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ーコラムー
税務調査
税理士監修記事

相続税の税務調査とは?

公開日:2020.10.13 更新日:2022.07.02

税務調査は「資産家に対して行われる」「相続人に非があるから行われる」と考えられがちですが、実際には「相続の状況しだい」で誰に対しても行われるものです。

申告当初から正しい手続きを心がけ、調査の際も税理士の回答や書類提出を通じてきちんと対応できれば、申告漏れ指摘によるペナルティ(追徴課税)を恐れる必要はありません。

本記事では、税務調査の概要(行われる割合や対象者など)を解説した上で、相続税の申告と納税を適切に行うためのポイントを紹介します。

目次

1.税務調査とは
  1-1.税務調査が実施される割合
2.税務調査の対象になる人とは
  ケース1.亡くなった人が資産家だった
  ケース2.そもそも相続税申告をしていない
  ケース3.提出した申告書に記載不備がある
  ケース4.税理士に依頼せず自力で税申告した
3.税務調査の時期
4.税務調査の流れ
  4-1.申告内容を修正する方法
  4-2.税務調査中の質問とその目的
  4-3.調査官の質問への答え方
5.万が一申告漏れがあった場合の加算税(追徴課税)
6.相続税を正しく申告・納税するには
  6-1.遺産分割前の「財産調査」を徹底する
  6-2.「名義預金」と「海外資産」の申告漏れに要注意
  6-3.申告が間に合わない時の対応方法
  6-4.申告手続きは税理士に依頼する
7.まとめ

1.税務調査とは

そもそも税務調査とは、特定の納税義務者(※相続税の場合は遺産を受け継いだ人)への課税額が正しいかどうかチェックするため、国税通則法等で定められる権限に基づいて行われるものです。調査が行われる際は、事前に管轄税務署から相続人の代表者へ電話確認が行われ、その後のヒアリングや相続開始当時の資料提出を通じ、当初申告があった課税額に誤りがないか精査されます。

なお、実施される税務調査の大半は、納税義務者の協力のもと成立するとされる「任意調査」です。任意調査時に考えられる罰則は、後述の追徴課税(加算税)だけです。調査官からの質問や書類提出の要請に協力的であれば、刑事罰や行政処分などが課されることはありません。
なお、刑事罰を前提とする「強制調査」は、よほど多額かつ悪質なケースでない限り実施されません。

1-1.税務調査が実施される割合

平成30事務年度における税務調査の統計※によると、相続税に関する調査は年間12,463件行われており、同年課税対象になった被相続人(=亡くなった人)の数の約24%にも及びます。

以上の点を踏まえると、税務調査は比較的身近な出来事であり、誰にとっても無縁ではありません。

※国税庁:平成30事務年度における相続税の調査等の状況

2.税務調査の対象になる人とは

それでは、税務調査の対象はどのように選定されているのでしょうか。

結論として、やはり必ずしも「申告漏れがある人が調査される」とは限りません。国内で起きた相続に関しては、基本的に申告納税制(納税者の自己申告を信用して課税額を確定する方法)がとられており、申告漏れが生じているかどうかは能動的に調査するまで把握できないからです。

かといって、調査対象の選定基準が具体化されているわけではありません。

国税庁はあくまでも「収集資料等から申告額が過少であると想定される事案」や「申告義務があるにもかかわらず無申告と想定される事案」に対して行っていると説明するのみです。しかし、税務調査の個別ケースや統計情報から分析すると、調査対象に選定されたケースには一定の傾向があると分かります(下記参照)。

【相続税】税務調査の対象になりやすいケース

・亡くなった人が資産家だった
・そもそも相続税申告をしていない
・提出した申告書に記載不備がある
・税理士に依頼せず自力で税申告した

以下ではさらに、選定の背景事情をケース別に詳説します。

ケース1.亡くなった人が資産家だった

課税額が当然大きくなる資産家や富裕層の相続ケースでは、些細な申告ミスが多額の申告漏れにつながります。そこで、国税の納税状況が社会制度全体の運用に関わることも考慮し、上記のような高額納税者が優先的に調査対象になる傾向があります。

また、国税庁では、内国税の公平な徴収を目的とする「国税総合管理システム」(KSKシステム)を使用しています。本システムには国民毎に資産状況(課税に関わるもの)についてデータが集約されており、公式に「所得税や青色申告に関して調査対象を選定するために活用している」と明言されています。

