分と、実際の取得割合での按分を混同する

税理士に相談すべきケース

  • 不動産が遺産の大部分を占め、評価額の判断が難しい
  • 小規模宅地等の特例や配偶者の税額軽減の適用可否を確認したい
  • 生前贈与が複数年にわたり、加算範囲の判断が必要
  • 相続人同士で分割方針が決まらず、申告期限(10か月)が迫っている

相続税に関するよくある質問(FAQ)

Q. 相続税は遺産がいくらからかかりますか?

A. 正味の遺産額が「3,000万円+600万円×法定相続人の数」で計算する基礎控除額を超えた場合にかかります。法定相続人が3人なら4,800万円が目安です。

Q. 相続税の申告期限はいつまでですか?

A. 相続の開始(被相続人の死亡)を知った日の翌日から10か月以内が、申告・納付の期限です。

Q. 配偶者は相続税がかからないと聞きましたが本当ですか?

A. 配偶者の税額軽減により、取得した正味の遺産額が1億6,000万円または法定相続分相当額の多い方までは無税になります。ただし申告が必要で、原則として申告期限までの遺産分割確定が条件です(国税庁 No.4158)。

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出典・参考(公的機関の一次情報)

本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の税務判断を保証するものではありません。実際の申告・納税にあたっては、必ず税理士等の専門家または所轄税務署にご確認ください。

監修

中村亨

日本クレアス税理士法人 代表
税理士
公認会計士

2002年8月に会計事務所として創業、2005年には税理士事務所を開業し、法人や個人のお客様の会計・税務の支援をする中で、「人事労務の問題を相談をしたい」「事業承継を検討している」といったお客様のニーズに応える形でサービスを拡大し続け、現在では社会保険労務士法人など複数の法人からなるグループ企業に成長してきました。お客様に必要なサービスをワンストップで提供できることが当社の強みです。

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