相続税の税務調査に関しても、KSKシステム上で資産家と分かる死亡者(とその相続人)が選定されていると考えても、無理はありません。

ケース2.そもそも相続税申告をしていない

相続開始があったにも関わらず税申告書が提出されていないケースも、税務調査の対象として選定されやすい典型的なケースです。

そもそも、相続税の申告を省いても良いのは、相続財産の価額が基礎控除内(3,000万円+600万円×法定相続人の数)に収まっているケースのみです。同じように全額非課税となるケースでも、税額軽減につながる制度を適用しようとする場合には、相続税申告に添える形で適用申請しなければなりません。

申告納税制のもとで業務する税務署としては、申告書が提出されていない限り、相続人が非課税だと判断した根拠の確認は不可能です。そこで、税務調査の対象として選定し、申告者本人に対するヒアリングを試みます。

ケース3.提出した申告書に記載不備がある

相続税の申告書は枚数にボリュームがあり、資産情報や課税額の計算方法などの細かい内容を記入しなければなりません。この点から、申告書の作成段階では、全体のどこかで記載ミスが生じる可能性があります。

こうした申告書の記載ミスに関しても「最終的に納税すべき額の計算が誤っている可能性がある」と税務署はみなし、税務調査の対象として選定する傾向があります。

ケース4.税理士に依頼せず自力で税申告した

相続税の申告書には税理士の記入欄があり、この欄の記載有無で申告手続きの依頼状況が分かります。税務のプロが受任して作成したものは当然信頼できますが、資格を持たない人が自力で作成した申告書は、なかなか内容に関する信頼を得られません。

以上の点から、相続人が誰にも依頼せず自力で行った相続税申告に関しては、ミスの可能性があるとして税務調査の対象に選定される傾向があります。

3.税務調査の時期

税務調査の時期は一定ではないものの、相続税の申告を行った年の翌年か翌々年の7月~11月であることが一般的です。こうした時期の決定には、税務職員の異動や、提出された申告書のチェックにかかる時間などが影響しています。

なお、国税債権には5年の時効がある(国税通則法第72条)ことから、翻って申告から5年以内であれば調査の可能性はあります。納税義務者、つまり相続人の心がけとして、申告内容とその根拠が分かる書類は最低5年間保管しておかなければなりません。

4.税務調査の流れ

税務調査の対象になった場合、まず管轄税務署から相続人へと電話・郵送等の手段で通知されます。通知があった際に日程調整を行い、当日は被相続人(亡くなった人)の最後の生活場所だった自宅などで調査官の訪問に対応します。

調査官は基本的に2名体制で、訪問対応は1日~2日で終わるのが一般的です。当日はヒアリングや貴重品の管理場所の案内を行い、必要があれば書類等の回収にも応じます。

【税務調査の流れ】
税務調査の連絡 → 日程調整 → 調査官の訪問 → 相続人への質問・資料確認 → (指摘事項有の場合)納税者または税務署による課税額の修正

なお、調査当日にすぐ指摘事項(申告漏れの指摘)があるわけではありません。訪問時に得た資料を基に、1週間~2週間ほどかけて関係各所への照会等が行われ、その上で当初の申告内容に誤りがないか検討されます。

4-1.申告内容を修正する方法

税務調査が始まってから相続税申告の内容を修正する場合、以下3つの方法があります。

【参考】「修正申告」と「更正」

  1. 修正申告:納税者側で自主的に「当初の申告内容を修正する」手続き
  2. 期限後申告:納税者側で自主的に「未済の申告を行う」手続き
  3. 更正:税務署側で正しい課税額を計算して通知する手続き

なお、2015年の法改正以降、税務調査前の時点での積極的な修正申告(または期限後申告)をうながす目的で、申告漏れに対するペナルティである「加算税」を一部軽減する措置が実施されています(詳細は後述)。

4-2.税務調査中の質問とその目的

調査官の訪問を受けた際は、プライベートな内容にも踏み込んで様々な質問が行われます(下記参照)。

その目的は「名義は相続人だが実質的には被相続人所有だった財産」や「相続人への贈与が成立したとは言えない財産」を探ることにあります。また、相続税だけでなく、未申告の贈与税についても確認が行われます。


【一例】税務調査官からの質問内容例

・亡くなった人のプロフィールと家族構成
・相続人のプロフィールとその家族構成
・相続人と税理士との関係※
・亡くなった人とその配偶者の財産状況
・亡くなった人が過去取引していた金融機関の情報
・亡くなった人が大切にしていたもの(日記や印鑑など)の保管場所
・亡くなる直前の状況(入院や施設入居、その際にかかった費用など)
・亡くなる直前までの財産管理の状況(誰が・どのように行っていたのか)

※税理士に申告手続きを任せていた場合のみ

4-3.調査官の質問への答え方

調査官の質問やお願いに対しては、ウソをついたり「プライベートな内容だから」と断ったりせず、時には裏付け資料を提示しながら誠実に答えるべきです。
裏付け資料としては、生前弁護士や税理士の指導のもと作成した「贈与契約書」等が活用できます。

5.万が一申告漏れがあった場合の加算税(追徴課税)

税務調査で万一申告漏れが見つかった場合には、漏れのあった課税額に「加算税(追徴課税)」と「延滞税」を上乗せして納税しなければなりません。加算税は未申告に対して、延滞税は未納税に対してそれぞれペナルティとして措置されます。

なお、加算税には、①無申告加算税、②過少申告加算税、③重加算税の3種類があり、申告漏れの状況に応じて決定されます。

【表】相続税申告に漏れがあった場合の加算税一覧

申告漏れの内容 税の名称 加算税の割合
税務調査の通知前に修正申告された場合 税務調査の通知後に修正申告or更正された場合
正当な理由なく、法定申告期限までに手続きしなかった ①無申告加算税 5% 15%
※50万円を超える部分は20%
申告手続きは行ったが、内容に漏れがあった ②過少申告加算税 対象外(加算されない) 10%
※当初の課税額(最大50万円)を超える部分は15%
申告時に不正行為があった ③重加算税 過少申告の場合:35%
無申告の場合:40%
納期限までに支払えなかった 延滞税 7.3%
※上記は年率、延滞日数が1日増えるたび日割りで加算される

※表記割合は全て「課税額全体のうち、申告漏れまたは無申告により未納になっている部分」に対するものです。

①無申告加算税・②過少申告加算税の2点については、税務調査の対象になる前に正しい申告を行うことで、表のように加算税の軽減があります。

万が一「すでに行った申告内容に誤りがあるかもしれない」「相続手続き後に多額の財産が見つかって基礎控除を超えるかもしれない」という事態に直面したときは、迷わず専門家に相談し、適切な手続きを速やかに行うべきです。

6.相続税を正しく申告・納税するには

税務調査するかどうかは管轄税務署の判断であり、確実に回避できる方法はないと考えるのが賢明です。相続人に出来るのは、正しい申告と納税を心がけ、万一調査された際に申告内容の根拠を提示できるよう準備しておくことです。

では、具体的にはどんなポイントに注意すればよいのでしょうか。

6-1.遺産分割前の「財産調査」を徹底する

最も申告漏れを指摘されやすいのは、一連の相続手続き(遺産分割と税申告)が終わった後に新たに未分割の財産が判明するケースです。また、財産の存在自体は把握していても「課税対象で適切な手続きをしなければならないものだ」と分からないままである場合もあります(下記例)。

【よくある例】

  • 税務調査の通知が来て慌てて調べたところ、亡くなった人に多額の「へそくり」があると分かった
  • 生前の被相続人に頼まれて作った口座が「名義預金」だと指摘され、相続税の課税対象だと分かった
  • 亡くなった人と同居した家に関して、特に登記や税申告の必要性を感じないまま住み続けていたところ、突然税務調査の通知が来て申告漏れが指摘された

以上のような失敗を防ぐため、相続開始後は速やかに財産調査を開始し、遺産の全容を把握するよう努めましょう。その上で、税申告の要否について不安に思う財産については、税理士に相談してみるべきです。

6-2.「名義預金」と「海外資産」の申告漏れに要注意

特に申告漏れが起きやすいのは、名義預金や海外資産があるケースです。

<名義預金>
口座こそ親族名義であるものの、実質的には被相続人が管理処分権を握っていた預金を「名義預金」と呼びます。相続税の課税時は“実質”が重視され、生前贈与や相続人の収入を原資に積み立てていたことを証明できない限り、相続税の課税対象になります。

先で紹介した税務調査の統計資料によると、申告漏れが指摘される財産で目立つのは預貯金(1,286億円/全体の36.5%)であり、なかでも名義預金に関する事例は多いと考えられます。

名義預金とみなされるポイントはこちらの記事をご参考ください。名義預金とみなされるのはどのようなとき?

<海外資産>
2018年からは租税条約等に基づく情報交換制度が実施され、国内外をまたがるお金の流れが注目されるようになりました。近年は新しい金融資産として「暗号通貨」(=仮想通貨)が登場し、税務署は申告漏れに目を光らせています。

同じ統計上、株式や債券などの有価証券(388億円/全体の11.2%)、さらに土地(422億円/全体の12.2%)に対する指摘が目立ち、節税や投資益目的で購入された「海外資産」も多数含まれていると考えられます。

ここで挙げた資産は、どちらも「課税対象かどうかの見極め」や「課税額の計算」が複雑です。心当たりがある場合、相続分野に知見のある税理士に任せるべきでしょう。

6-3.申告が間に合わない時の対応方法

相続税の申告期限の延長は、やむを得ない事情がない限り不可能です。その一方で「相続人同士がもめている」「不動産の売却手続きがなかなか進まない」といった要因で、遺産分割が遅々として進まず、税申告できない場合もあります。

上記のような場合は、いったん申告期限までに「各人が法定相続分※を得たもの」として税申告し、遺産分割後に改めて「修正申告」または「更正の請求」※を実施して課税額の差額調整を行わなければなりません

※相続した財産が法定相続分を上回る場合は「修正申告」、法定相続分を下回る場合は「更正の請求」をそれぞれ行います。

なお、申告期限延長が認められる「やむを得ない事情」は、法令で下記のように指定されています。いずれかの要件を満たした場合、最大2か月(相続開始から12ヶ月)の期限延長が認められます。

【参考】相続税の期限延長が認められるケース
・死亡時点で胎児だった相続人が誕生した
・相続人の異動(子の認知・廃除または欠格・失踪宣告)があった
・遺留分侵害額請求権が行使された
・法定相続分とは異なる内容を記載した遺言書が、遅れて発見された
・災害や感染症流行などの特殊事情に巻き込まれた

6-4.申告手続きは税理士に依頼する

相続税申告のミス・漏れを防ぐ上で、申告書作成とその後の手続きを税理士に任せるのが確実です。税理士作成の申告書が自力で作成したものとまったく同じ内容でも、調査対象に選定される可能性を減らせるのは、すでに先の「税務調査の対象になる人とは」の章で紹介した通りです。

最初に述べたように、税理士への申告手続きの依頼は、税務調査を回避するための確実な手段にはなり得ません。一方、調査実施の折には、申告者本人に先立って税理士側で調査官対応が行われ、結果として調査官による本人への厳しい追及を防げるメリットがあります。

【参考】書面添付制度とは
責任範囲を明確にする書面(計算・整理・相談対応等を行った事項に関するもの)を税の申告書に添付することを条件に、申告手続きが税務調査の対象になった場合、税理士に意見陳述の権限を与える制度です。

書面添付制度による意見陳述では、税理士が申告者の立場に立ち、相続開始当時の状況や主張を述べます。申告手続きの状況上当然ではあるものの、課税額計算のプロセスに関しても、申告者自ら説明する必要はありません。

調査対象となった各事項について税理士が適切な表現で説明することで、スピーディで簡潔な調査完了が実現します。

7.まとめ

「資産家か一般的な家庭か」あるいは「申告漏れが実際にあるのか」に関わらず、税務調査は行われうるものです。
遺産を丁寧に調べ、その上で申告内容の根拠となる資料(贈与契約書など)をきちんと揃えておけば、調査通知を過度に恐れる必要はありません。期限に間に合わず無申告扱いになりそうな時でも、前もって税務署に事情説明することで、様々な措置を提案してもらえます。

相続分野を専門とする税理士は、受任時点の状況に基づいて申告手続きを適正に進められる上、万一の税務調査の際には税務署との“橋渡し役”を担えます。

申告ミスを防ぐ上では、財産調査から課税額計算が終わるまでのスケジュールを考慮しなければなりません。相続開始後はなるべく早く税理士に相談しましょう。

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